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第2章 再び回復が加速する世界経済

第4節 ヨーロッパ経済

2.財政政策及び金融政策の動向

(1)国債利回りスプレッドとCDSの動向

  10年4月にギリシャ財政危機が発生した後、ヨーロッパの金融市場は落ち着きを取り戻したかに思われたが、ソブリン問題が再燃している。
  10年11月、アイルランド政府からの要請を踏まえ、欧州委員会、ユーロ参加国、国際通貨基金(IMF)等は、アイルランド支援に合意するとともに、アイルランドに対する支援規模を850億ユーロとした。こうした支援等を背景に、南欧諸国等の国債利回りとドイツ国債利回りとのスプレッドやソブリンCDSは、いったん落ち着きを取り戻した。しかし、一部の国における財政状況に対する懸念を背景に、国債利回りスプレッドやCDSは11年春から再び急上昇している。
  特にギリシャでは、市場においてギリシャ債務再編の懸念が高まったことから、国債利回りが15%台に上昇するとともに、ソブリンCDSも14%台まで上昇して過去最高値を更新した(6)第2-4-13図第2-4-14図)。この背景には、ギリシャでは歳出削減が進んでいる一方、深刻な景気後退により税収が上がらなかったために、財政再建が予定通り進ちょくしていないことなどが挙げられる(7)
  ギリシャ政府は、11年4月に追加の財政緊縮策として、民営化及び国有資産売却や歳出削減・税収増加を通じて15年には財政赤字GDP比1%程度を目指す「中期財政戦略2012-2015」を発表した。しかしながら、国債利回りやソブリンCDSは、依然として高水準で推移しており、ギリシャにおける財政の持続可能性への市場の懸念は拡大している。
  また、ポルトガルについてみると、11年3月に財政再建策の提案が議会で否決されたことを受け、ソクラテス首相が辞任を表明すると、ポルトガル国債の価格は大きく下落し、ドイツ国債とのスプレッドも大きく上昇した。格付会社各社は、国債の大量償還が予定されていることや、ポルトガル財政再建の実行可能性に対する懸念から、EU等に対して支援要請をしたギリシャやアイルランドと同じように、ポルトガル国債の格付けを相次いで引き下げた(第2-4-15図)。
  このような状況下で、11年4月、ポルトガル政府はEUに対し支援を要請した。この要請を踏まえ、同年5月、EU及びIMFは780億ユーロのポルトガル支援に合意した。
  格付会社各社によれば、ギリシャやポルトガルといった財政不安を抱える国々の国債格付けを格下げした主な要因として、ESM(European Stability Mechanism)が発足する2013年7月からは、政府債務再編時において民間債権者が負担を求められる可能性があることを挙げている。
  ESMは、2013年6月までの時限的組織であるEFSF(European Financial Stability Facility)の役割を引き継ぐ恒久的なものである。EFSFは、現時点では債務再編時に民間債権者へ負担を求めないこととなっているが、ESMでは債務再編の場合に民間債権者にケースバイケースで負担を求めるとともに、2013年7月以降にユーロ参加国によって発行される満期1年超の新規国債については、債務再編の際に一定多数債権者の合意に基づき債権内容を変更することができる集団行動条項(CACs:collective action clauses(8))を発行条件に明記することとなった(第2-4-16表)。

(2)ヨーロッパの金融システム

  急上昇している国債利回りスプレッドやCDSは、財政不安が高まっている南欧諸国等への貸出が多い金融機関の経営悪化、破たん等を通じて、金融システムに影響を与える懸念がある。
  国債の保有状況を地域別にみると、南欧諸国等の国債の60%以上は、ヨーロッパ各国によって保有されている(第2-4-17図)。また、金融機関の貸出状況をみると、南欧諸国等向けの与信は、ドイツ及びフランスの金融機関に集中している(9)。そのため、財政状況が悪化している南欧諸国等への市場の懸念は、これらの国々の国債保有や与信残高が多いヨーロッパの金融機関の経営に対する懸念へと波及するおそれがある。
  さらに、ECBによる資金供給残高をみると、南欧諸国等の一部の金融機関では、ECBからの資金調達が大きく増加している。これらの金融機関の中には、ECB本来の適格担保基準(10)を満たしていないギリシャ国債やアイルランド国債を担保として差し入れることで、実際には健全性が低いにもかかわらずECBから流動性供給を受け、破たんを免れている金融機関(いわゆる「ゾンビバンク」)が存在しているおそれがある(第2-4-18図)。
  こうした中、金融機関の健全性に対する市場信認を確保するため、欧州における金融機関に対して、10年6月のストレステスト(健全性審査)に続き、第3回目のストレステストの実施が決定した。
  11年3月に発表された欧州銀行監督機構(EBA)によるEUストレステスト実施方法の概要によれば、基準となる中核的自己資本を、前回のTier1比率から今回はコアTier1比率を基準とするとともに、前回テストより厳しい景気悪化シナリオ(adverse scenario)を想定し、売買目的のソブリン債については、前回以上に厳しいヘアカット(割引率)を想定(保有目的のものについては想定せず)することとした。また、4月にはストレステストの対象行を前回テストの対象行を全て含む90行(11)とするとともに、基準となるコアTier1比率を5%とすることを発表した。
  6月半ばに公表されるストレステストの結果によって、金融機関の健全性が示され、金融機関及び金融システムに対する市場の懸念が払拭されることが期待される。

(3)財政再建の状況

  EUでは、南欧諸国等に対する市場の懸念が高まっていることを背景に、財政規律に関する新たな枠組みを正式に決定するなど、財政再建の取組を強化している。
  10年6月のG20トロント・サミット(カナダ)の声明文において、日本を除く先進国は、2013年までの財政赤字の少なくとも半減や政府債務のGDP比の安定ないし低下の財政計画にコミットした。ヨーロッパ諸国は、悪化した財政赤字の削減目標達成に向けて、国によって具体策に違いはあるものの、概して、歳出面では年金・医療・社会保障等の改革による歳出抑制を図る一方、歳入面では税制改革等による歳入基盤の強化を図るなど、歳出・歳入両面からの種々の財政再建努力を続けている。こうした取組を通じて、総じてみると、ヨーロッパでは財政再建目標に近づく方向に進んでいるとみられる。
  EU加盟国においては、12年以降の予算を対象に、事前に予算方針や経済政策の加盟国間の協調を図る「欧州セメスター(European Semester)」が11年から開始された。また、11年3月に開催されたEU首脳会議において、財政の持続性確保や競争力強化等を共通の政策重点目標とした「ユーロプラス協定」が合意された。財政については、財政規律である「安定成長協定」の十分な実行のために、(1)年金・医療保険・社会給付の持続性確保のために必要な改革をすることや、(2)安定成長協定で定められたEU財政規則を憲法のような強い拘束力を持つ国内法に盛り込むこととされている。

  以下では、ヨーロッパ主要国における財政再建に向けた最近の取組を確認する。

(i)ドイツ
  ドイツでは、世界金融危機による深刻な景気後退への対応等により09年から財政収支赤字が拡大している。10年後半からの景気回復により、10年の純借入額は当初見積りの802億ユーロから440億ユーロにとどまったものの、それでも過去最大の純借入額(12)であり、10年の財政赤字GDP比は3.3%、債務残高GDP比は83.2%と、「安定成長協定」の基準を遵守出来なかった。こうした財政状況の悪化を受け、10年後半より財政再建への取組が進められている(第2-4-19図)。
  具体的な取組についてみると、11年1月に航空課税や核燃料税を導入し、3月には公的医療保険の赤字を改善するための「公的医療保険財政法」を施行した。7月には国防費改革の一環で徴兵制の廃止を決定しており、連邦軍兵士の削減等についても検討が進められている。このほか、将来の金融危機への対応を見据えた銀行税の導入について、3月末に法案が閣議決定され、今夏までの成立を目指すこととしている。また、3月に2012年予算案の基礎資料となる「中期財政計画(13)(2012~2015年)」が発表され、上記の歳入強化、歳出削減に加え、2015年まで1.6~1.8%の実質経済成長率が継続することによる税収の自然増を見込んで、財政収支赤字を縮小させていくこととしている。
  ドイツでは09年8月にドイツ連邦共和国基本法(14)を改正し年間純借入額の制限(15)規定を設けるなど、長期的な財政規律を維持していくための法整備がなされ、11年以降、上記のとおり、個別の財政再建施策が具体化されている。ただし、「中期財政計画」によると、11年の財政収支赤字は、10年に比べ僅かながら拡大する見込みとなっており、これら個別施策の成果が明らかになるには、もう少し時間を要するものとみられる。また、「中期財政計画」は、実質GDPの継続的な拡大による税の自然増収に依存した財政再建計画となっており、ドイツの財政再建の帰趨を見極めるには、こうした点にも留意が必要である(第2-4-20図)。

(ii)フランス
  世界金融危機による景気後退の深刻化の影響を受け、フランスでは、09~11年の一般政府財政赤字が安定成長協定の基準を上回る見通しとなり、EU経済財務相理事会(ECOFIN)は09年4月に過剰財政赤字是正勧告を行った。こうした事態を受け、フランス政府は財政再建を進めることになり、10年にはGDP比7.7%だった財政赤字を13年には3%にするとの目標を掲げた。
  具体的には、10年に年金改革を実行し、11年からの年金受給開始年齢の60歳から62歳への段階的引上げや、16年からの年金の満額受給開始年齢の65歳から67歳への段階的引上げ等を決定した。11年には税額控除や社会保険料控除の削減、公務員数の削減等も行い、財政赤字を10年のGDP比7.7%から11年には6%に引き下げるとしている。
  また、ドイツと同様、11年には財政均衡の原則を定める憲法改正を検討している。また、欧州委員会に提出する安定成長プログラムの内容を国会が審査を行うことについて、憲法への明文化が提案されている。

(iii)英国
  08年7月と09年4月にEUから過剰財政赤字是正勧告を受けた英国も、財政再建への取組を進めている。10年5月より政権に就いた保守党と自由民主党の連立政権は、財政赤字の削減が急務との考えの下、中期財政目標(16)を掲げた。そして、同年6月に公表した緊急予算には、前政権が策定した政策に加え、公務員の賃金引上げの2年間凍結といった歳出削減や、付加価値税率引上げ(11年1月より17.5%から20.0%に引上げ)等の歳入増加策を盛り込んだ。同年10月の歳出見直し(Spending Review)では、より具体的な歳出削減策が提示された。
  これらを踏まえ、11年3月にバジェット・レポートが公表され、財政再建を進めるだけでなく、法人税率の引下げ(17)等により経済の成長力を高めるとの姿勢が示された。
  もっとも、11年度予算案に盛り込まれた財政再建策は、これまでの取組に大きな修正を加える内容ではなかった。前政権が策定した政策も活用しながら、英国は財政赤字を削減していく方針を示している。予算案と同時に予算責任局が発表した見通しでは、11年度以降も構造的財政赤字の縮小は続き、14年度には黒字に転じるとされている(第2-4-21図)。純債務残高のGDP比も13年度をピークに低下していくことが見込まれ、予算責任局は50%以上の確率で中期的な財政目標が達成されると述べている。ただし、後述するような物価上昇が家計の購買力を低下させ、個人消費を中心に景気の低迷が続き、経済の回復経路が予算責任局の想定から下振れる可能性もある。その場合、財政再建は遅れるリスクがある。

コラム:ドイツ・英国における付加価値税率(VAT)引上げの影響

  近年、付加価値税率(VAT)を引き上げたドイツ(07年)、英国(10年)を取り上げて付加価値税率引上げの経済への影響をみてみよう。
  ドイツでは、07年1月から、16%から19%にVATを引き上げた。06年10~12月期は、引上げ前の駆け込みにより個人消費は増加し、07年1~3月期は、引上げの影響により大幅に減少した。増減に大きく寄与したのは、自動車等の交通・通信である。しかし、4~6月期と7~9月期の個人消費は、前期比で増加した。
  なお、VAT引上げと同時に所得税の最高税率引上げ(42%から45%に)を行い、また、08年1月から法人税率の引下げ(25%から15%に)を行った。また、VAT引上げによる税収増のうち、約3分の1は社会保険料の引下げに充てるとされた(図1)。
  英国では、10年1月に、15%から17.5%にVATを引き上げ、11年1月からは更に20%に引き上げた。09年10~12月期は、引上げ前の駆け込みにより個人消費は増加したものの、10年1~3月期は減少した。増減に大きく寄与したのは、自動車や、家電やパソコンを含む娯楽・文化である(なお、10年3月まで自動車買換え支援策が実施されており、相乗効果で特に09年10~12月期は自動車販売が増加したとみられる)。しかし、10年4~6月期と7~9月期の個人消費は前期比で増加が続いた。なお、英国政府は、VAT引上げに際して所得税減税は行っていないが、10年4月から、児童税額控除を65ポンド引き上げている(注)
  11年1月の引上げについては、自動車購入は増加したが、娯楽・文化は減少した。ただし、10年12月は大雪等の悪天候の影響により、本来は発生するはずだったVAT引上げによる駆け込み需要が一部打ち消されてしまった可能性がある(図2)。
  全体としては、税率の引上げ前後の四半期(6か月)は、自動車や家電等耐久消費財の駆け込み及びその反動が現れたが、その後は大きな影響はみられない。ただし、これらの国々では、食料品は軽減税率、住宅は非課税またはゼロ税率となっている。また、英国については、VAT引上げや一次産品価格の上昇による実質可処分所得の減少を通じて個人消費が横ばいとなっており、景気は足踏み状態となっていることに留意が必要である。

(4)政策金利の動向

(i)ECBの利上げ
  11年4月、ECB(欧州中央銀行)政策理事会が開催され、政策金利を0.25%ポイント引き上げ、1.25%とした。今回の政策金利の引上げは、2008年7月以来初めてのものである。
  今回の利上げについて、ECBは、物価安定における上振れリスクの観点から正当化されたもので、ユーロ圏のインフレ期待をインフレ参照値(18)に沿った形で、安定化させることに寄与すると述べている。その上で、エネルギーや食料中心の最近の物価上昇が、中長期的に広範囲にわたってインフレ圧力を高めないようにすることが重要であると指摘している(第2-4-22図)。

(ii)消費者物価上昇率の動向
  政策金利の引上げの理由である消費者物価上昇率の上昇要因についてみると、商品価格の高騰によるエネルギー価格や食品価格の上昇が主因となっている。また、消費者物価上昇率(コア)をみると、横ばいで推移しており、エネルギー価格等の上昇による消費者物価全体への価格転嫁は、今のところ限定的であると考えられる(第2-4-23図)。
  ただし、エネルギー価格と食料価格の急激な上昇から生じる物価上昇圧力は、資本財や消費財には波及していないものの、生産者物価における中間財が上昇していることから、生産過程の初期段階に波及していると考えられる(第2-4-24図)。
  このような物価の上昇は、価格転嫁や賃金決定行動を通じた二巡目効果(second-round effect)による広範囲な物価上昇圧力に波及する懸念がある。賃金決定行動を通じた効果についてみると、ドイツ経済がユーロ圏の他国と比べて、景気回復が進んでいる要因の一つとして、労働市場改革における取組によって、単位労働コストが緩やかな上昇にとどまっていることが考えられる。ただし、今後についてみると、ドイツでは景気回復を背景に企業による求人数も増加するなど労働需給が引き締まり、賃金上昇が高まるおそれがある。
  消費者物価上昇率の先行きについてみると、消費者のインフレ期待は上昇しており、今後も消費者物価上昇率が高まることが見込まれている(19)。また、市場におけるインフレ期待をみるために、ドイツの物価連動債(10年物)の利回りをみると、このところ上昇している(第2-4-25図)。
  ECBによれば、物価見通しのリスクにおける上振れリスクとして、(1)北アフリカ・中東において進行している政治的緊張によるエネルギー価格の上昇が予想以上になること、(2)グローバルレベルでの豊富な流動性に支えられた新興国の力強い経済成長が、更なるエネルギー価格の上昇をもたらす可能性があること、(3)12年以降の財政再建のため、予想以上に間接税や公共料金が引き上げられる可能性があること、(4)進行している経済活動の回復を背景として、予想以上に国内物価の圧力が高まるリスクがあること、を挙げている。
  ただし、現在のところ、消費者物価上昇率の上昇は、商品価格の高騰による供給側の要因によるものであり、超過需要を背景とした需要側の要因によるものでないことに留意が必要である。ユーロ圏においては、08年7~9月期から経済全体の需要と供給の差を示す需給ギャップはマイナスで推移している。

(iii)ばらつきが拡大している経済情勢
  先行きの消費者物価上昇率の上昇が見込まれる中で、今回の11年4月の利上げ以降についても、ECBが追加の利上げを実施することが考えられる。ヨーロッパ地域の景気持ち直しのテンポが国ごとにばらついている状況下において、政策金利が引き上げられることは、ヨーロッパ経済全体にどのような効果を及ぼすのであろうか。
  通貨統合されたユーロ圏においては、ユーロ参加国は自国の事情に対応した機動的な金融政策を実施することはできない。また、為替の減価を通じて、価格競争力が高まり、景気が回復することも期待できない。さらに、ECBによる単一金融政策からくる制約のほか、ユーロ参加国は安定成長協定により財政政策にも制約がある。このため、単一通貨ユーロを安定的に維持するためには、ユーロ参加国は、似通った経済情勢であることが望ましい(20)。そこで、マーストリヒト条約においてユーロ参加の条件とされた経済収れん条件(21)の一部の指標を用いて、ユーロ圏における経済情勢の類似性をみると、経済情勢はユーロ導入時よりも収れんしておらず、むしろばらつきは拡大している(第2-4-26図)。今後についてみると、物価スライド制の賃金体系(22)が依然として残っているところがあり、消費者物価の上昇そのものが賃金上昇を通じて広範な物価上昇につながる懸念や、ソブリン・リスクにより南欧諸国等における長期金利が上昇する懸念を通じて、ユーロ圏における経済情勢のばらつきが更に拡大するおそれが考えられる。
  また、現在のユーロ参加国が経済収れん条件を満たしているかどうかをみると、消費者物価上昇率では、ドイツ、アイルランド、オランダ、ポルトガル、スロバキアを除く11か国が収れん条件を満たしていない。長期金利については、アイルランド、ギリシャ、ポルトガルの3か国が収れん条件を満たしていない。財政収支GDP比については、ルクセンブルク、フィンランドを除く14か国が収れん条件を満たしていない。最後に、債務残高GDP比については、ルクセンブルク、スロベニア、スロバキア、フィンランドを除く12か国が収れん条件を満たしていない。以上から、大部分のユーロ参加国において収れん基準は満されていない状況となっており、ユーロ参加の評価を行った97年の数値と比べると発散状況にある(第2-4-27図)。
  特に、金融政策の観点からみると、長期金利と消費者物価上昇率の収れんが重要であるが、長期金利と消費者物価上昇率は今後も発散傾向に向かう可能性があり、ECBによる単一の金融政策の実施が、ますます難しい経済情勢となる懸念がある。


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