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中国経済のこれまで

<2006年の経済>
   2006年の経済成長率は前年比10.7%と、内需、外需ともに拡大し、4年連続の二桁の高成長となった。社会商品小売総額は所得の増加等から同10%台前半で堅調に推移しているものの、依然として投資と輸出が景気のけん引役となっている。固定資産投資(都市部、名目値)は、06年前半に同30%前後の伸びが続き投資過熱感が高まったため、二度の貸出基準金利の引上げや直接規制等のマクロコントロール政策が強化された。そのため、06年後半以降やや伸びが鈍化したものの、06年通年では同24.5%増と高い伸びとなった。貿易動向をみると、輸出の伸びは同20%台の高い伸びで輸入の伸びを上回って推移し、06年の貿易黒字は約1,774億ドルと過去最高額となった。また、外貨準備高も06年10月末に1兆ドルを超え、12月末では1兆663億ドルとなった。消費者物価上昇率は、原油価格高騰等により燃料価格の引上げや、年末にかけてウェイトの大きい食料品価格のうち穀物類等に上昇がみられたものの、通年では同1.5%となった。(都市部)失業率は03年以降ほぼ横ばいで推移し、06年末は4.1%となった。

中国の主要経済指標

<2007年の経済見通し>
   2007年の経済成長率は、投資や貸出の高い伸びに対する政府のマクロコントロールの強化や輸出の鈍化によりやや鈍化するものの、引き続き堅調な民間投資のほか、輸送等のインフラ投資を政府が引き続き積極的に行っていることなどから、10%程度になると見込まれている(民間機関27社の平均9.7%(07年4月時点))。ただし、1〜3月期の成長率が前年比11.1%となり、また固定資産投資も再び伸びが高まっていることなどから、上振れする可能性もあると考えられる。他方、下方リスクとしては、賃金上昇等のコスト高による企業収益の悪化、貿易摩擦問題の悪化、国際商品価格の上昇による物価上昇等が挙げられる。

<財政金融政策の動向>
   財政政策をみると、2006年度の財政赤字は1,483億元(GDP比0.7%)となった。07年度の財政赤字は2,450億元(同1.2%)と見込まれる。全国人民代表会議(07年3月)においては、歳出に関して、三農問題の解決のほか、社会保障等の民生問題、科学技術等に重点を置くとされた。また同会議において、経済構造の産業高度化や「質」の向上を推進するため企業所得税法が可決され、国内・外資企業の企業所得税率を25%に統一した。ただし、ハイテク、環境等の分野の企業に対しては優遇税率を適用することとした。
   金融政策については、貿易黒字の拡大等による外貨の流入や人民元に対する介入等により過剰流動性が生じており、中国人民銀行は、預金準備率の引上げや売りオペ等による不胎化政策を実施している。また、固定資産投資及び銀行貸出やマネーサプライの伸びを合理的水準に抑制するため、07年3月17日に続き、5月18日にも貸出基準金利を0.27%ポイント引き上げ6.57%(1年物)とした。為替政策については、05年7月に通貨バスケットを参考とした管理変動相場制に移行した後、為替レートの変動を市場に委ね、基本的に安定した状態を維持しながら、変動幅を拡大させるとしている。しかしながら、人民元は米ドルに対し、05年7月の約2%の切上げ後から約5%の増価にとどまっていることなどから、変動幅のさらなる柔軟化の必要性も指摘されてきている。こうした中、5月21日から米ドルに対する人民元の1日の変動幅を中心レートの上下0.5%(従前は0.3%)に拡大する措置がとられた。


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