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第II部のポイント

2007年の世界経済は、06年をやや下回る成長が見込まれる
●世界経済(日本に関係の深い22か国・地域)は回復している。これら22か国・地域の06年の経済成長率は3.9%となった。
●07年は06年をやや下回る3.3%程度の成長が見込まれている。これは、アメリカ経済が減速するとともに、他の地域においても、おおむね成長が緩やかになることによる。なお、07年の見通しについて、「世界経済の潮流 2006年秋」の時点でのものと比較すると、アメリカについては下方修正、アジア及びヨーロッパについては上方修正されている。

1.アメリカ経済は減速し、2007年は06年を下回る成長となる
●アメリカ経済における06年の経済成長率は、前年比3.3%となり、05年とほぼ同程度の成長になったが、07年1〜3月期は住宅投資の減少等により、成長率が前期比年率0.6%(暫定値)に減速した。また、物価は、06年9月以降原油価格が下落したため上昇率は一時低下したが、07年に入ってからは再び上昇している。一方、エネルギー価格等を除いたコア物価は緩やかな上昇が続いている。金融政策では、06年8月以降、連邦公開市場委員会(FOMC)における政策金利の誘導目標水準は据え置かれている。
●07年は、住宅投資の減速が続いていることや、製造業を中心とした企業の在庫調整等から、年前半を中心に緩やかな成長になるとみられ、経済成長率は06年を下回る前年比2.3%程度の成長になると見込まれる。

2.アジア地域は、中国では高い成長が続き、その他の国・地域は緩やかに拡大
●中国では、引き続き景気が拡大し、06年の経済成長率は前年比10.7%となった。固定資本投資は、直接規制や金利引上げ等の「マクロコントロール」が強化され、年後半以降やや伸びが鈍化したが、07年に入り再び伸びが高まっている。07年の経済成長率は9.7%程度になると見込まれているが、足元の固定資産投資、生産等の伸びを考慮すると上振れする可能性も考えられる。
●アジア経済全体では、世界経済の減速を受け輸出が鈍化し景気拡大がやや緩やかになると見込まれ、07年の成長率は北東アジアで7.8%程度、ASEANで5.3%程度と見込まれる。

3.ユーロ圏は、回復が続く
●ユーロ圏では、固定投資や個人消費の加速から06年の経済成長率は前年比2.8%と伸びを高めた。07年のユーロ圏全体の成長率は、2.3%程度とやや減速するものの回復が続くと見込まれる。
●物価は、前年同期比では月々の振れが大きくなっているが、07年に入って2%をやや下回る上昇となり、おおむね安定している。

4.世界経済のリスク要因
●以上の中心シナリオに対しては、(1)住宅市場の調整の長期化とその経済全体への波及、雇用・所得環境の悪化に伴う個人消費の減速等によるアメリカ経済の一層の減速、(2)原油価格の再高騰による物価上昇圧力の増大、(3)双子の赤字の持続可能性に対する懸念から生じる為替レートの急速な調整等金融市場の大きな変動の影響といった下方リスクがある。


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