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8 インドネシア      Republic of Indonesia

インドネシア経済のこれまで

<2004年の経済>
  2004年の経済成長率は5.1%となり、政府が目標としていた4.8%を上回った。消費は低金利が続いたことから、耐久財の消費を中心に前年比4.9%となり成長の牽引役となった。投資は前年比15.7%増加した。国内投資が改善したことに加え、年後半からは大統領選挙が無事終了したことにより、手控えられていた外国からの投資も増加した。輸出(通関ベース)は、原油価格の高騰を受け主要輸出品である原油の輸出額が増加したことから前年比11.5%増加した。輸入も原油価格高騰に伴い石油製品の輸入額が増加したことから、同39.6%増と大幅に拡大した。したがって貿易黒字は同20.1%減少した。
  なお、2004年12月26日に発生したスマトラ島沖大地震及び津波によるインドネシア経済への影響については、被災地経済の全GDPに占める割合が4%程度であることや、同地域の主要産業である原油生産施設や港湾施設に大きな被害がなかったことから、限定的にとどまると見られている。

インドネシアの主要経済指標

<2005年の経済見通し>
  2005年は5%程度になると見込まれる(政府見通し5.5%、民間機関9社の平均5.3%(2005年5月時点))。民間機関の見通しは、半年前(2004年10月時点4.3%)に比べ上方修正されている。
  成長を支える要因としては、2004年に就任したユドヨノ大統領が投資環境の改善に向け積極的な努力を続けていることに加え、スマトラ島沖大地震の復興需要から、外国からの投資が前年より増加することが見込まれる。
  下方リスクとしては、燃料費が2005年3月に引き上げられたことから、インフレの加速が懸念されており、経済を支えている消費が減速する恐れがある。

<財政政策の動向>
  2004年度のアメリカ連邦政府の財政収支赤字は過去最大の4,123億ドル(GDP比3.6%)となったが、景気拡大の持続による税収増により、2004年2月時点の見通し(5,210億ドル)は下回った。
  2005年度は、行政管理予算局(OMB)によれば、4,266億ドルの赤字と過去最大を更新する見込みである。ただし、2005年2月に行われた予算教書演説では、2006年度予算においては、国防、国土安全保障を除く裁量的支出を前年比1%程度削減することなどにより、財政収支赤字は縮小し、3,310億ドルとなる見込みである。なお、同演説においては、2009年度までの今後5年間で財政収支赤字を半減(上述2004年2月時点見込みとの比較)させる方針を示している。

<財政金融政策の動向>
  2004年12月26日に発生したスマトラ島沖大地震により、インドネシアでは震源に近いアチェ州を中心に甚大な被害が発生した。この地震による損害額はインドネシア政府の試算によると約45億ドル(GDP比約2.3%)に上る。復興にあたっては被害に対する国際的な支援が行われている。2005年1月12日に開かれたパリクラブ(主要債権国会議)において、インドネシアに対して、30億ドルの債務の支払い猶予が決定され、また、1月20日のインドネシア支援国会議では、支援国や国際機関が復興援助17億ドルを含む51億ドルを拠出することが決定された。
  国内財政は原油価格の高騰により、燃料補助金の財政への負担が増加したことから、3月に燃料補助金を抑えるため、燃料価格を平均29%引き上げた。インドネシアは原油産出国であるが、原油精製能力が低いため燃料を輸入に依存している。そのため原油価格の変動による影響を抑えるため、政府の補助金制度が存在する。燃料費の値上げは物価上昇につながるため反発も強いが、ユドヨノ政権は燃料補助金の削減方針を堅持することを表明している。
  金融政策については、物価の安定を背景に低金利政策が続いている。中銀証券(SBI)金利(3か月物)は2004年2月に7.70%まで低下して以降、7%台で推移している。通貨ルピアは減価基調で推移しており2005年5月末時点で、1米ドル=9,518ルピアとなっている。


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