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第II部 世界経済の展望

第2章 世界経済のトピック

第1節 調整局面が続くIT市況とアメリカの需要動向

●世界のIT市況は2004年後半以降調整局面に
 世界のIT市況は2004年後半から調整局面にある。これは、(a)他業種に先駆け回復が始まったため、調整局面入りが早かった、(b)アメリカを中心にIT投資が弱含むとの見通しから、企業が在庫積み上げに慎重になったことなどによると考えられる。世界のIT市況の先行指標とされる、北米のBBレシオ(出荷受注比率)をみても、2004年9月以降、好不況の分岐点とされる1を下回って推移している(第2-1-1図)

●IT関連の調整の度合いは軽微
 上述のとおり、IT市況は現在も調整局面にあるものとみられるが、その調整の度合い及び影響は軽微なものにとどまっている。ITバブル崩壊後の2001年と比較すると、BBレシオの低下は限定的であり(前掲第2-1-1図)、また、アメリカの在庫循環図をみても、調整が今後深刻さを増す状況にはない(第2-1-2図)。この要因としては、業況拡大時においてもIT関連企業の在庫積み上げに対する慎重姿勢のほか、IT関連需要が依然として堅調であることが挙げられる。

●IT関連需要は堅調に推移する見込み
(1)投資需要
 アメリカのIT投資は、一時に比べ伸びを低下させたものの、依然としてプラスを維持しており、また、他の投資項目と比較しても高い伸びを続けている。これは、(a)価格競争圧力が依然強く、企業は引き続きコスト縮減圧力にさらされていることから、効率改善につながるIT投資を行う誘引が働いていることや、(b)IT関連製品の価格低下に伴い、これまでIT投資をそれほど行ってこなかった業種もIT化を進めつつあることなどが要因となっていると考えられる。後者については、医療等が中心になると見込まれており(1)、政府による処方箋の電子化に向けた取組等もあって、今後のIT投資を一定程度下支えすると見込まれる。
(2)消費需要
  IT関連製品の低価格化を受けて、家計のIT関連支出は増加することが見込まれている(2)。なお、いわゆるデジタル家電(薄型テレビ、DVD、デジタルカメラ)の一つである薄型テレビの需要動向については、コラムで扱う。

●今後の見通し
 このようなIT関連需要の底堅い推移を背景に、年後半にも調整局面が終わることが見込まれている。ただし、その増加ペースは緩やかなものにとどまるとみられている。世界の半導体売上の見通しも、2005年全体では緩やかな伸びにとどまるとみられている(第2-1-3図)。こうしたことから、設備投資や消費の伸びが予想外に低下する場合、予期せぬ在庫の積み上がり等により、調整が長期化する可能性もある。

コラム アメリカにおける薄型テレビの需要動向

 薄型テレビ(液晶テレビ及びプラズマテレビ等)に関しては、我が国企業の競争力が相対的に強いことなどもあり、同製品の大きな市場の一つであるアメリカでの需要動向に注目が集まっている(コラム図1)
 アメリカでは、住宅事情の違いもあり、リアプロジェクションテレビが同サイズの薄型テレビに比べ安価であることも手伝って先行的に広く普及し、薄型テレビの普及率は2004年現在で我が国に比べ低いものとなっている。
 ただし、技術革新に伴う価格低下もあって、同製品への関心も高く、普及が急速に進んでおり、中国市場と並び今後の成長が期待されている(コラム図2)
 なお、北米における薄型テレビの種類別需要と日本メーカーによる地域別生産台数をみると、高度な技術を必要とする液晶テレビ、プラズマテレビを日本で生産し、国内需要及び輸出に振り向けるとともに、技術的に成熟しているとされるリアプロジェクションテレビを中南米やアジアで生産し、北米に輸出しているという構造が伺われる(コラム図3)。  

 


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