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11  フィリピン    Republic of the Philippines

フィリピン経済のこれまで

<2003年の経済>
 2003年の経済成長率は、4.5%となった。イラク戦争やSARSの影響等から2003年前半にやや減速したものの、物価の安定や海外出稼ぎ労働者からの送金額が増加したことなどから消費が拡大したことにより、個人消費が前年比5.1%増加し、成長を支えた。生産面については、携帯電話の普及が進んだことなどから運輸・通信・倉庫業が同8.6%と増加し、サービス部門が前年に引き続き同5.9%増と高い伸びを示した。農林水産部門については、2003年前半にエルニーニョによる干ばつの影響を受けたものの、後半大きく回復したことから同3.9%の増加となった。一方、工業部門については、財政赤字削減政策から政府支出が減少し、公共事業が抑制されたことにより建設業が伸び悩んだことなどから同3.0%増にとどまった。

<2004年の経済見通し>
 2004年の経済成長率は、4〜5%程度となる見込みである(政府見通し4.9〜5.8%、民間機関5社の平均4.4%(2004年4月時点))。民間機関の見通しは、半年前(2003年10月時点4.2%)に比べ、上方修正されている。
 成長を支える要因としては、個人消費を中心とした内需の堅調さ、エルニーニョ終息による農業生産の増加、アメリカを始めとする主要国の景気回復や中国、香港向けを中心に輸出の回復が見込まれる。
 下方リスクとしては、2004年5月に実施予定の総選挙による政治・社会不安が外国からの投資受け入れに悪影響を及ぼすこと、通貨の下落を招きインフレを悪化させることなどが懸念される。

フィリピンの主要経済指標

<財政金融政策の動向>
 財政は97年まで黒字を維持していたが、アジア通貨危機後税収が減少し、98年以降赤字が続いている。政府は支出の抑制を図る一方で徴税制度を整備し、税収回収強化に努めるなど財政赤字削減に取り組んできたが、2002年は財政赤字額が2,107億ペソ(GDP比5.2%)と、当初見込み額の1,300億ペソ(GDP比3.3%)を大幅に上回る結果となった。しかし、政府はその後も税収管理強化のため組織改革を実施するなど財政改革を続け、その結果2003年の財政赤字額は1,999億ペソ(GDP比4.6%)と、政府の目標額である2,020億ペソ(GDP比4.7%)を下回り、大幅に改善した。目標達成は97年以来とされる。これは、歳出が前年度比6.2%増に対し、徴税能力強化策による税収増等から歳入が同10.5%増と増加したためである。政府は2004年の財政赤字目標額を1,978億ペソ(GDP比4.2%)とし、2009年までに財政収支の均衡を図る中期的な計画を進めている。
 金融政策については、政策金利である翌日物借入金利及び貸出金利は、2002年3月以降それぞれ7.0%、9.25%であったが、2003年7月にともに0.25%引き下げられ6.75%、9.00%となり、92年以来11年ぶりの低水準のまま据え置かれている。
 為替レートは減価している。イラク戦争後一時増価したペソは、6月以降再び減価に転じ、その後政情不安等もあって減価が続いており、史上最安値を更新している(4月中旬現在、1ドル=56.35ペソ)。


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