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11  フィリピン    Republic of the Philippines

フィリピン経済のこれまで

<2001年の経済>
 2001年の経済成長率は3.4%となり、前年の4.0%を下回った。輸出の半分を電子機器及び同部品が占めており、世界的なIT関連需要減少や主要輸出先であるアメリカの景気後退により2001年半ばから大きく減少した。しかし、雇用の約4割を占める農業が好調だったことや、金利低下、物価安定などにより、民間消費が好調な伸びを示し、景気は他のアジア経済に比べて堅調さを維持した。

<2002年の経済見通し>
 景気は3〜4%程度の成長になると見込まれる(政府見通し4〜4.5%、民間機関7社の平均3.4%(2002年4月時点)。民間機関の見通しは、半年前(2001年10月時点2.5%)から上方修正されている。

フィリピンの主要経済指標

 成長を支える要因としては、アメリカの景気回復やIT需要回復による製造業部門の回復、物価の安定と低金利による堅調な内需、政治安定による海外投資家の信認回復などが挙げられる。
 下方リスクとしては、失業率の高止まりによる消費への影響、またアメリカ経済がダブルディップに陥った場合には輸出の回復が弱いものにとどまる可能性が考えられる。

<財政金融政策の動向>
 財政は97年まで黒字を維持していたが、アジア通貨危機後税収が減少し、98年以降赤字が続いている。政府は2006年に財政収支をバランスさせるとして、支出の削減を図る一方で徴税制度を整備し税収確保に努めるなど赤字削減に取り組んでいる。2001年は前年よりも赤字幅がやや拡大したものの、ほぼ政府目標通りの1,470億ペソ(GDP比4.0%)となった。これは支出は政府目標をやや超過したものの、税収が政府目標を上回ったことによる。
 金融政策については、2000年末から国内経済に配慮して金融緩和に転じており、アメリカの利下げと歩調を合わせた利下げを行ってきた。7月には通貨ペソ防衛のために一時引締め政策に転じたが、その後アメリカの同時多発テロ後に再び緩和政策に復帰した。2000年12月から2002年3月までの間に政策金利である翌日物借入金利及び貸出金利を合計8%ポイント引き下げた結果、それぞれ7.0%、9.25%と10年ぶりの低水準となっている。また、中央銀行は2002年1月から正式にインフレ・ターゲット政策を採用し、2002年のインフレ目標は5〜6%と設定された。消費者物価指数上昇率は2001年後半から低下しているが(2002年3月3.6%)、中央銀行は4月、原油価格上昇やエルニーニョ現象による食料品価格上昇等が物価上昇圧力となる可能性があるとして、政策金利を据え置いている。


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