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10  マレイシア    Malaysia

マレイシア経済のこれまで

<2001年の経済>
 2001年の経済成長率は0.4%となり、前年の8.3%と比較すると大幅に減速した。電子・電気製品を中心に輸出への依存度が高い産業構造となっているため、世界的なIT需要減少や、その主要輸出相手国であるアメリカの景気後退により輸出が大きく減少した。そのためGDPの約3割を占める製造業部門が低迷し、固定資本形成が減少した。四半期ベースでは7〜9月期から2期連続でマイナス成長となった。しかし、政府の財政支出の追加や、個人消費拡大策に支えられて比較的堅調な伸びとなった民間消費が下支えとなり、通年ではわずかながらプラス成長を維持した。

マレイシアの主要経済指標

<2002年の経済見通し>
 景気は回復し、3〜4%程度の成長になると見込まれる(予算発表時の政府見通し5%(その後マハティール首相による政府予測値3%)。3月発表の中央銀行の見通しでは3.5%)、民間機関7社の平均3.5%(2002年4月時点)。民間機関の見通しは、半年前(2001年10月時点2.2%)に比べて上方修正されている。
 成長を支える要因としては、今年度予算に盛り込まれた減税等消費刺激策により個人消費が引き続き堅調に推移するほか、アメリカの景気回復やIT需要の回復により、主力輸出品目である電子・電気製造部門が回復に向かうことが期待される。
 下方リスクとしては、アメリカ経済がダブルディップに陥る場合や世界経済の回復が弱いものにとどまる場合、輸出及び製造業部門の生産の伸びが小幅にとどまることが予想される。

<財政金融政策の動向>
 財政は98年から連続して赤字となっており、赤字幅は毎年拡大していたが、2001年(速報値)は前年よりも縮小しGDP比5.5%となった。政府は2001年3月と9月に景気刺激のための財政政策を打ち出しており、また、2002年度予算においても引き続き内需拡大を目指した財政支出拡大を打ち出しているため、財政収支は5年連続の赤字となる見込みである(186億リンギ、GDP比5.0%)。今年度予算で盛り込まれた主な政策は、個人所得税率の引下げ、最高税率適用課税所得の引上げ、道路、鉄道など開発支出の増加など景気刺激のための措置がとられている。政府債務残高については年々上昇し、2001年末には1,458億リンギ(GDP比43.8%)となっている。
 金融政策については、2001年9月、アメリカで起こった同時多発テロが国内経済に与える影響を考慮した利下げが行われ、政策金利(3か月物市場介入金利)は0.5%ポイント引き下げられて5.0%となった。政策金利の引下げは2年ぶりとなった。通貨リンギは98年9月以降1米ドル=3.8リンギに固定されている。2001年央にかけて市場でリンギ切り下げ観測が強まったために一時外貨準備高が減少したが、その後再び増加に転じている。


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