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15  ドイツ    Federal Republic of Germany

ドイツ経済のこれまで

<2001年の経済>
 2001年の実質経済成長率は0.6%となり、93年以来の低い成長となった。世界的な景気減速の影響を受けて輸出の伸びが大幅に鈍化し、国内投資は設備投資、建設投資ともに大幅な減少となった。9月の同時多発テロの影響もあり、10〜12月期のGDPは前期比年率1.0%減でマイナスとなった。生産は低迷しており、失業率は年後半から上昇した。物価は石油等エネルギー価格の落着きもあり、安定した動きとなった。

ドイツの主要経済指標

<2002年の経済見通し>
 景気は2001年10〜12月期を底に、2002年前半にはアメリカの景気回復を受けて輸出産業を中心に緩やかな生産回復へと向かい、後半には回復ペースが強まるとみられている。本格的な景気回復は2003年以降と予測されている。2002年の成長率は、ドイツ政府見通しでは前年比0.75%、民間機関23社の平均では0.8%(2002年4月時点)となっている。民間機関の見通しは半年前(2001年10月時点1.4%)に比べて大きく下方修正されている。
 下方リスクとしては、これまで抑制傾向にあった賃金が予想以上に高まる場合、安定している物価が上昇する可能性、及び、企業収益を圧迫する可能性があり、労働者の解雇により失業率が上昇すれば消費へマイナスの影響を及ぼすこととなる。

<財政政策の動向>
 ドイツ統一以来財政赤字が続いている。97年以降は一般政府財政赤字の対GDP比率を3%以内に抑え込んでいるが、2001年には景気後退と減税による税収減等から、前年の1.3%より2.7%へと高まった。こうした財政収支の悪化に対し、欧州委員会から協定(注)に基づく警告の発動が検討された(2002年2月)が、ドイツ政府が2004年までに収支を均衡させるとの改善努力の姿勢を示したため(翌3月には連邦・州の合意を公表)、発動は見送られた。政府債務残高は、対GDP比でおおむね60%を維持している。
 2001年からの税制改革では、所得税率の段階的引下げ(2000年最高税率51%→2005年42%)、法人税率の一本化・引下げ(30〜40%→25%)を行うとともに、他方では課税ベースの拡大(法人関連)による税収の増加も見込んでいる。


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