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創刊にあたって

●報告書の性格
 内閣府は、的確な景気判断と政策分析を行って、経済財政運営に資することを主要な業務の一つとしています。その一環として、「世界経済の潮流」をこの度創刊することとしました。
 内閣府に移行した経済企画庁では、海外経済に関する報告書として「世界経済白書(年次世界経済報告)」、「アジア経済」を作成していました。それぞれは年1回の公表でしたが、この新しい報告書は海外経済の動向をタイムリーに分析するため、年2回、春と秋に公表する予定です。さらに、「海外経済報告(四半期報)」で行っていた景気判断をも取り込み、先行きを織り込みながら経済動向の分析を充実するものです。
 創刊のねらいは、日本経済に政策的な意味付けを引き出すようなテーマを取り上げ、前向きの視点から平易な叙述を心がけ、政策論議に貢献するところにあります。また、世界経済を展望し、足元までの景気動向の分析にとどまらず、経済見通しや財政金融政策の動向なども含めて、各国/地域を総合的に把握していきたいと考えています。

●報告書のポイント
 今回の報告書は2部から構成されます。第I部では、日本経済が直面する課題への教訓として、主要国における税制改革とワークシェアリングの経験を取り上げました。第1章では、アメリカ、イギリス、スウェーデンの税制改革が経済の活力を高めた要因を明らかにしました。課税ベースの拡大と同時に税率引下げを実施したことによって、意欲を引き出したことが活力増進に大きな効果をもたらしたと考えられます。
 第2章では、オランダ、ドイツ、フランスのワークシェアリングの成果を検討しました。オランダが成功例として有名ですが、パートタイム労働の広がりによって就業形態が多様化し、雇用の拡大が経済成長に結びついた点に特徴があります。しかし、生産性の伸びは低く、労働コストが高まった点には注意が必要です。
 第II部では、世界経済の展望を行い、景気回復への道筋を明らかにしました。2002年に入って世界経済はIT分野を中心に景気回復の動きが進んでおり、アメリカの景気回復が世界経済を主導し、年後半には海外主要国がそろって回復するというシナリオが中心的な位置付けになっています。
 本報告が、経済政策形成に関する実り多い議論のための素材を提供することができれば幸いです。

平成14年5月

内閣府政策統括官
(経済財政−景気判断・政策分析担当)
岩田 一政

 
 



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