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第4節 今後の政策運営に係る論点

 各国は、世界金融危機発生後の深刻な景気後退に対し、過去に例を見ない金融緩和と大規模な財政出動により対処してきた。その結果、世界の景気は、新興国と先進国の間でのスピードの隔たりは大きいものの、財政政策の効果が切れ始める2010年末頃までは、回復が続いていた。しかしながら、11年に入り、欧米経済はその回復や持ち直しのテンポが弱まっている。

 一方、大規模財政出動や異例の金融緩和は、副次的にリスク要因を生むことになった。すなわち、財政面では、各国の債務残高が急速に拡大した結果、10年のギリシャ財政危機をきかっけに南欧諸国等の政府債務問題がマーケットを大きく動揺させることとなり、財政再建が喫緊の課題として一層意識されるようになっている。金融政策については、物価上昇等が各国の消費を抑制し景気回復を弱めている中で、先進国・新興国ともに経済成長と物価のバランスが課題となっており、各国ともに難しい金融政策運営を迫られている。

 このような中では、1)政策のタイミングや方法を明確化するなどし、市場参加者の期待の安定化を図ること、2)実現可能性が高く、中長期の展望が見えるような枠組み・プランをもつことの2点が大きくポイントとなってくると考えられる。以下、特に欧米における今後の財政政策・金融政策に係る論点を整理する。

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