[目次]  [戻る]  [次へ]

1.世界的な物価上昇とスタグフレーション懸念

(1)世界的な物価上昇

 07~08年にかけて世界的に伸びが高まった物価上昇率は、08年9月の世界金融危機発生前後の急上昇と急落の後、10年中は落ち着いていた。しかし、11年に入ると、新興国の経済成長による世界的な実需の増加や、コモディティの金融商品化といった商品市場の構造変化を背景として、原油や穀物等の一次産品価格が高騰2したこともあり、物価上昇率は再び世界的に高まっている状況にある(第1-3-1図)。

第1-3-1図 消費者物価上昇率の推移:世界的に上昇傾向
第1-3-1図 消費者物価上昇率の推移:世界的に上昇傾向

(2)先進国におけるスタグフレーション懸念

 各国の物価上昇率と失業率の関係をみると、欧米では、世界金融危機発生後、物価上昇率が低下する一方で失業率が大幅に上昇し、その後は、失業率が高止まる中で物価上昇率が高まっている。このように、スタグフレーションともいえる状況にある。一方、中国や韓国では、失業率が大きく変わらない中で物価上昇率だけが高まっている。逆に、ブラジルでは、かつての急激な物価上昇や高い失業率が収まってきている(第1-3-2図)。

第1-3-2図 各国の失業率と物価上昇率:欧米で上方シフト
第1-3-2図 各国の失業率と物価上昇率:欧米で上方シフト

2 詳細は、内閣府(2011)を参照。
[目次]  [戻る]  [次へ]