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5 台 湾     Taiwan

<2005年>

台湾経済のこれまで

<2006年の経済>
 2006年の経済成長率は、4%台前半となる見通しである(台湾当局見通し4.3%、民間機関28社の平均4.2%(06年10月現在))。民間機関の見通しは、半年前(06年4月時点3.9%)に比べ若干上方修正されている。06年前半は、外需を中心として景気は拡大した。経済成長率は1〜3月期は前年同期比4.9%、4〜6月期は同4.6%となり、05年の4.0%をやや上回る水準で推移した。内需をみると、民間消費が、原油高の影響のほか、個人向けクレジットカード債務の急増により金融機関の貸出規制が厳格化されたため伸び悩み、また、民間投資は減少を続けている。外需は、IT関連財に対する世界的な需要が引き続き堅調であったことから、輸出が景気を下支えしている。ただし、年後半は世界経済の減速の影響を受け、輸出の伸びが緩やかとなることなどから、4%前後の成長と見込まれる。
 雇用状況をみると、失業率は4%前後でおおむね横ばいで推移している。また、消費者物価上昇率は、総合については、原油価格や食料品価格の落ち着きを受け、8〜9月と下落に転じた。コア消費者物価上昇率は、前年比0.5%前後で安定的に推移している。

台湾の主要経済指標

<2007年の経済見通し>
 2007年の経済成長率は、4%程度と見込まれる(台湾当局見通し4.1%、民間機関28社の平均3.8%(06年10月時点))。
 景気を支える要因としては、05年後半に顕在化したクレジットカード債務の急増問題とそれに伴う金融機関の貸出規制の厳格化が一段落することや、原油価格の落ち着きなどを受け物価の安定が見込まれることから、民間消費が回復すると期待される。他方、07年は、世界経済の減速を受けて輸出の伸びが緩やかとなることが見込まれる。

<財政金融政策の動向>
 財政については、税収の大幅な伸びが期待できない中で景気対策に伴う減税措置を実施していることから、2005年度の財政収支は2,747億元(GDP比2.5%)の赤字となった。06年度予算は、歳出が前年比0.5%減の1兆5,996億元、歳入は同5.3%増の1兆4,038億元、財政赤字額は同28.7%減の1,957億元(GDP比1.7%)とされており、99年度以降財政赤字が続いている。一方、中長期的にみると、政府は財政の健全化に向けて、歳入の状況を見極めつつ歳出規模を極力抑制し、5〜10年以内に財政収支バランスを改善していくことを目指している。それに伴い、05年から税制改革に着手しており、その第一段階として各種減税による控除額を課税対象に加える「最低納税制度」を06年1月から施行している。
 金融政策については、物価の安定や低水準にある金利を中立的な水準に引き上げることなどを目的として、政策金利(中央銀行再割引率)を3月、6月、9月にそれぞれ0.125%ポイントずつ引き上げ、9月には2.625%とした。この結果、利上げは04年9月以来9度目となる。その間の利上げ幅は合計1.25%ポイントとなり、01年9月以来の高水準となっている。


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