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3 中 国      People's Republic of China

<2004年>

中国経済のこれまで

<2005年の経済>
 2005年前半の経済成長率は9%台の成長となり、景気は拡大が続いている。05年通年でも9%台の見込み(政府目標8%前後(全人代、05年3月)、民間機関29社の平均9.2%(05年10月時点))である。民間機関の見通しは半年前(05年5月時点8.6%)に比べ上方修正されている。社会商品小売総額は所得の増加等から前年比10%台前半で伸びているものの、依然として投資が経済成長をけん引している(04年投資率44.2%)。04年初頭、鉄鋼等の一部業種においてみられた投資過熱に対しては、直接規制や金利引上げ等のマクロコントロールが実施され、固定資産投資(名目)の伸びは抑制されてきた。しかし、05年に入ってからはエネルギー及びインフラ分野における投資の伸びが高まっており、1〜9月期は同27.7%増となった。貿易動向をみると、貿易黒字幅が拡大している。輸出が堅調に推移する中、輸入が大幅に鈍化したためで、これは上述のマクロコントロールや供給過剰の影響等が寄与しているとの見方が多い。消費者物価上昇率は、04年半ばにかけて食料品価格が天候不順等により高騰し5%台の高い伸びとなっていたが、04年末以降は食料品価格の落ち着きにより低下し、05年1〜9月期は前年同期比2.0%となった。都市部失業率は4〜6月期4.2%と高水準であるがほぼ横ばいで推移している。

中国の主要経済指標

<2006年の経済見通し>
 06年の経済成長率は、8%台になる見込みである(民間機関29社の平均8.1%(05年10月時点))。成長を支える要因としては、今後の成長に不可欠な輸送、エネルギー関連等のインフラ投資を政府が引き続き積極的に行っていることと世界経済の回復に伴う輸出増等が挙げられる。個人消費も所得の伸びに支えられ堅調に推移するとみられる。下方リスクとしては、インフラ及びエネルギー不足による成長制約や賃金上昇等のコスト高による企業収益の悪化等の国内要因のほか、貿易摩擦の悪化や原油価格高騰による物価上昇等の対外的要因が挙げられる。
 05年10月8〜11日に開催された中国共産党中央委員会第5回全体会議(五中全会)では、「第11次5か年計画(06〜10年)」への建議が採択された。従来の成長重視・投資主導型の方針を改め、全面的な小康社会(少しゆとりのある社会)建設の実現という最終目標に向け、あらゆる格差の是正や環境保護、省エネ、社会保障制度の整備等に重点を置き、持続可能な成長を目指す方針が示された。また、10年の一人当たりGDPの倍増(2000年比)、GDP1単位当たりのエネルギー消費量を5年間で20%削減等の目標が掲げられた。

<財政金融政策の動向>
 04年の財政赤字は2,090億元(GDP比1.5%)となった(当初予算3,198億元(同2.5%))。05年については、全国人民代表会議(3月)において、穏健な財政政策として財政赤字は3,000億元(同2%)とされている。金融政策については、投資加熱を抑制するため04年から数次にわたり引締め政策により利上げが実施された。一方、マネーサプライ(M2)の伸びは、05年初は政府目標である前年比15%以内で推移していたが、このところ増勢が強まっており9月は同18%増となっている。為替制度について、中国人民銀行は7月21日、人民元を米ドルに対し約2%切り上げ、「通貨バスケットを参考とした管理変動相場制」に移行し、米ドルに対する人民元の1日の変動幅は引き続き上下0.3%、円やユーロ等、米ドル以外の通貨とは上下1.5%とした。さらに9月23日には、米ドル以外の通貨に対する人民元の1日の変動幅を上下3%まで拡大した。


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