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12 インド     India
<2003年度>

インド経済のこれまで

<2003、2004年度の経済>
 2003年度の経済は、2002年度の経済不振をもたらした天候要因が解消し、8.1%と高い成長率を記録した。農業生産の回復に伴って、農村での需要も拡大し、回復しつつあった製造業の工業生産を押し上げた。また、農業生産の回復は、運輸・商業、金融・保険、ソフトウェア等のサービス等他の内需にも波及した。
 2004年度の経済成長率は、6〜7%程度となる見込みである(民間機関6社の平均6.7%(2004年10月時点))。民間機関の見通しは、半年前(2004年4月時点6.7%)に比べて横ばいとなっている。2004年度は、引き続きソフトウェア産業等サービス部門が好調であること、輸出の増加に伴う製造業部門の生産の増加等から景気は堅調に推移すると見込まれる。ただし、8月には降雨量が若干持ち直したものの、これまでのところ全般的に降雨量が少ないため、好調だった農業生産が鈍化する懸念もある。このため、安定成長は見込めるものの、2003年度ほどの高成長には至らないとの見方が多い。

インドの主要経済指標

<2005年度の経済見通し>
 2005年度の経済は、6〜7%の成長が見込まれる(民間機関6社の平均見通し6.7%(2004年10月時点))。
 下方リスクとしては、規制緩和等構造改革の遅れによる外国からの投資の停滞等が挙げられる。また、インドではGDPに占める農業の比重が約4分の1と大きいため、依然として天候要因に経済状況が左右される可能性は否定できない。

<財政金融政策の動向>
 財政政策をみると、2005年度予算(原案)が、2004年8月に採択された。内訳をみると、歳入(税収)が今年度実績見込み比24.7%増(当初予算比27.0%増)、歳出が同0.8%増(当初予算比8.9%増)となった。財政赤字のGDP比(目標値)は、4.4%(2003年度は目標値5.6%、実績見込み値4.8%)に設定されるなど、財政赤字削減が進んでいる。予算の重点項目としては、雇用創出、貧困撲滅、教育・医療政策、農村開発、インフラ整備等となっており、特徴として、貧困者層や、農業関連に手厚いものとなっている。
 金融政策は、2003年度にとられた低金利政策を継続し、産業活性化に主眼を置くものとみられる。ただし、原油価格高騰に伴う原材料価格の上昇等によりインフレ圧力が強まることも予想されるため、インフレ動向に留意した金利政策が必要となる。


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