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2 カナダ     Canada
<2003年>

カナダ経済のこれまで

<2004年の経済>
 2004年の経済成長率は、2%台後半となる見込みである(政府見通し2.7%、民間機関25社の平均2.9%(2004年10月時点))。民間機関の見通しは、半年前(2004年4月時点3.2%)に比べて下方修正されている。2004年前半のカナダ経済は、1〜3月期は金融緩和に伴う個人消費の伸び等により前期比年率3.0%となった。4〜6月期には個人消費は停滞したが、自動車等の輸出が好調で、年率4.3%と2年ぶりの高さに回復している。GDPの約4割を占める輸出は、2003年10〜12月期に1年ぶりにプラスの寄与度となった後、3四半期連続で輸出額が増加している。特に4〜6月期は輸出の伸び率が7年ぶりの高水準となっている。
 このような輸出増の背景には為替レートの動向が挙げられる。カナダ・ドルは2003年に対米ドルで増価したため輸出の減少につながったが、その後対米ドルで減価した。現在のカナダ・ドルの水準は均衡為替レートに近いとの見方もあり、2004年後半も好調な輸出を中心にカナダ経済は堅調に推移するものと見込まれる。

カナダの主要経済指標

<2005年の経済見通し>
 2005年は3%程度の比較的堅調な成長が見込まれる(IMF見通し3.1%(2004年9月)、民間機関25社の平均3.4%(2004年10月時点))。
 成長を支える要因としては、所得増による個人消費の好調等といった国内需要の堅調な増加や、輸出の伸びが挙げられる。
 下方リスクとして、カナダ・ドル高の影響による輸出の減少や、インフレ圧力の強まり、原油高の影響等が挙げられる。

<財政金融政策の動向>
 カナダ政府は94年度から本格的な財政再建に取り組んでおり、97年度以降財政収支は7年連続で黒字となっている。また累積赤字削減に向けた取組も行われている。95年度に68.4%とピークだった累積赤字のGDP比率は、2003年度には41.1%に減少し、2005年度には38%となる見込みである。2004年度予算案では、少子高齢化社会に対応するため、今後10年以内で累積赤字をGDP比25%にするという新たな目標を掲げている。
 カナダ中央銀行は、2004年に入って国内需要刺激をねらい、4月までに3回の利下げを行ってきた。4月以降は景気や物価動向を見守る姿勢を示し、オーバーナイト政策金利を約40年ぶりの低水準の2%に据え置いた。しかし9月、10月の金融政策会合でそれぞれ0.25%ポイント引き上げ、2.5%とすることを決定した。
 この背景として、2004年4〜6月期のGDP成長率が高水準であったことや原油高等の影響により、インフレ圧力が高まったことが挙げられる。カナダ中央銀行は声明の中で「国内経済は潜在成長率に近い水準で推移しており、インフレ圧力の増大を避けるため、金融面の刺激を抑制する必要がある」と、利上げ決定の背景を説明した。
 今後の政策運営においては、需給ギャップの動向や、原油価格が及ぼす影響等を注視していくとしている。


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