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9  タイ    The Kingdom of Thailand

タイ経済のこれまで

<2002年の経済>
 2002年の成長率は、4%程度になるものと見込まれる。2002年は前年の減速から回復し、内需を中心とした拡大局面に入った。1〜3月期の実質GDP成長率(前年同期比)は3.9%、4〜6月期は5.1%となった。前年に引き続き、低金利を背景に個人消費が拡大し、景気対策により政府支出も拡大した。また、住宅需要の増加から民間建設投資も堅調に伸びた。民間設備投資も増加している。製造業部門も輸出向け、国内向け共に回復している。2001年の世界経済減速により減少した輸出も4月以降増加に転じ、電子・電気関連製品を中心に伸びている。
 主要輸出先であるアメリカ経済の減速により、輸出の伸びは今後緩やかになる可能性がある。また、原油価格上昇により落ち着いていた消費者物価がわずかながら上昇し始めている。さらに9月に起こった洪水により農産物に大きな被害が出たことから、年後半の経済はやや鈍化する可能性がある。
 政府は2002年の成長率見通しを3月、6月に引き続き9月にも上方修正し4.0〜4.5%とした。民間機関6社の平均は4.2%となっている(2002年10月時点)。民間機関の見通しは、半年前(2002年4月時点2.8%)に比べて上方修正されている。

タイの主要経済指標

<2003年の経済見通し>
 3〜4%程度の成長になると見込まれる(民間機関6社の平均4.4%(2002年10月時点)。
 成長を支える要因としては、低金利を背景として個人消費が引き続き堅調に推移するなど、内需を中心とした景気拡大が見込まれること等が挙げられる。
 下方リスクとしては、主要な輸出先であるアメリカ経済の先行き不透明や中国のWTO加盟による競争激化から、輸出の増加が継続するかどうか懸念されること、また原油価格の上昇により内需の伸びが鈍化すること等が挙げられる。

<財政金融政策の動向>
 2002年度の財政については、景気拡大により税収が予想以上に増加したことから財政赤字は当初予算の2,000億バーツ(GDP比3.8%)よりも縮小し1,475億バーツ(同2.8%)となったもようである。
 10月から新会計年度に入り、2003年度(2002年10月〜2003年度9月)予算を実施している。歳出総額は対前年度予算比2.3%減の9,999億バーツ、財政赤字は同12.5%減少の1,749億バーツ(GDP比3.1%)と、緊縮型の予算となった。2002年度に580億バーツ計上された景気対策費は計上されず、経常経費を2.6%、投資経費を5.5%それぞれ削減する一方で、債務元本返済費が前年比36.2%増加された。政府債務は通貨危機以降急激に増加し、政府債務に国営企業や金融復興開発基金の債務も加えた公的債務は2002年6月末でGDP比54.1%となっており、債務縮小が課題となっている。
 金融政策については、政策金利である14日物レポ金利を2002年1月に引き下げて以来、2.0%のまま据え置いている。為替レートは2002年初から増価し、7月には一時1ドル=40バーツ近くになったが、その後再び急激に減価して11月1日時点で1ドル=43.28バーツとなっている。


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