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12  インド    India

インド経済のこれまで

<2002年度の経済>
 2002年度の経済成長率は、5%程度となる見込みである(政府見通し5.5%、民間機関4社の平均4.8%(2002年10月時点))。民間機関の見通しは半年前(2002年4月時点5.8%)に比べて下方修正されている。2002年度の動向をみると、年前半はサービス関連産業が好調に推移していることから、内需は堅調な動きとなっている。しかし年央の天候不順(干ばつ)から年後半の農業生産に懸念がもたれている。

インドの主要経済指標

<2003年度の経済見通し>
 2003年度の経済は、ソフトウエア産業等サービス部門の引き続く好調と製造業部門の生産増加により5〜6%の成長が見込まれる(民間機関4社の平均見通し5.6%(2002年10月時点))。
 下方リスクとしては、2002年度の農業生産が不振となると、人口の7割を占める農村部の需要が振るわず、2003年度の経済成長率に悪影響が及ぶものとみられる。また、欧米諸国の景気回復の遅れによる輸出の伸び悩みや海外からの投資の停滞などが懸念される。

<財政金融政策の動向>
 財政政策をみると、2002年度の当初予算は財政再建を目標に支出削減と増税を主とする緊縮型となっていた。6月に行われた内閣改造で就任したシン財務相は、「庶民のふところを豊かにしたい」、「投資家の信頼を回復したい」とする公約に基づき当初の緊縮型をやや緩める姿勢に転じ、金利、配当に対する非課税限度額の引上げなどの小口投資家を対象とした税優遇措置をとる方針を明らかにした。7月にはバジパイ首相は8項目の重要経済政策を公表したが、主なものは経済改革の加速、雇用の拡大、金融市場の改革、道路・鉄道の整備等となっている。さらに同首相は8月には、貧困層、農民層を中心とした社会政策や生活インフラの整備を柱とする15項目の経済政策を公表した。国有企業民営化については、2002年度予算で1,200億ルピー(GDP比0.6%)の売却益を計上しており、今後石油化学公社等の政府保有株の売却が行われる予定である。
 金融政策をみると、引き続き緩和政策をとっている。中央銀行は6月に現金準備率を0.5%引下げて5.0%としたが、さらに11月中旬に0.25%引下げるとしている。公定歩合については、10月末に0.25%引下げて6.25%とした。中央銀行は9月、600億ドルを超えた潤沢な外貨準備を背景に送金や海外からの借り入れの自由化など、一連の外貨取引に対する制限を緩和する政策を発表した。


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