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6  香 港    Hong Kong

香港経済のこれまで

<2002年の経済>
 2002年の経済成長率は1〜2%程度(政府見通し1.5%、民間機関25社の平均1.8%(2002年10月時点))となる見込みである。8月にGDPの推計基準年が改訂されており、政府見通しも改訂により0.5%引き上げられている。こうした影響を考慮すると、民間機関の見通しは、春時点の見通し(1.7%)に比べると、事実上下方修正となっている。
 改訂により2000年の実質GDP成長率は前年同期比10.2%、2001年0.6%、2002年1〜3月期は▲0.5%となった。4〜6月期の実質GDP成長率は、同0.5%増となり、景気は回復している。
 年後半にかけての動きとしては、中国のWTO加盟によって、中国から香港を経由する再輸出が好調であることが挙げられる。ドルペッグしている香港ドルは、ドル安になることで他のアジア地域に比べて通貨安となり、輸出が好調な伸びを示している。また中国政府が中国大陸から香港への旅行者数に対する制限(一日の訪問数)を緩和した(1月)ことにより観光産業が活況を呈している。

香港の主要経済指標

<2003年の経済見通し>
 2003年の経済成長率は3〜4%程度(民間機関25社の平均3.4%(2002年10月時点))となる見込みである。
 今後の下方リスクとして、香港は外需依存型の経済であるため、他地域の影響を受けやすい性質をもっている。特にアメリカの景気如何によっては停滞が長引く可能性もある。さらに香港の中継貿易港としての機能が、上海などの中国本土へと移転し、縮小していることから、今までのような輸出の増加が期待できない。他方、中国本土経済との一体化によって賃金や不動産価格の低下が加速しデフレ圧力が高まっている。このため内需の低迷と失業率の高止まりが今後も続く可能性が高いことが挙げられる。

<財政金融政策の動向>
 財政は、返還以来財政収支の赤字が続いており、7月(年度開始後3か月)までに財政赤字は400億香港ドル(GDP比3%)となった。これは2001年度の同期と比べると17%増えており、今年度の目標である493億香港ドルを越えることが確実となっている。
 財政支出削減のため、7月に公務員の給与削減法案が可決された(10月1日より実施)。この法律により平均月収は1.6〜4.4%減少し、18万人の公務員と15万人の公共機関従事者が影響を受ける(香港の人口に占める割合6.6%)ことになる。これにより年間で30億香港ドル(約4億米ドル)の支出削減が見込まれている。
 歳入増加策として、ワイン税の引き上げ、煙草、酒に関する免税枠の削減を行っているほか、サッカー賭博を公認し課税することを検討中である。
 香港政府は財政再建目標として、2006〜20007年度までに経常収支の均衡を達成、公的支出の削減(GDP比、2002年度22%→20%)、財政支出12か月分相当の準備金確保の3つを挙げている。
 金融政策についてみると、香港金融管理局(中央銀行に相当)はアメリカの政策金利引下げ(11月6日)に追随して、基準貸出金利を0.5%引き下げ、2.75%とした(11月7日)。


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