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15  ドイツ    Federal Republic of Germany

ドイツ経済のこれまで

<2002年の経済>
 実質経済成長率は、2002年には0.5%程度と見込まれる。年前半には成長率は、2001年4〜6月期以降の3期連続マイナスからプラスへ転じたものの、そのテンポは当初予測より緩やかとなっている。生産、設備投資、建設投資は弱含みの状態が続いており、企業景況感も年後半にかけて悪化している。失業率は2002年に入り上昇をみせている。物価は安定している。輸出はEU域内向けが伸びを続けている。域外への輸出もユーロ高による影響はそれほど顕著には現れておらず、経常収支は黒字が続いているが、対米輸出は減少傾向にある。
 年後半は、株安、企業収益と景況感の悪化、消費マインドの停滞等に加え8月の洪水による生産、消費への影響もあり景気は減速しており、経済成長は更に鈍化するとみられている。

ドイツの主要経済指標

<2003年の経済見通し>
 2002年からの景気減速が持ち越されるとみられるが、2003年後半には持ち直すことから成長率は前年よりやや高まり、1%台半ば〜2%程度と見込まれる。政府は2002年秋季見通しで2003年の成長率を1.5%としている。消費は、2002年5月のストライキで4%の賃上げが妥結したことや物価上昇率が低下を続けていることから、2003年にかけて持ち直すとみられる。また、2002年8月の洪水被害に対する復興需要から建設投資を中心に固定投資が改善すると期待される。
 下方リスクとしては、ここ数年抑制傾向にあった賃金がストの結果予想より高い4%引上げで妥結したことから、企業が雇用を抑制し、失業率の上昇圧力が強まり、消費へ抑制的な影響を及ぼす可能性がある。また、企業収益の減少が景況感の悪化や株安等に反映され、投資の停滞を長期化させる可能性がある。

<財政政策の動向>
 ドイツ統一以来財政赤字が続いている。97年以降は一般政府財政赤字の対GDP比率を3%以内に抑え込んできたが、2001年には景気後退と法人税減税による税収減等から2.8%へと高まった。ドイツ政府は、2004年までに収支を均衡させるとの改善努力の姿勢を示したため「安定と成長の協定」(注)に基づく早期警告の発動は見送られた(2002年2月)。赤字削減に向け、政府は2003年から予定されていた所得税減税を1年間先送りするなどの方策で対応しようとしている。しかし今後、洪水への復興対策や雇用対策等の支出増も見込まれるため、2002年に3%を超える事態もあり得ると予測されており、2003年度以降、歳出削減の強化に努めるとしている。政府債務残高はここ数年、対GDP比でおおむね60%を維持しており、2003年にはわずかに上昇し62%程度になるとみられている。


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