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13  オーストラリア    Commonwealth of Australia

オーストラリア経済のこれまで

<2002年の経済>
 2002年の経済成長率は、4%程度の成長と見込まれる。2001/2002年度(2001年7月〜2002年6月)の経済成長率は前年度比3.8%となり、景気は拡大した。これは、個人消費や民間住宅投資が増加したこと、輸出が豪ドル安を背景に増加したことなどによる。しかし、2002年上半期の小売売上高や新車販売台数は、高い伸びを示していたが、夏頃から小売売上高など消費の伸びは鈍化しており、下半期の景気は鈍化することが見込まれる。民間機関の見通しは、3.7%と半年前(2002年4月時点3.6%) と比べて若干上方修正されている。

<2003年の経済見通し>
 景気拡大が続き、3%台後半の成長になると見込まれる(政府見通し3.75%(2002/2003年度)、民間機関23社の平均3.6%(2002年10月時点)。
 成長を支える要因としては、失業率の低下、低金利によりビジネスコンフィデンスが良好であることから企業投資が堅調に推移することなどが挙げられる。
 下方リスクとしては、アメリカ経済の先行きが不透明であることから輸出が伸び悩む可能性がある。さらに、干ばつの影響から農作物生産が落ち込み、輸出が減少することが挙げられる。

オーストラリアの主要経済指標

<財政金融政策の動向>
 財政は97/98年度以降4年連続で黒字を達成していたが、2001/2002年度は世界経済の減速から賃金が伸び悩み、所得税収が予想よりも低かったことから13億豪ドルの赤字(GDP比▲0.2%)となった。2002/2003年度予算については、21億豪ドル(GDP比0.3%)の黒字見通しが発表されている。政府純債務残高は年々低下し、2001/2002年度末は、356億豪ドル(GDP比5.0%)と、当初見込額388億豪ドル(GDP比5.5%)より低下した。2002/2003年度末には345億豪ドル(GDP比4.6%)とさらに低下する見込みである。政府は引き続き健全財政路線を維持し、債務削減を図ることとしている。2002/2003年度の予算は、テロ対策の追加や国内・国境警備費の増額などの防衛分野の強化に重点がおかれている。また、少子化対策として、「ベビーボーナス」を導入している(4年間で12億豪ドル)。これは、第一子を養育するため、両親(主に母親)が離職した場合、5年間は、子を産む前年の所得に応じて毎年最大2,500億豪ドル(約17万円)の所得税減税を行うものである。年収が25,000豪ドル(約170万円)以下の低所得層でも、最低500豪ドルの減税が受けられる。
 高齢化社会の到来が今後40年の財政状況に与える影響を試算した「世代間報告書」が予算と同時に提出された。現在の政策を続けた場合、高齢化の進展により、医療費や社会保障費が増大し、2042年には年870億豪ドル(GDP比5%)の財政赤字が発生すると予測している。
 金融政策については、2002年は5、6月と2ヶ月連続でキャッシュレートの誘導目標水準を0.25%ポイントずつ引き上げ、4.75%とした。6月の利上げについてオーストラリア準備銀行は、堅調な国内経済を維持するためには、長期的インフレ圧力を回避することが必要であり、そのために、利上げを行ったとしている。4〜6月期の消費者物価上昇率は前年同期比2.8%となっており、インフレターゲット範囲内(2〜3%)に収まっている。


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