自由で活力ある経済部会報告(別紙)平成7年11月

高コスト構造是正・活性化のための行動計画ポイント

1.行動計画の概要

 我が国経済の活性化及び国民生活の豊かさを実現するためには、高コスト構造を是正し、産業の活性化を促進することが焦眉の課題となっている。そのため、高コスト構造是正・活性化のための行動計画を策定した。
 本行動計画は、生産・消費等の活動において、共通のコスト構成であること、国民の関心が高いことなどの観点から、10分野(物流、エネルギー、流通、電気通信、金融サービス、旅客運送サービス、農業生産、基準・認証・輸入手続等、公共工事、住宅建設)について、高コスト構造・活性化阻害の現状を把握し、要因の分析を行い、コスト削減・活性化に資する目標を設定するとともに、目標達成のために規制緩和、競争政策の積極的展開、商慣行の是正、インフラの整備、情報公開、ディスクロージャーの充実等の観点から、コスト削減・活性化に資する政策を示し、可能な限りその時期を明示した。
 なお、目標期間は、原則として平成12年度(2000年度)までとするが、流動的な内外経済情勢の下で本行動計画の実効性ある推進を図るため、指標等を用い、毎年、実施状況等を点検する。

2.各分野の主な目標

1) 物流

 規制緩和の推進、商慣行の是正、中長距離の幹線輸送における鉄道・海運の積極的な活用を通じた適切な輸送機関の選択の促進による複合一貫輸送の推進、物流コストの低減や輸入貨物の国内輸送の円滑化等に資する物流拠点の整備、積み合わせ輸送等の推進による積載効率の向上等を推進することにより、物流コストの低減を図る。
・コンテナタ-ミナル等の基盤整備により、コンテナの輸出入に係る陸上輸送コストの1割削減を目指す。
・複合一貫輸送に対応した内貿ターミナルからの陸上輸送の半日往復圏の割合について、現在の約70%から約80%を目指す。

2) エネルギー

1)ガソリン

 輸入品との競争促進等による市場原理の一層の導入、給油所の構造改善等により、石油製品間のコスト配分の見直しや石油産業の効率化が進み、ガソリンコストが我が国における制約条件の下で国際的に見ても遜色のない水準となることを目指す。

2)電力

 低廉な電力供給を確保するため、発電部門への新規参入の拡大、負荷平準化対策の推進、料金規制の改善等による効率化を目指す。

3)都市ガス

 低廉なガス供給を確保するため、大口供給部門への新規参入の拡大、ガス冷房の普及促進等負荷平凖化、料金規制の改善等による効率化を目指す。

3) 流通

 消費者ニ-ズに対応した多様な流通業態の発展を図りつつ、現在、製造業の約6割となっている流通業の労働生産性を国際的に遜色のない水準に向上させることを目標とする。

4) 電気通信

・長距離料金の低廉化により遠近格差をおおむね米国並みに縮小し、全般的な料金の低廉化を引き続き図る。また、専用線料金の低廉化を図る。
・マルチメディア時代にふさわしい、定額制の導入など、需要喚起型の料金体系の実現を図る。
・高度情報通信社会構築に向けて、光ファイバ網について、需要の顕在化等を勘案しつつ、平成22年を念頭において早期の全国整備を目指す。

5) 金融サービス

 金融の自由化・国際化の進展に対応しつつ、内外の金融サービス利用者の利便の向上を図る。

6) 旅客運送サービス

1)航空

 割引運賃の多様化、普通運賃の弾力的設定を図ることにより、潜在需要の喚起、需要の平準化を図るとともに競争を促進し、航空業の効率化・活性化を推進する。

2)タクシー

 遠距離割引制度の導入等、運賃・料金の多様化を引き続き推進するとともに、増減車の一層の弾力化等を図るほか、タクシー事業の効率性や事業者の創意工夫を高めるような運賃設定のあり方について検討することにより、タクシー事業の効率化・活性化を推進する。

3)鉄道旅客

 鉄道旅客について、利用者利益の増進や事業者への経営効率化インセンティブの付与などを基本的視点として運賃設定方式を見直すことにより、鉄道事業の効率化・活性化を推進する。

7) 農業生産

 効率的・安定的な経営体が生産の大宗(個別経営体35~40万戸等)を担う農業構造の実現等を通じ、一層の生産コストの削減と活性化を図る。

8) 基準・認証、輸入手続き等

 輸入の拡大を図り関連のコスト低減を図るため、基準・認証等制度の見直しを進め、輸入手続きの一層の簡素化・迅速化を推進する。

9) 公共工事

 平成6年12月に策定した「公共工事の建設費の縮減に関する行動計画」に基づき、1)資材費の低減、 2)生産性の向上、 3)技術開発を柱とする61施策を推進し、建設コスト縮減に向け、より一層努力する。

10) 住宅建設

 住宅建設コストの直接的軽減と適切な市場競争が行われるための環境整備を推進し、標準的な住宅の建設コストが、平成12年度(西暦2000年度) までに、これまでの水準の 2/3程度に低減することを目指す。


物流(総論)

1.高コスト構造・活性化阻害の現状

 物流は広く国民生活と産業活動を支える不可欠な基盤となっており、物流の国民生活や産業活動に及ぼす影響は無視できないものがある。近年、急速に円高が進行し、内外価格差の問題が従来にも増して注目を集めている中、流通における構造的変化に対応する物流の変化が求められているところであり、真に豊かな国民生活の実現と我が国産業の国際競争力の保持のため、情報システムの一層の活用を図りつつ、物流コスト低減のための施策を総合的に講じていくことが喫緊の国民的課題となっている。一方、物流をめぐる制約要因の顕在化に対応するため、物流の一層の効率化を図る必要がある。
 さらに、経済活動が国境を越えてよりグロ-バルに展開し、アジア諸国の工業化が進展していく中で、我が国の物流は、アジア諸国との激しい競合にさらされている。

2.高コスト構造・活性化阻害の要因

(1) 物流分野においても、各輸送機関毎に、各事業法等による経済的 規制や社会的規制がある。また、物流関連施設についても、施設毎に技術上の基準等の策定に関わる規制があるが、一部の規制が活性化等の支障になっているとの指摘もある。
(2) 近年、消費者の志向や企業の在庫圧縮の要請に対応するため、多頻度小口配送、リ-ドタイムの短縮、配達時間の指定等きめ細かなサ-ビスが提供されているが、物流業者が、これらのサ-ビスを提供する上で実際にかかったコストを正当に評価されないケ-スが少なくないとの指摘もある。
(3) 大量の貨物を輸送する場合、トラック輸送は海運・鉄道に比べて労働者一人当たりの貨物量が少ない。また近年、幹線道路において道路交通混雑が悪化しており、幹線輸送におけるトラック輸送への集中が、物流をめぐる制約要因を深刻化する一因となっているとの指摘もある。
(4) 我が国は、複合一貫輸送を推進するための内貿タ-ミナル等や営業倉庫(特に流通型倉庫)、トラックタ-ミナル等の物流拠点の整備が未だ十分とはいえず、効率的な物流体系を構築するうえで支障となっているといわわれている。また、近年急増する製品・半製品輸入の海上輸送コスト削減のためには、港湾において大型のコンテナ船に対応した大水深で、高規格なタ-ミナルを整備するとともに、臨港地区において輸入の増大に対応した物流拠点を整備していくことが不可欠であるが、アジア主要港においては水深15m級の大水深コンテナタ-ミナルが整備されているのに対し、我が国の場合、こうした国際的な競争力を持った港湾施設に対する重点を置いた投資が十分行われてきたとは言いがたい。
(5) 人件費や燃料費、物流関連施設の建設費負担や使用料等が米国に対して割高となっている。

3. 目標

(1) 目標

 規制緩和の推進、商慣行の是正、中長距離の幹線輸送における鉄道・海運の積極的な活用を通じた適切な輸送機関の選択の促進による複合一貫輸送の推進、物流コストの低減や輸入貨物の国内輸送の円滑化等に資する物流拠点の整備、積合わせ輸送等の推進による積載効率の向上等を推進することにより、物流コストの低減を図る。
・コンテナタ-ミナル等の基盤整備により、コンテナの輸出入に係る陸上輸送コストの1割削減を目指す。
・複合一貫輸送に対応した内貿ターミナルからの陸上輸送の半日往復圏の割合について、現在の約70%から約80%を目指す。
・荷主・貨物運送取扱事業者が鉄道事業者と連携し、鉄道貨物におけるパレタイズ貨物について、2割程度を目指す。
・けん引重量 1,200トン以上の列車本数の倍増を促進する。
・RORO船(注)、コンテナ船(モ-ダルシフト対象船種)の船腹量が、従来の伸びを下回らない水準で増加するよう目指す。
・臨港地区を除く営業倉庫に占める流通型倉庫の割合について、2割程度を目指す。
(注)RORO(Roll On Roll Off)船:クレ-ンを使わず、貨物をト ラックやトレ-ラ-シャシ-ごと積み込む方式の貨物船

(2) 点検指標

・輸送機関別国内貨物輸送量
・トラックの積載効率
・パレットデポの計画的整備(パレットサ-ビスセンタ-の推移 )

4 .具体的な対応策

(1) 規制緩和の推進

 物流コスト低減の観点から、規制緩和を推進し、物流業の負担を 軽減するとともに、事業者の創意により利用者の多様なニ-ズ等に応じた運輸サ-ビスの提供が行われるような環境を整備する(具体的な規制緩和策については、トラック、内航海運、鉄道貨物参照)。

(2) 商慣行

 個々の事業者において物流コストを的確に把握するとともに、契約の中で物流コスト負担の適正化、明確化を図るよう努める。また取引関係の簡素化等を図るよう努める。

(3) 物流効率化に不可欠な複合一貫輸送の推進

1) 内航海運のモ-ダルシフト対象船種の寄港地に係る制限を直ちに緩和するとともに、すみやかに船腹調整事業の対象外とする。
2) 一貫パレチゼ-ション推進施設・機器の整備、物流機器の標準化等複合一貫輸送体制を整備する。

(4) 効率的な物流体系の構築に資する物流拠点の整備

1) 流通型倉庫、一般トラックタ-ミナル等物流効率化推進のための拠点を整備する。
2) 国際海上コンテナタ-ミナルの政策的な配置を行うとともに、臨港地区において輸入の増大に対応した物流施設を整備する。
3) 複合一貫輸送に対応した内貿タ-ミナル等の港湾施設の計画的な整備を行う。
4) JR貨物の鉄道施設等の整備を推進する。

(5) 積み合わせ輸送の推進等

1) 地域内物流の効率化を図る共同集配システムを整備する。
2) 幹線物流の効率化を図るトラックの共同運行を促進する。
3) 自家用トラックで輸送することが非効率な場合には、効率の良い営業用トラックへの転換を促す。

(6) 物流における情報化等の推進

1) EDI(Electronic Data Interchange) の物流分野への導入を推進する。
2) トラックにおける情報システム化を推進する。
3) 高度化する荷主ニ-ズに対応するため、物流拠点における在庫管理、荷物追跡システム等の情報システム化を推進する。
4) 物流拠点における荷捌き等の機械化を推進する。

物流(トラック)

1. 高コスト構造・活性化阻害の現状

 国土条件の違い等から、純粋に運賃格差を比較することは困難であるが例えば日米のトラック運賃について、運賃収入を輸送トンキロで割った数値で比較してみると、日本は、アメリカの 1.3倍になっている。また、1回の輸送にかかる費用で比較してみると、日本の一般的な輸送形態である小口・近距離輸送の分野においては日本の方が安く、大口・長距離輸送の分野ではアメリカの方が安い傾向にある。

2. 高コスト構造・活性化阻害の要因

(1) トラックの営業区域に係る規制、車両総重量20トンを超える大型トラックの道路通行許可、特殊車両通行許可限度等がコスト増加要因になっているとの見解もある。
(2) 近年、消費者の志向や企業の在庫圧縮の要請に対応するため、多頻度小口配送、リ-ドタイムの短縮、配達時間の指定等きめ細かなサ-ビスが提供されているが、物流業者が、これらのサ-ビスを提供する上で実際にかかったコストを正当に評価されないケ-スが少なくないとの指摘もある。
(3) 例えば、アメリカに比べて我が国の道路は、地形的制約や設備基準等のため、施設の構造・規格が小さくなっており、輸送ロットの拡大が可能な超大型トレ-ラ-等を導入することが制約され、生産性向上を妨げる要因となっている。
 また、高地価に加え、地震等自然条件や地形的制約等により建設工事費が高く、道路、トラックタ-ミナル等の物流関連施設の建設費負担や使用料が高くなっていることがコスト上昇の一要因になっている。
(4) トラックのコストのうち、人件費の占める割合は4割以上と高く、人件費の水準の差がそのままコストの差として表れやすくなっている。

3. 目標

(1) 目標

 規制緩和による競争の促進、商慣行の是正、共同配送の推進、情報化、物流拠点の整備等により、輸送効率の向上を図る。

(2) 点検指標

・新規参入者数
・営業区域の拡大状況
・営業区域拡大の申請者数
・実働率
・積載効率
・物的労働生産性(輸送量(トンキロ)/従業員数。以下同じ)(営業用トラック)
・最低保有台数の地方運輸局間の格差
・自家用トラックと営業用トラックの輸送分担率(トンキロ)
・物流上重要な路線について車両総重量25トンの大型トラックまたはトレ-ラ-の通行に対応した道路の整備状況
・車両の大型化(20トン以上の車両割合)
・トラックターミナル数
・情報ネットワークの整備
・幹線運行の共同化の進捗状況

4. 具体的な対応策

(1) 規制緩和等

・経営実態等に対応して、営業区域の拡大を更に進める。
・最低保有台数の地方運輸局間の格差を基本的に緩和する方向で見直しを行う(7年度以降9年度まで)。
・トラックターミナル事業及び専用トラックタ-ミナルに係る規制について平成7年末まで所要の検討を行い、その緩和を図る(8年度目途)。
・事業用自動車についてメンテナンスリ-ス(車両の購入費、税金、保険料の負担と点検整備等をリ-ス会社が行う形態のリ-ス)を認めるとともに、事業開始後3年を経過しなければファイナンスリ-ス(車両の購入費、税金、保険料をリース会社が負担する形態のリース)による車両の使用を認めないとする規制を緩和する(7年度)。
・道路整備状況に応じ、高速自動車国道等における特殊車両の通行許可の限度重量の引上げを行う(9年度末目途)。

(2) 商慣行

・多頻度小口配送、リードタイムの短縮等の高度な物流サービスについてはコストを的確に把握し、例えば調達頻度、調達ロット等につき標準となる取引形態を明らかにする等、契約の中で物流コスト負担の適正化、明確化を図るよう努める。

(3) 社会資本の整備

・物流上重要な路線について車両総重量25トンの大型トラックまたはトレ-ラ-の通行に対応した道路の整備を図る。
・トラックターミナルの整備を図る。

(4) 輸送効率化への支援

・多頻度小口配送等への対応として、営業用トラックの積合せ輸送やメ-カ-、卸売業者、小売業者間等の共同集配を推進するとともに、受発注の高頻度化を実現するための物流情報システム化、高頻度の配送を効率的に実現するためのピッキングの自動化等物流システムの高度化等の推進を図る。
・トラックの幹線運行の共同化を図る。
・一貫パレチゼ-ションの推進により、物流の効率化、省力化を図る。

物流(内航海運)

1. 高コスト構造・活性化阻害の現状

 内航海運の運賃については各国とも基本的に自由運賃であり、その設定は季節、仕向方面、積荷などによって千差万別であり、客観的水準を把握し比較することは極めて困難であるが、日本銀行の「物価指数年報」によると、1985年を100とした場合の1994年の企業向けサ-ビス価格の総平均は114.8であるのに対し、内航運賃は99.1と比較的低水準で推移している。
 しかし、経済のボ-ダレス化等に伴う荷主側の価格競争の激化等により我が国の輸送シェア(トンキロベ-ス)で約44%と国内物流の大動脈を担っている内航海運は、物流コストの削減に直結するため今後なお一層の効率化が強く求められている。

2. 高コスト構造・活性化阻害の要因

(1) 船腹調整事業は、一般的に競争制限的措置がもたらすと言われている経営合理化、運賃水準等の面における弊害は、同事業の弾力的運用等により比較的少なかったが、一方で同事業の下では、意欲的な者の事業規模の拡大や新規参入が制限されるため内航海運業の活性化等の支障になっているとの指摘もある。
(2) 荷主、元請の内航運送業者、内航船舶貸渡業者の関係につき大企業である荷主を中心とした縦の系列化が確立されていることもあり、取引関係において荷主優位性が強い市場になっている。この系列取引が内航海運における競争環境の阻害要因となっている面があるとの指摘もある。
 用船市場においては、元請の内航運送業者から実際に運航を行う内航船舶貸渡業者に至るまでの間に多数の者が介在し取引関係が複雑化している場合がある。
 また、荷主における出荷に係る季節波動の存在、往復貨物の確保が困難なこと、1回のロットが必ずしも大きくないこと等が、効率的な輸送の支障となっている。
 コンテナタ-ミナルの荷役サ-ビスについては、日曜荷役の再開等改善が進められているが、その恒常化等が求められている。
(3) コンテナ等を取扱うには一定の面積を持ったヤ-ド、荷捌き施設等を備えたタ-ミナルの整備が不可欠であり、また、物流コスト削減のためには船舶の大型化が有効である。主要港の港湾料金は、人件費、土地代を始めとする諸経費が割高である上に、さらに近年の円高の影響もあって諸外国の主要港に比べて高水準となっている。

3. 目標

(1) 目標

 船舶の大型化、近代化、配船、船員配乗の共同化等を促進するとともに、複合一貫輸送に対応した内貿タ-ミナル等の整備(複合一貫輸送に対応した内貿タ-ミナルからの陸上輸送の半日往復圏の割合を現在の約70%から約80%に高める)を進めることにより、輸送効率の向上を図る。

(2) 点検指標

・船齢構成の推移
・船種別平均総トン数の推移
・RORO船、コンテナ船(モ-ダルシフト対象船種)の船腹量
・物的労働生産性

4. 具体的な対応策

(1) 規制緩和等

・現在の船腹調整事業の見直しについては、モ-ダルシフト対象船種を速やかに対象外とするとともに、内航海運業者による同事業への依存の計画的解消を図る。
・モ-ダルシフト対象船種の寄港地に係る制限及びセメント副原料であるフライアッシュ等の輸送にセメント専用船を使用する場合の制限を緩和したところである(7年11月)。
・長期積荷保証船については、日本内航海運組合総連合会と荷主団体との協議結果を踏まえ、船腹調整事業の弾力的運用を行う。

(2) 商慣行

・荷主──元請の内航運送業者──内航船舶貸渡業者という系列的な関係の見直しを行う。
・内航海運の用船市場における取引関係の簡素化等による運賃及び用船料に係るコスト負担の適正化を図る。
・荷主と荷受け側の間における商取引慣習の見直し等により、出荷波動の平準化、出荷ロットの大型化等を推進する。
・荷役サ-ビスの向上に向けて、関係者の一層の取組を促す。

(3) 社会資本の整備等

・複合一貫輸送用施設、港湾等の整備の促進を行う。
・複合一貫輸送に対応した内貿タ-ミナル等のバ-スの計画的な整備を行う。
・テクノス-パ-ライナ-の実用化の動向を踏まえた港湾等の整備を図る。

(4) 輸送効率化への支援

・ハ-ド面の施策として、船舶の大型化・近代化、荷役機器の近代化、全天候バ-スの整備等を推進する。なお、船舶の大型化については、少量多頻度のきめ細かな輸送サ-ビスについても十分配慮しつつ推進していく必要がある。
・ソフト面の施策として、EDI等の情報システムの整備、配船、船員配乗の共同化等を進める。
・一貫パレチゼ-ションの推進により、物流の効率化、省力化を図る。

物流(鉄道貨物)

1. 高コスト構造・活性化阻害の現状

 アメリカと日本の20フィ-トコンテナの運賃比較を行うと、 400kmにおいては、日本とアメリカは内外価格差がほとんど存在しないが、 1,000kmを超える輸送距離においては、アメリカの方が安い。ただし、日本においては、5割以内の割引制度がある。

2. 高コスト構造・活性化阻害の要因

(1) 5割以内の営業割引が届出で足りるなど従来より物流市場の特性等をいかした運賃設定を行っているものの必ずしも十分とはいえないという指摘がある。
(2) 1列車輸送量等の輸送方式の違い
 国土面積の相違等から、日本とアメリカでは輸送構造に違いがあるため、日本は長距離輸送が割高になる傾向があるが、大きな要因として日米の輸送方式の差異にあると考えられる。日本の貨物は、12フィ-ト(最大積載量5トン)が主体であり1列車あたりの最大輸送量が 650トンである。一方、アメリカでは、40フィ-トが主体であり、1列車あたりの最大輸送量が 3,600トンである。この輸送量の違いが貨物運賃に反映しているものと考えられる。また、アメリカは大型のコンテナを使用しているため、荷替えコストも小さい。
(3) 社会資本整備の遅れ
 コンテナ輸送をより効果的にするためのパレチゼ-ション等、貨物の近代化に対応した施設、貨物輸送力の拡大のための社会資本が十分整備されていない。

3. 目標

(1) 目標

 弾力的運賃のさらなる導入を図るとともに、列車の長大化(けん引重量 1,200トン、1,300トン以上の列車本数を倍増)やコンテナの大型化を促進 することにより、輸送効率の向上を図る。

(2) 点検指標

・新たな割引運賃の導入例
・新たな運賃設定の導入例
・物的労働生産性
・コンテナの大型化
・コンテナ貨車の車両数
・鉄道貨物輸送トンキロに占めるコンテナトンキロの比率
・1駅当たりのコンテナ取扱量の推移
・列車の長大化
・老朽設備の取替え及び効率化につながる技術革新の例(コンテナ情報自動読み取り、列車スピ-ドアップ)
・ダイヤの見直し

4. 具体的な対応策

(1) 規制緩和の推進

貨物鉄道に関する運賃・料金規制の一層の緩和
・制度割引、制度割増運賃・料金について、認可制を届出制に緩和したところである(7年4月)。
・運賃規制のあり方について、物流市場の特性等を踏まえ、弾力的運賃設定を可能とする見直し案を作成し、実施する(7年度に見直し案を作成し、7年度以降実施)。

(2) 合理化・近代化の推進

・コンテナ化を推進する。
・トラック、鉄道の一貫輸送を進めるため、ピギ-バック等の充実を図る。
・一貫パレチゼ-ションの推進により、輸送効率の向上を図る。

(3) 社会資本の整備

・列車の長大化に対応するため、待避線や荷役線の延伸工事などを進める
・コンテナ、特に20フィ-トコンテナに対応した施設の整備を推進する。
・着発線荷役方式を進める等、タ-ミナル設備の近代化を図る。

エネルギ-(ガソリン)

1. 高コスト構造・活性化阻害の現状

 ガソリン価格 (税抜価格) は、日本以外がほぼ同じであるのに対して、日本は米欧価格の3倍前後になっている (93年6月時点 (1ドル=107 円)で比較)。
 なお、本分野では特石法廃止等の規制緩和が既に決定されており、この方向が打ち出された94年初以来、輸入自由化等を見越した競争激化により、石油業界の合理化努力が進むとともにガソリン価格は下落を始めている。

2. 高コスト構造・活性化阻害の要因

 内外価格差の現状、コスト分析によると、日本のガソリンの内外価格差は、
1)石油会社(石油精製・元売)、特約店(卸売)及び給油所のコスト高
2)石油会社・特約店並びに小売店の収益構造がガソリンに偏っていること
により生じている。
 なお、特に米国と比較して我が国のガソリン価格 (税込) が高いとの指摘もあるが、これは米国の税負担が他国に比べ大幅に低いという事情が加わっている。

 これらは人件費の高さなどの他、以下の要因によりもたらされていると考えられる

(1) 公的規制
 1) 「特定石油製品輸入暫定措置法(特石法)」に基づき、ガソリン、軽油、灯油の輸入が事実上、精製業者に限定され、輸入品との競争が少ない。
 2) 「揮発油販売業法」に基づき、指定地区での競争が少ない。
 3) 給油所等に関する保安規制等。
(2) 流通、商慣行等
 1) 複雑な流通機構
 2) 我が国の給油所は中小規模業者が多いこと (一店舗当たりの販売量が少ない、販売促進のためのサービス過剰に陥る傾向等)
 3) 割高な物流コスト
 ・欧米では石油パイプライン網が整備されているのに対し、我が国は割高な内航タンカーとタンクローリーによる小口輸送が主体
 4) オイルショック時に「石油業法」に基づく行政指導によりガソリン独歩高の価格体系が形成され、その後この価格体系が維持されてきたこと。

3. 目標

(1) 目標

 輸入品との競争促進等による市場原理の一層の導入、給油所の構造改善等により、石油製品間のコスト配分の見直しや石油産業の効率化が進み、ガソリンコストが我が国における制約条件の下で国際的に見ても遜色のない水準となることを目指す。

(2) 点検指標

・ガソリンの輸入を巡る状況 (輸入量、輸入業者数等)
・給油所の構造改善を巡る状況 (1店舗当たり販売量、給油所の多様化等)
・ガソリン等石油製品の価格体系
・給油所における価格表示等の改善の状況

4. 具体的な対応策

(1) 規制緩和

1) 競争の促進
・特石法を廃止し、国内石油製品市場に輸入品との競争による市場原理の一層の導入を図る(平成8年4月廃止)。
・揮発油販売業法に基づく指定地区制度を廃止し、競争を促進することにより流通の効率化を図る(平成8年10月に全て廃止) 。
・揮発油販売業に基づく登録制についてもガソリンスタンドの規模変更についての登録申請を不要とする(届出事項とする)など手続きの簡素化を図る(8年4月以降)。
2) 給油所の活性化
・セルフサービス方式の給油取扱所について、安全性の問題に関して、諸外国の実施状況等に留意しつつ検討を進める(7年度(検討)~9年度目途 (結論))。
・給油取扱所の荷卸し時の立会い義務の緩和について、安全性の問題に

(2) 規制緩和を促進するための支援

 利子補給、リース助成等の行政による構造改善支援、元売会社、事業者団体による構造改善支援。

(3) 流通、商慣行の見直し

 事業者においては、取引条件の透明化を図り競争条件を整備する観点から、価格の表示、商標表示を推進するとともに、インセンティブ、事後調整等の商慣行の見直しを行う必要がある。

エネルギ-(電力)

1. 高コスト構造・活性化阻害の現状

 電力料金は家庭用、産業用とも日本の方が割高であり、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスに対して 1.3~ 1.8倍となっている(94年9月時点(1ドル= 100円)で比較)。

2. 高コスト構造・活性化阻害の要因

1) 資本費
・高い電力需要の伸びに対応するため、新規の設備投資の割合が高く、設備の平均年齢が若くなっており、資本費を増大させている。
・冷房需要の増大等により、夏季の需要ピークが尖鋭化し、各国に比べ負荷率が低く設備の利用効率が低下。
・資材・建築コストや土地関連コストが高い。
2) 燃料費
・輸入燃料への依存度が高く、燃料輸送コスト等がかかることから、安価な国内資源のある国に比べて燃料費が高い。
・クリーンエネルギーとして液化天然ガスや石油でも低硫黄油種を使用。
3) 送電コスト
・送電線のルート確保の難しさから限られた用地の中で鉄塔の大型化や、安全対策を考慮した強度の必要性、電源の遠隔化に伴う送電線の長距離化・通過ルートの制約があり、コスト高要因。
4) その他
・需要家側の要望に対応して、欧米に比べ高品質の電気が供給されている。 ・各国に比べ我が国の賃金水準が高いことが、電気事業についても高コストの要因。

(備考) 電気事業の公益的性格、安全確保等のため、電気事業法により各国と同種の規制が行われている。平成7年4月の法改正により、参入規制については、発電部門への新規参入の拡大等が行われ、料金規制については負荷平準化関連料金について個別認可制から各種約款届出制へ緩和された。

3. 目標

(1) 目標

 低廉な電力供給を確保するため、発電部門への新規参入の拡大、負荷平準化対策の推進、料金規制の改善等による効率化を目指す。

(2) 点検指標

・入札による卸発電事業への新規参入規模
・負荷平準化のための選択約款による負荷の移行規模
・負荷率
・蓄熱式空調システムの普及の状況

4. 具体的な対応策

(1) 規制緩和

1) 発電部門等における新規参入の拡大
・卸電気事業に係る許可を原則撤廃するとともに一般電気事業者の電源調達について入札制度を導入する(「改正電気事業法」(平成7年12月1日施行))。
・卸託送について、通商産業大臣が指定する電気事業者による約款の策定、届出、公表等に係る規定を整備する(「改正電気事業法」(平成7年12月1日施行))。
・需要家への直接供給に係る参入条件の整備を図るため、再開発地域等特定の供給地点における需要に応じ、自ら保有する設備により電気を供給する事業を可能とする特定電気事業制度を創設する(「改正電気事業法」(平成7年12月1日施行))。
・一建物内の供給、地方公共団体の他部門への供給及び自社の社宅に対する供給については、自家発自家消費と同様の扱いとし、特定供給に係る許可を不要とする(「改正電気事業法」(平成7年12月1日施行))。
2) 料金規制の改善
・電気料金については、事業者の自主的な経営効率化を促すため、料金の透明性を確保し、総括原価方式の枠組みを維持しつつ、事業の特性を踏まえたヤードスティック方式(各事業者の経営に係る諸指標を比較し、効率化の度合いに応じて査定に格差を設ける方式)等を導入する(「改正電気事業法」施行後)。
・負荷平準化等に資する電気料金について、個別認可制から需要家の幅広い選択を可能とする各種メニュー(選択約款)の届出制に移行する(「改正電気事業法」(平成7年12月1日施行))。
3) 保安規制の合理化
・電気工作物に係る工事計画認可・届出、使用前検査、溶接検査及び定期検査について、審査及び検査の簡素・合理化を図る(「改正電気事業法」(平成7年12月1日施行))。

(2) その他

1) DSMの強力な推進等による夏期冷房需要のピークシフト等負荷平準化対策の推進
・蓄熱式空調システム、ガス冷房等の普及、民生用電気料金制度の多様化。
2) コスト削減のための技術革新
・電力貯蔵技術の開発推進等。
3) 検針・集金の効率化
・検針・集金に係る業務の効率化方策についての検討。
4) 燃料費調整制度の導入
・為替レートや原油価格に左右される燃料費の変動を外部化し、これらの変動を迅速に価格に反映(「改正電気事業法」施行後)。
5) 経営効率化計画の策定
・電気事業者は中長期的な取組や目標、毎年の経営方針や、これを受けた設備投資の合理化目標、各種の業務計画等をとりまとめ、経営効率化計画として毎年度公表。なお、経営効率化計画は、電気事業者の自主的取組を示すものとして創意工夫が最大限発揮されるべきであり、その内容は規制当局が直接関与すべき性格のものではない。

エネルギ-(都市ガス)

1. 高コスト構造・活性化阻害の現状

 日本のガス料金は諸外国に比べて2倍以上と割高である(94年9月時点(1ドル= 100円)で比較)。

2. 高コスト構造・活性化阻害の要因

1) 供給固定費等
・需要家1件当たりのガス使用量が、欧米の1/3 から1/4 で供給設備の効率が悪い。
・道路構造保全のため、導管埋設に係る諸規制が、道路環境の異なる欧米より厳しい。
2) 原料費、製造固定費等
・欧米では天然ガスがパイプラインを通じて直接ガス事業者に送られるのに対し、我が国は産ガス国においてガスを液化した上で液化天然ガス(LNG)として輸入し、それをガス会社が再度気化してガスを供給していることから、LNGの貯蔵・ガス化設備が必要であり、このため原料費、製造固定費のコストが高い。
3) 保安規制等
・ガス消費機器等に関する知識が必ずしも十分でない需要家が保安確保のための措置を自主的にとることは困難であること等にかんがみ、我が国ではガス事業法により、ガス事業の根幹である保安確保のため、必要最小限度の社会的規制として、ガス事業者負担による内管・消費機器の調査等が義務づけられている。
4) その他
・我が国の検針回数は欧米に比べ2~6倍。また、ガス料金の集金について、口座引き落とし・払込のみの欧米に対し、我が国は一部訪問集金も残っている。これらは、需要家のニーズに合わせたきめ細かいサービスであるが、コスト高要因ともなっている。
・各国に比べ我が国の賃金水準が高いことが、ガス事業についてもコスト高要因となっている。

(備考) ガス事業の公益的性格、安全確保のため、ガス事業法により各国と同種の規制が行われている。平成7年3月の法改正により参入規制については、大口需要者を対象として緩和され、料金規制については、大口需要者については自由交渉による供給条件設定が認められた。

3. 目標

(1) 目標

 低廉なガス供給を確保するため、大口供給部門への新規参入の拡大、ガス冷房の普及促進等負荷平凖化、料金規制の改善等による効率化を目指す。

(2) 点検指標

・一般ガス事業者による供給区域外の大口需要者への供給規模
・一般ガス事業者以外の者による供給規模
・需要家1件当たり販売量
・ガス冷房の普及の状況

4. 具体的な対応策

(1) 規制緩和

1) 大口需要者への供給拡大
・一般ガス事業者は、一定の条件下で供給区域外の大口需要者にガスを供給できることとする(「改正ガス事業法」(平成7年3月1日施行))。
・一般ガス事業者以外の者が大口需要者に対するガス供給の事業に参入することを新たに認めることとし、一定の条件下で、大口需要者にガス供給できることとする(「改正ガス事業法」(平成7年31日施行))。
・ガス事業者の保有するガス導管を用いた託送を積極的に推進する(ガス事業法改正に伴う措置として、7年7月に都市ガス事業料金制度分科会においてガイドラインを策定)。
2) 料金制度
・一般ガス事業者が大口需要者にガスを供給する場合について、現行の料金規制を緩和し、原則として当事者間の自由交渉による供給条件の決定を認める(「改正ガス事業法」(平成7年3月1日施行))。
・ガス料金については、事業者の自主的な経営効率化を促すため、料金の透明性を確保し、総括原価方式の枠組みを維持しつつ、事業の特性を踏まえたヤードスティック方式(各事業者の経営に係る諸指標を比較し、効率化の度合いに応じて査定に格差を設ける方式)等を導入する(「改正電気事業法」施行後)。
3) 保安規制の合理化
・電気事業法との重複適用を排除するため、準用事業者のうち電気事業法の保安規制の適用を受ける者をガス事業法の保安規制の適用対象から除く(「改正ガス事業法」(平成7年3月1日施行))。
・ガス工作物に係る工事計画認可・届出、使用前検査及び定期検査等について審査及び検査の簡素・合理化を図る(「改正ガス事業法令」(平成7年3月1日施行))。
4) 導管埋設
・ガス導管の埋設深さについて、道路構造の保全の観点等を踏まえて、技術的検討を実施し、基準の緩和の可否を検討する(7年度以降、検討結果を踏まえ対応)。

(2) 負荷平準化の推進

 ガス冷房の普及・拡大、負荷調整契約料金制度の活用等。

(3) 検針・集金の効率化

 検針・集金に係る業務の効率化方策についての検討。

(4) その他

1) 原料費調整制度の導入
・為替レート等に左右される原料費の変動を外部化し、これらの変動を迅速に価格に反映(「改正電気事業法」施行後)。
2) 経営効率化目標の設定
・ガス事業者は、各事業者の自主目標として、数量的な内容を含みつつ経営効率化目標を設定し公表する。なお、経営効率化目標の内容は、各事業者の創意工夫が最大限発揮されるべきであるという観点から、できる限り事業者の自己責任に基づく判断に委ねることが適当である。

流通

1. 高コスト構造・活性化阻害の現状

 流通費は、財の性質、卸・小売の業態等により異なるとともに、製造部門・消費部門とも密接に結び付いており、これだけを取り出して国際比較をすることは困難である。ただし、流通業の一人当たり付加価値額を製造業と比較すると約6割と低く、その格差は縮小しておらず、また、他の先進国よりも製造業との格差は大きい。
 近年では、消費者の価格志向の強まり、累次の大店法の規制緩和、輸入浸透度の上昇、郊外型立地店舗の増加等を背景に、ディスカウントストア、チェーンストア等による低価格販売が実現され、流通システムの変革につながる動きが見られている。一方、既存の商店街は、従来より、消費者の多様な選択の一つとして、また、まちの核として多様な役割を担ってきているが、流通を巡る環境変化に伴い中心市街地の商業の空洞化が懸念されており、その活性化がまちづくり等の観点からも急務となっている。

2. 高コスト構造・活性化阻害の要因

(1) 流通の零細性・多段階性

 日本の流通については、従来より、小売店の零細性や卸売の多段階性が指摘されている。ただし、それぞれ消費者の多頻度小口買いや小売店の零細性に対応するものとの面もあり、これらが直ちに流通の非効率を意味するとは言えない。なお、近年では、小規模店の減少・大規模店の増加、W/R比率の低下が見られ、零細性・多段階性は弱まる方向にある。

(2) 商業マージン率の動向

 産業連関表(~1990)により消費財の商業マージン率を見ると、長期的に上昇傾向にある。これを基に、国際競争にさらされた製造業の生産性の伸びに商業が追いついていないとの仮説もある。なお、バブル崩壊後の消費低迷・価格低下の動きもあり、近年では、マージン率は卸売業で低下、小売業では横ばいで推移している。

(3) 商業マージンの構成

 商業実態基本調査(~1992)により消費財の商業マージンの構成を見ると、人件費の割合が最も高い。人件費比率は80年代半ばまで上昇を続け、営業余剰を圧迫してきた(小売業では86~92年は下落)。ただし、卸・小売ともパートタイム就業者比率の増加を図りこれに対応している。

(4) 規模別・業態別の営業費(販売管理費)比率

 卸売業の売上高営業費比率を規模別に見ると、小規模であるほど高い。小売業については、派遣店員等の有無により規模別の比較は難しいが、業態別に見た販売管理費比率では、中小小売店の中で、スーパー、コンビニエンス・ストア等に比べその他の小売店の販売管理費比率が高くなっている。

(5) 公的規制

 流通分野に関しては、出店(大店法等)、販売(再販売価格維持制度等)、物流に関する規制が存在し、流通効率化の観点からは、その阻害要因となっている。三次にわたる大店法の緩和により出店申請が大幅に増加する等、近年の流通に関する規制緩和は、大規模なディスカウントストア等新たな業態の成長を促し、低価格販売の実現の一つの要因となった。

(6) 商慣行

 商慣行は、流通当事者間の取引の円滑化のためにそれぞれ一定の合理性を持って形成されたものと考えられるが、価格の硬直化(例:建値制)、新規参入の抑制(例:系列制)等をもたらしやすいとの指摘もあり、また、流通当事者の効率化へのインセンティブを阻害する面もある。最近では、消費者ニーズの多様化、ディスカウントストア等の新たな業態の進展等、流通を巡る環境変化を背景に、流通当事者の中からも商慣行を見直す動きが出てきている。

(7) 消費者の購買行動

 日本の消費者の価格感応度が低いことが流通の構造変化を緩やかにしているとの指摘があるが、逆に日本の流通構造(規制や商慣行により価格の店舗間格差が小さいこと)がそのような消費者を形成したとの意見もある。近年は価格に敏感な消費者が増加している。

3. 目標

(1) 目標

 消費者ニーズに対応した多様な流通業態の発展を図りつつ、現在、製造業の約6割となっている流通業の労働生産性を国際的に遜色のない水準に向上させることを目標とする。

(2) 点検指標

・流通の多段階性の動向(W/R比率)
・単位売上げ当たりの販売コストの動向(売上高販売管理費比率)
・価格低下等の状況変化への企業の対応動向(商業マージン率、販売管理費比率、営業利益率)
・共同化の推進度合(中小企業による物流共同化の実施状況、フランチャイズチェーン・ボランタリーチェーンに参加している事業者数等)
・情報化の推進度合(POS導入店舗数、JICFSアイテム数・利用企業数等)
・中小商業や商店街の活性化の度合(商業基盤施設が整備された商店街の数、中小商業活性化基金の活用による集客力向上事業件数等)
・モータリゼーションへの対応(客用駐車場を有する商店の数)

4.具体的な対応策

(1) 規制緩和

1) 大店法の制度の見直し(9年度目途)
2) 販売に係る規制の見直し(酒類販売免許の基準見直し(8年度)、医薬品の一般販売業の店舗面積基準の緩和(8年度)等)
3) 再販売価格維持制度の見直し(9年度末まで)

(2) 商慣行の是正

1) 「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」の周知徹底による競争制限的な行為の排除
2) 商慣行の実態と問題点を把握するための実態調査の実施
3) 商慣行改善指針等の周知徹底による方向づけ
4) 事業革新円滑化法の活用(取引慣行の改善に資する設備投資に対する税制金融上の措置等)
5) 取引流通に係る情報化の推進

(3) 物流コストの低減

1) 業種別の物流コスト実態把握調査を通じた意識改革、取引条件の明確化への支援
2) 物流合理化ガイドライン(平成4年)の業際的な視点を取り入れた見直し
3) 共同仕入れ等物流共同化事業への支援
4) 物流に関する規格の推進、一貫パレチゼーションの推進
5) 物流に関する情報化の推進
6) 物流に関する規制緩和(物流の項参照)
7) 物流インフラの整備(物流の項参照)

(4) EDI(電子データ交換)等情報化の推進による流通システム全体の効率化

1) 各種ビジネスプロトコルの標準化
2) 情報化の進展を想定していない諸制度の見直し(各種法律により保存が義務づけられている書類の電子データによる保存等)
3) 情報化進展の障害となる商慣行の見直し
4) POS導入店舗数、JICFSアイテム数・利用企業数の増大

(5) 中小卸・小売業の活性化対策

1) 中小卸売業
・水平的、垂直的連携の強化(フルライン一括供給体制の整備、異業種連携の推進、共同化・協業化による物流効率化、卸商業団地の活用等)
・卸売機能の革新(リテールサポート、商品企画等の機能の強化等)
・人材の育成・確保(中小企業大学校の研修事業の充実等)
2) 中小小売業
・商業集積面でのハード及びソフト整備)多様で個性的な商店街の整備
・商業集積、まちづくりと一体化した整備)
・新たなネットワーク形成等による業務革新(共同仕入れ、商品開発等のための水平・垂直連携、情報化の推進)
・魅力ある個店づくりへの支援(地域密着性、専門性、顧客への相談機能等の一層の充実のための人材育成、情報化・国際化の推進等)

(6) 地域活性化の視点からの流通業の活性化

1) 特定商業集積法等の活用等によるまちづくりとの一体的な商店街等の整備
2) 商業基盤施設が整備された商店街数の増大
3) 中小商業活性化資金の活用による集客力向上事業等の推進

電気通信

1. 高コスト構造・活性化阻害の現状

 我が国の電気通信産業は、昭和60年に電気通信事業法が制定され、市場の全分野に競争原理が導入されるとともに、日本電信電話公社が民営化され、2,400 社を超える新規事業者が新たに市場に参入した。この結果、国内長距離電話料金や国際電話料金が昭和60年当時と比べて6割程度低廉化し、遠近格差も40倍から17倍へと縮小するという成果が見られた。また、サービスの多様化も進んだ。
 特に、携帯・自動車電話市場においては、PHSを含む多数の新規参入の実現、NTTの移動通信業務の分離、分割による公正な競争条件の整備などにより、競争を通じて、急速な料金の多様化・低廉化とともに市場が急拡大するなど活性化が図られた。
 また、情報化の進展により、パソコン通信利用者が延べ200 万人を超えるなか、パソコン通信利用者を念頭においた深夜時間帯の定額料金制が導入されたところである。
 さらに、今後の技術革新や国際化等の環境変化により、異業種の融合が進展していくことが期待される。
 しかしながら、国際的にみると、長距離料金が割高のため、遠近格差が米国の13倍に比べて依然大きく、全体としてみると、日本の電話料金は米国に比べ高い。また、提供されるサービスの種類は米国のそれとほぼ同等であるが、利用者の多様なニーズにきめ細かく対応するといった面においては、NTT交換機のデジタル化が完了していないことから一部サービスが提供されておらず、まだ不十分との指摘もある。
 第1種電気通信事業者の参入状況をみると、自由化以降一貫して増加している。また、NTT、NCCのシェアについて、県間通話回数の割合で見ると、平成6年度にはNCCが3割を占めるなど、NCCの占める割合が増加している。しかし、地域内通話については、事業者間の競争が進展せず、依然としてNTTの事実上の独占状態にある。

2. 高コスト構造・活性化阻害の要因

(1) NTTの経営効率

・ NCCはNTT地域網との接続が必要不可欠であり、長距離系NCCはNTT地域網を利用する対価として電話収入の約5割を接続費用として支払っている。したがって、NTT地域網の効率化は我が国の電気通信料金の低廉化の前提条件となるが、NTTの費用構造をみると実質的な人件費の割合は増加しているなど経営効率化は十分ではない。

(2) NCCとNTTの接続

・ NCCは競争相手でもある独占的なNTTの地域網に接続して初めてサービス提供ができるという市場構造の下にあるが、NTTとNCCとの間の接続に関する協議は必ずしも円滑に行われていない状況にあり、多様な接続形態の実現、新規サービスの提供に時間を要している。

(3) 料金体系

・ NTTの役務別損益状況をみると、市外通話は収支率が高水準にある。
・ 現在の電話の料金体系をそのままマルチメディア通信に適用した場合、利用抑制的な料金になる可能性がある。

3. 目標

(1) 目標

・ 長距離料金の低廉化により遠近格差をおおむね米国並みに縮小し、全般的な料金の低廉化を引き続き図る。また、専用線料金の低廉化を図る。
・ マルチメディア時代にふさわしい、定額制の導入など、需要喚起型の料金体系の実現を図る。
・ 高度情報通信社会構築に向けて、光ファイバ網について、需要の顕在化等を勘案しつつ、平成22年を念頭において早期の全国整備を目指す。

(2) 点検指標

・NTTの生産効率の向上(従業員数、人件費的経費、経常利益率等)
・回線利用効率の向上(回線当たり通話時間)
・役務別損益状況
・料金低廉化状況
・新規サービスの導入状況
・事業者数の推移
・NTTとNCCのシェア
・デジタル化、光化率の推移
・情報流通量の推移

4. 具体的な対応策

(1) NTTの経営効率化

 行政監察(平成7年6月)により「新たな合理化計画を自主的に作成し、各業務分野について、更に業務運営及び要員の効率化を図るよう指導する必要がある」との指摘がなされており、NTTにおいて勧告の内容に沿った合理化計画を早急に作成し、経営効率化を図る。

(2) 電気通信市場における競争条件の整備

 NCCとNTTとの間の多様な形態による接続を推進する。具体的には、NTTの地域通信網に依存せざるを得ないNCCとNTTとの間の接続協議を容易・迅速にするため、NTT地域通信網との接続協議の基本的な手順、接続費用、接続の技術的条件の明確化について、平成7年度中に実施状況を点検し、推進する。
 なお、NTTの在り方については、平成2年3月に決定したいわゆる政府措置(注)に沿って、平成7年度中に結論を得る。

(3) 専用線と公衆網との接続自由化の推進

 音声系の専用線と公衆網の接続を平成9年中に完全自由化する。また、国際VANサービスにおける基本音声サービスについて、平成9年度において、公衆網との接続の実施時期及び内容を決定する。

(4) 異業種の融合への対応

 通信と放送の融合については、広帯域・双方向ネットワークの進展等に伴う通信・放送の融合動向に対応し、通信・放送・CATVに関する現行法制度について幅広い観点から総合的に検討を行う。

(5) 適正な料金体系の実現

 公正有効競争条件の整備等を進める中で、市外通話料金の低廉化の実現を図る。また、基本的な料金以外の料金については平成7年10月に認可制から事前届出制へと緩和されたところであるが、平成6年10月以降開催している「マルチメディア時代のユニバーサルサービス・料金に関する研究会」において、平成8年5月を目途に検討を行い、これを踏まえつつ、マルチメディア社会にふさわしい料金体系の実現を図る。

(6) 情報通信インフラの早急な整備

 高度情報通信社会の構築に向けた動きを加速・推進するため、高度な情報通信インフラを早急に整備する。特に、主要地域の光ファイバ網整備と、これを活用した公的アプリケーションの導入、実用化、及び基礎的汎用的技術開発について、平成12年までを先行整備期間として進める。

(注)平成2年3月30日「日本電信電話株式会社法附則第2条に基づき講ずる措置」

金融サービス

1. 高コスト構造・活性化阻害の現状

(1) 金融制度改革や累次にわたる規制緩和が行われてきた結果、金融サービス分野における自由化・国際化は大きく進展してきている。今後、その成果を利用者に還元していくことが重要であり、そのためにも、今後とも有効かつ適切な競争の促進に努める必要がある。
(2) 預金については、段階的に金利の自由化措置が進められてきた結果、現時点では当座預金を除き全ての金利が自由化されている。また、一部期間面で制約が残っているが、本年10月より固定金利定期預金の期間の制約は撤廃された。証券投資に関しては、本年1月、投資信託の運用規制等が抜本的に緩和されたところである。また、償還期間2週間未満のCP(コマーシャル・ペーパー)の発行が、本年10月解禁された。
 今後、ディスクロージャーの充実と利用者の自己責任を前提に、従来以上に多様な商品が提供されることが期待される。
(3) 近年、適債基準の緩和等の措置に伴い、国内での普通社債の発行が増加しているが、今後とも社債の役割が増大していくことが重要である。これに関連して、社債の流通市場について、その整備を図るための検討が行われている。
(4) 株式市場については、バブル崩壊に伴う国内市況の低迷等を背景に、一時期、時価発行公募増資の休止や、新規公開に係る社数制限等により、十分その機能を果たしているとは言いがたい状況が続いてきた。その後、時価発行公募増資について、5年12月における規制緩和策の一環として、収益性の高い企業等の増資が再開されるようガイドラインが示されたところである。また、本年4月の新規公開に係る週当たり社数制限の撤廃に伴い、新規公開企業数の増大が見込まれ、さらに、店頭市場については、本年7月よりベンチャー企業等のための店頭特則市場が開設されるなど、その整備が図られてきている。さらに、本年10月からは株式ミニ投資が開始された。
(5) 国際金融・資本取引に係る累次の規制緩和等の結果、ユーロ円債の発行額は拡大し、また円建外債の発行額も相当の水準に達している。これに関連して、非居住者ユーロ円債の還流制限については、6年1月及び本年8月に段階的に緩和措置が実施された結果、現在では完全撤廃されており、また、直接投資等その他の分野においても、実際の取引に支障が生じないよう手続きの弾力化が図られている。今後とも、国際金融・資本取引の促進を図っていくことが求められている。

2. 高コスト構造・活性化阻害の要因

(1) これまで種々の規制緩和等の措置がとられてきたが、バブル崩壊に伴う資産価格の下落、国内市況の低迷、不良債権の増大等の状況下、こうした措置の多くが比較的最近導入されたものであることもあって、十分に活性化しているとは言いがたい面がある。
(2) 今後、より一層の金融サービスの活性化を進めていくためには、規制や慣行等について、より自由な競争の促進、自己責任原則の徹底、資金供給の円滑化等の観点から検討することが必要である。具体的には、
・金融サービスの多様化の状況
・企業等の資金調達面における制約
・各種手数料のあり方
・各種市場の整備状況について検討することが必要である。

3. 目標

(1) 目標

 金融の自由化・国際化の進展に対応しつつ、内外の金融サービス利用者の利便の向上を図る。

(2) 点検指標

 「利便の向上」の状況は、以下のような点検指標を勘案して総合的に判断される。
・金融商品の多様化の状況(5年超預金の残高、CP発行額など)
・社債市場の状況(国内社債発行規模など)
・株式市場の状況(国内株式発行規模など)
・国際的な金融・資本取引の状況(オフショア市場の取引規模、ユーロ円債の発行規模、円建外債の発行規模など)

4. 具体的な対応策

(1) 規制緩和

1) 業態別子会社の業務範囲等について課されている制限の見直しを行う(5年4月の金融制度改革法施行後の状況、市場の状況、証券会社及び金融機関の経営に与える影響等を勘案しつつ、同法施行後2年ないし3年を目途)。
2) 公募社債の適債基準を撤廃するとともに、無担保社債を発行する際の財務制限条項設定の義務づけを撤廃し、社債発行市場の整備を図る(8年1月実施予定)。
3) 店頭登録企業に新株引受権付社債の発行を認める(8年1月実施予定)。
4) 5年12月に公表された時価発行公募増資のガイドラインにおける基準の緩和ないし撤廃の検討を7年度中に行い結論を得る。
5) 株式委託手数料については、6年4月に10億円を超える部分の自由化が実施されているが、これによる現実の影響を今後1~2年後に検証し、以後の自由化につき検討する。
6) 円建外債の適債基準を撤廃し、社債発行市場の整備を図る(8年1月実施予定)。

(2) 商慣行の是正等

1) 社債管理手数料など社債関連手数料を見直す。
2) 社債の商品性の多様化を着実に推進する。

(3) インフラの整備

1) 社債流通市場の整備を図るため、社債受渡し・決済制度を改善する。
2) オフショア市場を活性化するための環境整備を図る。

旅客運送サ-ビス(航空)

1. 高コスト構造・活性化阻害の現状

 日本の航空運賃は普通運賃では諸外国より割安となっており、また事前購入割引運賃では、米国とほぼ同程度、英国よりは高く、ドイツよりかなり安い。なお、諸外国では更に厳しい制限がついた大幅割引運賃が提供されている。特に米国では、「イ-ルドマネジメント」(需要動向と収入確保)の考えの下、厳しい使用条件付の大幅な割引運賃が導入される一方、高需要期等には価格を上げる傾向があるといわれている。また、有効トン・キロ当たりのコストをみると、日本はアメリカの1.5倍となっているが、国土の違いから米国では長距離路線が多いこと等に留意する必要がある。

2. 高コスト構造・活性化阻害の要因

(1) 国際航空運賃については、幅運賃制度及びゾ-ン運賃制度が既に導入されているのに対して、国内航空では、割引運賃については届出制となっているものの、普通運賃については弾力的な運賃設定が難しいとの指摘もある。
(2) これまで見られなかった利用主体に制限のない新しい種類の割引運賃である竡桝O購入型割引」が導入されたが、今後はより多様な割引運賃の導入が望まれる。
(3) 地元の反対等のために、不採算路線の休廃止が困難なケ-スが多い。
(4) 高地価、国土条件の違いにより割高な空港使用料
(5) 我が国特有の価格体系に基づく割高な燃料費

3. 目標

(1) 目標

 割引運賃の多様化、普通運賃の弾力的設定を図ることにより、潜在需要の喚起、需要の平準化を図るとともに競争を促進し、航空業の効率化・活性化を推進する。

(2) 点検指標

・新たな割引運賃の導入例
・新たな運賃設定方式の導入例
・ダブルトリプルトラック化路線数
・特に座席利用率の低い路線数

4. 具体的な対応策

(1) 規制緩和

1) 競争促進政策の推進
・ダブル・トリプルトラックの弾力的運用(7年度以降逐次実施)
 国内線のダブル・トリプルトラック化による複数社運航を引き続き推進
2) 不定期航空輸送における航空機の要件の緩和等について検討
・コミュ-タ-航空(不定期航空運送事業のうち特定の二地点間において反復継続して行うもの)に係る航空機の要件の緩和等について検討し、その検討結果を踏まえ措置する(9年度目処)。
3) 技術関係規制等の見直し
・定期航空運送事業等の操縦士に係る乗務制限の緩和(8年度)
 定期航空運送事業等に使用される一定の航空機の操縦士について、航空身体付加検査の実施及び運航形態の限定を条件に、年齢制限を緩和する。
・航空法及び電波法に基づく検査について、検査デ-タの相互活用により、受検者の負担を軽減する(7年度)。
・耐空証明等航空機の安全確保に関する制度について、諸外国の制度を研究しつつ、使用者の負担軽減等にも資する方向で検討し、その検討結果を踏まえ措置する(9年度目処)。
4) 国内航空運賃における幅運賃制の導入
・国内航空運賃について、標準原価を最高額とする幅運賃制の導入について早急に細部の検討を進め、年内実施を図る。
5) 多様な割引運賃の導入
・5割以内の営業政策的な割引については、届出制となり、これを受けてこれまで見られなかった利用主体に制限のない新しい種類の割引運賃である「事前購入型割引」が導入された。今後は、利用率の低い深夜・早朝便等に係る割引等、事業者の創意工夫による多様な割引運賃の導入が望まれる。
6) 需要に対応した路線運営の環境整備
・地元の反対等のために不採算路線の休廃止が困難なケ-スが多いが、事業者が利用者利便の確保の観点から需要に対応した路線運営を円滑に行うことができるよう、地元地方公共団体等をはじめとする関係者の理解協力が最大限得られるように努める必要がある。

(2) 燃料費の削減

 (エネルギ-分野の高コスト構造是正・活性化のための行動計画を参照)

(3) 低コスト体質への転換

 低コスト体質への転換のために、固定費を中心とするコスト削減を進める必要がある。

(4) 顧客サ-ビスの充実

1) CRS(コンピュ-タ-予約システム)やFFP(常顧客優遇制度)等の新しい販売戦略の適切な活用により、利用者ニ-ズの高度化、多様化へ対応する必要がある。
2) 機内サ-ビスについて、路線や利用者の特性に応じて、場合によってはこれまでのサ-ビスを簡素化するなど、その多様化を図る必要がある

旅客運送サ-ビス(タクシ-)

1. 高コスト構造・活性化阻害の現状

 タクシ-運賃については、国によって人数割増し制や荷物割増し制が採用されたり、チップの習慣等があり、単純な比較は困難である。
 また、タクシ-事業は人件費がコストの約8割を占める労働集約的産業であり、人件費割合が高いこと、我が国の場合、諸外国と比べ、タクシ-運転手をも含む一国全体の賃金水準が高いこと、欧米諸国では低賃金の移民労働者やパ-ト労働者が多いこと等が、為替レ-トで比較した場合の運賃差に表れているものと考えられる。しかし、我が国のタクシ-運転手の賃金は他の産業の労働者の賃金と比べて低い水準にあり、かつ、労働時間も長いなど労働条件が厳しいこと等から、良質な労働力の確保のためには労働条件の改善が必要である。

2. 高コスト構造・活性化阻害の要因

(1) 運賃については、従来の平均原価に基づいて設定する方式に加え、この方式による申請を行わない者がいる場合にはこれを認めるとともに、この方式による運賃より安い運賃を設定することを希望する者がいる場合にはその具体的内容に応じ個別に判断することとしたが、今後はさらにタクシ-事業の効率性や事業者の創意工夫を高めるような運賃設定についての検討をすべきとの指摘もある。
(2) 増減車規制により需給調整が行われていることが、弾力的な事業運営を妨げているとの指摘がある。
(3) 事業区域についての制限が行われており、地域の交通流動の変化に事業区域の割振りが対応できなくなる場合には低効率となることがあり得る。
(4) 減退傾向にある需要に対応するため事業の一層の活性化が必要であるとの指摘がある。
(5) 道路走行環境の悪化のため、都市部での走行効率をあげることが困難となっている。
(6) 諸外国に比べ燃料費が割高である。

3. 目標

(1) 目標

 遠距離割引制度の導入等、運賃・料金の多様化を引き続き推進するとともに、増減車の一層の弾力化等を図るほか、タクシー事業の効率性や事業者の創意工夫を高めるような運賃設定のあり方について検討することにより、タクシー事業の効率化・活性化を推進する。

(2) 点検指標

・運賃・料金の多様化の状況
・増減車の弾力化等の状況
・新たな運賃設定方式の検討状況
・事業区域拡大の状況

4. 具体的な対応策

(1) 規制緩和

1) 運賃・料金の多様化
 運輸政策審議会答申(平成5年5月)を踏まえ、タクシ-に係る運賃・料金の多様化を図る。
2) 増減車の弾力化
 運輸政策審議会答申(平成5年5月)を踏まえ、タクシ-に係る増減車の弾力化を図る。
3) 事業区域の拡大
 大都市地域や地方中核都市にあっては、複数の市町村からなる事業区域である交通圏の設定を積極的に進め、その他の地域についても、地域の実情を踏まえ、事業区域の拡大を図る。
4) 乗合タクシ-の積極的推進
 乗合タクシ-について、多様な運行形態が可能となるよう個別事案に即して弾力的に処理するとともに、許認可の際の添付書類の省略や許認可に付す期限の伸長等の手続きの簡素化を行う。
5) 個人タクシ-免許等に際しての審査基準、審査方法の見直しを行い、
 運用の改善を図る。

(2) 顧客サ-ビスの充実

 ブル-ラインタクシ-(夜間の輸送力増強のため、混雑乗り場への集中的計画配車を軸とする夜間専用の車両)、リフト付きタクシ-など、利用者ニ-ズに応える多様なサ-ビスを供給する。

(3) 走行環境の改善(道路混雑の解消)

 運行効率低下の原因となっている道路混雑を解消するため、走行環境の改善を図る。

旅客運送サ-ビス(鉄道旅客)

1. 高コスト構造・活性化阻害の現状

 距離によって違いがあるものの、日本の鉄道旅客運賃が割高になっているものもあり、例えば、200kmにおいては、日本を100とすると、アメリカは74.1、フランスは81.4、ドイツは69.2と日本に比べて割安である。
 なお各国の運賃が安くなっている理由として、建設費・運営費に対するかなりの補助金を受けているためであるという指摘がある。

2. 高コスト構造・活性化阻害の要因

 5割以内の営業割引が届出で足りるなど、従来より市場の特性を生かした運賃設定を行っているが、現行の価格規制の運用がより効率的な経営の実現や価格設定の多様化に対し不十分との指摘がある。
 混雑緩和や多様化する利用者のニ-ズに応えるため、従来より複々線化等の輸送力の増強、サ-ビス向上等のための設備投資を積極的に行ってきているが、これらの設備投資における鉄道事業者の負担が重くなっているという面があり、このコストは原則として運賃・料金でまかなわれている。

3. 目標

(1) 目標

 鉄道旅客について、利用者利益の増進や事業者への経営効率化インセンティブの付与などを基本的視点として運賃設定方式を見直すことにより、鉄道事業の効率化・活性化を推進する。

(2) 点検指標

・新たな割引運賃の導入例
・新たな運賃設定方式の導入例
・職員一人当たり車両走行キロ

4. 具体的な対応策

(1) 規制緩和の推進

1) 旅客鉄道事業に係る運賃・料金規制
・従来から5割引までの営業割引は届出制であったが、平成7年4月より、さらにグリーン料金、寝台料金等の設備利用料金等について認可制を緩和、届出で足りることとした。また、回数乗車券に係る割引等について一定の範囲で認可制を緩和、届出で足りることとした。
・鉄道旅客運賃については、いわゆる上限価格制を含む運賃設定方式のあり方等について、鋭意検討し、速やかに結論を得る(7年度以降)。
2) 技術革新等に対応した安全規制の適切な見直し
3) 提出書類の簡素化等による申請者の負担軽減

(2) 社会資本整備の推進

・支援措置により鉄道新線の建設、複々線化等の鉄道整備を推進する。

農業生産

1. 高コスト構造・活性化阻害の現状

 良質・安全・新鮮な食料が適正な価格で安定的に供給されることは、生活の安定の基本である。我が国の農業生産コストは、国土条件等の制約から割高にならざるを得ない面があるが、消費者の納得できる価格の実現のため可能な限り効率的な農業生産を行う必要がある。また、我が国農業は、労働力の減少と高齢化が進行しており、その活性化が求められている。

2. 高コスト構造・活性化阻害の要因

(1) 国土条件の差異(農家1戸当たり農用地面積 米国は日本の137倍 (93年))
(2) 高い地価(農地価格 日本は米国の93倍 (92年 1ドル=126.65円))
(3) 土地利用型農業の規模拡大の遅れ
(4) 高い農業生産資材価格(肥料、飼料、農薬、畜舎、エネルギー価格等
(5) 農業労働力の減少と高齢化

3. 目標

(1) 目標

 効率的・安定的な経営体が生産の大宗(個別経営体35~40万戸等)を担う農業構造の実現等を通じ、一層の生産コストの削減と活性化を図る。

(2) 点検指標

・大規模層(例えば稲作における3ha以上層等)の占めるシェア
・農地の流動化の状況(農地の権利移動面積の動向)
・農業生産基盤の整備状況(第4次土地改良長期計画の進捗率)
・認定農業者(農業経営改善計画を樹立し、地域の担い手として市町村長に認定された者)数の動向
・新規就農青年数の動向
・農業生産資材価格の動向(肥料、農薬、農業機械、エネルギー価格等)
・10a当たり、あるいは一頭当たりの生産資材費、減価償却費の動向

4. 具体的な対応策

(1) 農地流動化の促進

 認定農業者への農用地の利用集積の促進等により、効率的かつ安定的な農業経営に農地の過半を集積

(2) 農業生産基盤整備の推進

1) 第4次土地改良長期計画の着実な進捗と高生産性農業生産基盤整備等の重点的かつ加速的推進

  1992年度末 2002年度末
水田整備率 50% 75%
うち大区画ほ場整備率 3% 30%

2) 農業生産の高度化と付加価値の向上等に資する施設整備の積極的推進

(3) 農業生産資材のコスト縮減

1) 農業生産資材費低減方策の推進
・肥料:登録有効期間を3年から6年に延長する品目の拡大(7年度中を目処)
    銘柄の集約、多段階輸送の解消、荷役の機械化等による物流合理化
    輸入肥料の活用拡大、施肥の合理化等
・農薬:有効期限の延長
    倉庫配置の統廃合等による物流合理化、減・軽量化の技術開発
    適切な防除による効率的利用の推進等
・農業機械:農機具の型式検査の申請書類の削減(7年度)、対象機種の見直し(8年度)
     部品の規格化・共通化
     経営規模に応じた適正導入・効率利用の推進
     中古農業機械の活用等
・新技術の開発等による製造コストの低減
・資材の合理的購入に資する情報の提供・活用システムの構築
・エネルギー等共通コストの引下げ(エネルギーの項参照) 等
2) 畜産経営コストの低減
・畜舎:畜舎建築に係る関連基準等のあり方の検討(8年度まで)
    低コスト資材・工法の採用等
・飼料:飼料用とうもろこし・大麦の丸粒での供給等の推進による一層のコスト低減
    配合飼料の点数制度の見直し(8年4月)
3) 農協による事業運営の見直し等

(4) 新食糧法の適切な運用

1) 生産者の自主性を尊重した生産調整の実施
2) 生産者の米の売渡し先等の多様化

(5) 農内農外からの新規就農者の確保

 青年の就農促進のための資金の貸付等に関する特別措置法の積極的運用等により現在の2~3倍に相当する新規就農青年を確保

(6) 生産現場に直結した新技術の開発・普及

1) 生産性向上・高付加価値化技術(直播に適した水稲品種・栽培技術等)
2) 農業労働の快適化・軽労化技術(野菜用の乗用型全自動移植機等)
3) 環境保全型農業技術(低コストの家畜ふん尿堆肥化装置等)

基準・認証、輸入手続き等

1. 高コスト構造・活性化阻害の現状

 基準・認証、輸入手続き等については、一律に高コスト構造・活性化阻害の有無やその程度を論ずることは難しい。しかしながら、OTOが受け付けた、市場開放問題および輸入手続きの円滑化に関する苦情の多くに改善措置が講じられたり事実関係等についての誤解を解いて輸入促進的な効果を生じていることから考えると、基準・認証、輸入手続き等が海外に比べて複雑な場合や、国際基準と国内基準が異なる場合には輸入を阻害する恐れがあり、これらのことが高コスト構造の一因となっているものと考えられる。

2.高コスト構造・活性化阻害の要因

(1) 基準・認証、輸入手続き等それ自体に係る問題

・海外からの新しい製品に適した規格・基準がないことにより輸入に支障が生じている場合があること。
・我が国の求める検査方法等が外国にとって不明確であったり、外国検査データの受入れが進んでいない場合があること。
・外国事業者等に対する十分な情報提供がなされていないために、基準・認証制度、輸入手続き等に関する誤解が生じている場合があること等。

(2) 規制担当部局に係る問題

・基準・認証、輸入手続き等に係る問題には個別具体的なものが多いため、OTO等を通じた具体的な要請・要望がないと、規制担当部局がその問題を認識しづらいという問題があること。

3. 目標

 輸入の拡大を図り関連のコスト低減を図るため、基準・認証等制度の見直しを進め、輸入手続きの一層の簡素化・迅速化を推進する。

4.具体的な対応策

(1) 基準・認証、輸入手続き等に関する規制緩和

・基準の設定等の違いには、各国の事情によるものもあり一律に問題があるとは言えないものの、今後とも、基準・内容・方法等に関し、国際的整合化を図るとともに、原則として、外国データの受入れ、相互承認制度の導入、自己確認品目への移行を進める。
・その際にはOTO、輸入協議会等の機能を積極的に活用する。

(2) APEC「当初の措置」

・貿易投資の自由化、円滑化の促進のため、APEC大阪会議にむけて、「行動指針」を策定するとともに、我が国としての前向きな「当初の措置」をとりまとめることとしており、この中で、基準・認証、輸入手続き等についての規制緩和についても盛り込むこととする。

公共工事

1. 高コスト構造・活性化阻害の現状

(1) 米国における実態調査結果等に基づき、我が国と米国の建設費の価格差を求めると、労務費、資材費、機械費等がいずれも高いことを反映し、その総合価格である工事総額における比較では、次の結果が得られた(「内外価格差調査研究会報告書」)。
 為替レート(1$=111円)では、日本が1割~4割程度高い。
(2) 我が国と米国との価格差を表現するにあたっては、対象となる工事や、用いる尺度、時期によって値が大きく異なる。

2. 高コスト構造・活性化阻害の要因

(1) 我が国と諸外国の事業実施システムを比較すると、我が国のシステムには次のような建設費を押し上げる特性がみられる。
1) 資材等の複雑な流通機構
2) 建設機械の低い稼働率
3) 安全及び工事中の周辺対策の水準の高さ
4) 中小企業の受注機会の確保等にも配慮した工事の発注規模

3. 目標

 平成6年12月に策定した「公共工事の建設費の縮減に関する行動計画」に基づき、1)資材費の低減、2)生産性の向上、3)技術開発を柱とする61施策を推進し、建設コスト縮減に向け、より一層努力する。

4. 具体的な対応策

(1) 建設省では、平成6年12月1日に1)資材費用の低減2)生産性の向上3)技術開発を柱とし、61施策を盛り込んだ「公共工事の建設費の縮減に関する行動計画」を策定し、関係省庁との連携の下、より一層の建設コスト縮減に向け努力することとした。
(2) 61施策による本行動計画は一定期間経過後、その実施状況と効果の検証を行い結果を公表する。
[具体的施策]
I. 資材費の低減による建設費の縮減
1) 輸入資材の活用(海外建設資材品質審査証明事業、海外資材活用モデル工事等)
 ・輸入資材の公共工事への円滑な導入を図るため、海外建設資材品質審査証明事業の対象品目の拡大、審査証明手続きの簡素化等を行う。
 ・輸入資材の品質、供給能力、納期等の課題に対応するため、直轄土木及び建築工事において海外資材の活用を図るモデル工事を実施する。
2) 資材の仕様・規格の標準化(資材の仕様・規格の標準化、規格の国際間の調和)
 ・我が国の資材生産にみられる多品種少量生産を是正する。
3) 商流・物流の効率化
 ・資材にみられる複雑な契約関係及び従来からの取引慣行を改善し、商流の効率化を図るよう、また、資材の交錯輸送の削減、輸送の共同化の推進等により、物流の効率化を図るよう、関係機関に対し、協力を要請する。
II. 生産性の向上による建設費の削減
1) 省人化、省力化の推進(労働量ミニマムの設計法の採用)
 ・設計段階における「資材量ミニマムから労働量ミニマム」への視点を重視し、標準設計等の改訂に着手する。また、製作工程の簡素化等、生産性を重視した設計への転換を図る。
2) 建設機械の効率的使用
 ・機械保有に係る情報ネットワークの構築、リース・レンタル、中古市場の活性化を関係機関と協力して推進する。
3) 工事の平準化と適切な発注ロットの設定
 ・資材、労働力、機械等の効率的調達を図り、生産性を向上させるため、国庫債務負担行為を積極的に活用するほか、中小企業の受注機会の確保にも配慮しつつ、発注ロットの大型化を図る。
III.技術開発による建設費の縮減
1) 建設費縮減に資する技術開発
 ・建設コストの低減、品質管理コストの削減、生産性及び安全性の向上に資する技術開発を進めるため「建設省技術五箇年計画」を策定する。
2) 技術開発を促進するための環境整備
 ・民間における技術開発を促進するため、特許技術の積極的評価・活用、技術提案総合評価方式の導入、提案競技型工事発注方式(性能発注方式)の活用等の各施策を推進し、競争性を促す環境整備を図る。
IV. 競争政策の推進
1) 一般競争制度の本格的採用等
 ・一般競争入札の本格的採用等「公共工事の入札・契約手続の改善に関する行動計画」(平成6年1月閣議了解)に基づく施策を平成6年度当初より積極的に実施している。

注:上記は、「公共工事の建設費の縮減に関する行動計画」(平成6年:建設省) の要約

住宅建設

1. 高コスト構造・活性化阻害の現状

(1) 気候風土、住宅供給方式、生活様式等の違いから住宅の価格差を算出する事自体が困難な面もあるが、例えば、建設省が平成6年5月に実施した調査(「北米における住宅及び住宅資材・部品のコストに係る調査」)では以下のとおりとなっている。
・米国(シアトル)で実際に平成5年に建設・分譲された約160平方メートルの木造2階建て戸建て住宅について、米国でのコストと日本(仙台)での建設・分譲を想定して算出したコストとを3つのケースで比較すると、為替レート(1$=111円)では、日本が米国の約1.82~1.98倍。

2. 高コスト構造・活性化阻害の要因

(1)市場構造───個別散在的な注文住宅が主であるとともに、多様な工法が存在し、規格化・標準化が図られにくい。また、新築中心の市場である(米国はほぼ2×4工法で集団的分譲住宅が主。また、新築の数倍の中古住宅市場が形成され、選択性、競争性の高い住宅市場を形成)。
(2)生産性────住宅建設全般において生産性が低い。
(3)流通システム;多段階構造、系列化、不合理な商慣習等の合理的でない面がある。
(4)消費者────細かいところまで丁寧な施工、仕上げを求めがち。また、価格、性能等の情報が不足し弱い立場におかれ、市場構造とも相まって、結果的に市場競争が弱くなっている。
(5)法規制────法規制が米国と異なること等がある(自然条件、市街地状況等が異なることを背景)。

3. 目標

 住宅建設コストの直接的軽減と適切な市場競争が行われるための環境整備を推進し、標準的な住宅の建設コストが、平成12年度(西暦2000年度)までに、これまでの水準の2/3程度に低減することを目指す。

4. 具体的な対応策

 平成6年3月18日、建設省において「住宅建設コスト低減に関するアクション・プログラム」を策定・公表し、これに基づき具体策を講じつつある。

(1)目標及び実施期間

 今後3カ年以内に位置づけられた全ての施策を実施又は着手し、そのうちのリーディング・プロジェクト(先導的な役割を担う特定の事業)の建設コストを、これまでの水準の2/3程度とするとともに、標準的な住宅の建設コストが、平成12年度(西暦2000年度) までに、これまでの水準の2/3程度に低減することを目指す。

(2)基本的考え方

 第一に、住宅産業界の生産・流通の合理化や関連規制の合理化により「住宅建設コストの直接的低減」を図ること、第二に、消費者への情報提供、産直住宅・輸入住宅の普及促進等により「適切な市場競争が行われるための環境整備」を図ることの二本柱とする。

(3)講ずべき施策の体系

1)住宅建設コストの直接的な低減(=コスト構成各要素の低減)
 ア 生産性の向上
  木造軸組住宅や中高層住宅等における合理化システムの普及、オープン化、施工工程管理手法の充実。また、住宅部品・設備の規格化・標準化を推進等。
 イ 建築士による設計段階におけるコスト管理手法の普及促進
  設計段階でのバリューエンジニアリング手法(建築士が建築設計の過程で建築コストに関する比較検討を行い、コスト低減のための提案を建築主に対して行う手法)を整備、普及。
 ウ 流通の合理化
  完成保証制度等の条件整備に併せた住宅融資資金の早期交付を検討し、中小工務店の資材調達を手形決済から現金決済に転換、資材調達コストを低減。また、商慣習の改善、資材流通に係る情報提供の推進等。
 エ 規制の合理化
  建築関係手続の迅速化、解釈運用の明確化等を推進。また、水道、ガス等の各種設備規制の合理化を関係省庁に要請。
2)適切な市場競争が行われるための環境整備(=市場メカニズムを有効に活用したコスト低減)
 ア 良質で低価格な規格型住宅の普及
  専用の展示場を八王子市に開設済み。
 イ 消費者への情報提供
  住宅フェアや画像情報提供システムにより、住まいづくりのポイント、地域の住宅の実態等の各種情報を提供。
 ウ 産直住宅・輸入住宅の普及促進
  公的なモデルプロジェクトの実施、消費者・生産者への情報提供、相談窓口の設置等を推進。
 エ 海外建築資材等の円滑導入
  建築基準法に係る基準・認証について、外国検査データの受け入れ、二国間の相互認証制度の導入、相談窓口の設置等を検討、推進。
3)リーディング・プロジェクト(=コスト低減の牽引役)
 ア 「プラス・YOU」住宅の開発・普及事業
 イ 住宅・都市整備公団のモデル住宅の建設事業
 ウ 産直住宅の普及促進事業
 エ 輸入住宅の普及促進事業

(注)上記は「住宅建設コスト低減に関するアクション・プログラム」(平成6年: 建設省)の要約


(参考資料) 中長期的な我が国の産業・就業構造の展望

 自由で活力ある経済部会報告書第1章においては、我が国の経済社会が進むべき基本的方向として、自由な企業と個人のイニシアティブを活かし、市場経済の活力を十分発揮できるようなシステムを構築して、自由で活力があり、内外に開かれた経済社会を創造することの必要性を示した。第2章では、こうした社会を創造するための政策の方向性が検討され、規制緩和の推進、新規事業のための資金供給、科学技術の創造、人材の育成、情報通信の高度化の促進、雇用の創出と労働市場の整備などの政策が提示されている。
 こうした分析を踏まえた上で、本報告書で指摘された諸課題への取組が十分に実施された時、我が国の産業・雇用の姿はどのような姿を示すのであろうか。この点についてできるだけ定量的に分析し、具体的なイメージを描くことは、自由で活力ある経済社会をいかに構築していくかを議論していく上で非常に有用なものと考えられる。
 本資料は、事務局において、自由で活力ある経済部会の議論の参考とするために作成されたものであり、自由で活力ある経済部会報告書とは別に、その概要を参考までに付するものである。また、ここで示した21世紀初頭の諸数値は、我が国経済は民間活動がその主体をなすものであること、また、国際環境の変化には予見し難い要素が多いこと等にかんがみ、それぞれ一定の前提に基づいて試算した結果であり、ある程度の幅をもって理解されるべきものである。

(推計方法)
 我が国産業の長期的発展の方向を提示するため、多部門モデル(計量委員会の下に開発)による総合的な展望作業を行った。この作業では産業間の相互依存関係を考慮するとともに、規制緩和の進展や情報通信の高度化といった諸条件を明示的な形で取り込んでいる以下は、そうしたモデル分析で得られた諸指標を基礎としつつ、より詳細な産業毎の情報を用いた産業連関の分析等を行うことにより、ありうべき21世紀初頭の我が国の産業構造を描いたものである。
 なお、試算にあたっては、今後の生産技術について様々な想定を行っている。そうした想定を行うにあたっては、各産業の技術動向に詳しい専門家に対し、今後の生産、労働需要、技術等についてヒアリング調査を実施するとともに、当該産業における規制緩和や情報化の具体的イメージを想定し、それらの生産技術への影響を盛り込む作業を行った。

1.産業構造の展望

 今日まで我が国経済の成長に合わせて産業構造も大きな変貌を遂げてきた。70年代の鉄鋼を軸とする『素材型』製造業の躍進に続き、80年代は自動車、電子・電気機械産業を中心とする『加工組立型』製造業が大幅な生産の拡大を成し遂げた。これに引き続き今後の我が国で成長する産業分野は何であるのかについて展望してみることにする。

(1)産業構成の変化

 実質GDPに占める製造業の比率をみると、1990年前後までは一貫して上昇してきた。今後は、円高やアジア地域の経済発展を背景とした海外生産や輸入の増加もあって、93年の27.7%から2000年には23.7%と低下する(図表1)。また、製造業の内訳をみると、80年代にシェアを大きく上昇させた「加工組立型」については、今後は、1993年の12.4%から2000年には10.2%と低下する。しかし、このうち、民生用電気機械やその他電気機械は、情報通信の高度化に伴うハード機器としてのニーズが高まり、高い伸びが見込まれる。次に、「素材型」や「その他製造業」についてみると、80年代を通じて、実質GDPに占めるシェアは低下し、93年には、それぞれ7.4 %、 7.9%となったが、この傾向は今後も続き、2000年にはそれぞれ7.1 %、 6.4%へとシェアはさらに低下するものと見込まれる 次に、「第3次産業(「電気・ガス・水道」、「運輸・通信」、「商業」、「金融・保険・不動産」、「サービス業」、「政府・非営利サービス」)」の実質GDPに占める比率をみると、93年の60.4%から2000年には64.9%と大幅に上昇する。なかでも、「サービス業」の伸びが大きく、93年の15.4%から2000年には19.2%へとそのシェアは上昇する。これはソフトウェアをはじめとした情報通信関連サービスが今後も着実に成長を続けていく他に、高齢化を背景とする医療関連サービス、自由時間の増加を背景とする娯楽サービス等の対個人サービスの需要が増加すると考えられることによるものである。

(2)成長期待分野

 21世紀にかけての我が国社会を展望すると、1)高度情報通信社会の到来によって、情報の自由かつ多様な流通が実現し、誰もがその便益を享受できる可能性が高い、2)少子・高齢社会の本格的な到来により、働き盛りの人口が減少し活力の低下が懸念される一方、女性、高齢者等意欲ある全ての人が社会参加や自立の機会を得られる可能性が高い、3)グローバル化が一層拡大・深化した社会では、人的・経済的な国際交流がより活発化する一方で、環境等一国の経済社会の枠を超えた問題の解決が求められる、といったことが見込まれる。
 このような経済社会環境の変化に直面して、既存産業の中には、生産や雇用が縮小したり、新たな事業展開を図らなくては存続できないものも生じると思われるが、その一方でこうした環境変化に伴って新たに生じるであろう社会ニーズに迅速かつ的確に対応し、今後、高い成長が期待できる分野(いわゆる「成長期待分野」)も数多くあるものと考えられる。そして、こうした動きを通じて、我が国産業は、より生産性の高い分野、より高付加価値な分野へとシフトしていくことになるであろう。
 そこで、以下において、21世紀に向けて、我が国が直面すると考えられる経済社会環境の変化に対応して、どのような分野が成長すると期待されるか、その主な関連分野について、将来の姿を簡単に展望してみることにする(図表2図表3)。

1)自由で活力ある経済社会関連分野

○情報通信関連分野
 情報通信の高度化は、業務の効率化、生産性の向上を通じてビジネスや研究部門等で大きな効果をもたらすとともに、高度なサービスの提供により新たな産業を創出するので、今後、急速に進展するであろう。そのため、今後は、高度な情報通信を活用して、利用者のニーズを的確に把握した、企業向けや家庭向けの魅力的なサービス(例えば、テレビ会議、移動体通信、ホームショッピング、遠隔教育、ビデオ・オン・デマンド 等)が普及し、高度なサービスに必要なコンテンツに対する需要が拡大していくものと見込まれる。情報通信関連分野の国内生産額(1990年価格)は、現在(1993年時点)の約56兆円から2000年約87兆円、2010年約155兆円に達すると見込まれる。

○企業活動支援関連分野
 消費者ニーズの高度化・多様化、国際化の進展等の中で、製品の高付加価値化を図るために、デザイン、研究開発等に係るサービスが積極的に利用されるようになっており、今後もこの傾向は続くものと見込まれる。また、技術進歩の著しい今日、企業は設備の陳腐化を回避するために、今後、ますます、リースを多用するようになると考えられる。さらに、情報化の進展の中で、事務処理の外注化や在庫管理の効率化等を図るため、情報サービスの活用が増えると思われる。こうしたニーズに対応して、対事業所サービスを中心とした企業活動支援関連分野(例えば、広告、リース、情報サービス、デザイン、ビルメンテナンス、警備、マーケティング)での成長が期待される。
 企業活動支援関連分野の国内生産額(1990年価格)は、現在(1993年時点)の約18兆円から2000年約32兆円、2010年約55兆円に達すると見込まれる。

○人材関連分野
 今後、産業構造の変化が進む中で、より付加価値の高い分野や新たな分野への円滑な労働移動を図ることのニーズや、こうした分野の開拓を担う人材の育成に対するニーズが高まるものと見込まれる。こうしたニーズに対応して、人材派遣サービス、有料職業紹介サービス、社員教育サービス、通信教育、専修学校、各種学校といった分野での成長が期待される。
 人材関連分野の国内生産額(1990年価格)は、現在(1993年時点)の約2兆円から2000年約4兆円、2010年約5兆円に達すると見込まれる。

2)豊かで安心できるくらし関連分野

○医療保健・福祉関連分野
 少子・高齢社会が本格的に到来する中で、核家族化の進行、社会や家族の変容によって、介護や育児等に対する社会的支援へのニーズが今後も高まるものと思われる。したがって、医薬品や医療器具、医療機関といった従来型の医療サービスは今後も順調に成長すると思われるが、これに加えて、例えば医療施設の環境衛生管理、在宅医療支援事業、医療情報・健康診断サービスといった、いわば、医療の周辺部分である医療関連サービスに対する需要や、福祉用等の介護に対する需要が高まると見込まれる。
 医療保健・福祉関連分野の国内生産額(1990年価格)は、現在(1993年時点)の約37兆円から2000年約55兆円、2010年約69兆円に達すると見込まれる。

○余暇・生活関連分野
 所得水準の向上、労働時間の短縮による自由時間の拡大等を背景に、個人個人が自分の個性にあった多様な選択が可能で、ゆとりと生きがいのある充実したライフスタイルを実現しようという欲求が高まっている。また、高齢社会の到来に伴い、「自然と親しむこと」「健康を維持すること」等を中心に余暇活動への関心はますます高まっていくと見込まれる。こうしたニーズに対応して、趣味・娯楽(例えば、文化・芸術鑑賞、外食、カルチャースクール)、観光・行楽(例えば、旅行、テーマパーク)スポーツ(例えば、フィットネスクラブ、スポーツ観戦)といった分野が成長すると期待される。
 余暇・生活関連分野の国内生産額(1990年価格)は、現在(1993年時点)の約38兆円から2000年約61兆円、2010年約92兆円に達すると見込まれる。

○良質な住宅関連分野
 高齢社会に対応して、高齢者等に配慮した住宅へのニーズが高まること、ライフステージに合わせた住み替えを行うようになると予想されること、これらと住宅の耐久性の向上により、中古住宅等の不動産流通システムが整備されること、住宅のリフォームへの需要が大幅に高まること等が期待される。こうした価値観、ライフスタイルの変化に加え、住宅建設コストの低減もあって、高度化・多様化する居住へのニーズに対応し、今後、良質で多様な住宅供給が見込まれる。
 良質な住宅関連分野の国内生産額(1990年価格)は、現在(1993年時点)の約21兆円から2000年約29兆円、2010年約36兆円に達すると見込まれる。

○環境関連分野
 地球温暖化や廃棄物問題等、近年様々な問題が顕在化しているが、これら環境問題は我々の経済活動及び日々のくらしと密接に関係している。豊かな国民生活と自由で活力ある経済社会を実現するためにも、我が国経済社会システムを環境と調和したものに変革していく必要がある。本分野に関する具体的な市場としては、廃棄物処理やリサイクル、公害防止装置、低公害車、エネルギー(省エネルギー、新エネルギー)環境保全等が考えられている。
 環境関連分野の国内生産額(1990年価格)は、現在(1993年時点)の約12兆円から2000年約18兆円、2010年約24兆円に達すると見込まれる。

2.就業構造の展望

 これまでの産業構造の変化に伴って就業構造も大きな変貌を遂げてきた。昭和49年(1974年)以降、製造業就業者が景気循環に対応して増減を繰り返し、商業就業者の伸びが小幅になる一方、サービス業就業者は堅調な伸びを持続し、近年では製造業就業者と同水準に達している。
 以下では、およそ平成12年(2000年)頃までの労働力供給と平成12年(2000年)における就業構造を推計し、また、1.2)で取り上げた成長を期待される産業分野の雇用創出効果について試算してみることとする。

(1)2000年頃までの労働力供給の展望

 経済成長に対して労働力供給量は基本的な制約要因の1つとなっているため、就業構造の推計の前提として、今後の労働力供給を展望することが重要になる。今後の労働力供給に大きな影響を与える要因として、高齢化の進展及び女子労働者の増加が考えられるため、以下ではこの2点についてみていくことにする。
 まず、高齢化の進展がもたらす影響について、高年齢層(55歳以上)と若年層(15~29歳層)の労働力人口の平成5年度(1993年度)から平成12年度(2000年度)の間の増減をみると、高年齢層では労働力率の上昇等からこの期間中に200万人程度増加するものと見込まれる。これに対して若年層では、第2次ベビーブーム世代が労働市場へ参入する一方で、進学率の上昇や第2次ベビーブーム世代に続く若年人口の急速な減少の影響が大きく、この期間中に若干減少し始めるものと見込まれる。
 女子労働力については、経済のサービス化、出産・育児や家族の介護が必要となる労働者に対する支援策の充実等を背景に30~40歳台の労働力率が上昇するものと見込まれる。しかし、労働力人口に占める女子の割合は40%程度で推移し、大きな変化はないものと見込まれる。
 こうした動きを総合すると、平成12年(2000年)頃までの間、労働力人口は増加を続けるもののその増加割合は鈍化していき、平成12年度(2000年度)時点の労働力供給は現在より 180万人程度増加し、6810万人程度になるものと見込まれる(図表4)。なお、その後、21世紀初頭には、労働力人口は若年労働力人口の減少等により、減少していくものと見込まれる。

(2)就業構造の変化

 製造業就業者は、1.(1)で指摘した海外生産や輸入の増加の雇用面への影響から平成12年(2000年)までの間に60万人程度減少するものと見込まれる。
 次に、第3次産業のうち、商業とサービス業の就業者比率が大きいが、商業では近年、スーパーマーケットが含まれる各種商品小売業やコンビニエンスストアが含まれるその他の飲食料品小売業で大きな伸びがみられ、サービス業では、全体的に大きな伸びがみられるなかで、特に企業活動支援関連、医療保健・福祉関連及び余暇・生活関連等の分野の伸びが顕著である。
 今後、商業については規制緩和の推進や物流の効率化が進む中で、就業者数についても平成12年(2000年)までの間に30万人程度の減少が見込まれる。サービス業については1.(1)でみたように情報通信関連サービスをはじめとして産業自体の成長が期待できる上、医療関連サービスや娯楽サービス等、省力化の困難な対人サービス部門に対する需要が増加することもあって、平成12年(2000年)までの間に280万人程度の増加が見込まれる。こうしたことから、第3次産業全体としては、平成12年(2000年)までの間に 330万人程度の増加が見込まれるところである。(図表5

(3)成長期待分野における雇用創出

 1.(2)においてみた高い成長が期待できる分野における雇用創出効果について、国内生産額等をもとに、その就業者数の増加分を試算してみると、結果は次の通りである(図表6)。

1)自由で活力ある経済社会関連分野

○情報通信関連分野
 情報通信関連分野においては、平成5年(1993年)から平成12年(2000年)までの間に60万人程度、平成12年(2000年)から平成22年(2010年)までの間に90万人程度、合計で 150万人程度の増加が見込まれる。
○企業活動支援関連分野
 企業活動支援関連分野においては、平成5年(1993年)から平成12年(2000年)までの間に70万人弱、平成12年(2000年)から平成22年(2010年)までの間に70万人弱、合計で 130万人強の増加が見込まれる。
○人材関連分野
 人材関連分野においては、平成5年(1993年)から平成12年(2000年)までの間に5万人程度、平成12年(2000年)から平成22年(2010年)までの間に3万人程度、合計で8万人程度の増加が見込まれる。

2)豊かで安心できるくらし関連分野

○医療保健・福祉関連分野
 医療保健・福祉関連分野においては、平成5年(1993年)から平成12年(2000年)までの間に 110万人程度、平成12年(2000年)から平成22年(2010年)までの間に70万人程度、合計で 180万人程度の増加が見込まれる。
○余暇・生活関連分野
 余暇・生活関連分野においては、平成5年(1993年)から平成12年(2000年)までの間に 130万人弱、平成12年(2000年)から平成22年(2010年)までの間に70万人弱、合計で 190万人程度の増加が見込まれる。
○良質な住宅関連分野
 良質な住宅関連分野においては、平成5年(1993年)から平成12年(2000年)までの間に40万人弱、平成12年(2000年)から平成22年(2010年)までの間に3万人程度、合計では40万人強の増加が見込まれる。
○環境関連分野
 環境関連分野においては、平成5年(1993年)から平成12年(2000年)までの間に11万人程度、平成12年(2000年)から平成22年(2010年)までの間に7万人程度、合計で18万人程度の増加が見込まれる。


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