生計費調査(1995年)による購買力平価及び内外価格差の概況
                                                          1996年5月  
                                                          経済企画庁物価局

経済企画庁では、1988年以来、家計で購入される商品・サービスの個別価格調査を 行い、欧米主要都市と比較した東京の生計費の購買力平価を算出し、内外価格差の数 字を毎年公表してきている。

(調査の概要)
前回の調査までは、欧米4都市(ニューヨーク、ロンドン、パリ、ベルリン)の中 から毎年1都市を選び価格実態調査を行い、その他の3都市については、過去の実態 調査価格を消費者物価指数の上昇率で延長し、価格を推計してきたところである。今 回の調査では新たにジュネーブを調査対象都市に加え、パリ及びジュネーブの2都市 について価格実態調査(約 400品目)を行い、その他の3都市(今回はニューヨーク 、ロンドン、ベルリン) については、延長推計を行った。また、東京については、 総務庁「小売物価統計調査」を基本に毎年価格調査を行っている。
この価格調査にしたがって欧米主要都市と東京の個別品目の購買力平価を算出し、 これを集計することにより生計費全体の購買力平価を算出している。さらに、購買力 平価を為替レートで除することにより、欧米主要都市と比較した東京の内外価格差を 計算している。

(調査結果)

  1. 購買力平価の動向
    今回算出された1995年の生計費の購買力平価は、それぞれ、149円/ドル(ニュー ヨー ク)、 226円/ポンド(ロンドン)、25.2円/フラン(パリ)、88.9円/マル ク(ベルリン)、81.2円/スイスフラン(ジュネーブ)となった。今回初めて調査を 実施したジュネ−ブを除いて、94年の調査結果と比較すると、各都市に対する東京の 生計費の購買力平価は、対ニューヨークでは約3.9%、対ロンドンでは約3.4%、対パ リでは約4.2%、対ベルリンでは約2.0%改善した。これは各都市の消費者物価が95年 11月の前年比で1.7〜3.1%の上昇となったのに対して、東京の消費者物価が同前年比 0.9%の下落となったためである。
    こうした購買力平価の改善は、規制緩和の進展、製品輸入の増加等を背景としたい わゆる「価格破壊」の進行の下で、経済構造の変化を伴って我が国の物価が安定的に 推移している状況を反映しているものとして評価できる。

  2. 内外価格差の動向
    しかし、購買力平価をそれぞれの為替レート(1995年平均)で除した東京の各都市 に対する内外価格差は、ニューヨークに対して1.59倍、ロンドンに対して1.52倍、パ リに対して1.34倍、ベルリンに対して1.35倍、ジュネーブに対しては1.02倍であり、 ヨ−ロッパの中でも物価が高い都市として知られているジュネ−ブとはほとんど差が ないものの、他の都市に対しては、依然として大きな内外価格差が残る結果となった。
    これを前回の調査結果と比較すると、パリ及びベルリンに対しては内外価格差は縮 小したものの、ニューヨーク及びロンドンに対しては内外価格差は拡大した (表1) 。このように、内外価格差の推移が都市毎に斑模様となったのは、円がマルク、フラ ンスフランに対しては減価した一方、ドル、ポンドに対して特に年前半大きく増価し 、購買力平価の改善を上回る円高となったためである。
    また、欧米各都市に対する東京の内外価格差を費目別にみると、特に食料品、被服 ・履物、エネルギー、家賃の費目において内外価格差が依然としてかなり大きいとの 結果が得られた (表2)
    以上の結果からみると、内外価格差が大きい分野を中心に、その背景にある要因を 明らかにしつつ、今後とも規制緩和の推進、輸入の拡大等を通じた競争環境の整備を 行う中で、生産性の向上に基づいた国内物価の安定を確保し、購買力平価の一層の改 善を図っていくことが重要である。