経済審議会経済社会展望部会(第2回) 議事録

日時: 平成9年9月11日
場所: 経済企画庁特別会議室(1230号室)

経済企画庁


経済審議会経済社会展望部会(第2回)議事次第

平成9年9月11日(木)14:30~16:00
経済企画庁特別会議室(1230号室)

  1. 開会
  2. 検討テーマとその相互の関連及びワーキンググループの設置について
  3. その他
  4. 閉会

(配布資料)

  1. 資料1.経済社会展望部会委員名簿
  2. 資料2.検討テーマとワーキンググループの設置について(案)
  3. 資料3.検討テーマと関連する既存研究
  4. 資料4.各テーマの相互の関連等について

経済審議会経済社会展望部会委員名簿

部会長  小林 陽太郎 富士ゼロックス(株)代表取締役会長
部会長代理 香西  泰  (社)日本経済研究センター会長
   委員 稲葉 興作 日本商工会議所会頭
石川島播磨重工業(株)代表取締役会長
      井堀 利宏 東京大学大学院経済研究科・経済学部教授
      岩田 一政 東京大学教養学部教授
      角道 謙一  農林中央金庫理事長
      川勝 堅二 (株)三和銀行相談役
      黒田 晁生 明治大学政治経済学部教授
              日本経済研究センター主任研究員
      小島 明 (株)日本経済新聞社論説主幹
      小長 啓一 アラビア石油(株)取締役社長
     小林 佳子 (株)博報堂キャプコ取締役
     佐々波 楊子  慶応義塾大学経済学部教授
     下村 満子 (財)東京顕微鏡院理事長
      清家 篤 慶応義塾大学商学部教授
      中井 検裕  東京工業大学大学院社会理工学研究科助教授
      長岡 實 東京証券取引所正会員協会顧問
             日本たばこ産業(株)顧問
      奈良 久彌 (株)三菱総合研究所取締役会長
      成瀬 健生 日本経営者団体連盟常務理事
濱田 康行 北海道大学経済学部教授
      原 五月 日本労働組合総連合会副会長
ロバート・アラン・フェルドマン ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社東京支店マネジング・ディレクター
    深海 博明 慶応義塾大学経済学部教授
     福井 俊彦 日本銀行副総裁
      村田 良平 (株)三和銀行特別顧問
      八代 尚宏 上智大学外国語学部国際関係研究所教授
      吉井  毅 新日本製鐵(株)代表取締役副社長
      吉川  洋 東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授
      鷲尾 悦也 日本労働組合総連合会会長


〔 部会長 〕 時間でございますので、ただ今から第2回経済社会展望部会を開催させ ていただきます。
 皆さんには、大変お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございます。
 さて、今日の議題は「検討テーマとその相互の関連及びワーキンググループの設置につ いて」ということでございます。この議題について事務局からご説明をいただき、その後で ご意見をいただきたいと思います。
 それでは、早速、事務局からご説明をお願いいたします。

〔 事務局 〕 最初にお手元の資料2検討テーマとワーキンググループの設置について (案)に従いましてご説明申し上げます。
 この部会の下に1地球環境、2グローバリゼーション、3産業構造、4技術革新、5雇 用・労働、6財政・社会保障、7金融、8土地・住宅、9ライフスタイル、細かく分けれ ばこの9つのテーマがあろうかと思われますけれども、このテーマごとにワーキンググル ープを設置するということでございます。それぞれのワーキンググループのテーマにつき ましては、別紙ということで、この資料2の2ページ目と3ページ目にさらに詳しく書い たものを載せてございます。
 2ページ目、3ページ目にあります検討テーマのうち、2、グローバリゼーションから 5、雇用・労働までの4つにつきましては、後ほど資料3に従いましてより詳しく問題の 所在、あるいは議論の出発点、あるいは前提となります既存の研究なり議論をご紹介させ ていただくということにしたいと思います。
 1と6、7、8、9につきましては、次回の部会におきまして、本日の資料3のような 形でより詳しくご説明してご議論いただきたいと考えております。
 1ページに戻っていただきまして、このように9つのワーキンググループに分けたとき に相互に関連する部分も勿論ございますわけですが、この点に関しましては、本部会にお いて相互の関連部門についてご議論いただいて、相互の整合性を図る、あるいはマクロ経 済などの全体フレームについても、本部会においてご議論いただくということにしたいと 思います。
 ワーキンググループのメンバーの方々につきましては「必要に応じて新たに特別委員の 追加ができるものとする」ということ。それから、雇用・労働につきましては、もう一つ 設けられております経済主体役割部会の検討テーマとも密接に関係いたしますことから、 本部会と展望部会の両部会の下に合同で設けられるということにしたいと考えております。
 以上を前提といたしまして、同じ資料2の4ページでございますけれども、今後の本部 会におきます審議スケジュールを部会長ともご相談させていただいた上でこのように考え ております。
 年内につきましては、一応日時も決めさせていただいております。次回第3回は10月8 日(水)午前10時から12時までということで、先ほど申し上げましたように検討テーマの 1及び6から9までについてより詳細にご議論いただきたいということでございます。 第4回は11月20日(木)午後2時から4時までということで、この11月20日におきまし ては一昨年経済審議会の答申をいただきまして閣議決定されました経済計画のフォローア ップ及び9つのワーキンググループの検討状況の中間報告といった点をご議論いただきた いと考えております。
 そして、フォローアップに関しましては12月初旬に予定しております経済審議会総会に お諮りするということでございます。 第5回は12月18日(木)の午前10時から12時ということで、第5回から第8回まで4回 ぐらいかけましてそれぞれのワーキンググループをいくつかのグループに分けましてそれ ぞれテーマを順次審議していただというふうに考えております。
 4月、5月は全体にかかわるご審議をいただきまして6月に報告書を取りまとめていた だくというスケジュールで考えております。
 資料2に関しましては以上でございます。

〔 事務局 〕 それでは、今、9つのワーキンググループの大まかな検討テーマをお諮 り申し上げておりますけれども、そのうち本日は2のグローバリゼーションから5の雇用 ・労働までもう少し掘り下げた問題の所在、論点、既存の一部の研究のご紹介ということ で説明させていただいた後ご議論を賜りたいと思います。
 資料3ー1、3ー2を同時に使わさせていただきます。3ー1の方は文章編であり、3 ー2はそれに関連した図表でございます。
 資料3ー1のグローバリゼーションの1ページをお開きいただきたいと思います。
 さまざまな論点がグローバリゼーションに関してありますけれども、私どもとしては、 以下の7つの問題の所在を認識したいということでございます。
 1つは言うまでもなくグローバリゼーションに係る生産要素の移動。モビリティーが広 い意味の生産要素まで広まってきており、いわゆる経営資源とか人的資本という新しい生 産要素の移動という視点も重要ではないかというのが1つの問題の所在でございます。
 2つ目と3つ目がグローバリゼーションのプラス又はマイナス面の評価ということを、 いくつかの軸でもう1回整理してみたらどうかということです。2.は政府間での貿易の 自由化や、資本自由化交渉の進展も大きく寄与していて、この面ではウルグアイ・ラウン ドの経済交渉は潜在的に大きな厚生増加をもたらすとかいうことであります。
 他方マイナス面の評価ということで、1つは貿易に与えるネガティブな影響。グローバ リゼーションの進展によって一国の経済的なコヒアランスが侵されるのではないか、等の 議論があるということを承知しております。
 もう一つは、いわゆる空洞化。日本の企業が外に行くことに伴って国内の産業構造、企 業構造が空洞化するのではないか。こういうのをもう一度どう考えるかという問題意識も 持ってみたいということでございます。
 5.は、グローバリゼーションによる集積現象のダイナミズムということで、いわゆる 集積現象と外部経済が働く、そういう中で若干遅れて規模の不経済が働く、あるいはそこ に広義の輸送コストがだんだん低下してくるといういろいろな要素が組み合う中で、いわ ゆる集積現象という観点で、周辺構造という切り口があるのではないかと理解しておりま すけれども、こういうのをグローバルなコンテクストの中で、あるいは日本経済の中でど う考えたらいいのかという最近の議論があると理解しております。
 これらを踏まえた上で、グローバリゼーションと他国間の制度調和ということで、各国 はコアたる産業の中心となるべく企業の参入の促進や、他国間の制度調和議論へ各国の利 害を反映させることを行っているということで、いわゆる企業の競争環境といった分野に おける調整、こういう方向に今世界経済全体が進んでいるのではないかというような理解 でございます。
 2ページにまいりまして、以上を踏まえまして、このような点に合わせて構造改革等の 推進、こういうものをさらに踏まえて世界の経済社会、特に日本の経済を展望してみたい ということでございます。
 以上のような問題の所在、認識の上に立ってテーマ及び既存研究ということで、先ほど お諮りしました大まかなテーマと重複しておりますけれども、グローバリゼーション・ワ ーキンググループにおきましては以下大きく分けて5つぐらいのサブテーマを検討いただ いたらいかがかということでございます。
 1つは制度間競争の現状と我が国の対応について、さらにサブテーマとしまして、(1)、 (2)というような論点でございます。
 2つ目が、拡大する貿易・投資と国民経済ということで、新しい比較生産の構造をみる 視点とか、雇用との関係、集積現象というのをどう考えるかということでございます。
 ちなみに、図表編の方で、その関係で既にご案内のとおりではございますが、いくつか のデータを集めてみました。3ページが輸入浸透度の高まりによって相対賃金がどうなる のかということ。これに関してはいろいろな論争があると理解しておりますけれども、こ こで引用した文献では、これまでのところは国によってあるいは産業によって大きな影響 は必ずしもない、あるいは見えないという結果でございます。
 他方、4ページの方は若干違った実証研究になっております。このようなものを今後さ らに掘り下げていって、特に日本経済への影響を勉強してみたいということでございます。
 図表編の5ページでは、国内企業を海外に事業を移した場合に、国内の生産、雇用にど ういう影響を与えるかという1つの研究でございますけれども、これまでは生産及び作用 にはどちらかと言えばプラスの影響があったわけでございますけれども、だんだんとプラ ス効果の幅も小さくなって、95年にはついにマイナスなっています。
 6ページでは、いわゆる集積を促進するメカニズムということで、いろいろなところで こういう現象が説明できるわけでございますけれども、既にご承知のとおり、上は消費財 部門、下は中間投入財ということで、例えば上ですと消費者がある地域に集中した場合、 後方連関効果ということで、それを支える消費者産業が集まってくるだろう。そうすると 規模の経済がビルトインされている場合には、さらに安価で多様な消費財が供給される。 そうすると、それらがさらに消費者の行為を高めてさらにその地域に人が集まってくると いうプラスのフィードバックが働くだろうという説があると聞いております。
 そのあたりのことを文章編の2ページ、3ページに要約しております。時間の関係で説 明は省略させていただきます。
 文章編の4ページにまいりまして、以上のようなことを踏まえて3.中長期政策の国際 相互依存関係ということでございますけれども、特に構造改革といった国内の制度設計を 意図する一国の中長期の経済政策が、各国間の貿易、産業構造等にどのような影響を及ぼ すのかということを、定性、定量的にこのワーキンググループでは検討していただきたい と考えております。
 以上がグローバリゼーションのポイントでございます。
 続きまして文章編の5ページ、図表編が7ページ以降でございますけれども、まず文章 編5 ページには産業構造のワーキンググループにおける問題の所在及び論点を挙げており ます。もちろんこのワーキンググループは、今、ご説明申し上げましたグローバリゼーシ ョンと切っても切れない関係にあることを認識しつつ、以下のような問題の所在あるいは 論点を大きく4つに分けて考えてみました。
 1つは、これまでの、いわゆる3層に重なった産業構造、「重層構造」という呼び方が ありますけれども、こういう構造からの脱却、いわゆる生産性上昇率格差をいかに縮小し ていくか。特にボトムのところの生産性をどう上げていくか。もちろん今までになく一層 の生産性をどう図るかということが日本経済の再生のカギだということが基本的な認識で ございます。
 それから、3つの視点ということで、1つは構造改革、規制緩和ということことが、こ れまでの産業構造を脱却に向けてどういう影響を与えてどうなるのかということを展望す る。この際、第1回の本部会でご発言をいただきました技術、資本、労働の質、これが大 変重要な要素となるけれども、これを引き出すインセンティブとは何かという観点からの 検討も必要ではないかということです。
 2つ目の重要な作業は、言うまでもなく産業技術力の将来展望であります。これに関し ては後ほど申し上げます。
 3つ目の視点ということで、産業構造変革の原動力となる新規産業振興策ということで、 いわゆるダイナミズムを引き出すための企業・産業環境の整備ということで、現在の日本 の産業構造、企業構造は少産少死型と言われておりますけれども、これをアメリカ的な多 産多死型、いわゆるダイナミックな企業の発生と消滅という構造にもっていくための企業 の環境整備は何かというような視点でございます。
 以上、このワーキンググループではこういうことを踏まえて我が国の産業構造を国際的 な視点から展望する。タイムスパンは大体2005年あるいは2010年ということで、産業のカ バレッジも製造業のみならず第3次産業もカバーするということでございます。
 文章編の6ページでございますが、各テーマ及び既存研究ということで、1つは比較優 位構造の変化ということで、比較優位状況を示す指標、比較優位構造に影響を与える要因、 比較優位構造を捉えるための産業分類の視点を検討テーマにしています。これは言うまで もなく、グローバリゼーション・ワーキンググループと連携をとりつつ作業をしていきた いということでございます。
 6ページの後段部分は、これまでの比較優位に関するいくつかの論文を簡単に紹介させ ていただいております。文章編6ページは浦田先生のご研究でありますが、その中で産業 の比較優位を規定する要因を分析するに当たり、「生産要素からの接近」、「産業組織論 からの接近」、「政策からの接近」を試みておられます。
 7ページにまいりまして、そういう中で特に技術集約性ということに焦点を絞った研究 ということで、図表編では9、10ページあたりに図表がありますけれども、日本の技術集 約財産業について、この面からのさらなる検討ということも当ワーキンググループに期待 をされているところでございます。
 2.は、構造改革・規制緩和等が産業構造に与える影響ということでございます。これ に関しては、先般の私どもの試算、通商産業省の試算、併せて図表編の11ページで、八 代先生の最近のご研究のレポートの中で、産業別の生産性が将来どうなるのかというご研 究がございますけれども、こういう結果もご紹介させていただきます。私どもの問題意識 と大変似ておりまして、今後、こういうのをさらにブラッシュアップしてみたいというこ とでございます。
 文章編の7ページの3.産業技術力の将来展望は後ほど申し上げます。
 文章編の8ページにまいりまして、産業構造ワーキンググループのその次のテーマとし て、新規産業創出促進のための環境整備及びその中での対内直接投資という論点がございま す。図表編ではいくつかの資料、例えば12ページでは現在用意されている、あるいは既に 用意されたいくつかの施策のご紹介。13ページの下段の図2ー8は創業活動阻害要因を調 査したものであり、人材と並んで資金面が1つの大きな阻害になっているという結果にな っております。他方、創業資金に関してはちょっと違った見方もあります。次の14ページ の表2ー9は早稲田大学の松田先生のご研究でございますけれども、ベンチャー企業の起 業動機、起業を設立するときの動機から見ると、創業資金の存在というのは必ずしも大き なウエイトを占めていないというようことになっております。このようないろいろな意見 がある中で、これらをさらに深掘りをしていただきたい。併せて人材面、経営面等々につ いてワーキンググループでご検討賜りたいと思います。
 文章編の10ページ、図表編の15ページでございますが、技術革新に関しても1つのワー キンググループを作らせていただきたいと考えております。第1回の部会で、委員から技 術をどういうふうに考えるかということが大変重要であるというご発言がありましたけれ ども、そういうことも踏まえて1つのワーキンググループをセットさせていただきたいと 思います。検討テーマはそこにありますようなことで改めて言うまでもないと思います。
 資料編の15ページで、その関係の資料を1枚か2枚ご紹介させていただきます。3枚の グラフは科学技術庁の最近の調査であります。図の3-1は、今後エレクトロニクス、ラ イフサイエンス、環境というのが我が国にとって今後重要であるという調査結果でありま す。経済発展の基盤という観点からみれば、言うまでもなく上の2つと下から4つ目の通 信ということになろうかと思います。こういう重要分野で、現在第一線にある国は何かと いうのが15ページの一番下のグラフでございますけれども、環境ということですと米国に 次いで日本。ライフサイエンスですと米国に次いで日本がまさっている。エレクトロニク スは米国に次いで日本という調査結果になっております。 時間の関係で若干とばさせていただきまして、図表編の18ページの下段、ヨーロッパ、 アメリカ、日本におけるISO(国際標準化)への取組みということで、工業技術院の資 料を引用したものでございます。表3ー9は欧州の場合でございますけれども、ISOを 競争施策の重要な柱と考えている。そういう観点で国際標準化機関への活動の参加が特に 重要ということで、ヨーロッパの場合はISOにおける技術委員会の幹事を積極的に引き 受けているということであります。幹事引受割合は全体の66%だということでございます。 特に情報通信ということに力を入れているということがこの表からもある程度推測がつく と思います。 米国はどうかといいますと幹事引受割合は17%ということで、ヨーロッパに負けじと幹 事引受けということに前向きになっているということであります。
 19ページにまいりまして、日本はどうかということで、日本における幹事引受けは、数 字は書いてありませんけれども、引受割合4%ということでございます。
 ということで、次の時代の技術を決めているのは何かという観点でいろいろあると思い ますけれども、1つISOへの積極的な参加ということも無視できないのではないかとい うような問題意識を持っております。
 最後、文章編の13ページでございますが、4.雇用・労働でございます。これは先ほど 申し上げましたように経済主体役割部会とジョイントでワーキンググループを作らせてい ただきたいと考えているものでございます。大きく分けて1.(1)構造改革後の労働市場の 展望ということで、潮流の変化、あるいは構造改革によって我が国の労働市場はどのよう な変化するかということで、その中でサブテーマ(1)労働力需給の展望、(2)労働力需給ギャ ップの把握と対応策、(3)いろいろな改革が労働市場にどういう影響を与えるか。その中に は賃金格差の展望、雇用調整の展望ということも含める。(4)製造業と流通業の相互依存関 係が、これまでのいわゆる流通系列からヨーロッパあるいはアメリカ型の小売業主導の経 済に変わるのではないかという主張もあり、こういう中での雇用はどうなのかということ も勉強してみたいということでございます。
 文章編の14ページにまいりまして、雇用・労働のワーキンググループのもう一つの重要 な検討テーマは、いわゆる日本の雇用システムの在り方、あるいは日本の雇用システムの 展望ということで、さまざまな観点から(1)供給サイド、(2)需要サイド、その中には正規雇 用者の動向を占う場合の技術進歩、生産性、それに関連した教育訓練コスト等々の観点か ら、さらに深堀りをしてみたい。 (3)の就業形態の多様性に関しまして、いわゆる外部労働市場の変化に係るいろいろな論 点があります。ここでさらに勉強してみたい。それらを踏まえた上で雇用システムの在 り方の展望。日本の雇用システムが変わったときにマクロ経済にどういうインプリケーシ ョンを持っているのかというところまでもう一ぺん返って議論してみたいということであ ります。 図表編ではいくつか用意させていただいておりますけれども、時間の関係で省略させて いただきます。 それから、資料4、B4の2枚紙がございます。これは何かと申しますと、前回の部会 で部会長代理から、いろいろ貴重な意見を賜ったのだからいくつかのセクターの相互の関 係を、あるいはマクロのインプリケーションというのを少しまとめてみてはいかがかとい うご発言を賜りました。とりあえずこういう形で作ってはみましたけれども、表の見方だ けをついでに申し上げます。
 縦に地球環境、グローバリゼーション、産業構造、技術革新、次のページに雇用・労働 というふうに9つ並んでおります。一番右は、これはワーキンググループと関係ありませ んけれども、マクロ経済のインプリケーションという形で適宜思いつくことを書いておき ました。
 ○と●と★を適宜書いておきましたけれども、●は前回、これもいろいろな委員の方か らお話がありましたトレード・オフについて、同時点間のトレード・オフ、異時点間のト レード・オフということも十分考慮して示したものでございます。
 それから、前回委員の方からお話のございました資本とか労働とか技術をどういうふう に動機づけて前面に出していくか。こういう問題意識も非常に重要だというお話もあり、 これは適宜入れさせていただいております。
 ○は、どちらかわからないけれども、とにかく相互連関があるということでございます。
 なお、何も書いていないセルがございますが、これは直接的な相互連関は思いつかなか ったのでございますけれども、言うまでもなく間接的な相互連関というのはそのうちに出 てくるのだろうということです。
 今後、この1つ1つのセルを相互連関を念頭に置きつつ個々のワーキンググループで作 業をしていただいて、これをこの表で申しますと一番右のマクロのフレームに反映させて、 それを再度、1つ1つの個別のセルにフィードバックするという作業をこの半年やってい く。そういうプロセスの中で全体の当部会としてのメッセージを方向づけていく。こうい う作業になるのではないかと思っております。以上でございます。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。
 資料2・3・4、最初の段階で盛りだくさんという感じをお持ちかもしれませんが、最 初にワーキンググループの設置についてご意見をまず伺って、その後、資料3・4に移り たいと思います。
 ワーキンググループの設置について特にご意見等ございませんでしょうか。
 よろしゅうございますでしょうか。ご意見があれば伺いますが、基本的には資料2に従 ってワーキンググループを考えさせていただいて、ワーキンググループそれぞれのメンバ ーになっていただ部会委員の方々、これは個別にご相談させていただきたいと思いますし、 また、必要に応じて特別委員の追加等を行いたいと思っておりますが、これはひとつ部会 長にご一任いただければありがたいと思います。よろしゅうございましょうか。
             ( 「異議なし」の声あり ) ありがとうございました。
 それでは、ワーキンググループはそのようにさせていただきます。
 それでは資料3及び4についてご意見を伺いたいと思います。
 

〔 A委員 〕 1点だけ4番目の雇用・労働のところで確認をさせていただきたいこ とがあります。
 1点は、言うまでもないことですが、雇用というのは生産からの派生需要ですから、ま さに13ページの最初に「グローバリゼーション、高齢化、産業構造の変化及び構造改革に よって・・・」と書いてあるわけで、おそらくこれから雇用がどうなるかということを考え る場合には、前のところに出ておりますグローバリゼーションや産業構造、あるいは技術 の構造がどうなるかという姿がある程度前提になって、そこからまさに派生的に雇用の姿 が出てくる部分が相当大きいと思いますので、これらのワーキンググループとの連携とい いますか、あるいはタイムラグといいますか、ある程度そちらの方の姿が見えてこないと 雇用の方の姿も確定しにくいという面もあるかと思いますので、その辺の連携は多分きち っととるようにお考えなのだろうと思いますが、確認しておきたいということです。 2点目は、今、申し上げたのは少し経済学者的な言い方で、雇用というのはあくまでも 生産からの派生需要で、そういう言い方をすると、世界中どんな場所でも、どんな企業で も、同じように環境が与えられれば同じように最適な雇用システムが作られるはずだとい う考え方が1つあるわけですが、もう一つ、経営学者的な考え方としては、雇用システム そのものがユニークな経営資源であって、つまり、日本でもアメリカでも同じ環境の下で は同じ雇用システムができる、というそれは経済学者的な考え方だと思いますが、そうで はなくて、例えば日本の企業がある種の雇用についていいアイディアを持っていて、そう いう雇用制度を持つとそれ自身が逆に競争力の源泉になるというような見方もあると思う のですが、そういうような見方まで、この中では、特に(2)の方の我が国の雇用システムの 在り方というのを考える場合にするのか、それとも純粋経済学的に、環境が変わったとき に最適な雇用システムとか、賃金システムはどういうふうに変わっていくだろうというこ とを考えるのにとどめるのか。その辺は時間や集まるワーキンググループのメンバーの構 成にもよると思うのですが、どのようにお考えになっているのか伺いたいと思います。以 上2点です。

〔 部会長 〕 A委員はどういうふうにすべきだとお考えですか。

〔 A委員 〕 もちろん一般的に言えば、単に派生需要として受け身的にどういうふう に変わっていくかというのを話すだけではなくて、経営資源として雇用システムが逆に競 争力とかそういうものにどういうインパクトを与えるかというところまで考えた方が、広 がりがあっておもしろいだろうとは思いますが、ただ、アナリティカルにどのぐらいきち っとしたものがまとめられるかというのは、またいろいろ難しいと思いますので、その辺 はどのぐらいやるおつもりかというのを伺っておいた方がいいのではないかと思いました。

〔 事務局 〕 我々は、もちろんその分野は素人でございますけれども、例えば各国の あるいは日本の比較優位の議論から始めるとしても、労働生産性をどう見るかというとき にいろいろな要因があり、その中で、今、A委員がおっしゃったような労働というのをど う見るかというのも大変重要なファクターであると考えております。その場合、労働が雇 用システムと絡んで競争力、あるいは生産性を決定するときの重要な資源の1つではない かという問題意識を持っております。
 ですから、もし、可能であれば、そのような方向で、A委員を中心に議論を雇用・労働 ワーキンググループでやっていただくと、大変ありがたいと思います。

〔 A委員 〕 ちょっと確認ですけれども、もちろん労働そのものといいますか、労働 のクォリティーが生産性の格差を生むことは間違いないわけですが、それに加えて労働を 使うシステムそのものが経営資源として、例えば競争力の差を生むものなのかどうか。そ ういうことまで考えるかどうかというのが私の質問の趣旨だったのですが、そういうこと までできれば考えたいということですか。

〔 事務局 〕 はい。

〔 A委員 〕 わかりました。

〔 部会長 〕 他の委員の方々も、今のA委員のご意見にご意見があるかもしれません し、いずれこれから詰めていかなければいけませんが、私が思うに、これは展望部会で予 測部会ではありませんから、感じから言えば、当然そういう部分に入っていかないと、展 望部会のミッションに大筋として答えたことにならないというような感じがしています。 特に今おっしゃった雇用と労働の問題というのは、今後どうなるのかということは、一般 の人々の非常に大きな関心事だと思いますし、多分、A委員のおっしゃった広範の部分も 当然触れなければいけない、触れてほしいという期待があるのではないかと思いますが。

〔 B委員 〕 今、ご紹介いただいたテーマは、いずれも非常に興味深いものでありま すけれども、ただ、私はその前提として、マクロ経済の見方について何か意見をする必要 はないのか。つまり、雇用の問題を考えるのでも産業の問題を考えるのでも、グローバリ ゼーションでもそうでありますけれども、日本の現在の潜在成長力をどう見るかという点 で大いに変わるわけです。例えば雇用についても、今の日本の潜在成長力に見合った需要 が不足しているという見方であれば失業ということが最大の問題になりますけれども、そ うではなくて、もう日本は90年代に入ってから潜在成長力は屈折したのだ、2%程度がほ どぼどであるとすれは、やはり失業よりもむしろ労働供給制約ということを考えなければ いけない。
 同時にそれは、いつまでも展望するかということにも限るわけで、例えば2000年とか20 05年ぐらいまでを展望するのであれば、やはり需要面が非常に重要な問題になりますけれ ども、もう少し先、例えば2025年とかそれ以上を展望するのであれば、やはり供給面がよ り重要になる。ですから、こういう構造的な問題を考える前提としては、タイムスパンの 問題と足下の成長力の問題、これを是非考える必要があるのではないかと思います。 よく言われますけれども、天気予報と違って経済の予報というのは、将来だけがわから ないだけではなくて足下についても非常に意見が分かれているわけですから、委員の間で 意見が分かれたまま議論しても非常に生産性は低くなるのではないでしょうか。この辺に ついて議論する必要があると思います。以上でございます。

〔 部会長 〕 タイムスパンは大体2010年ぐらいを考えております。マクロ経済の見方 について事務局の方はどうですか。

〔 事務局 〕 その点に関しては、どの部会でやるかということはまだ中で十分詰めて いないのですけれども、論点としては大変重要であるというふうに私たちも認識しており ます。 第1回の部会でも、委員から情報化TFPという問題提起もあったのを決して忘れては おりませんで、それをどこかで他のテーマと絡めてご議論を賜りたいと思っております。

〔 C委員 〕 お2人の議論とも若干関連するような気もするのですが、例えば、資料 3ー1のグローバリゼーションのところの分析を見ておりますと、このような流れで書か れますと、そのようにも思えるのですが、例えば、2.のグローバリゼーションのプラス の面、また、グローバリゼーションのマイナスの面の評価(1)、(2)を見てみますと、(2)のと ころは、グローバルに考えてプラス面であり、グローバリゼーションのマイナス面の側面 のところだと、雇用の減少や賃金下落等いわゆる生産者に対してどういう影響があるのか ということになっている。しかし、経済学的には、同時にそのことは消費者面にとっては プラスの側面を持つ可能性も持っている。あるいは4.のマイナス面の評価(2)を見てみま すと、このマイナス側面というのは、例えば日本が直接投資をすれば日本の空洞化は生じ るかもしれないけれども、世界全体というか途上国と合わせてどうなのか。
 ですから、そうなると、別にこういう検討が間違っているというのではなくて、我々の 評価基準というのは、グローバルに考えるという側面と、日本なら日本という一国ベース で考える側面、それぞれの経済主体別に考える側面があります。そういうものをどうする のかというところが問題ではないか。
 私が指摘したいのは、こういう分析が問題だというのではなくて、これらを踏まえて我 々が総合的にどういうふうに考えていくのかという、その方向があるべきではないかとい うことです。

〔 D委員 〕 今、C委員がご指摘になったことと同じことなのですが、私は、グロー バリゼーションという言葉で今日問題提起されておられるグローバリゼーションの意味合 いをよく確認しておく必要があるかと思います。というのは、問題提起を読んでおります と、日本経済のインターナショナライゼーションといいますか、一頃まで経済の国際化と いう言葉で言ってきたこととあまり区別がついていないような気がしているわけです。
 つまり、グローバライズされたマーケットとか、経済のグローバリゼーションというの は、いきなりクロスボーダーの話なのであって、クロスカントリーで比較して日本はどう かというよりは次元が先に進んだ話。したがって、財貨であれサービスであれ、あるいは 金融であれ、グローバライズされたマーケットというのは世界的に広がりつつあるので、 日本から見た今の時代のテーマというのは、グローバライズされたマーケットに産業であ れ金融であれ、日本の企業がそこに参入していく、そこで活躍するインセンティブをどう 与えるか。今までやってきている規制緩和とかいろいろな政策はそれにきちんとマッチし ているのかどうか。あるいは企業の方でもそういう体制を十分整えているのかどうか。グ ローバライズされたマーケットに参入していくインセンティブは十分備わっているかとい うのがまず最初の出発点であって、それからさらにそうしたグローバライズされたマーケ ットと日本のローカルマーケットとのインタラクションというのが従来と違った形で展開 していくので、それにどう対応していくのか。最後にローカルマーケットの中で対処しが たい難しい問題が残るかもしれない、それをどう処理するか。
 カテゴリーとしてはいろいろ問題の整理の仕方をそうしていきませんと、国際化という ふうな延長で話を考えていくと、長所とか短所とか、空洞化とか、少し一歩手前の話から 脱却できない要素があるのではないか。やはりグローバライズされたマーケットに企業が どう参加するかとか、日本の市場そのものがどう参加するかということから考えていきま せんと、この次、金融というテーマも議論されるのでしょうけれども、金融をいかに開く ことが利害得失があるかというのではなくて、日本のマーケットが本当にグローバライズ されたマーケットに参加するのかしないのかという観点から出発しないと、本当のグロー バリゼーションの議論にならないような気がしております。

〔 部会長 〕 今、C委員、D委員がおっしゃったことは必ずしも矛盾するわけではあ りませんが、もともと国際経済や国際経営というように、やはりインターナショナリゼー ションの先にグローバリゼーションがあるというようなことは確かに言われてきた。一方 で、いろいろなところでグローバリゼーションが起こっているわけです。それで、今のと ころはどちらかというと、日本の企業その他本当にグローバライズされたときに、かなり クールにプラス、マイナスを考えていくと、実際外に出て行くインセンティブはいろいろ ある。しかし、聞くところによれば国籍は問わないで日本に入ってくる、そのインセンテ ィブは今日本にあるかというと、どうもディスインセンティブはあるけれどもインセンテ ィブはあまりない。このままだと、先ほどのC委員のご発言に戻りますが、かなり日本が 出て行って、出て行った先に貢献はするけれども、それはまさに大きな意味での空洞化に なって、日本をナショナル・エコノミーで括ると、今のままで放っておくと、どうもマイ ナスばかり大きくなってしまうのではないか。これは非常にシンプルなケースだけれども、 だからもっと日本そのものの経済のグローバリゼーションを進めなければいけないとか、 インターナショナル・スタンダードだとかああいう話も出てくるのだと思うのです。 ですから、インターナショナリゼーションとグローバリゼーションを何となく今の時点 で、グローバリゼーションが進んだ段階で改めてどう厳密に区別したらいいのかというの は、改めてD委員がおっしゃったので、いや、これはもう一ぺん勉強し直さなければいけ ないなという感じを持っておりますけれども。

〔 A委員 〕 今のことに関連して申し上げたいのですが、空洞化の問題などはかなり の部分今度は日本の国内の地域間の問題だと思うのです。例えばここに出てくる産業構造 の問題は、まさに地域の問題と密接に絡んでいるわけですし、それからおそらく財政とか 社会保障の問題というのも、いろいろな形の所得の再配分というのはかなり形としては地 域間の所得再配分という側面を持っているわけです。ですから、おそらく地域の問題とい うのは項目として別立てする必要はないと思うのですが、これらの問題を考えるときに、 特に21世紀の姿を展望するという場合には、やはり日本の国内の地域間の関係がどういう ふうになっているのか。多分産業構造とかそういうことを考えると都市集中というような ものが進むのかもしれないし、あるいは違う姿が出るのかもしれませんが、それぞれの問 題を考える際に、地域の視点というのを縦糸のように入れたらどうかなというふうに思い ます。

〔 E委員 〕 今出た地域とちょっと違った観点の地域を申し上げたいと思うのですけ れども、ここにポール・クルーグマンのGeogrphy and Tradeが出ているのですけれども、 ここで言っている地域というのは、国内の地域と今A委員がおっしゃったのですけれども、 国内の地域が他の国の地域とも、例えば日本ですと九州とアジアというような感じの地域 というようなのをGeogrphy and Tradeでいっているような気がするのです。ですから、地 域という視点は大変重要だと思うのですけれども、例えばアジアというふうに限定しない で、問題や産業によっては、国内の地域と国を超えての地域が各産業によってどういうふ うに形成されるかぐらいのことが真のグローバリゼーションではないかというふうに理解 しておりますので、1点だけ国内の地域に加えて国際間の地域というような観点をお加え いただいたらいいのではないかというふうに思いました。

〔 F委員 〕お配りいただいた資料の2ページ目に各ワーキンググループの検討テーマ というのがあるのですが、そこでこういうことを付け加えたらいいのではないかというち ょっと印象を申し上げたいのですが、産業構造のところなのですけれども、世界の比較優 位の構造の中で日本がどういう位置を占めるのかというのはもちろん大事な問題なのです が、それと、私、中小企業と大企業の関係が21世紀にはどうなるのかということに非常に 関心を持っていまして、戦後の歴史を見ると下請構造の形成というのが日本の大企業、中 小企業関係だったのですが、それがそうではなくなるだろう。そのときにどういう形にな るのかということを、当会は予測ではなくて展望であるということなので、是非考えてい ただきたいと考えております。
 それから、これはクロスセッションの各項目の関係なのですが、産業構造の4番目に、 新規産業、いわゆるニュービジネスの話が出ているのですが、ニュービジネスの新興とい うことと、雇用・労働との接点というのでしょうか、それは実はあるのだろうと私は思っ ています。ヨーロッパとかアメリカなどではニュービジネスの新興というのは主に雇用対 策という点で引っ張っていくという点が非常に強いのですが、日本ではそのことをあまり 意識しないで産業政策的な考え方でやっていくのかどうか。これは1つのニュービジネス 政策を展開するときの非常に大きな分岐点になると思いますので、そこのところを是非入 れていただければと思っております。

〔 G委員 〕 資料の3ー1の産業構造の5番ですけれども、一番最後のところに 「(製造業のみならず、第3次産業も対象)」と書いてありまして、幅広く日本の産業を 全部構造の中に取り入れているように思いますが、第1次産業そのものは対象にならない のかどうか。特に第1次産業の場合は、これから雇用の供出源だとかそういう意味でも非 常に大きな意味もあると思いますし、そういう意味では全産業を同じように入れられたら いいのではないかという感じがいたします。
 同時に、先ほども地域の問題が出ましたけれども、今の産業構造、産業配置論が出てま いりますし、またにそれに伴って人口の移動の問題、あるいは都市あるいは農村がどのよ うに分かれていくのか、また同時に所得配分等もどのようになっていくのか、そういうい ろいろな広がりが出てくると思いますので、そういう意味で幅広くご検討いただいたらど うかという感じがいたします。
 もう一つ生産性格差を計数的に見る場合には、製造業との貨幣価値というのは非常によ くわかりますけれども、例えば第1次産業なんかとっていきますと、あるいは環境問題等 を考えていきますと、外部経済効果あるいは外部不経済効果というのはこれからの問題と して非常に重要ではないかという感じがいたします。ただし、これは定量的には非常に難 しい問題だと思いますけれども、定性的にまだ検討、あるいは考えられる余地があるので はないかという感じがいたします。

〔 H委員 〕 全体を評価するというか、例えば2010年に我々が日本をどういう形にし たいのか、そういうスタンス、ある評価基準がないと非常に進みにくいと思うのです。そ の議論を今しても難しいと思うのですが、ある期間でワーキンググループで相当に議論が 煮詰まってきますと、それぞれキーになる問題点が出てくると思うのです。その政策をど うとるかで変わってくるわけです。したがって, 有機的にこの部会で関連づけるといった ときに、何を優先順位をつけて何にポイントを置くのか。例えば単純に言えば、日本がい ままで培ってきた社会の仕組みというのをどういうふうに思っておくのか。
 そうすると、あくまで日本の国の経済、国民、そういったものがやはりハッピーである ためにといいますか、世界的に見て豊かな生活ができる、こういうのをまず視点に置かざ るを得ないのではないか。そうすると、どこで取り扱うかですが、グローバリゼーション になってしまうと、それでは日本のハブ空港とか、要するにインフラをどう考えておくの かとか、こういう議論が必須になってくると思うのです。
 それと、生産財分野と非生産財分野、これをどう考えていくのか。両方一緒に引きずっ ていけるのかいけないのか。それから少子化がいろいろなところに出てくると思うのです が、これもアプリオリーに少子化というのは、もう先進化すれば必ずなるのだというテー マなのかどうか。これは生産性に相当影響してくると思うので、そういった、ある意味で は2010年なら2010年に向けてどういう社会がいいのか、そこの議論が中間でどこかにいる のではないか。その前に、B委員がおっしゃっていた現状はどうなのだ、ということを考 え併せることが必要と思っているのですけれども。

〔 部会長 〕 今、H委員がおっしゃったことは、いろいろ検討した上でどの辺でどう 色付けしていくかということになるのですが、ただ、基本的に、現行の経済計画そのもの はやはり日本経済の活性化というのがキーですから、それはいろいろ予測される与件、グ ローバリゼーションも1つの与件の中かもしれませんが、あるいは少子化も、あるところ までは受け入れながら、今のままではいかんというトーンも出ていまして、おっしゃるよ うなところのどの辺を重点に出していくか。これはそれぞれの部会で少し検討が進んだ段 階で、最初に資料2でお話ししたようなスケジュールでやりますので、少し先に行ってか らどういうふうに絞っていくかということは是非皆さんご一緒に少し検討しなければいけ ないと思います。

〔 H委員 〕 全体に関わる問題として、例えば税の構造、これは地球環境のところで も経済的手法が出たり、金融のところでチョロッと顔を出していますが、基本的に税構造 というのは非常に大きな影響を与えるのではないかと思いますから、その議論も是非どこ かで必要になるのではないかと考えております。

〔 I委員 〕 今のH委員のお話に関連するのですが、少子化が進むというのははっき りしておりますし、シミュレーションで2000年、あるいは2005年に労働力人口がどのぐら いらになるということはもう既にわかっている。その場合の基本的な考え方として日本は 引き続き量を確保していくのかどうか。要するに、例えば人口が8,000万人なら8,000万人 で、それが適正人口であって、それに即応した総生産とか何かでいいのか、あるいは無 理しても量を増やしていくのか、そこには外国人労働者の問題があるわけです。日本の場 合、少子化に伴って労働力人口が減ってくると、今までの量を確保するとすれば、不足分 を高齢者とか女子で補い得ない分があるわけです。その場合外国人労働者まで積極的に踏 み切っていくかどうか。ここに「外国人労働者問題も考慮」とありますが、これはこれか らの21世紀にとって日本のポリシーとして重要な問題なので、その辺を企画庁はどのよう に考えて、我々としてはどういうふうに対応していくかということを教えていただければ と思っています。

〔 事務局 〕 前回も若干申し上げましたけれども、そこまで視野を広げてやってみた いと我々は思っています。もちろん外国人労働者の場合は2つあって、1つは貿易財部門 は直接人を入れなくても物そのものが入ってくるということは、ある意味ではそこに外国 人の労働サービスが入っていますから、そういう形でどんどん入ってくるのでしょうけれ ども、ノントレーダブルな非貿易のところの外国人労働というか労働供給の問題が多分あ るのだろうと思うのです。それが今、I委員がおっしゃった、人が減ってきてしかも高齢 化する社会の中でうまく供給していけるかどうかというのを検討しつつ、その中での外国 人労働という議論に多分なるのだろうと思います。

〔 部会長 〕 2010年までのスパンで考えると、できれば今の少子化現象に歯止めをか けたい。実際に非日本人労働者も含めて手を打っていかないといけないと思います。ただ 少子化そのものに歯止めをかけること自体は、ロングタームの問題として、成果はその先 のことだと思いますが、それでもやはりこの期間のアクションとして考えておかなければ ならない非常に重要なことだと思います。

〔 J委員 〕 資料3ー1の5ページの産業構造の4.の新規産業新興策のところです が、これは要するに日本が少産少死型であるということは間違いない、アメリカが多産多 死型であることは間違いない。ただ、少産少死型か多産多死型の2つのタイプしかないの かどうか。結局、これは議論の過程でそこにいくのだろうと思うのですけれども、アメリ カと日本とでは社会構造その他が全部違っている。だから、国際化し、グローバル化して いった場合に、アメリカのようになれる国となれない国が出てくるだろうと思うのです。 そんな議論が、今後議論しているうちに何か出てくるのかなという感じがしますから、私 も今から結論を持っているわけではありませんけれども、この表現からはそういう印象を 非常に強く受けるということだけ申し上げておきたいと思います。

〔 H委員 〕 2010年というターゲットを置くとき、2010年にこうなるのだと展望する のだという話と、それまでに金融のビッグバンだ何だといった先に相当大変なことが起き るのではないかと思うのです。そこをどういうふうに議論しておくかという問題はないの でしょうか。新産業とかいろいろいいことでそういうところに望みを託す感じになってい るのですが、やはりタイムラグが相当出るのではないかと思うわけです。そのあたりのと ころもある程度覚悟をしないといけないのではないか。

〔 部会長 〕 その辺も、いろいろなアクションそのものの効果が出る波長の長いのと 短いのとあって、しかも両方プラスマイナスがありますから、2010年でスパッと切ったよ うな形でやった方がいいのか、それぞれについてどういう展望の示し方をした方がいいの か、その辺はこれも部会ごとにというか、どこかで一度きちんと考える必要があると思い ます。多分、その1つ1つについて、たまたまビッグバンの話をされましたけれども、こ の辺がこれから何年かのうちにどのぐらいのインパクトが出てくるか、環境問題がどうか とか、その辺がでそろってきてから今のようなことをどこかで、波長の違うやつはバサッ と切るのかどうか等その辺はまた後ほどご相談をさせていただきたいと思います。

〔 K委員 〕 ちょっと3点だけ申し上げます。
 1つは、日本の文化とアメリカの文化、ドイツの文化が違うから、どこまで各国が変わ れるかどうかという議論があったかと思いますけれども、これはエコノミストの傲慢かも しれないけれども、文化だって内生変数だという面もあるかと思いますし、経済状況をち ょっと勉強しますと、昔から終身雇用があったわけでも何でもないのですから、やはり経 済状況が変われば文化が変わるから、これは日本の文化だから変えてはいけないというの はあまりよくないのではないかと思います。
 もう一つは、資料の3ー1文章編ですけれども、5ページですが、書いてあることはも っともだと思いますけれども、1か所だけ引っかかったことがあります。構造改革のやり 方をみますと、例えば規制緩和とか雰囲気のいい言葉を使いますね、技術力の将来展望、 これも雰囲気のいい言葉ですね。4番目は産業新興策、これも雰囲気のいい言葉です。雰 囲気のいい言葉を使ってもいいのですけれども、あまりアメばかりで構造変化が進むわけ でもないではないかと思います。
 ですから、日本人は99%が性善説だと思いますけれども、お金に関しては資源の配分で すから、性善説だけでなくて、性悪説もちょっとシェアを増やして構造改革を考えた方が いいのではないかと思うのです。すなわちムチの政策を考えるべきではないかという点も あります。 3番目ですけれども、グローバリゼーション、先ほどD委員がちょっと話をしたかと思 いますけれども、国際化とグローバリゼーションの違いはどこにあるかと考えると、必ず しも正確ではないとしても、何となく国際化ということを考えますと、ある国が中心で他 の国がその中心国に対してやりとりをしているというイメージを持っています。基本的に 2か国間の関係だという気がしています。
 グローバルという言葉は、いろいろな国が互いに関係を持っているというイメージを持 っていますけれども、これは経済的にどういう意味を持つかといいますと、どこかでショ ックが発生したときに、そのショックを吸収する波及径路あるいは吸収径路がかなり違い ます。例えば今回のアジア問題、それはアメリカがアジアから輸出ドライブがかかったと きに、輸入を全部受け入れるか、それとも欧州もアメリカも日本もある意味では負担、消 費者にとっては負担ではないのですけれども、要するに負担を負うか、そういう問題が起 きるのです。
 ですから、今のグローバル時代は、例えばそういうところで問題が発生したときに、工 業国の間でどういう為替の変化が必要かということが話題になりますよね。アセアン問題 があって円相場が安くなることは、ある意味でおかしくてしようがないんですね。むしろ 日本が貿易関係が深いから、日本円が一番強くなってアジアの商品を吸収するべきではな いかという考え方もできますけれども、今回はそうではない。どちらかと言えば円がドル に対して安くなってアメリカの市場を少し取って、アメリカがアジアとの関係が深くなっ てしまうわけです。ですから、そういう波及径路、あるいはショックの吸収径路が複雑化 したということがグローバル化の本質ではないかと思います。
 そうしますと、これはいいか悪いかというものがあるのですけれども、やはり安定化さ せる効果を持つのではないかと思います。最近はアジアが肺炎になったら日本が風邪をひ く、アメリカがクシャミをする、ヨーロッパはゲップしかしないという言い方になってい ますけれども、いままではショックの影響を受けるところが集中した。そういう意味で波 及径路が複雑化してきて、ショックに対してグローバル・システムが安定しているのでは ないかという気がしていますけれども。

〔 L委員 〕 ちょっと専門外なのですが2点ほどコメントさせていただきたいと思い ます。1点はもうF委員が言われたことなのですが、産業構造の中で産業の中のネットワ ークと、産業間のネットワークみたいなものの展望ということで、これからどうなっいく かというあたりに関心があります。産業構造自体がかなり変わっていくというキーワード はおそらく産業の中は産業間のネットワーク化がどんどん進んでいくだろうということ。 それはやはりグローバリゼーションの話もありますし、空洞化の話もそういう観点の中で とらえていくべき問題なのではないか。

〔 部会長 〕 ネットワークというのは、かなり具体的に情報通信とかそういう一般論 としてのネットワークですか。

〔 L委員 〕 あるいは技術交流とかそういうものもありますし、いわゆる川上から川 下へというような伝統的なネットワークもすべて含めて、今、申し上げております。
 もう1点は、技術革新のところなのですが、ここで言われている技術革新というのは、 どちらかと言うと、多分、日本の国としての技術力の平均的な像というのでしょうか、技 術力のレベルというのでしょうか、それがどのぐらい上がるかとか、どうやれば上がるか、 あるいは最先端に当たるような科学技術力というのがどういうふうになるだろうかという ような展望の視点だろうと思うのですけれども、同時にそういったものがもう少し社会全 体に普及するというような観点が技術革新というのもとらえられるのではないかと思って います。そういう意味では2010年ぐらいまでの間だと情報化がものすごく大きな意味をも っているのではないかと思います。ですから、是非、そういう観点、先端技術と非常に平 均値としての技術力だけではなくて、もう少し社会に普及する技術力みたいな、そういう ところを視点に入れられれば、多分、情報化みたいな話は他のテーマにもかなり関連して くると思われるので、1つ考え方として、あるいは見方としてあるのかなと思いました。

〔 M委員 〕 私、一般的なコメントを1つさせていただきたいと思うのですが、2010 年までの展望をされるということで、その展望が憶測とか思い込みによるのではなくて、 きちっとした統計とか事実に基づかなければいけない、これは言わずもがなのことだと思 いますが、それで今日も事務局からこういう詳細な文章編と図表編をいただいているわけ ですが、私のコメントは当たり前のことなのですが、こうした図表、統計に基づいてスト ーリーを組み立てるときには、よくよく統計なり図表を吟味していただきたい。これは本 当に言わずもがなのことですが注文したいと思います。 そこで、いくつか気がついたことをコメントさせていただきたいと思いますが、例えば 図表編の13ページ図2ー7に、日本とアメリカの開廃業率のデータが示されています。文 章編を拝見すると日米を比較してみると日本は活力に乏しいのではないか、こういうよう なストーリーをこの図から読み取ろう、あるいは読者に読み取ってもらいたいという意図 ではないかと思うわけですが、先ほどから何人かの委員の方からお話が出ているわけです けれども、日本で開廃業率が低いというのはもう大昔からそうです。これは昭和41年から あるわけですから、イザナギ景気、日本が2桁の成長をしている頃から、アメリカと比べ るとずんと低いわけです。イザナギ景気の頃の日本経済はどういうスタンダードから見て も非常に活力ある経済だった、高度成長してた経済だということであるわけですし、また、 ここにはないのですがEUを見てみると、ヨーロッパを見てみると、ヨーロッパでも日本 のようなものなわけです。
 ですから、その意味ではアメリカがかなり特殊だ、だからアメリカは強いのだという言 い方はもちろんできるかもしれませんが、しかしながら日本が2桁成長をしている頃も日 本は低い。ヨーロッパを見てもどちらかと言えば日本型だということを総合すると、この 開廃業率がアメリカに比べてかなり低い、2分の1ないし3分の1ということから日本は 活力を欠いた経済だ、問題あり、したがって例えば開廃業がもっとできるような環境を整 えるべきだという議論が直ちには出てこないかもしれないということだろうと思うのです。

〔 部会長 〕 この統計が間違っているというのではなくて、これを読んだ結果として どうみるかということをおっしゃっているわけですね。

〔 M委員 〕 事実はもちろんこのとおりなわけですけれども、これから何かストーリ ーを読み取るわけですから、読み取る際にこれをどう読むかということが当然出てくると 思うのです。
 2番目は、17ページの図3ー7今年の通商白書ですが、80年代後半から日本の方は非常 元気がない、アメリカは非常に元気がいいということなのですが、全要素生産性の計測と いうのは、ここで通商白書がやっているのは非常にスタンダードなやり方で、その限りで 通商産業省を責めるのはフェアでないといいますか、気の毒なのですが、一方では、この 計測にはいろいろな問題があるということが知られているわけです。一言で言いますと、 この全要素生産性というのは、言ってみれば本当の意味での生産性ではなくて、かなり景 気のアップダウンを反映したものだ。私はよく学生に例え話しで言うのですが、駐車場の 入り口に立っているおじさんの生産性を測ってみると、要するに車がたくさん入っている ときは生産性が高い、車が全然入ってこなければ生産性は当然低くなるわけですが、極端 に言うとそれに似たような、つまり、我々が技術革新という言葉でイメージするような新 型の機械が入ってきたとか、非常新しい生産工程が作られたというのとはかなり違ったも のを反映している部分もあるということなのです。それが怪しいというのは、例えば86年 一般機械のようなところでアメリカは非常に高いのですが、これを通信技術とか工作機械 のようなものだとすれば、かなり怪しいという面もあると思うのです、通信技術や何かの 発達とこれを結びつけるのは。
 非常に細かい話になって恐縮なのですが、これはむしろ先程と違って事実そのものをち ょっとクエッションしたい。これに基づいて日本の技術革新あるいは技術開発力は80年代 後半から90年代に入って急激に落ちた、日米彼我で大変な逆転が起きたというふうに読み 取るのは若干早計だと私は考えます。 大変細かい話に立ち入って大変恐縮だったのですが、言わずもがなの当たり前のことで すけれども、是非ともストーリーを組み立てるときには、その前提になるエビデンスをよ く吟味していただければというふうにお願いしたいと思います。

〔 部会長 〕 基本的なご指摘ありがとうございました。

〔 N委員 〕 非常に大きなテーマで、展望ということでありますので、最初にグロー バリゼーションというものが出ている意味というものを私なりに考えてみたわけですけれ ども、グローバリゼーションといった場合、私どもの頭にすぐ浮かんでくるのはグローバ ル・スタンダードということです。いろいろ展望する場合には物指しがいる。しかも今の 時代は、先ほどD委員がおっしゃいましたけれども、グローバリゼーションということと インターナショナリゼーション、またK委員も言われた問題も含めまして、非常にグロー バリゼーションそのものも見方によっていろいろな見方がある。重層的に見る場合もあれ ば、日本サイドの基準で見る場合もある。こういう風にして見ますと、グローバル・スタ ンダードというものをどこに設定するかという、今の場合ですとアメリカが1つのスタン ダードになるだろう。そうすると、それを中心にして、今後の展望をしていった場合に、 先ほどもK委員がおっしゃったように、例えば日本の固有の制度というものについて、グ ローバル・スタンダードといささか違う。例えば終身雇用の問題をどう考えるかという問 題も出てくるであろう。
 ですから、展望する場合の一番包括的な見方として、グローバリゼーション、グローバ ル・スタンダードという問題を基礎に置きながら、産業構造であり技術革新であり雇用問 題である、そういうものに掘り下げをしていただくということになるのではないか。金融 の場合もまさにそういう感じで、日本の置かれているこれからの金融業界の在り方はどう であるかといった場合には、アメリカのスタンダードというものと比較して、我々の展望 をする。こういうことであります。私なりにグローバリゼーションというものをグローバ ル・スタンダードの置き方、そういうことに置き換えて考えでみた、1つの考え方でござ いますが。

〔 O委員 〕 今日は実態面が中心なので、あまり申し上げることもないというふうに 思っていたのですけれども、1つだけ全体の流れの中で、私は主として金融の方を専門分 野として持っているのですが、今日、いろいろ議論がありましたような実態面、あるいは 産業構造面といいますか、そういったものの動きと、次回に討議されるだろうと思います けれども、金融面の動きというものとの整合性といいますか、実態面は金融面に影響する わけでありますし、また、金融面から逆に実態経済構造、あるいは産業構造へのフィード バック、その反対の流れというものがあるはずでありまして、その辺を全体として実態か ら金融を見て、逆にまた金融から実態を見る、そういう視点を強調しておきたいと思いま す。

〔 P委員 〕 簡単に感想を述べさせていただきますけれども、ワーキンググループで いろいろなテーマについてこれから掘り下げて議論するというのは非常に重要だと思うの ですけれども、定性的な議論をする際には特に問題は表面化しないと思うのですが、定量 的な数値が使われるところまで踏み込んで、2010年のところでどのぐらい議論されるのか よくわからないのですけれども、もし、そういう形で数字がかなり重要な要素として議論 になってくると、各ワーキンググループ間に一貫した整合性を注意していただかないと、 いろいろなところで出てきた結果が、それぞれが結果として全体としてマクロのパフォー マンスを考えるときに、よくわからないという感じになりますので、そこが1つ気になる ところです。
 それから、それをある意味で解決する1つの手っ取り早い方法というのは、要するに技 術革新に対する予想が非常に楽観的に形成されれば、基本的にトレード・オフはすべて解 消されるわけなので、ある意味ではそういったマクロの問題がすべて技術革新のところで 最終的に調整されるような危惧も持っているので、そのあたりの技術革新のところが将来 どうなるかということに関してもきちんとして分析していただけたらと思います。

〔 部会長 〕 部会長代理、何かご感想があれば・・・。

〔 部会長代理 〕 大変有益なご議論がたくさんあったと思いますが、全体として見る と、今日スタートすることになった各グループの仕事を全体として取りまとめていくこと が必要であり、そのときにどういう注意が必要かということが大きな問題になっているの ではないかと思いました。
 それについては1つは、今もお話がありましたし、B委員が最初に言われたのですけれ ども、マクロのフレームワークをどういうふうに考えるかということが大きな問題ですが、 もう一つは、H委員が言われた、数字の話ではなくてもっとシステムというか価値という か何かわかりませんが、これはこの場あるいはその他でJ委員とかD委員が時々おっしゃ っている自己責任の問題とか、役割部会の方にいく少し手前の在り方というような、そう いったことがないとなかなか部品がうまく組み上がらないのではないか、そういうご議論 が多かったのではないかと思います。そのまとめ方はこれからの審議の中でいろいろ考え ていかなければいけないのではないかという印象を持ちました。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。
 まだご意見もあろうと思いますが、そろそろ予定の時間になっておりますので、今日の 審議はここまでにさせていただきますか、是非、ご意見いただくにつきましては、事務局 までご連絡をいただきたいと思います。
 それから、最初にお話ししたようにワーキンググループそのものについては、メンバー その他についてはお任せいただいて、出来次第、先ほどお諮りしたようなことについて検 討を開始したいと思います。今、部会長代理もおっしゃったように、マクロ経済の見方は どうするのかというご指摘もありましたし、それから個々のワーキンググループの中での 個別のテーマとして、例えば産業構造については大企業、中小企業どうするかというよう ないろいろご指摘もいただきましたので、その辺もさらに事務局含めて検討して次に進め たいと思います。 次回以降の日程は、一番最初にご説明した日程で、少なくとも12月までは日にちを決め させていただいておりますし、感じからいきますと、H委員のおっしゃったような部分は、 何となく年明けてから少しやっていく感じかなという感じがしておりますが、他にござい ませんでしたら、第2回の展望部会はとこれをもちまして終わりにさせていただきたいと 思います。ありがとうございました。

以上