経済審議会第2回経済社会展望部会議事概要

1 .日時:

平成9年10月8日(水)10:00~12:00

2 .場所:

合同庁舎第4号館12階 共用第一特別会議室(1212号室)

3 .出席者:

香西泰部会長代理、井堀利宏、岩田一政、角道謙一、川勝堅二、黒田晁生、小長啓一、小林佳子、下村満子、清家篤、中井検裕、長岡實、成瀬健生、濱田康行、原五月、ロバート・アラン・フェルドマン、深海博明、福井俊彦、村田良平、村本孜、八代尚宏の各委員。
尾身大臣、栗本政務次官、糠谷事務次官、林官房長、高橋企画課長、中名生総合計画局長、貞広審議官、高橋審議官、大西計画課長、大森計画官、田坂計画官、涌野計画官、染川計画官、塚原計画官、荒井計画官、小島計画官、福島推進室長、道上計画企画官。

4.議題:

(1)検討テーマと関連する既存研究について

5.審議内容:

(1)冒頭、尾身大臣、栗本政務次官より挨拶

(2)ワーキンググループ(WG)のメンバーについて

香西部会長代理より、WGのメンバーについては、資料2「経済社会展望部会ワーキンググループ構成員名簿」のとおりに、また、本部会以降、各WGの座長については、展望部会の部会委員とする旨の発言があった。これに対して、委員からの意見は特になく、続いて貞広審議官より、資料2に基づきWGのメンバーの紹介。

(3)検討テーマと関連する既存研究について

貞広審議官より、資料3「検討テーマと関連する既存研究」に基づき、今回検討分野として取り上げた地球環境、財政・社会保障、金融、土地・住宅、ライフスタイル分野の検討テーマと関連する既存研究について説明。その後討議。

委員からの主な意見は、以下のとおり。

  • 21世紀の日本の経済活力を維持できるかどうかは、基本的には、生産性がどのくらい高まるかに依存している。その場合、個人の仕事能力といった人的資本をどのように高めていくかが重要なポイントの一つであり、今後人的資本投資をどのように活性化していくかが非常に重要な課題。そうした観点から考えると、政策的に人的資本投資をエンカレッジする、あるいは少なくともディスカレッジしないということが大切。
  • WGの進め方に関し、【1】各分野の相互関連の扱い方に関して、作業過程の問題として、展望を描く際に各分野が同時に様々なシナリオを描いていくというやり方をとるのか、それとも、他の分野を取り込む形で作り上げて行くのか【2】各分野の展望を描く際に、2010年という時間的枠組みはあるにせよ、あらゆるシナリオを描いてよいのか、その他に共通条件はないのか【3】展望を描く際に、技術オプションを提示するだけでなく、将来の導入のための政策措置などまで議論する必要があるが、それはどの程度まで突っ込んだ議論をするのか、以上3点をどのように考えたらいいのか。

これに対して、部会長代理より、【1】については、個々に進めつつ、事務局の方で相互に情報を交換してネットワークを築く、【2】【3】については、作業時間という制約もあるが、その中でなるべくフレキシブルに議論していただきたい旨の回答があった。

  • 金融WGにおいて、公的金融をどの程度扱ったらいいのか。
  • 土地・住宅WGにおいて、現代の住宅需要を考える場合はライフスタイルをどう捉えるかが重要であり、また、流動化の問題に関しては、住宅に対する資金供給の問題等金融の世界との関連が強くなってくるため、他のWGとの連携が必要。
  • 各WGの検討テーマのうち、公的金融の話が抜けているのではないか。いずれかのWGで検討すべき。また、社会保障に関し、従来別ものと考えられていた年金、医療、福祉を相互的に捉えることによってどの程度社会保障を効率化出来るか検討すべき。
  • 地球環境に関しては、国際協力が重要。先進国のみCO2排出抑制を行ったとしても、地球全体でみればかえって国際競争力が低下する等マイナスの影響がでることから、どのようにして発展途上国と先進国が共同して地球環境問題に取り組んでいくかが今後のポイント。
  • 地球環境に関しては、国よりも地方自治体の方が頑張っている。実際に規制などが行われた場合、その運用は地方に任されることが多くなると思われる。よって、地方という視点を見落とすと、全体を捉えられなくなるのではないか。
  • 地球環境に関しては、生態系をどのように維持していくかが重要。そうした観点から、CO2排出量を1990年レベルで抑制するということで長期的にみて本当に十分なのか議論する必要があるのではないか。また、排出権取引について、地球全体ではそれにより大きな削減が可能であるにせよ、先進国が途上国から排出権を買い取るというように、環境保全をすべて金銭によって解決できるという考え方は、環境問題には馴染まないのではないか。
  • ライフスタイルに関し、検討テーマが漠然としすぎているのではないか。例えば、少子化というテーマの中でのライフスタイルを考える等何らかの切り口が必要ではないか。
  • ライフスタイルをどう捉えるかによって他のテーマの方向性が決まってくるのではないか。また、検討テーマは漠然としたものになっているが、ライフスタイルは多様な分野にわたって変化しているものなので、一つの部分に絞った議論はすべきではない。
  • ライフスタイルWGにおいては、女性の価値観、行動様式、生活の中のプライオリティー、仕事に対する考え方等が以前に比較して相当程度違ってきているので、その点を配慮した検討をすべき。
  • 所得制約、人口構造の変化及び個人の価値観等の変化がどのように将来のライフスタイルの像に影響を与えるかについて整理して分析すべき。
  • 家庭、個人が省エネルギー対策の中で果たさなければいけない役割は非常に大きい。省エネルギー対策・リサイクル型社会の展望をライフスタイルの議論に反映させるべき。
  • 2010年を展望する際には、金融サービス産業の状況(公的金融と民間金融の区分等)、税制、会計制度等の基本的枠組みをどのように設定するかが重要。
  • グローバリゼーションを進めながら、いかにローカルを残して行くのかが重要なテーマであると考える。各検討テーマに地方の視点を入れるべき。

6 .今後のスケジュール

次回第4回経済社会展望部会は、11月20日午後2時から4時に、第5回は12月18日の午前10時から12時に開催する予定。

以上

なお、本議事概要は、速報のため、事後修正の可能性がある。


(連絡先)
経済企画庁総合計画局計画企画官付
TEL  3581-0977