第5回経済審議会経済主体役割部会議事概要

1.日時

平成9年11月25日(火)14:00~16:00

2.場所

経済企画庁特別会議室(1230号室)(第4合同庁舎12階)

3.出席者

(部会)
水口弘一部会長
荒木襄、浦田秀次郎、河村幹夫、ポール・シェアード、竹内佐和子、出口正之、那須翔、西村清彦、樋口美雄、グレン・S・フクシマ、星野進保、森地茂、諸井虔、吉野直行、和田正江 の各委員
(事務局)
尾身大臣、糠谷事務次官、中名生総合計画局長、高橋審議官、貞広審議官、高橋企画課長、大西計画課長、染川計画官、涌野計画官、塚原計画官、大森計画官、安井計画官、田坂計画官、赤井計画官、小島計画官、荒井計画官、道上計画企画官、渡辺電源開発官、福島推進室長

4.議題

  1. (1)「構造改革のための経済社会計画」のフォローアップについて
  2. (2) 経済構造改革ワーキンググループ報告について
  3. (3) 民民規制(業界団体の役割)、NPO、雇用・労働の各ワーキンググループの審議経過報告について

5.審議内容

(1)「構造改革のための経済社会計画」のフォローアップについて
○ 事務局より資料(「構造改革のための経済社会計画-活力ある経済・安心できるくらし-」の推進状況と今後の課題(案)等)に基づき説明
○ 主な意見は次のとおり。

  • 規制緩和を行っても高コスト是正につながらない場合もある。結果を踏まえて施策の評価をして欲しい。例えば電気通信分野の規制緩和で、来年の1月1日から「国際公専公」を実施するとしているが、従来の料金計算のわく外で実施できるようにしないと、実質的に低コストのサービスを提供することができない。そのあたりの結果を重視して作業を進めて欲しい。
  • 規制緩和をするということは、新しい競争を通じて強い構造を生み出すということであり、不安感があって当然である。退出のルールを決めておくというような、ルールに則って規制緩和を進めるのであれば、弱者対策等の面であまり余計な心配をする必要はない。
  • 6大改革を有機的に進めるためには、税制についても検討する必要がある。また、6大改革が整合性のとれたものになっているかも点検する必要がある。例えば緊縮財政と金融ビックバンと整合性がとれているのか。また、不良債権問題にどう取り組んでいくべきかについても、積極的見解を書くべきではないか。
  • 財政構造改革による公共投資削減は、成長率の引き下げ要因となるとしているが、消費者の期待という面からはプラス要因になる。ケインジアン的にはマイナス要因だが、それは旧来的な考え方ではないか。今の消費者は社会保障をはじめ、経済全体に不安を持っている。それは短期ではなく、長期のビジョンがないためである。
  • 公共事業の乗数効果が落ちていると言われているが、その原因は民間設備投資の所得弾力性、利子弾力性が低下していることである。今やるべきことは民間設備投資を活性化させていくことである。
  • 今の消費の低迷は、根底に将来に対する不安と政治に対する不信があるのではないか。社会保障については若い人でも不安を持っている。
  • 規制緩和については、企業だけではなく、個人も振り回されているではないか。個人としては新しいルールができるということと、生活が向上するということが結びつけられていないことが不安感となっている。真の弱者に対する支援は重要であると思う。

(2) 経済構造改革ワーキンググループ報告について
○ 事務局より資料(経済構造改革ワーキング・グループ報告書)に基づき説明
○ 主な意見は次のとおり。

  • 進捗状況の変化では、全体に制度変更の進捗状況に終始しており、規制緩和が本来目的としていた経済の活性化や新規参入がどの程度達成されているのかという視点が欲しい。
  • 施策を単に並べただけでは、何が変わったのか分からない。独立的な機関で、各省庁とは内容の調整をせずに何がおこったのかというアセスメント(制度の変更に対する評価だけではなく、それに伴う結果の評価)をやらないといけない。そうしないと制度はできても何もおこらないということになり、国民の理解は得られない。今後はおこったことを峻別する作業が必要である。
  • 消費者保護の前段階で、消費者自らがリスクをとれるようなシステムを作ることが重要であり、消費者も含め、リスクをシェアできるようなシステムも考えなければならない。例えば消費者は自らの行動にはリスクが伴い、100%は要求が満たされないこともあることを心得るべきである。そして、自ら判断するための材料として第三者機関による企業サービスの格付け等がいろいろな面で必要ではないか。
  • 土地・住宅分野に関して言えば、なぜ住宅が売れなくなったのかというと、価格と質のバランスが悪いからであり、消費者が不信感を持っているからである。供給サイドの規制を緩和しても、最終消費者のバリアは何かという認識ができていないので、いくら住宅を売りたいと言っても売れない。

(3) 民民規制(業界団体の役割)、NPO、雇用・労働の各ワーキンググループの審議経過報告について
○ 各ワーキンググループおよび事務局より資料(民民規制(業界団体の役割)、NPO、雇用・労働の各ワーキンググループの審議経過報告について)に基づき説明
○ 主な意見は次のとおり。

  • 多元的な価値観を持った者の連合が民主主義の基礎にはある。NPOがポリシーメーキングにおいて役割を果たしていくことを考えると、党派性と多元性は明確には区別できなくなる。
  • この部会でも結果のサーベイランスが必要で、そのためにミクロとマクロの指標がある。ミクロの指標では今後民間でいろいろな指標ビジネスがおこるだろうが、マクロの指標については疑問であり、有効求人倍率等どのように有効なものとさせていくか検討が必要である。
  • 民民規制を除去するのは難しいのではないか。有効なのは排除されている側が指摘することである。独禁法を民間人も活用できるようにするなど、排除される側に対抗手段が必要である。
  • NPOは、企業や行政と比べ日本では法律制度上、弱い立場におかれている。今後、 検討が必要である。
  • 雇用労働については、外国人(特に管理職に)にも触れて欲しい。彼らは、新しいや り方の導入を通じて日本企業を魅力的にすることに貢献するのではないかと思う。
  • NPOは本来、自由で活発に活動できるべきであるのに、いろいろ問題が出て、きびしく規制されている。NPOと公益法人の関係は再検討を要する。
  • 今後は専門家の養成が重要なのではないか。例えば、NPOから大学へというような人材の交流があるのではないか。また、日本企業の開業率の低迷は背後に労働の移動問題があるからではないか。
  • NPOは新しい福祉の担い手として期待されているが、民間寄付が少ないので、今後、検討の余地がある。
  • コーポレートガバナンスの変化については、(1)資本市場の流動性と労働市場の流動性についての関係はどうなるのか、(2)コーポレートガバナンスの変化に労働組合等労働者はどのようにかかわっていくべきか、の二つの視点が重要である。
  • 我々の議論は少しのんびりし過ぎているのかもしれない。こういう時には政府がてきぱきと強い意思を表明しなければならない。意思決定のシステムも各省に協議するやりかたを変えて、迅速に対応しなければいけないのではないか。

(速報のため、事後修正の可能性あり。)

連絡先
経済企画庁総合計画局物価班
tel 03-3581-1538