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経済審議会経済社会展望部会(第4回)

議事録

平成9年11月20日(木)14:00~16:07

経済企画庁特別会議室 (1230号室)


議事次第

  1. 開会
  2. 「構造改革のための経済社会計画--活力ある経済・安心できるくらし--」の進捗状況と今後の課題について
  3. 各ワーキンググループの審議経過報告(産業構造、雇用・労働、金融)
  4. 閉会

(配布資料)

  1. 資料1 経済社会展望部会委員名簿
  2. 資料2 「構造改革のための経済社会計画--活力ある経済・安心できるくらし--」の進捗状況と今後の課題について(案)
  3. 資料3 「構造改革のための経済社会計画」--活力ある経済・安心できるくらし--の進捗状況(案)
  4. 資料4 「高コスト構造是正・活性化のための行動計画」の進捗状況(案)
  5. 資料5 各ワーキンググループの審議経過報告(産業構造、雇用・労働、金融)
  6. 資料6 経済社会展望部会の今後の審議スケジュール

経済審議会経済社会展望部会委員名簿

 部会長    小林 陽太郎   富士ゼロックス株式会社代表取締役会長
 部会長代理  香西 泰   株式会社日本経済研究センター理事長
        稲葉 興作   日本商工会議所会頭
                 石川島播磨重工業株式会社代表取締役会長
        井原 哲夫   慶応義塾大学商学部教授
        井堀 利宏   東京大学大学院経済額研究科・経済学部教授
        岩田 一政   東京大学大学院総合文化研究科教授
        角道 謙一   農林中央金庫理事長
        川勝 堅二   株式会社三和銀行相談役
        黒田 晁生   明治大学政治経済学部教授
                  日本経済研究センター主任研究員
        小島 明   株式会社日本経済新聞社論説主幹
        小長 啓 一   アラビア石油株式会社取締役社長
        小林 佳 子   株式会社博報堂キャプコ取締役
        佐々波 楊 子   慶応義塾大学経済学部教授
        下村 満子   財団法人東京顕微鏡院理事長
        清家  篤   慶応義塾大学商学部教授
        鶴田 俊正   専修大学経済学部教授
        中井 検裕   東京工業大学大学院社会理工学研究科助教授
        長岡 貞男   一橋大学イノベーション研究センター教授
        長岡 實   東京証券取引所正会員協会顧問
                  日本たばこ産業株式会社顧問
        奈良 久彌   株式会社三菱総合研究所取締役会長
        成瀬 健生   日本経営者団体連盟常務理事
        濱田 康行   北海道大学経済学部教授
        原 五月   日本労働組合総連合会副会長
        樋口 美雄   慶応義塾大学商学部教授
        ロバート・アラン・フェルドマン ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社
         東京支店マネジング・ディレクター
 深海  博明   慶応義塾大学経済学部教授
        福井 俊彦   日本銀行副総裁
        村田 良平   株式会社三和銀行特別顧問
        村本 孜   成城大学経済学部教授
        八代 尚宏   上智大学外国語学部国際関係研究所教授
        吉井 毅   新日本製鐵株式会社代表取締役副社長
        吉川 洋   東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授
        鷲尾 悦也   日本労働組合総連合会会長


〔 部会長代理 〕 本日は、お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございます。
 本日、小林部会長はご出席のはずでございますが、多少遅れるかもしれないというご連絡を受けておりますので、時間ですので、私が代わりましてしばらくの間進行を務めさせていただきます。
 ただいまから第4回経済社会展望部会を開催させていただきます。
 ご多用中のところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の議題は、お手元にございますように2つございまして、1つは「構造改革のための経済社会計画~活力ある経済、安心できるくらし~」の進捗状況と今後の課題について」の問題でございます。
 第2の議題は、ワーキンググループの審議経過報告で、本日は産業構造、雇用・労働、金融の3つを予定しております。
 それでは、最初の議題でございますが、「構造改革のための経済社会計画~活力ある経済、安心できるくらし~」の進捗状況と今後の課題についての審議をお願いしたいと思います。
 それでは、事務局よりご説明をお願いいたします。
 

〔 事務局 〕 お手元に資料2、3、4というのがございまして、全部足しますと 300数十ページございますが、私ども、資料3と4を電話帳と呼んでおりまして、フォローアップを見る際に引いて調べるというものでございますので、厚い方は、後でこういうものであるというご説明をすることにいたしまして、資料2を中心にご説明申し上げたいと思います。
 まず経済計画でございますが、経済審議会において毎年推進状況を点検いたしまして閣議に報告をすることとされております。今回は現行計画の二度目のフォローアップ報告ということなります。今の予定では、12月10日に総会をお願いいたしまして、進捗状況をご報告できればというふうに考えておりまして、その後に閣議にご報告申し上げるということになろうかと思います。 目次をご覧いただきますと3つの章からなっておりまして、第1章が内外経済情勢の展開、第2章が構造改革への取り組み状況、第3章が今後の経済運営に当たってということで、政策的な提言をしているところでございます。
 1枚めくっていただきまして「はじめに」とございますが、これは、今、私が申し上げましたように、毎年経済審議会でそのフォローアップを点検いたしまして政府に報告するということになっているということが紹介ささているところでございます。
 2ページでございますが、第1章内外経済情勢の展開ということで、現行の経済計画策定後の国際情勢について簡単に触れております。
 上の方では、アメリカ経済の拡大局面が7年目に入るということ。4行目あたりにございますが、東アジア経済がこのところ調整局面を迎えているといったことが書かれております。
 2つめのパラグラフのところでは、円の為替のレートの話が書かれておりますが、95年には80円以上の円高になったこともございますが、現在では現行計画策定時に比べて円安の水準で推移しているのはご承知のとおりでございます。 こうした世界経済の動向や為替レートの変動が輸出入を通じて我が国経済にも影響を及ぼしているということが書かれております。その3つ目のパラグラフの3行目でございますが、経常収支の対名目GDP比率は、97年には上昇に転ずるものと見込まれるということ。現行の経済計画策定時における円高が、この時点での先行き不透明感を高める要因となっていたわけでありますが、現在ではその不安感は取り除かれているということが書かれております。 2ページの下の方では、グローバリゼーションの動きが大きな潮流として引き続き進展していて、これを念頭に置いて経済構造改革の推進を通じて我が国経済の活性化を図るということが必要であるということが書かれております。
 3ページにまいりまして、我が国経済の現況を簡単に説明しているものでございますが、1行目にございますように、平成8年度には 2.9%と現行の経済計画で掲げております。年平均3%程度にほぼ沿ったものとなっていたわけですが、平成9年4ー6期には、これは前年同期比には 0.1%と成長率の低下が見られた。括弧書きは四半期ベースでの- 2.9 %ということでございます。これは駆け込み需要の反動によるところが大きいわけでありますが、7月以降のその影響が残っておりまして、景気はこのところ足踏み状態にある。最初のパラグラフの最後に書いてございますように、9年度の成長率の 1.9%の見通しを達成するのは困難な状況ではないかということを書いております。 その次のパラグラフはこの背景の分析でございますが、1つ目は、「駆け込み需要とその反動」、2つ目は「消費税の引上げ、あるいは医療費の自己負担の引上げ」といった国民の負担増が消費に抑制的に働いているということを書いております。さらにその下に、景気回復に従来のような力強さが感じられない基本的な原因として、我が国経済の構造的問題が大きいのではないかということを書いておりますし、このパラグラフの一番下には、バブルの後遺症であります企業、金融機関の不良債権問題が足枷となっているという認識を書いております。
 3ページの下の方は、雇用、物価等の状況についての分析でございまして、雇用情勢は伸びが鈍化していて完全失業率が高い水準で推移している。物価は引き続き安定している。物価の安定基調の背景の分析といったことが簡単に書かれております。
 3ページの下から経常収支が極めて簡単に書かれております。
 4ページにまいりまして、2つ目のパラグラフの3行目でございますが、以下では、第2章において現行経済計画策定後の構造改革の取組み状況について、進捗状況と課題についてまとめる。また、第3章において、今後の我が国経済の姿を展望して政策課題を述べる。こういう構成であるということを紹介しております。
 次に第2章でございますが、まず、「6つの改革の推進」というのが第1節にございます。現在、内閣の最重要課題として行政、財政、経済、社会保障、金融、教育という6つの改革が一体的に進められているところでございますが、そこの2行目辺りからございますように、大競争時代の到来、少子・高齢化等々の環境の中で活力ある発展を妨げている仕組みを変革する、世界の潮流を先取り新しい経済社会システムを創造するということで、その基本理念においては現行計画と軌を一にするものではないかと考えられます。今の計画の中ではこの「六つの改革」それぞれの基本的な方向につきましては一定の言及があるところでございまして、現行経済計画の目指す構造改革というのはこの「六つの改革」の一体的な推進を通じてより強力に押し進められるものであると言えるのではないかという、頭の整理をしているところでございます。以下では、特に経済構造改革に焦点を当てて整理をしているということでございます。
 4ページの下から5ページにかけまして、昨年12月に6分野の経済構造改革について総理大臣に建議を行ったことをまず紹介しております。その後、この建議が規制緩和をはじめとするさまざまな経済構造改革の推進に資するものであるということが言えるのではないかと思われます。
 なお、この建議のフォローアップにつきましては、現在、経済構造ワーキンググループを設けまして、そちらでフォローアップについてご検討いただいているというところでございます。
 その次のパラグラフでは、政府全体の取組みとしてまず昨年12月の「経済構造の変革と創造のプログラム」、今年の5月の「経済構造の変革と創造のための行動計画」というのが閣議決定されたということを紹介されておりますとともに、今年の3月に、「改定規制緩和推進計画」と呼んでおりますが、二度目の改定が行われまして 2,823項目が盛り込まれたものが閣議決定されております。11月18日には、「21世紀を切りひらく緊急経済対策」として経済対策が取りまとめられたところでございまして、その柱といたしまして、第2節の最後のパラグラフのところに掲げられておりますような「規制緩和を中心とした経済構造改革」、「土地取引の活性化・有効活用」等を柱としているということで紹介しているところでございます。
 第3節では、具体的な進捗状況をこの1年間の動きにつきまして見てみるところでございまして、今申し上げました、一昨日の緊急経済対策も盛り込んでおります。ここでは全体で10項目立てております。運輸から始まりまして、6ページにかけまして具体的にこの1年間の進捗状況が書かれておりますので、ざっとご覧いただければと思います。
 7ページの2つ目のパラグラフのところで、「今後について」ということで、今後について多様化、高度化しているニーズに対応したというようなことで、こういうような事業環境を作り出していくことが求められているのではないかとか、競争を促進し市場を活性化していく必要があるといったまとめをさせていただいております。 以下、同じように「流通」が7ページの後段でございます。
 8ページにまいりますと「電気通信」について、これも最近の進捗状況についてまとめておりますとともに、8ページの状態のところで「今後は、高度情報通信社会の早期構築を目指し----」ということで今後についての推進が求められることについて多少言及しているところでございます。 9ページにまいりまして、金融サービスでございますが、こちらについても1年間の進捗について書かれておりますとともに、「今後とも・・」のところで、「金融システムの安定に引き続き万全を期す」といったこと。その下に金融関係税制、一番下から2行ですが、「利用者の視点に立って市場関係者に共通される横断的なルールの構築」、いわゆる金融サービス法も課題として検討する必要があるというようなことを書いております。
 5番目が「農業生産」でございますが、こちらでは今年の4月に総理の諮問機関として作られました「食料・農業・農村基本問題調査会」で鋭意検討がなされているということが紹介されております。年内には中間的な取りまとめがされるということが書かれております。 6番目は「基準・認証、輸入手続等」でございますが、こちらは10ページの中段あたりでございますが、大阪の行動指針に基づく行動を提示した我が国の個別行動計画について、「本年11月のバンクーバー閣僚会議において改定され----」ということで、これはちょっと先取りしているのでしょうか、こういった表現を入れております。 「公共工事」についてはご覧のとおりでございますが、10ページの下から3行目「11年度末までにこれらの諸施策を完了して、コストを少なくとも10%以上縮減することを目指す」というコスト縮減に対する行動指針が決定されているということを中心に書いております。
 各論が続きますが「土地・住宅」が8番目としてきております。2番目のパラグラフのところに、今月18日の緊急経済対策において決定されました施策を、大きな柱でございますので、ここに少し詳しく書き込んでいるところでございます。
 11ページの・が雇用・労働でございます。12ページにかけまして、「今後も引き続き----」ということで、今後の見直し作業あるいは見直すべき検討課題といった事柄を少し書いてございます。 12ページの10番目、最後でございますが「医療・福祉」としまして、現在、抜本的な改革が検討されておりますので、その考え方のようなものを上の方に3行書いておりますし、現在「介護保険法」が国会で審議されているといったことが紹介されております。
 以上が分野別の規制緩和を中心といたしました経済構造改革の進捗状況でございますが、先ほどの分厚い資料4の「高コスト構造是正・活性化のための状況」でございますが、これは経済計画の別紙で「高コスト構造是正・活性化のための行動計画」というのがございますので、これ、 140ページございますが整理したものでございます。この中で数量的な進捗と施策について言及しているものでございます。 今ご覧になっております資料2の20ページ以下に別紙といたしまして「高コスト構造是正・活性化の進展状況」として、農業まで7つの項目について、先ほどの厚い方は施策も悉皆で書いておりますけれども、数量的なものを中心に進展状況をまとめおりますのでご覧いただければと思います。
 なお、ますますややこしくて恐縮ですが、項目の順番が事務局のミスで第3節の順番と違っておりまして直さないといけないのですありますが、こちらの方では「電気通信」以下となっておりますが、もともと順番に特に意味はございませんので----。 資料2本文の13ページをお開きいただきたいと思います。 第4節財政構造改革への取り組みと社会資本整備。まず、財政構造改革への取組みでございますが、我が国財政の危機的状況を踏まえまして、昨年12月に財政健全化目標というのを閣議決定したところでございます。また、それに基づいて財政構造改革元年として9年度予算が編成されたというのが紹介されております。
 2つ目のパラグラフですが、本年1月に総理大臣を議長とする「財政構造改革会議」が設置され、この6月に「財政構造改革の推進について」を閣議決定しております。この中で、今世紀中の2000年までの3年間を集中改革期間と定めまして、その期間中は一切の聖域なしで歳出の削減と縮減を進めるという明確な方向を打ち出したものでございます。
 2つ目のパラグラフの最後のところに、「政府は財政構造改革への取組みをより確かなものとするため----」とございますように、現在、財政構造改革法が国会で審議中でございますが、ここはまだペンディングでこういう文章になっておりますが、この報告をまとめる時点でこの文章を完結したいと思っております。
 次は、今後の社会資本整備のあり方--公共投資基本計画の改定--でございますが、公共投資基本計画につきましては、計画期間を3年間延長するということになりまして、 600兆円ベースでみて10年間で 470兆円程度と縮減を図ることとされております。 13ページの一番下でございますが、3年間延長した他に、直接的に国民生活の質の工場に結びつく生活関連の社会資本への配分重点化を図るなどの現計画の来て考え方を維持して、14ページの括弧書きに書かれておりますような経済構造改革関連の社会資本について物流の効率化対策に資するものを中心に優先的に整備するということになっております。 公共工事のコスト縮減、10%以上の縮減3年間という目標も出されております。
 社会資本整備の目標でございますが、社会資本の整備目標として26項目(32目標) を掲げているが、その進捗状況は別表のとおりであると書いてありますが、お手数でございますが24ページをご覧いただきたいと思います。「「社会資本の整備目標」の進捗状況」ということで、(1) 快適な生活環境を形成を主たる目標とするものとして排水、公園、廃棄物循環型処理率以下2枚ございまして、左の欄が整備目標、真ん中が計画における数値、その右に年度別の進捗状況を掲げております。
 3枚目が(2) 安全で安心できる生活の確保ということで福祉関連について整理目標がございまして、それを計画における数値と進捗状況を整理しようというものでございます。
 4枚目、5枚目は、経済の発展基盤の構築ということで、高規格幹線道路のインターチェンジに1時間以内で到達できる面積の割合、空港に到達できる人口の割合など、2枚にわたってございますが、こういった整備目標の進捗状況をフォローしているものでございます。
 14ページの第3章今後の経済運営に当たってというところをお開きいただきたいと思います。
 第1節は、構造改革と今後の我が国経済の姿であります。先ほどもありましたが、9年度には政府見通しの 1.9%を達成するのは困難な状況にあると考えられますが、しかし、こういった経済運営の全体的な姿は現行の計画の枠組みを大きく超えるものではないというふうに考えられます。計画策定後の「六つの改革」の進展、あるいは諸条件の変化を考慮して、現時点において改めて我が国経済の中期的な姿を展望いたしますと、平成15年度(2003年)を目標ポイントといたします財政構造改革は、特に来年度以降3年間の「集中改革期間」におきまして、公共投資削減等による需要抑制効果を持つことから、ある程度の成長率の引下げ要因となることは避けがたいものの、経済構造改革の効果が見込まれますことから、現行計画で想定いたしました実質3%程度の成長径路を中期的に実現することは可能ではないかと考えられます。このためには、今後、経済構造改革の必要な諸施策を着実に実施することが求められるということであろうかと思います。そういう整理にいたしました。
 15ページにまいりまして、第2節今後の政策課題として、成長軌道回復に向けての政策課題として3つ掲げております。まず第1に、財政が危機的状況にあることから、その一層の悪化がもたらす可能性のある有効需要喚起のための財政政策を安易にとることは適当ではないということ。その2行下でございますが、財政の健全化を進めまして中長期的に国民負担率の増加を抑制して、公共部門の簡素合理化を通じて経済の活性化を図っていくことが必要ではないかということが書かれております。
 第2に、財政構造改革を推進する中で、適切な経済成長を確保するためには、民間の経済活動の活性化が不可欠であるということで、以下の施策を着実に実行していくことが必要であるということて、ここで4つ書いてございます。これはまた今回の経済対策の柱でもございます。【1】新しい技術開発やニュービジネスの創出を活性化するため、規制緩和を中心とした経済構造改革を断行する。【2】は、2つの過密・過疎と言っておりますが、都市における地上は過密で空中は過疎であるという問題とか、都市と地方の間の過密・過疎の問題といったものを抱えているではないか。担保不動産の処分が滞っている不良債権処理が景気の足かせになっているため、土地取引を活発化すべきではないかということ。
 16ページにまいりまして【3】は、企業が国を選ぶ時代になってきたということで、企業に活動の拠点として選ばれるよう魅力ある事業環境を整備すべきである。【4】は、民間金融機関において貸出しに慎重さがみられる中で、中小企業に対する必要な資金供給が妨げられることがないよう、構造改革への中小企業の適応を支援すべきではないか。 以上の4つが安定的成長を図っていくための基本的な考え方ということでございます。
 第3といたしまして、規制緩和への不安感、弱者切捨ての経済状況になるのではないかといった不安感を取り除く必要があるということ。そして、それは1つは情報の開示と提供でございますし、市場監視機能の強化でありますし、真の弱者に対する救済措置といったものに配慮するということではないかということで、このように整理させていただいております。
 ここで言いたいのは、一番最後のところにございますが、公正かつ自由な競争秩序を担保し、結果的に資源の最適配分や財・サービスの安定供給を通じて、国民の生活向上に結びつくことを制度的に保証することが必要である。規制緩和と競争秩序を担保するための施策は、車の両輪ではないかとということでございます。
 以上が政策課題ということで整理したものでございますが、これをさらに、今後の中長期的な経済社会について展望していくとすると、どういうことに留意すべきかというのが16ページの後半でございます。 これは、当経済社会展望部会でのご審議にまさに関わるところということで、そんなイメージで書いておりまして、後で是非このあたりについてもご意見をいただければと思います。 書いてありますことは、経済計画に書いておりますグローバリゼーション、成熟経済社会 少子・高齢化、情報化といった4つの潮流変化に適切に対応する必要があるのだという意識がございまして、留意すべき点として5つ書いて(1)グローバリゼーションについては、(1)の3行目あたりになりますが、国全体としての一体性を保って効率性と公平性の維持という目標の両立性を図るために、諸外国とどのように調和を進めていくべきかということが留意すべき課題ではないか。(2)は産業構造の面において、業種間の格差とか、あるいは製造業、非製造業との間の格差といったことについて、どのように考えるか。ワーキンググループでいいますと産業構造ワーキンググループグループなどに関わる問題であろうかと思います。
 17ページの2行目でございますが、市場メカニズムの一層の活用が重要であり、生産要素の柔軟な移動のための環境整備、次代を担う新規産業の創出促進等を推進といったようなことが書いてございます。
 (3)は、社会保障におけます構造改革が経済パフォーマンスに影響を与えるのではないか。そして、新しい社会を築くための制度設計を行っていくことが必要である。不安感を解消すべきではないかというようなことをちょっと頭だしをしております。(4)は、土地・住宅でありますが、少子・高齢化が進みまして量的・質的な変化が予測されるわけですけれども、土地の有効利用などについて総合的な施策としてどのようなことを考えるのかというような点でございます。(5)は、主として経済主体役割部会で現在ご審議いただいていることに関わっておりますが、NPOの役割、上から5行目あたりに書いてございますが、政府による規制の緩和・撤廃が進んだ後においても、業界団体が制約したりするということはないかという、いわゆる民民規制の問題があるのではないかといった切り口もあるということでございます。今後の中期的な経済社会を展望するに当たっての考えるべきこととして書いてございます。
 第3節 地球温暖化問題をはじめとする地球環境問題への対応でございます。
 18ページの2つ目のパラグラフまでは、2000年までの温室効果ガスの抑制の話でございまして、今、現在は2000年以降についていろいろ議論が行われているわけで、そのあたりは3つ目のパラグラフから書かれております。これはまさに今、議論が行われているところでございまして、上から8行目の「また・・」以下のところにございますように、12月はじめに京都で開かれます気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)というものに向けて、その議論が活発化しているところでございます。
 ゴシックで書かれておりますように、我が国は議長国として基準の削減率を5%としつつ、GDP当たりの排出量、1人当たりの排出量、人口増加率による差異化及び遵守事項における一定の柔軟性を加味する方式を提案しているわけでございますが、依然、意見が対立しているのは新聞などでご承知のとおりでございます。今後、意見の収斂を図ること必要であると書いておりますが、これからいろいろ事情が動いてくるのではないかと思いますので、これがまとまります時点でまた改めて整理する必要があるかと思いますが、大変重要な課題でございますので、こういった事柄について言及ができればと思っております。
 その下は、部会長が参加しておられますが、「地球温暖化問題の関係審議会合同会議」というのがございまして、それにおいて取りまとめられた国内対策を確実にしていくことが必要であるといったことで、それ以下、多少具体的な事柄について引用ができればと思ってまとめているところでございます。
 19ページにまいりまして「むすび」ということでございますが、いままでご覧いただいた事柄を「むすび」として少し整理しておりますので、くり返しになっておりますが3つ目のパラグラフをご覧いただければと思いますが、「このため、経済審議会においては、グローバリゼーションの進展、少子・高齢化以下の潮流を見据える中で、現在、内閣において進められている「6つの改革」が進展した後の我が国経済社会の姿を展望し、政府以下の各経済主体の役割と新しい経済主体の在り方を示すべく2つの部会を設けて審議していて、来年6月を目途にまとめを行う予定である」ということを紹介しております。「こういった審議を通じて将来展望をきり開くことが経済構造の一層の推進と相まって、将来の我が国経済社会に対する信頼感が回復するではないか」といったような事柄を「むすび」として書かせていただいております。
 現時点のフォローアップの報告の主要部分についてご覧いただいたわけでございますが、今、ご説明いたしましたように、こういったペーパーを閣議に提出する関係で、省庁間のセットみたいな作業もございまして、本日の時点でまだペンディングのところもあることもご承知いただければと思います。
 まだご説明しておりませんのが、厚い方の資料3でございますが、資料4は先ほど申し上げましたように経済計画別紙の高コスト是正、活性化の行動計画のものの推進状況を整理したものに対しまして、資料3は、1ページめくっていただきますと目次がついておりますが、経済計画の本文の中の第2部のところに重点課題の対応ということで、ご覧のような諸課題を掲げておりまして、その諸課題についてどのように対応しているかということを、主に政府の施策あるいは予算措置等々につきましてまとめたものでございます。
 以上、長くなりまして恐縮でございましたが、フォローアップについてのご説明を終わります。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。
 今、「構造改革のための社会経済計画」について事務局からご説明がありましたが、その進捗状況と今後の課題について、いろいろご意見を伺いたいと思いますので、ご自由にご発言ください。

〔 A委員 〕 15ページの第2節のところが一番要になるような感じがするわけでございますが、特に真ん中よりちょっと下のところの【1】、【2】、【3】、【4】までございますけれども、今の経済状況というのは、事前に想定していたものよりもずっと悪くなってしまっているということなので、何か別の応用動作がいるのかなという感じもするわけでございまして、一応、国民所得ないしGDEの構成要素がある程度バランスをもって動いていればよろしいのかもしれませんが、例えば消費性向だけが一方的に下がるという状況の中で、いろいろな心理的な要因があるのでありましょうけれども、この答案はこれでよろしいのでしょうか、それとも現状に対応するような何か特別の政策が必要というのをこの中に組み込む必要があるのかどうかという点はどうなのでしょうか。

〔 事務局 〕 今、A委員からお話があった点でございますけれども、1つは、今のご意見というのは、景気の現状についての認識ということと連動してのお話かと存じますが、先ほどご説明申し上げましたように、これは今月の月例経済報告等で政府がお示ししている認識でございますが、今のフォローアップの案で申し上げますと、先ほどお示ししまたように3ページの上から5行目、6行目のあたりに書いてございますけれども、確かに現状では景気は足踏みという感じでございます。ではございますけれど、その上に書いてございますように、我々の基本的な認識といたしましては、景気回復の基調が失われているという状況ではないというふうに考えております。そういう状況の下でどういう対策をやっていくかということでございますが、結果的には、そこにも書いてございますように、4ー6の落ち込みが非常に大きかったということもありまして、年度を括ってみての今年度の成長率というのは、政府が当初掲げた 1.9%というのはあるいは実現が困難かという状況ではございますけれども、そういう状況を踏まえてどういう対策をとるかということで、今、ご指摘がありました15ページのところの、特に「第二に・・」というところの記述でございますが、これは「第一に・・」のところを受けて、今、ここで財政を出して需要を追加するというような形の政策うとるということは適切ではないのではないかということで、先ほど、18日に政府として決定いたしました経済対策な何かの考え方に沿って、この4点を特に書いているということでございます。

〔 B委員 〕 今のA委員のご発言に同様な意見なのでございますが、果たしてこの部会で取り上げるべきかどうかはわかりませんが、「高コスト構造是正」、「活性化」という意味では、日本の経済成長3%ぐらいを維持するためには、やはりエネルギーというのが非常に必要であり、エネルギーを絶対に確保していかなければいけない。この提言を見ますと、確かに非常に詳しく出ております。ガソリンについても、電気についても、ガスにしても、エネルギーが順調に供給された上での適正配分、あるいは合理化、あるいは国民に還元するということでは非常にいい意見だと思いますが、その一歩前に、日本のエネルギーというのは本当に大丈夫なのかということ、大半を中東の原油に依存している今日、またイラクの情勢等が非常に不安定になってきて、第3次オイルショックがこないとも限らない。その場合に、21世紀に向かって日本のエネルギーを確保するために、天然ガスとか、あるいは太陽エネルギーとか原子力とか、エネルギーを中東に依存しなくてもある程度確保できるような対策というのを長い目でやっていかなければいけないと思うのでごが、そのあたりの議論というのは、この部会でやるのかどうかですが、やはりこの中にエネルギーの確保のためにはどうするべきだというようなことを入れておく必要があるのではないか。
 エネルギーの確保というのは非常に不安定な状態にございますので、その安定供給を日本としてはいろいろな面で確保していかなければいけない。そのためには太陽エネルギーとか、いろいろ細かいことをやってエネルギーを国民全体が大事にし、自らの力で供給するということも必要ではないかという感じもいたしますので、その辺を、エネルギーが非常に深刻であるということを訴え、それをどう打開していくかということを是非取り上げていただきたいという感じがいたします。

〔 C委員 〕 1つだけ質問させていただきたいのですが、16ページから17ページにかけてですけれども、今後の中長期的な社会経済の展望というところで、特に(2)のところですが、産業構造の面においては世界的な競争下にある産業とそうでない産業の間に生産性格差とかいうようなものがあって、これは多分内外価格差だとかそういうようなものがあって、今、A委員もおっしゃった高コスト構造というようなことが起きているという問題を指摘されているわけですが、製造業については海外と競争しているわけですから、日本人の高い労働力を使ってはペイしないような仕事は海外に出て行って、国内で高い賃金のといいますか、生活水準の高い日本人を使って行うものは、より付加価値の高いものを作るということで分業が成立すると思うわけですけれども、サービス業については海外に出していくわけにはいかないわけですから、日本人の生活水準が高くなるに従って内外価格差といいますか高い賃金の労働力を使って国内でサービスを行うわけですから、そこのところは出てくるるわけです。 もし、ここのところで高コスト構造を是正しようとすれば、最終的には安い労働力を入れて、このサービスのところの価格を下げるとかいうことになると思うのですが、そこでちょっと気になるのは、「この結果、国内的にもまた国際分業の面でも資源配分上のゆがみがもたらされており云々」と書かれた後に、「生産要素の柔軟な移動のための環境整備」ということが書いてあるわけですが、これは、読み方によってはサービス業等のコストが高いという高コスト構造を是正するためには、例えば労働力も国際間で移動させて、そういうところの高コスト構造を是正するというふうにも読めるわけですが、そこまで考えておられるのか。多分、この文脈では、国内における生産資源の移動を円滑にするということだろうと思いますが、その点だけちょっと確認したいということです。

〔 事務局 〕B委員とC委員から、それぞれ違ったことについてご意見を頂戴いたしました。 最初に、B委員からお話がございましたエネルギーの安定的な確保、なかんづくイラク情勢等を踏まえての石油の問題というお話がございまして、実は、このフォローアップの案では直接的にその話は触れておりませんが、関連する話でございますけれども、17ページの下から3行目以下のところの、地球環境問題ということで、これ、当然、地球温暖化ガス、なかんづくCO2 の問題ということになりまして、エネルギーの問題と密接不可分の話になってまいります。5%削減というような話になりますと、それとご指摘にありますような3%になりますか、もう少し長い目で見て成長率はさらにある程度低下するのかもしれませんが、そういう安定的な成長とどうやって両立させていくかということは大変大きな問題になってございます。申し上げるまでもございません。
 その中で、例えば、この前、合同審議会でご議論いただきました際にも、そうすると、エネルギーの供給面としては、いわぱ原子力20基分ぐらいを2010年頃までに稼動させないと今の技術の見通しの下ではCO2の削減が難しい、こういう状況になっているということで、ここでは記述をいたしております。 もう一つ、C委員からご指摘のございました、これも17ページのところの上から2行目のところの生産要素の柔軟な移動という点でございまして、確かにご指摘をいただきましたように、ここのところは広く解釈すると労働力の国境を越えた移動という話までつながり得るわけでございますけれども、当面、ここで念頭に置いておりますのは、C委員もおっしゃいましたように、国内で生産要素が柔軟に、とりわけ労働力が柔軟に移動するということを念頭に置いております。もちろん、最近の展望を考えますと、外国の労働者、単純労働者の場合どうするかという問題は1つの大きな問題かと思いますが、これは、今の段階といいますよりも、現在、ご議論いただいております展望作業の中でまたご議論を深めていただくべき問題かと考えております。

〔 部会長 〕 先ほどA委員のご発言と絡むのですけれども、1つは、これはいつの時点で公になるのですか。

〔 事務局 〕 最初にスケジュールを申し上げたかと思いますが、ちょっとうっかりいたしましたが、今、考えておりますのは、経済審議会の総会で最終的にお諮りいたすわけでありますけれども、これはいろいろな都合があってまだ日にちの確定ができておりませんけれども12月10日前後というふうに考えております。経済審議会でお取りまとめをいただきまして、その後、閣議に報告するという手順を考えております。

〔 部会長 〕 あと1月ぐらいの間のことなのですけれども、その間に何が起きるかわからないのですが、あえてここのところで申し上げるとプライベートセクターの実感としては、足踏みというところではないのではないかというのが実感だということが1つ。
 もう一つは、そこでということになるのですが、15ページの真ん中辺に書いてあることは、今までの政府のステイトメントだけれども、こんなことでは効かないのではないかという、私個人的にはそういう感じがします。 言いたいことは、ここはそう安易に変えられないとすれば、2ページに書いてある国際経済情勢のところあたりは、もう少し「非常に大変なんだ」というトーンを出さないと、特に、正直言って、もう日本発になり得るのではないかという実感が、アメリカなんかの危機感というのは非常に強い状態であり、その辺のニュアンスがほとんど出ていない。ですから、具体的には政策面で言うべきだと思いますが、そこが変えられないとすれば、非常にこの辺はシリアスだ、日本が何かしなければいけないのだという、その辺のところのニュアンスがちょっと出た方がいいのではないかという気がするのです。

〔 B委員 〕 賛成ですね。
 例えば、「現在では、円高に起因する不安感を取り除かれている。」と書かれていますが、むしろ最近は「円安に起因する不安感がある」という、もう 130円ぐらいになりつつあるわけですから、中東の原油が上がって円安になったら、日本経済は本当に高コストが全く是正できないことになります。この辺の表現も、どっちでもとれるというか、揚げ足をとられないような表現にしておいていただく必要があるのではないですか。

〔 部会長 〕 この前、橋本総理のニューヨークでのご発言で、かなりふれたのですが、ああいうことに絡んで、むしろその後の日本の経済の状況、金融機関の状態を見ていると、ああいうことが本当に起きるのではないかということがまじめに議論されているというのが実態だと思いますから、そんなこと具体的に書く必要はありませんけれども、日本の経済そのものの活性化のニーズはすごく切迫しているということをもう少し何か・・。 具体的な政策で出なければ、状況のところでもう少し何か出た方がいいのではないかという感じがします。

〔 D委員 〕 今の議論とやや反するようなことで恐縮ですが、私、地球環境ワーキンググループをやっていることもありまして、ここに書かれている内容が、実は相互に自己矛盾をきたしている点が非常に気になるのです。
 一番最後の17ページから温暖化をはじめとする地球問題への対応ということを一生懸命書いてあるわけです。構造改革推進ということでとられている政策手段が具体的に実際そうなっておりますので。今ご説明いただいた資料2の22ページにエネルギーというところがございまして、これは高コスト構造是正で頑張っているということなのです。例えば、ガソリン価格は下がりました、電力も下がりましたということになると、しかもガソリンなんていうのは 122円から 100円に下がったと、ですから価格メカニズムから言うと、エネルギー消費を減らす方向ではなくて増やす方向になっている。それから、例えば電力について見せていただくと、要するに卸売で入札した、いわゆるIPPというか独立電気事業者が参入して価格を下げる要素として非常に作用しているということを書かれているわけですが、IPPはどういうエネルギー源で発電をするかというと実は化石燃料で、しかもどちらかと言えばC部分の多いものになるわけです。そうするとここでは新エネルギーとか原子力をやるということを建前としては言われていながらも、実質的には化石燃料で安いからというのでIPPを大いに使って入札させようという政策をとっているのではないかと思うのです。
 ですから、例えばエネルギーのところをちゃんと読んでみると、CO2を減らすとか、あるいは省エネを進めるような政策がここで打ち出されているかと言うと、実は全くというか、全くという言い方は悪いのですけれども、そういう意味で言うと、ここの中で、第3節の地球環境の関連で見てみますと、政策で自己矛盾している。そういう自己矛盾しているものをどういうふうに解消するのかという、そういう内在的な議論が行われていないで、きれい事で、きれい事という言葉は非常に失礼なのですが、17、18ページに書かれているということと、もう一つは、経済社会展望部会が2010年まで展望するということであるからこうであろうというふうには思うのですが、やはり地球温暖化問題への対応(COP3)というようなことに焦点が当たっているわけですけれども、COP3で決まる削減率、例えば0%であれ5%であれ15%であれ、これは我々が必要としている、いわば地球温暖化を防止する、今、ご存じのように今の時点で大気中のCO2濃度、あるいはグリーンハウスガス濃度を凍結するなんていうことはできないから、2倍等量まで認めて、そこまで何とかしようということを考えているわけですが、それであっても実はCOP3で決まることなんていうのは、実はほんの第一歩にすぎないので、ですから、タイムフレームとか基本目標で考えてみると、この問題はむしろそういった長期の目標の中で段階としてどう考えるのかという、そういう発想がいるように思うのです。
 よく読んでみますと、確かに18ページの終わりから2つ目のところなどのパラグラフは、そういった意味での長期的な展望がある程度書かれていることは事実なのですが、何となく経済計画で評価して、いわゆるどうやっていくかという意味で、短期と中長期とそういうものの組合せが、今、言いましたように、ここでとらえている手段の相互間の自己矛盾をどういうふうに考えるのかということと同時に、いわゆる2010年までの展望と2010年を超える必要性との問題が、もう少し何か有機的に関連されて、2010年を超えるところは夢物語を書くというのではなくて、もう少し具体的な形でステップ・バイ・ステップというか、そういうニュアンスがあるといいのではないかということを感じてならないのですが、ちょっと細かなところで恐縮なのですが、少なくとも地球温暖化問題とエネルギー政策とか、先ほどご指摘があったようにエネルギー安全保障の問題も大変重要だとは思うのですが、そういう点で私が見る限り非常に相互矛盾している点はどういうふうに解消されるのかなという点が最も気になったところでございます。

〔 部会長代理 〕 先ほどA委員、部会長からお話があってホッとしたわけですけれども、事務局が先ほどお話になったのは、政府はこう考えているから、審議会はそれを飲めというわけですね。従来は、審議会は大体政府の言うとおり、大人ですから、まあまあ、なあなあということでやってきたのですけれども、これからは賛成したらやはり責任が生じると思います。そういう世の中であると思うのです。賛成するなら賛成してもいいのですけれども、やはりそこのところは少し考えなければいけないことであって、文章を読むとすべて逃げ道がついているのです。例えば、「財政政策を安易に発動してはいけない」、真剣に発動したらいいんですね。それから「中期的に実現する可能性がある」、しない可能性もあるわけです。すべて逃げ道がついているけれども、やはり今の時点で審議会がこういうことを言うということでいいいのかということは、やはり考えていかなければいけないし、事務局もそういう時代になったということを前提に審議会の事務局として働いてもらいたいということを、この際、やはり考えた方がいいのではないでしょうか。そういう意味で、文章等は部会長のところでもう少しいろいろ考えて、政策についても考えていただいた方がいいと私は思いました。

〔 E委員 〕 フォローアップ委員会の作業の進め方みたいなことでございますけれども、かねてから、私も時々そういうお願いをし続けてきておりますが、少し難しい注文になってしまうのですけれども、経済審議会の特にフォローアップの作業は何をやるかという原点に立ち返りますと、構造改革プログラムの進捗状況だけではなくて、それと併せてそれに沿って望ましい経済の姿に向かって、経済全体の姿が進みつつあるのかないのか。 経済あるいはマーケットの中で動いている経済主体の意識とか行動というのが、その方向に沿って進みつつあるのかないのかということをきちんと点検していく。毎年、完全な点検ができなくても、毎年くり返すことによって年を追って、どこに残る問題があるかというふうなことが明確になってくるというふうに、なんていいますか、残る問題点が浮かび上がっていくような形で作業が進められていくのが望ましいということだと思います。経済審議会、つまり経済そのものをいつも分析するという視点がどうしても大事だし、単にプログラムが何パーセント実行されたということにそんなに大きなウエイトを置かなくても、これは多分電話帳を点検すればわかるという話でございますので、経済全体のアナリシスと経済主体の意識、行動の変化を把握するという要素がレポートの中に年を追ってしっかり入ってくるという要素があれば望ましいのかなと。
 冒頭にいくつかご質問があった点も、今の経済の姿が一体どれぐらい方向性から見てずれているのか、あるいは経済主体の意識、行動が望ましい方向より後ろを向いていないかとか、おそらくそういう疑問だと思うのですけれども、そのためにはやはり多少アナリシスが伴っていませんと、当初の計画の時点と比べて著しい環境変化があったがためにそうなっているのか、あるいはマクロの経済政策がやはり適切でない部分があったからそうなっているのか、あるいは規制緩和がなお不十分、進捗度合いが不十分だからそうなっているのか、それらが十分であっても、それに見合ったインフラの整備が遅れていてチグハグになっているからそうなのか、あるいは全部そろっていても、なおインセンティブ不足ということがあり得ると思いますが、そういったことからそうなっているのか。もう少しやはり毎年アナリシスの要素を加えていきませんと、何年たっても同じ作業のくり返しで、最後まで真の問題点に行き当たらないリスクがあるというふうに若干感じる次第でございます。
 大変難しいお願いで恐縮なのですが、今回のレポートでも、4ページから14ページぐらいまでほとんど、いわゆる電話帳のサマリーだという感じがあって、経済の分析的な部分があまりにも少なすぎるという感じがいたします。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。 かなり重要なところにきているのですが、予定だと次にいくのですが、お1人、2人ご意見を伺って次にまいりたいと思います。

〔 F委員 〕 新米ですのでピントが外れた意見になるかもしれないのですけれども、今、いろいろ本質的なお話になったので、ちょっと疑問を抱いていることを申し上げます。根本的な「「構造改革のための経済社会計画--活力ある経済・安心できるくらし--」の進捗状況と今後の課題」の中に、これは私的部門ということに限定されているものなのか、あるいは公的部門ということに関して、一切私どもの提言というものはしてはいけないのか、私が一番非常に心配して感じておりますのは、まさに行革その他を含めました公的部門の非効率性、あるいは先ほど労働力の移動の問題が出ましたけれども、私的部門で、今、いくらアウトソーシングとかある種の流動性というのをもたらしても、一方において公的部門か非常に流動性がない、あるいは未だに郵政省の民営化ということに対して公務員の肩書がどうのこうのという議論が行われている。そういうってことは、公的部門の人たちにとって民というのは一段下でそこには行きたくない、はっきり言うと公の方にいた方がいい、動きたくないという非常に硬直した、まさに市場メカニズムが働かない膨大な部門を抱えて、大変ストレートに言わせていただいて恐縮でございます、これは決して誰か特定の人を誹謗するとかいう意味ではなくて、今後の日本全体を考える場合に、そういうことが非常に大事ではないかと私は思うのです。
 郵便の問題1つとってみても、私自身、海外で何度も生活しておりますと、例えば郵便料金自体が日本は非常に高いと思うわけです。郵便料金が高いということは、これまさに高コストの1つのベースになる、郵便に代わって宅急便みたいなもので書類のやりとりをやるとか、たくさんのメールなんかも来るようになってきているというのは、まさにそれを表している。ところがそれに対しては全部触れていないし、財政が危機的状況にある、なぜ危機的状況にあるのかという原因追求をすれば、単なる私的部門のみならず、日本全体の公的部門を含めたことを考えていかないことには解決の道は見出せないのではないか。その辺に関して、私たちは一切口をはさむことができないのかなという疑問をちょっと感じたものでございますから、質問させていただきました。

〔 部会長 〕 ここは、6つの中の主として経済と財政で、それはもちろんパブリックな部分も絡んでいるのですけれども、それは民意にはなっていないということですか。

〔 F委員 〕 パブリックセクターに限ってということですか。

〔 部会長 〕 もちろん、パブリックセクターに限ってということはないと思います。 どちらかというと6つのうちの経済と財政に絞った部分を主として述べているというところで、どちらかというと、今、ご指摘になったようなところからは結果的に少し外れてくるということになるんでしょうかね。全体としては議論してはいけないということはもちろんないと思いますけれども。

〔 事務局 〕 先ほどの私の申し上げ方が悪くて、部会長代理からおしかりをいただきましたけれども、もちろん、いろいろなご提言をいただいて、審議会としておまとめをいただくということでありまして、このフォローアップについてもいろいろなご意見をいただきましたので、また部会長ともご相談しながら、そういうものを入れて修文を考えていきたいと思っております。

〔 G委員 〕 今、議論になっている問題の取り上げ方いかんによっては、この計画自体をどうするかという問題に戻っていくわけです。その辺のことをやはり1回議論の前提として整理しておかないといけないと思います。

〔 A委員 〕 15ページの真ん中辺ですが、先ほどの議論にも関連しまして、公的部門の簡素化、合理化等を通じて経済の活性化を図っていくことが必要であるということが書いてございます。ただ、今、こういうことをやっても、それが全部貯蓄にいってしまって消費にならないというふうなことがよく言われるわけですが、経済学というのはかなり心理学だという要素もあるようでございますけれども、その辺に手を打つといいますか、例えば減税をしても貯蓄にいってしまう。みんな貯蓄にいってしまうということがなぜ起こるのかというのはある程度原因は突き止められているかと思うのですが、その辺に何か手が打てないかというような新しい視点をどこかに入れていただく必要があるかなという感じがします。私もべつに具体的な案はございませんけれども。

〔 部会長 〕 まだいろいろご意見を伺うべきだと思うのですが、この辺、皆さんのご意見を踏まえて修正その他ご一任いただくということになっているのですが、先ほどのG委員のご意見からも、簡単にご一任いただくのも責任重大ですが、一応、ここのところは次に移させていただいて、どういうふうにやるか、先ほどの局長のお話ではありませんが、ちょっと部会長代理ともご相談して、結果的に皆さんにも、いくつかの案に従って基本的にこれでいいのではないかという方向に、12月の総会に報告できるようにしたいと思います。 先ほどお話がありましたように、12月の審議会の総会で報告なのですが、ワーキンググループをいろいろやっていただいておりまして、各ワーキンググループの審議の経過報告をお願いすることになっております。実は9つワーキンググループがあるのですが、今日は産業構造と雇用・労働、金融の3つのワーキンググループに審議経過をご報告いただいて、残ったワーキンググループにつきましては、また次の部会でお願いしたいと思っております。
 それでは、3つのワーキンググループの座長からご続いてご説明いただきまして、その後、委員の皆さんからご質問、ご意見をいただきたいと思います。
 産業構造ワーキンググループの鶴田座長、お願いいたします。

〔 鶴田座長 〕 産業構造に関する議論をワーキンググループとして始めましたのは10月3日でございまして、今から40日前ぐらいでしょうか、それから以降5回勉強会をやって、お手元の資料5の1ページから8ページまで、考え方をまとめたものでございます。
 今、ご議論いただきましたように、足下の問題を考えると非常に悩みの多いリポートになりますので、足下のことは一切考慮せずに、21世紀あたりをにらんでどういうふうに考えたらいいのかという大まかなデッサンをさせていただきました。細部にわたっては今後検討して詰めていくことがあると思います。
 そういう意味で悩みのないリポートになっているかもしれませんけれども、最初に申し上げておきたいと思います。
 まず、7ページをご覧いただきたいのですが、ワーキンググループの参加メンバーを記しております。私が座長を務めさせていただきましたけれども、私を含めて6人でございますが、このうち濱田さんとフェルドマンさんは、この部会にも参加されておられます。
 8ページに、今後、産業構造を考える場合、どういう要素を念頭に置きながら考えたらいいかという鳥瞰図がございます。これは考え方を整理する意味で載せてあるわけでありますが、左側に構造改革等の政策要素、右側に予想される環境変化が記述されております。 真ん中に「産業構造」と大きく書いてありますけれども、産業構造というのはある意味でマクロ経済の半面でありますけれども、ただ、マクロ経済の決定原理とは異なっておりますし、どちらかと言うとマクロ経済の影響とミクロの産業組織なり企業組織の影響を受けるわけでありますから,この両面からものを考えてみようというふうになっているわけであります。
 全体の構成は4部構成でございまして、まず1ページ目に、1.21世紀初頭の産業構造についての基本的考え方、2ページ目に2.経済環境の変化と構造改革を踏まえた各産業の動向、4ページ目に3.新規事業展開促進のための環境整備、6ページ目に4.地球環境面での制約と産業構造、こういう4パートであります。
 1ページに産業構造についての基本的考え方が述べてありますけれども、構造改革は、各経済主体が自由な活動を行う際の障害を取り除くことというふうに考えております。これは既得権益の放棄とつながるわけでありますけれども、こういう自由な活動の成果・実績に応じたリターンを受けられるような仕組み・制度を作ること。これは半面として自己責任原則の確立に通じるわけでありますが、全体として経済の効率化なり豊かさの維持・向上を目指すものであるというところであります。
 「六つの改革」等は、先ほど申し上げました環境の変化も含めてでありますけれども、ある程度トレンドとして想定できる環境の変化と、予期しない環境の激変と、技術革新が誘発する情報ネットワークなどの技術環境の変化、そういうものに対する対応力が求められているだろうという整理でございます。
 21世紀初頭の産業構造の基本的姿は以下に書いてございます。3つありますけれども、最初は規制緩和等々を通じて、特に非貿易財産業の競争の促進、生産性向上。これはある意味で日本経済の高コスト構造の原因を除去することになるわけでありますけれども、そのことを通して有効な国際分業の形成を促進する。あるいは新規創業や既存企業の新分野進出の障害を取り除くということであります。
 2番目が、市場メカニズムを発揮させるということは、生産要素の自由な移動を可能として、ある意味で生産要素が自由に移動するということは、価格の変化をシグナルとしてより敏速に対応できるダイナミックな企業行動と産業構造の形成を促進するのだということであります。
 3番目が、公正なルールに基づく市場を通じた適正なリターンというインセンティブが付与されるような仕組み・制度を作ることによって、日本の産業の競争力の源であった技術、いわゆる基盤技術の維持・向上、ないしは新しい高度技術の創造を促進する、そういうことのための環境整備を図ることが必要だろうということです。
 こういうような基本的考え方に立って、21世紀の産業構造はどうあったらいいだろうかという、ある種の期待をこめてキャッチフレーズを考えてみたのが次の「柔軟・創造・挑戦型産業構造」ということであります。「柔軟」というのは、各企業・産業における生産要素の自由な移動が可能であるということを「柔軟」という言葉で表現しております。「創造」というのは、各経済主体による前例や慣行にとらわれずに、模倣や横並びでない、独自の発想・技術・ノウハウなどに基づく行動、これを「創造」というふうに位置づけております。「挑戦」というのは、いわゆるリスクテイキングによる現在の閉塞的・硬直的な経済構造への挑戦、そういう意味では内なる挑戦を意味するというふうに、ある意味では期待がこもっていることでございますけれども、ある程度21世紀の産業構造をこういう表現でとらえたらどうかということであります。
 1ページから2ページにかけてでございますけれども、その際に、こういうことを政府の文書として書いていいかどうかということはご議論いただくべきことだと思いますけれども、政府が先験的に保護・育成すべき産業を決定する時代ではないという位置づけであります。これは、産業構造が変化する過程というのは、当然ウィンナーとルーザーが出てくるわけでありますから、ルーザーに対してこういう突き放した書き方でいいかどうかということは、やはり慎重に議論すべきことだと思いますが、何ぶん私の趣味嗜好が入っておりますから、そこだけは一言申し添えておきたいという気がいたします。
 行政におきましては、護送船団行政の下での業界保護的な政策からの脱却が必要だということ。また、各企業部門においては横並び的、もたれ合い的、硬直的な仕切られた競争から脱却することが必要だということであります。そして、市場メカニズムの下でのグローバルな競争に伍していくために、企業システムの再構築なり、この企業システムというのは企業と政府の関係なり、企業と銀行との関係なり、企業と企業との関係なり、あるいは企業の内部組織の問題も含めて「企業組織の再構築」という表現をしてあります。技術面、インフラ面、企業経営面で進展するネットワークへの対応というのが求められる、こういうことになっております。
 以下、それでは政府は何もしないでいいのかということで4つほど書いてあります。要するに従来のような競争抑制型行政の撤廃。それに代わって透明なルールの整備徹底を図って、公正な競争を促進するということになると思います。
 2番目が環境問題等と市場の失敗が存在する場合における合理的かつ必要最小限の市場への関与ということです。3番目が、挑戦ということをうたう以上、やはり人材が育たなければなりませんから、そのための仕組み・制度なりを考える必要があるだろうということです。4番目に、市場競争の結果生ずる雇用問題の適切な対処産業間、企業間の労働移動の円滑等の労働市場、雇用システムへの対応が必要であるというふうに、政府の役割を非常に限定的に扱っております。
 これはある意味で市場の失敗だけではなくて、政府の失敗への認識が重要だということでありまして、政府による市場への関与は、所期の目的が達成された段階で廃止されるような時限的なもの、ある意味でサンセット方式でありますけれども、それに限られるだろうということであります。
 以上が基本的な考え方で、2ページ以下で各産業の動向なりが書いてありますが、これは、貿易特化係数等々を活用して、3ページ以下に(1)比較優位にある製造業、(2)比較劣位にある製造業、(3)非製造業の3つに分けて考えたわけですが、ポイントは3ページの上から8行目にありますけれども、3グループの生産性上昇率格差をいかに縮小していくかということか重要だという認識であります。特に比較優位にある製造業というのは、一般的に言えば広義の機械産業だと思いますけれども、これから日本経済が成長、発展を遂げる上で最も重要な産業群でありますけれども、技術面での今持っております優位性をいかに維持し得るか否か。高付加価値製品の開発によってアジア諸国との競争に伍していくこと、あるいはアジア諸国との棲み分けをどういうふうに図っていくかということが重要なポイントになろうということであります。言うまでもなく、比較優位にある製造業につきましても、地球環境問題への適切な対応ということが極めて重要な課題であることは、一応メンションしております。
 比較劣位にある製造業につきましては非常に書きにくいところでありますけれども、構造改革を通じてある意味で高コスト構造が是正されるメリットが相対的に受けられるわけでありますけれども、そういう意味でコスト面からみた競争力の改善が期待される半面、温室効果ガス削減対策の制約を受ける等々、これから多くの困難に直面する産業群だというふうにしております。
 非製造業では、要するに規制を緩和することによって競争を促進して生産性向上を図ることが非常に重要だという認識であります。ただし、非製造業の中でも建設、不動産等々公共サービス、政府サービスがございますが、こういう産業群は公共投資への資金配分の見直しとか、社会保障構造改革の影響とか、あるいは少子・高齢化による需要構造の変化等々の影響を受けるわけで、一本調子で非製造業が生産性向上を推進し得るかどうかということは、多少留保する必要があるという認識であります。
 4ページ以下3.新規事業展開促進のための環境整備がありますけれども、これは大きく言って(1)今後の新規事業の展開促進施策の考え方が述べてあります。これは、4ページのこの項のパラグラフの3行目に、「新規創業の活発化、新製品・新サービスの開発、生産工程や流通方式の改善等の技術開発とその成果の事業化といった創造的事業活動や事業革新が求められている。」という認識に立って、また、地域経済の活性化という面も考慮して、現在、政府で採用されつつある政策について、5ページの最初の方にメンションし、そして、5ページの中断より頭のところで、2)今後の重点課題を述べております。
 この重点課題について言いますと、例えば現在のハイテク技術等々を見ますと、Window'95 も含めてかなり日米の技術格差が、従来、80年代は日本が優位に立っていたということだったと思いますけれども、それが逆転したという評価もございますし、そういうことを念頭に置いて、ベンチャービジネスといいましょうか元気のある企業がどういうふうに育っていくだろうかというようなことを念頭に置いてここに書かれてあります。また、ベンチャーだけではなくて、従来の大企業を中心とした技術開発対象がどうあったらいいだろうかということがメンションされております。
 【1】が創業段階における資金調達面での対応であるし、ポイントは、より早期の段階に資金供給と企業育成に比重を移す必要があるのではないか。そういう環境整備をうたったのが【1】でございます。
 【2】は、投資からみた資金回収段階における多様な選択肢の整備でありますけれども、要するにベンチャー・キャピタルがベンチャービジネスに投資するというのは、株式の新規公開を待たなければ投資が回収できないという問題がありますけれども、それでは約30年近くかかりますから、ベンチャー・キャピタルとしてなかなか機能しない面があります。したがいまして、M&Aの活性化等々株式公開以外の投資回収手段を考える必要があるのではないかということであります。
 【3】は、産官学連携施設の推進とありますけれども、この文章ではあまりイメージできないかもしれませんけれども、5ページの一番下のところでありますけれども、「大学における基礎研究から国立研究所における応用研究を通じて企業における製品開発につなげる」というとらえ方、これは従来の基礎研究は大学で、応用は官で、民になりますと製品開発というリニアのモデルでとらえられるという傾向があったわけですけれども、そういう考え方ではなくて、むしろ基礎研究と開発研究というのは相互に作用し合っているのだというような認識に立つ必要がある。これは、エレクトロニクスの分野でそういう実証をされた方がおられまして、きれいに相互に影響を与え合うというモデルがあります。そういう意味で、従来の考え方をリニアモデルとするならば、並行モデルというふうな考え方で産官学の技術提携を進めていくことが必要だろうということがこのポイントであります。 【4】経営面等における人材育成。このポイントは、従来の大学の高等教育機関というのは、オン・キャンパスエデュケーション、むしろCATVとか衛星等を活用してオフ・キャンパスエデュケーションを推進することによって、産業界の人材活性化を図っていくことが必要ではないかという認識であります。
 【5】技術評価のあり方でありますけれども、よくベンチャー・キャピタルの機能というものを、現在、都市銀行等々に求めたり、官庁に求める傾向がないわけではありませんけれども、それは無理だという認識があります。6ページの【5】の3行目「人材育成の面において大学等が重要な役割を担っている。」、その後ですが、技術を理解し、評価できるのは、当該技術を有している企業自身であるという考え方に立てば、持株会社の解禁により、今後分社型ベンチャーが増加することに伴い、技術を評価する人間の層も厚くなる可能性があるのではないか、そういう意味で持株会社にかなり期待している面があります。というのは、アメリカのシリコンバレーでは、要するにベンチャービジネスがベンチャー・キャピタルの機能を持っております。それは、ベンチャービジネスを担っていた企業家自身が技術を評価する力があるから、ベンチャー・キャピタルとして機能し得るのだと言う認識に立っているわけです。
 最後に4.地球環境面での制約と産業構造でありますけれども、これはいろいろ難しい問題があって、一応、産業構造のワーキンググループでもこの問題について大きく章を設けてメンションしておくことが必要だという認識がありますが、この問題の詳細につきましては、環境のワーキンググループ等々がございますから、そちらの方に依存するということであります。
 以上が、産業構造グループでわずか5回のディスカッションを通してまとめた考え方でありますけれども、冒頭に申し上げましたように、非常に粗っぽいデッサンであります。 足下の問題についてはほとんど考慮しておりませんから、このペーパーを見ますと悩みがないというふうにお感じになるかもしれませんけれども、あるいはもっと深刻に悩みますと先のことが書けなくなりますから、あっさりと表現しているということはお許しいただきたいと思います。
 ただ、先ほど冒頭で申しましたように、産業構造の転換というのは、ウィンナとルーザーが出てくるわけでありますから、ルーザーに対してここでは雇用問題だけを掲げてあります。雇用問題についてもこれに関するワーキンググループがありますから、そちらの下駄を預けた格好になっているわけでありますが、いずれにしても議論すべきことが多々あると思いますけれども、ご検討いただきたいと思います。
 今後は、他のワーキンググループとの関連を見つめながら整合性を保っていくことと、論点を掘り下げて詳細に議論することと、また、皆様方のご議論を参考にしながら、ワーキンググループでの作業を進めるという予定でおります。以上でございます。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。
 それでは引き続き樋口委員、雇用・労働についてお願いいたします。

〔 樋口座長 〕 それでは雇用・労働ワーキンググループから審議経過についてご報告いたします。
 私どもも10月3日より5回ほどの会議を開きまして、グループ構成員は15ページにございますように7名からなっておりますが、検討を進めてまいりました。この部会からは、清家委員に参加していただいております。
 内容につきましては、16ページのフローチャートに基づきましてご説明させていただきたいと思います。
 私どもが検討しておりますのは、まず足下で、一体どういうことが労働市場で起こっているのだろうかということに着目しまして、それから21世紀を展望しようというスタイルをとっているものでございます。 現状としまして、企業や労働市場を取り巻く環境が大きく変化してきている。その変化を例えばキーワードで示せば、そこに背景として掲げてあります「少子・高齢社会の到来」、「グローバリゼーションの進展」、「経済構造改革の推進」といったことが、これは企業にとってはどうすることもできない外生要因という形で起こってきているわけでありまして、それに対してどのような反応を労働市場が進めているのか、企業が進めようとしているのか、そして労働組合でありますとか、個人というものがそれにどういう対応をしようとしているのかということを考えております。 検討テーマとしまして、大きく分けて1つは労働市場の将来展望というようなことで、数量的にも労働市場の需給といったものが将来どうなっていくのかというようなことについて考えようというところでございます。
 もう一つは雇用システムの変化。どちらかといいますと質的な変化といったものについて雇用慣行を含めまして検討しましょうということになっております。現在のところ、審議の都合上、労働市場の将来展望ということは後に回すということで、これまでの5回で議論しましたのは、雇用システムの変化、雇用慣行についての検討を行ってきたということでございます。
 そのときに、我々の視点として一体どういうことを重視し、政策としたものを考えていこうかということになるわけでございますが、1つは雇用の安定、ある意味での完全雇用の達成というものがどのようになされるのか。2番目としまして、人々の価値観が非常に多様化している、個人によって異なってきている。その個々人の持つ価値観というものをどのように実現できるような経済社会といったものを構築していくのかというようなことでございます。3番目としましては、個々人の持つ職業能力あるいは就業意欲、そうしたものを発揮することができるような経済環境といったものがどのようにしてできていくのだろうかということを考えましょう。これが理想であるわけでありますが、足下を見ますと、必ずしも労働市場が需給逼迫しているわけではないということから、現在、どういう問題が起こってきているかということを考えましょうということによりまして、「検討テーマ」という真ん中のところに両側から矢印が向いているわけでありますが、その点について検討してきた。
 雇用システム、雇用慣行の変化としまして、長期的な雇用慣行といったものが現在どうなってきているのかという現状把握、それと将来展望。それに伴う課題としてどのようなことが起こりそうなのかということを検討しました。
 具体的には後で見ていくことにいたしますが、2番目のテーマとしまして、人事管理制度についての変化、そして将来の展望、課題、3番目が職業能力開発。先ほどのワーキンググループの方から技術開発の人材についてボールが投げられたわけでありますか、現在のところはまだそこまでいっておりませんで、その点については今後の課題にさせていただきたいと思いますが、現在、一般に言われています職業能力開発について検討するということを行いました。4番目としまして、現状を見ますと、非正規労働者の数が非常に増えてきているということもあります。役割部会の方でもこの点について検討するようにという要望が委員から出ておりますので、非正規労働者、言葉が適当であるかどうかわかりませんが、正規ではない人たちがいるということで、その人たちの増加が現在社会にどういう影響を与えているのか、雇用条件はどうなのかということについて課題を探るということをしております。そして、将来、少子・高齢化が進むにつれて女性、あるいは高齢者の雇用についてどのような変化が起こってくるのだろうかということについて展望と課題を行う。
 現在、ここまで進めているところでございまして、最後のところのコーポレートガバナンスについてはまだ十分な議論がなされていない現状であります。こういう課題が出てきた場合に、我々の視点としましては、企業と個人そして政府の役割がそれぞれどのようなやり方を果たしていくべきなのかということを考えております。特に政府のやり方と政策対応といったようなところを中心に報告書が書ければと思っているわけでありますが、まず、政府は一体こういう課題に対して何をするべきなのか、そして、何をするべきではないのかという両面について考えようということであります。
 そのときの基準となります視点といいますのは、政府のディレギュレーションが進んでいく、市場機能が重視されていく中で監視機能を強化していく必要があるのではないだろうか。ちゃんとルールを守った取引がなされているのかどうかということについての監視機能を重視するような政策システムがどうなっているのか。さらには、おそらく市場で物事を解決しようということになってきますと、お互い苦情処理のメカニズムが必要になってくるでしょう。企業の中であれば同士で解決すべき問題かもしれませんが、それだけでは解決できないような紛争処理、個々の事例に基づく紛争処理が起こってくるでしょうから、そういったものに対する司法も含めての機能をどういうふうに考えていくのかというようなこと。さらに市場機能に頼るということになってきますと、それに伴ってルーザー、負ける人たちが生まれてくる。そういうものに対するセーフティーネットの用意でありますとか、あるいは再挑戦ができるような経済システムということを考えていこうということをやっているわけでございます。
 具体的には、9ページに戻っていただきまして、長期雇用についての展望と課題ということで、現状、一体どのようなことが起こっているのか、足下について整理したものでございます。これを見ますと、労働市場の流動化ということがいろいろ叫ばれているわけでございますが、少なくともバブル崩壊後においては、労働市場が流動化するといった気配はあまり見られなさそうだという結論になっております。特に正規の常用労働者についてみますと、転職率も落ち着いているということもありますし、勤続年数も長期化しているということによって、労使ともに従来と同じように雇用保障といったものを第一に重要なものであると考えるという点についてはどうも大きな変更はなさそうだ。ただし、問題になりますのは、非正規従業員の増加といったものによって、経済全体としてはそういう形での柔軟化、フレキシビリティーを高めようという動きが起こっているという認識を持っているわけでございます。その中で就業の多様化ということが起こってきておりまして、いろいろな就業、派遣労働者でありますとか、嘱託、パートタイムといったものの増加がみられる。
 10ページにまいりまして、産業構造調整と労働移動ということで、ここで長期的に少子・高齢化が進む結果として、若年人口の現象が起こってくるでしょう。これまでの部門間の労働配分につきましては、若い人たちが新規産業に入り、年を取っている人たちが引退するという形でデクライニング・インダストリーから去っていった。こういうかなり長期の時間をかけてでの労働資源の再配分ということがなされてきたわけでありますが、若年人口が減少することでそういった機能が低下する可能性があるということもあるかと思います。 それと同時に、企業の内部において、従来は職種を転換するということもかなり頻繁に行われてきたわけでありますが、場合によっては高度な専門的な知識、技能といったものが要求されるようになってくる。そういったところでの再配分といったものについても困難が発生する可能性がある。ある意味ではミスマッチといった問題が起こってくる可能性かあるということになるかと思います。そのために円滑な労働移動が、この審議会全体でも言われているわけでありますが、それに対応するやり方として有料職業紹介、派遣労働法の見直しが議論になっているわけでありまして、労働省の動き、審議会の動きも見ながらいろいろ提言してみたいと考えております。
 それと同時に、有料職業紹介のネガティブリスト化が行われたわけでありますが、これに伴う移行が4月から実施されるに伴って、どうも問題というのも少しずつ明らかになりつつある。例えば苦情処理。お互い契約に基づいて転職したものの、実態としてそれが違ったのではないかということもありますし、あるいは転職者を受け入れる企業がそのコストを払ったにもかかわらずすぐにやめてしまったというような場合、その辺をどのようにしていくかというような一種のルールの監視機能といったものも検討していく必要があるだろうということであります。
 その下が、雇用保障のあり方ということで、これを労使ともに重視するということが起こっているわけでありますが、実際問題として、過剰雇用を抱えたときに中高年層における雇用不安が高まってきているということがあるわけであります。例えばアメリカであれば、レイオフ制度の場合にセニョリティー・ルールということで先任権を重視して勤続年数の短い人たちが最初にレイオフの対象となるというようなことがあるわけでありますが、果たして日本でこういったものを導入する必要があるのかどうか。これは労使の問題でありますから労使で考えてもらえばいいわけでありますが、政府としてこういう、例えば定年制の問題をも含めまして、年齢による一種のサンクコスト、既に技能を身につけた人たちが、その技能を使えなくなるということで埋没コストが発生するだろう。その埋没コストというのはおそらく年齢によってあるいは経験によって大きく違っているでしょう。 そうしますと、中高年の場合にはサンクコストが大きいということと同時に、他の企業に転職しようと思ったときなかなか仕事が見つからないということがあるわけでありますが、そういった問題に対して年齢を無視するといいますか、エイジフリーの社会といったものをどういうふうにして作っていくことができるのだろうかということについて検討しましょうということになっております。
 11ページにまいりまして、2番目の大きな論点でありまして、人事管理制度についての展望と課題ということで、現在、どういうことが起こっているのか。事実把握として実績給のウエイトが高まってきているというようなこと。さらには、従来とは違いまして、集団的な雇用管理から個別雇用管理に移っている。個々の人についての給与、査定といったものも重視されますし、あるいは労働時間についても裁量労働のようなところがありまして、集団としての雇用管理ではなくて個別、個々人についての雇用管理に移そうという流れが労使の中で起こってきているかと思います。
 そした場合に、これが高く評価される人であればいいわけでありますが、自分の評価基準と企業の評価した結果がだいぶ違っている、両者の間に乖離があって、労働者の方から苦情が起こってくるというようなことも一部みられるかと思います。そういう苦情処理について労使の中でどういうふうに検討してもらうのか。さらには労使間で解決できずに司法に、あるいは行政に対して個別的紛争処理を依頼するということが増大してくる可能性もあるわけでありまして、現状のところ、そういったシステムが必ずしも完備しているとは言えないということから、そこをどういうふうにしていくのかということを考えております。
 3番目が職業能力開発ということでございまして、基本的には将来自己責任と自己選択を追求するような能力開発ということで、個々の労働者が自発的に能力を開発するということが必要になってくるのだろうという認識を皆さん持っているわけでありますが、それと同時に、それでは企業の役割というのはどういうふうになってくるのかということでございます。委員の専門の先生方の中では、やはり個々人には限界があるのだという認識が非常に強うございまして、企業の支援といったものがどうしても必要だろう。能力開発を行っていく上でのその効率性を考えれば、企業の外で能力開発をして、それを持ち込んできて企業で活用してくださいと言ってもそれは必ずしも効率はよくないのではないか。むしろ企業の中で職業経験を積みながら、そして従来のOJTにさらにOff-JTといったものを付け加えることによって能力を開発する方がよろしいのではないだろうか。そうした場合の行政の役割としまして、いままではどちらかといいますと企業あるいは機関といったものに対していろいろ補助金、援助を行うということで能力開発をやってきたわけでありますが、個人、本人に対する能力開発支援といったものが重要になってくるのではないかということを考えております。
 12ページにまいりまして、労働者の職業能力の有効活用、能力発揮の観点ということから、転職の役割をどういうふうに考えるのかということでありますが、能力がせっかく開発されたにもかかわらず、それが有効に活用できない場面が最近中高年齢層を中心に起こっているのではないかということがあります。それなりに能力発揮の場をどう活用するのか、どのように開いていくのか。そのためには基本的には労働市場が需給タイトにならなければいけないということになるかと思うわけでありますが、政府としても完全雇用の達成といったことに対しては依然として強い責任を負っていくだろうということを考えております。 もう一つ、学校から職場への円滑な移行ということで、先ほどの技術開発を担当する人材をどのように活用するのか、どのように能力開発をするのかということとも関連してくると思いますが、最近の若年失業の問題、企業を簡単にやめていくということに関してどのように我々は考えたらいいのだろうか。ある意味では、転職をすることによってミスマッチしていたものを解消することができるかもしれない、なにも嫌な仕事にいつまでもついていなくても、後になって、30歳、40歳になってから転職するよりは、まだサンクコストが低いということから若いときの転職したものも容認されるかもしれない。しかし、その一方で、転職を経験しますと、欧米でみられるようにくり返し失業者になってくる傾向も無視することができないわけでありまして、学校から職場への移行過程において、それを円滑にどういうふうに進めるかというのは、やはり学校教育における職業意識の確立といったものを促すような政策が必要なのではないか。そのための1つの手段としてビジネス・インターンシップというようなものも大学においては考えられるでしょうし、あるいは高校の職業紹介のあり方というようなこともどういうふうに考えたらいいのだろうか。
 この面につきましては、ヨーロッパあたり、若年失業の高い国からは、日本の高校における職業教育といったものがやはりすぐれているといった評価もなされているかと思います。フランスあたりではほとんどこういったことに学校はタッチしないということに対して、日本はかなり真剣に取り組んでいる。その結果、学校を卒業して就職できないという人たちも少ないということもあるわけでありますが、片方では、学校の先生方が個々の生徒に対して仕事を割り当てていく、アロケーションしていくということもあるわけでありまして、選択の自由といったものをどういうふうに考えていくのかということも論議になっているところであります。
 13ページにまいりまして、4番目が、非正規労働者の増大ということでありまして、賃金でありますとか雇用条件を見てみますと、正社員との間の処遇格差が拡大傾向にある。 それが例えば労働需給の結果として決まっているものであれば、パートタイマーになりたいという労働者が多い、供給が超過しているということで賃金が下がっているとするならば、賃金メカニズムが働いているのだという解釈もあるわけでありますが、政府の制度がこういうものを導いている可能性はないのだろうか。特に私どもが意識しておりますのは、税や社会保障制度における例の「 103万円の壁」と言われている配偶者控除、これを見直す必要があるのではないか。それと同時に企業における配偶者手当の問題ということで、これは労使の問題でありまして政府の関与すべき問題ではないわけでありますが、配偶者手当といったものを労使はどのように考えているのかということをもう一度問い直したいということをやっております。 大体こういうことがいままで検討してきたことでございまして、最後に残された検討ということで、将来、これから議論しなければいけないものが書かれております。以上でございます。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。
 岩田委員、最後に金融についてお願いいたします。

〔 岩田座長 〕 金融についてのご報告を申し上げます。
 前半のご議論でちょっと発言したかったのですが、時間がありませんで、一言補足させていただいて、それで報告させていただきたいと思います。
 前半のご議論で、足下の状況で果たして計画のフィージビリティーがあるのかというご議論が出たわけですが、私も、現在、3%の軌道に乗せることはおそらくほとんど不可能になりつつあると思います。当初、計画を想定したときに2つのシナリオを想定したわけで、1つは 1.75.%、1つは3%で、そのときの基準というのは経済構造調整がうまくいかないと 1.75 パーセントになってしまって失業率も上がりますという説明がなされたと思います。現在、足下をこれまで見ますと、どうも3%の方ではなくて、つまり構造調整がうまくいかない方のシナリオで、現在の日本経済は動いているのではないかと思います。 それでは、どうしてそういうふうになっているのかということなのですが、基本的には環境の変化に対して、主観的には構造調整いろいろ努力しているのだと思いますが、どうも追いついてないということなのだろうと思います。規制緩和の分野についてはある程度、今日のご報告でもたくさんいろいろなアイテムが書いてありまして、ある程度進んだということだろうと思いますが、市場のインフラと言うべき法制度、法制度は会計制度なども含めまして、会計制度、司法制度、あるいは破綻処理の手続等々の市場インフラとも言うべき、税制ももちろんこの中に入ってくるわけですが、そういう市場インフラ的な部分がやはり遅れていて、全体としては環境変化に日本の経済は十分適応していないということになっているのではなかろうか。それで低い成長率の方で停滞しているということではないかと思っております。 具体的には、 1.75 %の議論がありましたときに、私は日本経済は低成長の罠に陥るリスクを抱えていると申し上げたのですが、その理由は2つありまして、1つは金融面での脆弱性、これは現在アジア全体にも広がっていると思いますが、日本自体も抱えておりまして、株価も少し上がろうとすると、すぐ益出しのためにまた下がるという、つまり、不安定化するような要因、1つはやはり重しとして不良債権の問題がある。もう一つは財政面の制約でありまして、高齢化が進みますとどうしても公的な負担が増えてくる。今回もそういうことで、ある意味では短期的にみますと財政のスタビザイラーを全部外してしまった。つまり、普通ですとスタビライザーで財政も少しは緩和するはずなのですが、それがいわば反対の形になっているという、おそらくその2つがあって短期的には非常に状況が悪いということになっているかと思います。
 以上、補足みたいなことなのですが、金融のワーキンググループでの検討ですが、これまで3回ほど行われまして、メンバーは21ページに出ていますように5名で行っております。
 この報告では4つに分かれておりまして、1つは環境の問題、グローバルな金融環境。 2番目は、金融のその中でのシステムの展望と検討のポイントということで、金融・資本市場、金融の担い手、金融商品、決裁システムの4つに分けて論じております。
 最初グローバルな環境の変化ということですが、これは今まさにアジアを中心としまして非常に厳しい状況があるわけでありまして、展望をするのは非常に難しい。足下の問題をどう処理したらいいかということがむしろ大きな問題になっていると思います。
 そういうことなので、文章上は17ページの下から6、7行目ぐらいですけれども、投資家が各国の経済政策を含めたファンダメンタルズというものをより注目して国際分散投資が行われているということですので、政府が国際的な協力の下で適切な政策をしていくということが重要ではないかという表現をしております。これが最初のグローバルな環境ということなのですが、展望の具体的中身ですが、そこでは4つに分けておりまして、1つ目は金融・資本市場が今後どうなるかということなのですけれども、我々のワーキンググループの検討では、金融・資本市場が将来どうなるかということなのですが、橋本総理はニューヨーク、ロンドンに比肩するようなマーケットにしたいということをおっしゃっているわけですが、どうも我々の検討では、それは今の日本経済及び日本の金融の現状を見ますとおそらく無理で、18ページの真ん中あたりに書いてありますが、我が国市場はアジアにおける中心的な国際金融センターになることはまず間違いない、それは現在もそうなわけですけれども、ただ、ニューヨークに比肩し得るようなマーケットになるかというとそれは無理なのではないかということで、「アジアにおける・・」というような言葉を使っております。 それに関連しまして、金融のグローバリゼーションで、おそらく個人部門の資産の保有内容がいろいろ変わるであろうということで、最後のページに日米の個人金融資産の残高の構成比の図が掲げられております。これはアメリカと日本を比べるという形で表が作られておりまして、アメリカは円にしますと約 2,500兆円という大きさでありまして、現在の日本の個人金融資産の倍ぐらいある。日本は、日経センターの試算によりますと、2020年に大体今のアメリカの規模になるであろうという予測がなされております。ただ、この予測でも注目されますのは、株式を見ていただきますと、日本の場合は株はアメリカと比べますとあまり大きくはならないという予測になっていますが、これも今足下の問題で例えば金融の持合構造が現実に崩れているわけですけれども、その崩れた後を個人投資家がどのくらい埋めるのかということがおそらく大きな点でありまして、仮に個人投資家が持合の分をうまく埋めていくということが起こらない場合は、株式の保有はあまり大きくならない。ただ、その代わり、日経センターの予測では、投資信託が今と比べて10倍ぐらいに、 2.6%が20.2%ほどに非常に膨らむ、投資信託がそういうミドルなリスクでミドルのリターンで適切な商品が開発されれば、ともかくこういうことも可能性があり得ると思います。ですけれども、例えば株式保有についてみますと果たしてこういうふうになるのか。 もう一つの問題は、公的な金融システムがどういうふうに変わっていくかという、今の行政改革の議論におきましても、郵便貯金は完全な自主運用というふうになっているわけですけれども、運用のいかんによってはもしかするとファンドに近いものになって公社債投信みたいなものに近くなるかもしれない。あるいは公的年金は 151兆円の資金が積み立ててありますが、これも自主運用するということに仮になるといたしまして、さらにそれがまたどの程度民営化されるかということによって、アメリカのように年金の割合が31%というようなところまでいくかどうかというようなこともおそらく大きく変わっていくのではないかというふうに考えております。 以上が金融の市場についてなのですが、特に市場につきましては、市場インフラをやはりもっと強化しないといけない。例えば会計制度につきましても、時価表示ということが国際的な潮流となっていますけれども、透明性のある枠組みを作らなければいけない。特に証券化との関連で言いますと、仮に資産圧縮ということで証券化を活用しようとしても、会計制度の制約で実はバランスシートからオフバランスができないとか、そういったような制度上の制約がやはり残っているのではないか。 それから、破綻処理ということにつきましても、司法的な手法を使う場合に、日本の場合は時間が非常にかかりますぎて、市場からの円滑な例えば退出するというようなことが必ずしもうまくいっていないのではないかというような議論が行われております。 以上が金融市場についてなのですが、2番目は担い手なのですけれども、日本の金融業をみますと、どうも必ずしもかんばしくない。足下のおそらく不良債権の問題で手がいっぱいで21世紀に備えて新しく拡大するというのが、政府が遅れた面もあるかもしれませんが、金融の担い手自身もやや意識の変革が遅れているのではないか。その結果としまして、日本の金融業はホールセール・マーケットだけではありませんで、あるいはデリバティブのマーケットでも、今、差があると言われているのですが、さらに最近はリテイルのマーケットでもどうも遅れをとっている。グローバル・キャッシュ・マネジメントというような分野でむしろ外国の銀行の方がうまくやっているということでありまして、そこでもまた立ち遅れているという、金融の担い手の方についてもやや遅れが目立っているのではないかと見ております。
 その中で公的金融というのもやはり1つの金融の担い手ということになるわけでありますが、一応中間報告といたしましては、公的金融も一定の役割は考えられる。ただ、資本市場の発展と整合的な形で質的な補完をするということが重要なのではないかと考えております。同時に事前にコストを明示化するというような仕組みを入れて考える必要があるということでございます。
 質的な民間の信用補完というようなあり方については、どちらかと言いますと債務保証でありますとか、リファイナンスでありますとか、あるいは住宅ローンの債権の証券化というような、アメリカの場合には住宅ローンの債券化がモーゲージ・マーケットで行われたわけですが、民営化されているけれども政府支援機関でありますファニーメイジ、ニーメイン、フレデリック・マックとかそういうところがまさにイノベーターでありまして、証券化自身を大きく進めるというようなことが行われていますが、日本の場合にはまだそこまでいっていないというのが現状かと思います。
 以上が担い手ですが、3番目に金融商品についてですが、ここではとりわけだんだん複雑な金融手法を用いた新たな商品か生まれているわけですけれども、特にオプションの取引等におきまして、担当者自身も意識しないで実はたくさんのリスクを抱えている。それがつまり効果が持続するような、長期にわたるようなオプション取引をやっていて、それを、もう2,3年たってしまえば自分はいない、そうすると実は誰もケアしないというようなことがあるのではないか。そういう内部のリスク管理体制というものを強化する必要があるという意見が強く出されたわけでございます。
 最後に決裁システムでございますが、決裁システムについてはおそらく今後電子マネーの実用化というのは進むでしょうし、あるいはEDIのネット構築というものが進められる。ただ、そこでの重要なポイントは、イノベーションを阻害しないような形で電子決裁に関する安全対策や認証制度の整備というものを進めていくということが大事ではないかという意見が強く出されております。
 以上、簡単でございますが、金融ワーキンググループの報告にさせていただきます。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。
 時間がきているのですが、お許しいただければ2、3、今の3部会のご報告についてご意見がございましたら伺って、残りのことについては後で事務局等で伺うようにしたいと思います。今、ここで特に言っておきたいということがございましたら伺っておきたいと思います。

〔 H委員 〕 私が申し上げたいのは、言葉の問題だけです。私は、産業構造の方の委員なのですが、4ページで「新規事業」という言葉をワーキンググループでは使ったのですが、先ほど検討した資料2の進捗状況、今後の課題の方では、実はいろいろな言葉が使われているのです。資料2の15ページの下の方の【1】では「ニュービジネス」という言葉が出てくる。16ページの【3】の頭から3行目には「未来の新産業」という言葉が出てくるのです。17ページにいきますと、4行目と5行目に「新規産業」という言葉が出てくるのです。
 報告書ですから誤解のないようにやった方がいいので、1つの企業が何か新しいという意味で使っている場合と、産業全体が新しいという場合でちょっと言葉を使い分ける必要があると思いますけれども、言葉がちょっとガチャガチャしているので、事務局の方に是非統一していただきたいということです。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。
 それでは、今、伺った3グループの審議経過報告について、今日はこれで終わらせていただきますが、追加のご意見は是非事務局の方に寄せていただいて、最終は年が明けてからのことですから、またそれぞれの審議の中に反映させていただきたいと思います。
 次回以降の日程について、事務局からご案内をいたします。

〔 事務局 〕 経済社会展望部会の今後の日程でございますけれども、お手元に資料6というのがお配りしてあると思いますが、次回の第5回の日程でございますけれども、12月18日の午前10時からこの部屋においてということで、残りのワーキンググループの審議経過報告をご審議いただくということでございます。 年明け後になりますが、第6回以降の日程は資料6に書いてありますようなスケジュールでご検討いただければと考えております。以上でございます。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。
 それでは、これをもちまして第4回の部会の審議を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。

--以 上--

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