経済審議会第4回経済社会展望部会議事概要

1.日時:

平成9年11月20日(木)14:00~16:10

.場所:

経済企画庁特別会議室(1230号室)

3.出席者:

小林陽太郎部会長、香西泰部会長代理、井原哲夫、井堀利宏、岩田一政、角道謙一、黒田晁生、小林佳子、下村満子、清家篤、鶴田俊正、長岡貞男、長岡實、奈良久彌、成瀬健生、濱田康行、原五月、樋口美雄、ロバート・アラン・フェルドマン、深海博明、福井俊彦、村本孜の各委員。
糠谷事務次官、林官房長、藤島日本銀行政策委員、高橋企画課長、中名生総合計画局長、貞広審議官、高橋審議官、大西計画課長、大森計画官、塚原計画官、道上計画企画官 他。

4.議題:

  1. (1)「構造改革のための経済社会計画-活力ある経済・安心できるくらし」の進捗状況と今後の課題について
  2. (2)各ワーキンググループ(産業構造、雇用・労働、金融)の審議経過報告

5. 審議内容:

(1)大西計画課長より、資料2、3、4に基づき「構造改革のための経済社会計画-活力ある経済・安心できるくらし」の進捗状況と今後の課題について説明後、討議。
委員からの主な意見は以下のとおり。
資料2「構造改革のための経済社会計画-活力ある経済・安心できるくらし」の進捗状況と今後の課題(案)」(以下「フォローアップ案」とする)中15頁第2節の「今後の政策課題」が本報告書の要となるところ。現在の経済状態が事前に想定していたよりも悪化している中、こうした書きぶりでいいのか。現状に対応するような何か特別な政策が必要というようなことを書き込む必要はないのか。
これに対して事務局より、フォローアップ案の3頁に書かれている景気の現状に関する認識については、月例報告で政府が示している認識であり、景気回復の基調が失われてはいないものの、景気は足踏み状態にあると考えている。かかる状況の下、今後どういう対策をとっていくかということであるが、成長率1.9%は実現困難であるという状況を踏まえ、先の18日に政府として決定した緊急経済対策の趣旨に沿って「今後の政策課題」としてこの4点を出したとの回答があった。
将来的に経済成長率3%を維持していくためには、エネルギーの確保が重要であり、そのためにはどうするべきかについてフォローアップ案において触れるべき。ガソリン、電気、ガスの分野における高コスト構造是正・活性化にしても、エネルギーが順調に供給された上での適正配分、合理化であり、それ以前に中東の原油に大きく依存している日本のエネルギー確保は本当に大丈夫なのかということを検討すべき。天然ガス、太陽エネルギー、原子力といったエネルギーの利用により、中東に依存しなくてもエネルギー確保が可能な対策を長期的な視野に立って実施していかねばならないのではないか。
これに対して事務局より、フォローアップ案では、エネルギー確保の問題について直接には触れていないが、17頁の第3節のところで地球環境問題をとりあげており、地球環境問題への対応とエネルギー問題とは実質不可分の問題と認識している旨の回答があった。
フォローアップ案16頁(2)のところで「高コスト構造を是正するために、市場メカニズムの一層の活用が重要であり、生産要素の柔軟な移動のための環境整備が重要」と書いてあるが、ここでは労働力も国際間で移動させて高コスト構造を是正することまで考えているのか。それとも、国内における生産要素の移動を円滑にするということか。
これに対して事務局より、広く解釈すると労働力の国境を超えた移動までつながりうるが、外国の労働者をどうするかということについては、現在行っている展望作業の中で議論を深めていく問題と認識。当面ここでは国内で労働力が柔軟に移動することを念頭においているとの回答があった。
プライベートセクターとしては、景気は足踏み状態というような状況ではないというのが実感。15頁の「今後の政策課題」に書いてあることが、既に政府のステイトメントであり、安易に変えられないということであれば、2頁の国際経済情勢のところでもう少し事態は深刻であるいうニュアンスを出さないといけないのではないか。
フォローアップ案中地球環境問題への対応と書いてあるが、一方ではエネルギー分野の高コスト是正等によりエネルギー消費を増やす方向になっている等構造改革の政策手段と照らし合わせると自己矛盾が生じている。自己矛盾が生じているものをどういうふうに解消するのかという内在的な議論が行われていない。
フォローアップの作業の進め方について、進捗状況の調査だけではなく、経済計画に沿って経済全体が経済の望ましい姿に向かって進みつつあるのかないのかを分析することが本作業の原点ではないか。経済全体の分析と経済主体の意識行動の変化を把握した記述がフォローアップ案に入っているのが望ましい。
計画策定当時は経済成長率として、3%と1と3/4%の二つのシナリオを想定しており、その際の基準というのは、経済構造調整がうまくいかないと1と3/4%となり、失業率も上昇するというものであったと記憶している。今足下をみると、経済構造調整がうまくいかない方の1と3/4%で経済が動いており、こうした状況は基本的には構造調整の進展が環境の変化に追いついていないためである。規制緩和はある程度進められたが、法制度、会計制度、税制等市場インフラ整備の遅れにより環境変化に適応できていない。そのため低い成長率で停滞してるということではないか。

(2)各ワーキンググループ(産業構造、雇用・労働、金融)の座長より、審議経過報告、その後討議に移行したが、この時点で既に予定審議終了時刻を超過していたため、2分ほどで討議打ち切り。このため、本審議経過報告案に関する各委員からの意見については、随時事務局で直接受け付けることになった。

6.今後のスケジュール

次回第5回経済社会展望部会は12月18日の午前10時から12時に開催する予定。

以上

なお、本議事概要は、速報のため、事後修正の可能性がある。

(連絡先)
経済企画庁総合計画局計画企画官付
(担当)道上、丹野
TEL 3581-0977(直通)