第5回地球環境・エネルギー・食料問題研究会概要

1 日時

平成9年1月20日(月)14:00~16:30

2 場所

経済企画庁特別会議室(1230号室)

3 出席者

(委員) 田中座長
石井彰、内田光穂、小川直宏、栗原史郎、厳善平、篠崎悦子、
柴田明夫、中上英俊、古沢広祐、細田衛士、柳原透、横堀惠一
(事務局) 坂本総合計画局長、五十嵐審議官、
西川経済構造調整推進室長、古賀電源開発官、小原計画官

4 議題

(1) 人口問題
(2) 各分野の相互関係と報告書の骨子

5 審議内容

主な意見は次のとおり。

(人口問題について)
○ アジアの今後の人口動向を見ていく上では、東アジアと南アジアの出生率動向の二極化、 ベースの人口が大きい中国とインドの動向、強力な家族計画等により10年間で半減ペース となっている出生率の急速な抑制傾向等、いくつかの重要なポイントが挙げられる。
○ 人口と経済との関係では、経済成長率の水準自体だけでなく、むしろ所得分布などの初 期条件の与える影響も大きいのではないか。
○ 教育などの社会文化的要因、家族計画の推進などの政策、医療技術の革新、戦争なども それぞれ人口動向に大きく影響を与える重要なファクターではないか。
○ 経済との関係で今後の人口を展望していく上では、これまでの動きについて、地域ごと、 時期ごとに調べてみることも有用ではないか。

(各分野の相互関係を考えていく上での視点)
○ 各分野の相互関係を考えていく上では、従来与件とされていたエネルギー、食料地球環境 に対する人口や経済成長の影響等も捉えることを目指し、できる限り双方向的に全体を捉え るよう努めていくことが重要ではないか。
○ 表層的に代表させられる各分野の相互関係だけでなく、その背景・根底にある所得分配、 人口構造などの規定要因の存在もよく念頭に置きながら考えていく必要が有るのではないか。
○ 各要因について、先進国、新興途上国、最貧途上国等それぞれにとっての意味付けが異な ることを、より明確に捉えておく必要が有るのではないか。
○ 全体に定見のある部分とそうでない部分をどのように見定めて捉えたかを明らかにしてお く必要が有るのではないか。

(各分野ごとの把握を深めるための視点)
○ 人口を必ずしも量的な負荷としてだけでなく、教育投資を通じた労働力の質向上がひいて は技術革新、経済成長へと積極的な効果を及ぼす面も捉える必要が有るのではないか。
○ 一括りに経済成長といっても、先進国と途上国では成長率1%の意味が異なるであろうし、 また、特に先進国では厚生水準の方が重要になってきているとも考えられ、注意深く捉える 必要があるのではないか。
○ エネルギー、食料の分野でも分配の問題が重要ではないか。
○ 食料生産については、技術進歩や人的資本の蓄積が重要な要素となっている。また、食料 生産の拡大は必ずしも環境破壊をもたらすとは限らないのではないか。
○ エネルギー分野については、石油ショック再来のリスクをどこまで強く示すべきか、2020 年時点では価格高騰はないという考え方のみでよいのか、インフラ整備における民間資金の 充当をどこまで見込めるのか。

(その他の視点)
○ 南北対立や、エネルギー分野における資源ナショナリズムの台頭といった政治的な要因を どう捉え調整していくか、という視点も入れる必要があるのではないか。

(以上)