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経済審議会経済社会展望部会第1回

議事録

時:平成9年7月25日
所:経済企画庁特別会議室(1230 号室)

経済企画庁

経済審議会経済社会展望部会(第1回)議事次第

平成9年7月25日(金)10:00~11:45
経済企画庁特別会議室(1230 号室)

  1. 開会
  2. 経済企画庁長官挨拶
  3. 経済社会展望部会の審議の公開について
  4. 経済社会展望部会の進め方について
  5. 経済社会をとりまく環境の変化、構造改革の状況について
  6. その他
  7. 閉会

(配布資料)

  1. 資料1.経済社会展望部会委員名簿
  2. 資料2.経済社会展望部会の審議の公開について(案)
  3. 資料3.経済社会展望部会の進め方について(案)
  4. 資料4.日本経済をとりまく環境の変化、構造改革の状況について

(参考資料)

  1. 参考資料1.「構造改革のための経済社会計画」ポイント
  2. 参考資料2.経済審議会「6分野の経済構造改革」(平成8年12月経済審議会)
  3. 参考資料3.「21世紀に向けての財政・社会保障問題を考える」パンフレット
  4. 参考資料4.「規制緩和などの経済構造改革が経済に与える影響について」
    (平成9年6月経済企画庁総合計画局)
  5. 参考資料5.「規制緩和推進計画の再改定について」(平成9年3月28日閣議決定)
  6. 参考資料6.経済審議会の今後の運営について(平成9年6月17日経済審議会)

経済審議会経済社会展望部会委員名簿

部会長   小林 陽太郎    富士ゼロックス咜代表取締役会長
委員     稲葉 興作      日本商工会議所会頭
石川島播磨重工業咜代表取締役会長
井堀 利宏     東京大学大学院経済研究科・経済学部教授
岩田 一政      東京大学教養学部教授
角道 謙一     農林中央金庫理事長
川勝 堅二           咜三和銀行相談役
黒田 晁生      明治大学政治経済学部教授
日本経済研究センター主任研究員
 香西 泰       卲日本経済研究センター理事長
小島 明        咜日本経済新聞社論説主幹
小長 啓一     アラビア石油咜取締役社長
小林 佳子      咜博報堂キャプコ取締役
佐々波 楊子    慶応義塾大学経済学部教授
下村 満子     﨎日本顕微鏡院理事長
清家 篤       慶応義塾大学商学部教授
中井 検裕     東京工業大学大学院社会理工学研究科助教授
長岡 實       東京証券取引所正会員協会顧問
             日本たばこ産業咜顧問
奈良 久彌      咜三菱総合研究所取締役会長
 成瀬 健生         日本経営者団体連盟常務理事
濱田 康行      北海道大学経済学部教授
原  五月       日本労働組合総連合会副会長
ロバート・アラン・フェルドマン    ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社東京支店マネジング・ディレクター
深海 博明      慶応義塾大学経済学部教授
福井 俊彦     日本銀行副総裁
村田 良平     咜三和銀行特別顧問
八代 尚宏     上智大学外国語学部教授
吉井 毅       新日本製鐵咜代表取締役副社長
 吉川 洋       東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授
 鷲尾 悦也     日本労働組合総連合会事務局長

 事務局の方から、いくつか例示的にそういうことを申し上げましたけれども、先生方の 中から、この他に5年先、10年先を展望するとすれば、もっと大きな問題領域があるとい うご指摘もありますでしょうし、視点としてこういう観点が重要だというご指摘もあろう かと思います。また、逆に、この審議事項というのは大変総花的で、間口を広げ過ぎであ る、1年足らずの審議ということであればもっと焦点を絞ってやるべきだというご意見も あろうかと思っております。それから、これは諸改革を進めた後の姿ということでの展望 でありますけれども、そういう先の姿を整合的に描いてみると、逆に振り返って、今進め られている構造改革の在り方についてまた見直す、そういう問題点も出てこようかという ふうに考えております。本日は、こういう点について忌憚のないご意見をいただければと 思っております。
 なお、若干の資料を用意してありますので、事務方から続けて説明させていただきます。

〔 事務局 〕 続きまして、お手元の資料4としております若干厚い資料に基づきまし て、簡単にご説明申し上げます。
 まず、1ページ目をご覧いただきたいと思います。世界との関わりということで、1 地球環境・エネルギー・食料問題でございますけれども、食料問題につきましては、世 界の需要につきましては、人口増加等で大幅に増加するというふうに見られております。 一方で、食料供給につきましては、場合によっては低迷する可能性もあるということで、 中長期的に見ました世界の食料需給というのは逼迫、あるいは価格上昇の可能性は否定し 得ないというふうに見られているところでございます。
 エネルギー問題につきましては、2020年頃までは供給面につきましては、供給量・価 格の両面で安定的な対応は可能というふうに見られているところでございますが、それ以 降につきましては、資源量での制約の可能性が強まる、あるいは環境問題等によっても、 供給に制限が生じてくるということも予想されているところでございます。今後、短期・ 中長期双方含めてエネルギー需給の逼迫や価格急騰の可能性もあるということでございま す。 地球環境、特に地球温暖化の問題でございますけれども、ご案内のとおり、温室効果 ガスの濃度がこのまま上昇を続けた場合には、21世紀末、100 年後でございますが、それ までに地球の平均気温が2℃、海面水位が50上昇するというような予測もあるところで ございまして、国際的に取り組むための気候変動枠組条約というのが94年に発効したわけ でございます。しかし、各国での取組が十分に効果を上げているとはいえないという状況 にございます。先ほど、局長からの話にもございましたように、地球温暖化問題につきま しては、今年の12月に京都で会議が開催されるということで、2000年以降のCO2 の排出、 抑制、削減目標についての合意が目指されているところでございます。CO2 につきまし ては、我が国の現状を見ますと、1980年代後半から増加基調に移っているということで、 現在の目標であります2000年度までに1990年代の水準に抑制するという当面の目標の達成 は困難になりつつあるという状況にございます。 6ページにまいりまして、グローバリゼーションの進展ということでございますけれ ども、これもご案内のとおり、グローバリゼーションというのはいろいろな面で進展して いるということで、その特徴といたしまして6ページに3つほど書いております。はグ ローバリゼーションの重層的な展開ということで、従来の貿易のみならず、直接投資、お 金の流れ、情報の流れ、人の流れといった面で重層的に展開しているということ。
 の特徴といたしましては、グローバリゼーションの拡張的な展開ということで、東ア ジア、あるいは旧社会主義経済諸国までグローバリゼーションの流れが及んでいるという 地域的な広がり、さらには、経済主体の面におきましても、企業、国民の面で国際的展開 が行われているということでございます。
 の特徴といたしましては、加速度的な展開ということで、ここ数年間の国際的交流の 増加は、過去数十年分にも相当するという状況にあるということでございます。
 その中で、貿易面の拡大、質的変化というものの特徴を見ますと、6ページの下に4 点ほど書いてございますけれども、質的な面では貿易対象の高付加価値化、途上国の ウエイトの高まり、国際分業関係の高度化に伴う垂直分業的貿易から水平分業的貿易へ の流れ、国家間貿易から産業内貿易、企業内貿易へという流れがあるということでことで ございます。 
 7ページにまいりまして、直接投資につきましても、今申し上げましたような貿易の 質的変化と同じような動きが見られるということでございまして、今後21世紀の国際経済 環境を考えるポイントということでございますけれども、今後を展望する際には2つの点 が重要ではないかということでございます。1つは、各国の制度を調和しようとする、 「世界標準化」とここでは書いてございますけれども、制度の「世界標準化」の動きとい うこと。それから、各国、日本、あるいは諸外国の政策、特に、中長期の政策が相互に波 及する「相互波及」という2つの点が重要なのではないかということでございます。
 8ページにまいりまして、グローバリゼーションの中で、雇用とか賃金とか、あるいは 産業空洞化、所得分配といった点について、マイナスの影響をもたらすという指摘もある わけでございます。こういった観点で、グローバリゼーションというものをどうとらえる かという問題でございます。
 14ページにまいりまして、いわゆるその6つの改革の問題といたしまして、1つ目は財 政構造改革でございますけれども、これもご案内のとおり、我が国の政府部門の長期債務 残高というのは、平成8年度末で、国・地方を合わせまして445 兆円という状況にござい まして、昨年度の経済審議会でもご議論いただきましたように、現在の財政構造を放置し た場合には、21世紀には財政・社会保障制度が破綻する、またそれだけに留まらず、国内 の貯蓄投資バランスが悪化して「双子の赤字」が発生するという状況にあるということで ございます。
 このため、現在、さまざまな改革への取組がなされているわけでございますけれども、 3月には、橋本総理から「財政構造改革五原則」が提示され、また6月には「財政構造改 革の推進について」として、改革への取組が閣議決定されたところでございます。その内 容につきましては16ページに若干書いてございますけれども、「財政構造改革五原則」と いたしましては、この改革の当面の目標は2003年といたしまして、財政赤字の対GDP比 3%以内、赤字国債発行をゼロにするというような目標でございます。その中でも特に、 今世紀中の3年間を集中改革期間として、一切の聖域なしというふうな取組がなされてい るところでございます。
 国民負担率でございますが、この場合は財政赤字を含む、いわゆる潜在的な国民負担率 というものでございますけれども、これが50%を超えないような財政運営を行うといった ような五原則が示されたところでございまして、6月の「財政構造改革の推進について」 という閣議決定におきましては、社会保障関係費は集中改革期間中は高齢者数の増による やむを得ない影響分以下に抑制するとか、あるいは公共投資予算につきましては、10年度 予算においては対9年度比7%減とするといったような内容をはじめといたします施策が 決定されたところでございます。
 14ページに戻っていただきまして、今後につきましては、一番下に書いてございますよ うに、「財政構造改革のための法律案」が策定され、次期国会に提出される予定になって いるわけでございます。 18ページにまいりまして、6つの改革のうちの2番目、社会保障構造改革の状況でござ います。まず、これまでの動きといたしましては、介護保険関連法案というのが既に国会 に提出されているわけでございまして、これは前国会で継続審議にやっているわけでござ いますが、それに加えまして前国会で、医療保険・老人保健制度の一部改正が成立したと いうこと。医療保険制度の抜本改革につきましては、その案を現在とりまとめ中という状 況にございます。また、今後につきましては、それらを含めまして、さらには年金につき ましては平成11年に年金制度改革が行われるといったような状況にございます。 21ページにまいりまして、3番目の改革といたしまして、金融システム改革、ビッグバ ンでございます。これも経済審議会で6分野の経済構造改革の建議の内容としてさまざま な提言をいただいたところでございますけれども、ご承知のとおり、昨年11月に、総理か ら金融システムの改革についての指示が示されたということでございます。その進捗状況 でございますけれども、21ページの下の方に書いてありますように、外為法につきまして は、この5月にその改正法が成立したということでございまして、来年の4月から実施さ れる予定ということでございます。さらに6月には、企業会計審議会であるとか、証券取 引審議会、金融制度調査会、保険審議会等から金融システム改革に関する報告書が提出さ れて、改革のプラン、具体的内容と実施時期が示されたということでございます。
 22ページに若干その内容が書いてございますけれども、主な内容といたしましては、 投資家・資金調達者の選択肢の拡大ということでは、証券総合口座の導入であるとか、銀 行等による投資信託、保険商品の窓口販売の導入、仲介者サービスの質の向上という面 におきましては、株式売買委託手数料の自由化であるとか、持株会社制度の活用等の内容 の改革プランが示されたということでございます。 また、金融関係の税制につきましては、税制調査会で現在検討が行われているというこ とでございますし、さらには、市場関係者に共通に適用される横断的なルール、金融サー ビス法といったものも視野に入れて幅広く検討されているということでございます。 27ページにまいりまして、経済構造改革でございます。この点につきましては、昨年12 月に「経済構造の変革と創造のためのプログラム」というものが閣議決定されまして、さ らに、今年の5月にはその経済構造改革を引き続き、強力かつ速やかに推進するため、タ イムスケジュールの明確化を含めた昨年12月のプログラムをより具体化するものといたし まして、主として平成13年(2001年)頃までを念頭に置いた「経済構造の変革と創造のた めの行動計画」を策定したところでございます。この構造計画の内容といたしましては、 3つの柱からなっておりまして、は新規産業の創出、28ページにまいりまして、は国 際的に魅力ある事業環境の創出、30ページにまいりまして、は経済活力の維持・向上の 観点からの公的負担の抑制といったところでございます。
 27ページに戻っていただきまして、このうち新規産業の創出につきましては15分野につ きまして新規産業創出環境整備プログラムというのがこの15分野それぞれについてとりま とめられているということでございますし、それ以外に、新規産業創出を産業横断的に関 係のあるものといたしまして、資金とか人材、技術、情報通信の高度化といったような内 容が盛り込まれているところでございます。 2番目の柱でございます国際的に魅力ある事業環境の創出という面におきましては、 高コスト構造の是正ということで、抜本的な規制緩和、産業基盤サービスであります物流 とかエネルギーとか情報通信につきましては、平成13年までに国際的に遜色ない水準のサ ービスが提供されることを目指してさらなる取組を決定したところでございます。 このうち、物流とか情報通信などにつきましては、これも昨年の経済審議会建議でご提 言いただきました内容などが盛り込まれているところでございます。その他、企業関連諸 制度の改革なども盛り込まれているところでございます。 非常に雑ぱくではございましたけれども、日本経済を取り巻く環境の変化であるとか、 構造改革の状況についての参考資料としてのご説明は以上でございます。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。
 今、資料3と4について事務局からご説明をいただきました。この資料に限らず、この 部会の進め方でありますとか、こういった日本経済を取り巻く環境の変化や構造改革等を 踏まえて、何をやるべきか、どういうところを重点的にやるべきか、カバーされていない ところ等も含めまして、ひとつご自由にご意見をいただきたいと思います。

〔 A委員 〕 この進め方を議論する際に、先ほど、長官が言われたご挨拶というのは 大変簡単ではありますけれども、非常に示唆に富んでいるお話ではないかと思うのです。 と申しますのは、私はこれまでの経済審議会の日本の経済構造に関する議論について大変 素晴らしい答申が出ていると思うのですが、国民一人一人にとって、先ほどの長官のお話 ではございませんけれども、こうした改革をやったらどういう社会になるのかということ がイメージされていないというところが一番問題だと思うのです。とりわけ、今、喫緊の 課題として財政構造改革だとか、行政改革だとかございますから、いかにも「削る、削る 、削る」という話ばかりが出まして、しかし、それをやらないと新しい社会が展望できな いということはわかってはおりますけれども、「削る、削る、削る」というイメージが先 行していて、21世紀に向けての日本の社会に対する見通しというものについて確信を持て ない。長官は閉塞感とおっしゃいましたがそのとおりだと思うのです。
 例えば、主要論点について言えば、改革後の国民生活のライフスタイル別にどう描くか ということが記載されておりますが、これはこの部会であらかじめ大議論するというのは 大変だと思いますので、いままでもいろいろ議論をされていたものをとりまとめて、それ をある種の所与の条件として、どういう社会を描くかということを問題提起して、それに 対しての構造改革をどうするかということを議論を進めていくべきではないかというふう に思うわけです。
 ですから、主要論点で言えば、国民生活が1項目になっているのですが、実は国民生活 のイメージが先にあって、こうした大体のイメージだというコンセプトを明示した上でや る。経済社会展望部会ですから、展望を明示した上で、そのためには何をすべきかという 手法を議論としてお取り入れいただけると大変ありがたいと思うのです。
 おそらく、そのイメージの1つの例を言えば、先ほど喫茶店の話を長官がされましたの で、私も申し上げます。今、アイスティーが配られておりますが、外国の会議では、外国 に出張された方はおわかりになりますが、大概は外に置いてあって勝手に自分で取りに行 くというスタイルです。ですから、喫茶店の話をすれば、やはりお茶を飲むというのは自 分でやるということになるので、特別のときには高いお金を出してそういうサービスを受 けるということになるのではないかと。"Do myself" といいますか、そういうスタイルに なる。したがって、審議会でもアイスティーを配られるのではなくて、脇に置いておいて、 選択でお水とる人、コーヒーとる人、アイスティーをとる人、飲みたくない人は飲まない というスタイルになるのではないかというような感じもいたします。自由というものをや る場合には、やはり自己選択ですから、自己選択というのは自分でやるというイメージの 社会が基本原則かという感じがしますが、これはこれからの議論でもあるのですけれども、 1つだけ例示をさせていただいて、そうした議論を進めていただく。それを条件にして議 論をするということが必要なのではないかというふうに思います。

〔 B委員 〕 今回の審議事項で特筆すべきことは、日本経済と世界経済の相互依存と いうことが出てきていますが、こういうふうに冷戦構造が終わって世界との関わりが深く なってまいりますと、日本だけの従来の鎖国ではだめであって、世界との関係でいろいろ 対応していかなければいけないわけでございます。それに関連いたしまして、ここにも資 料4の7ページに「このような文脈から21世紀の世界経済を展望する際には、国際機関及 び主要国間経済協議が意味する云々」という文がございまして、世界との関わりが重要で あるということを指摘してございます。やはりこれからは世界の先進国の有力国となる、 ことに国連の常任理事国ということになってくれば、やはり、国連だけではなくて、ILO 等世界の国際機関の中で日本が発言力を持っていくようにしていかないといけないと思う のです。これが日本の構造改革を推進することにも非常にプラスになるし、また、情報を 得る上にも非常にプラスである。
 したがいまして、これからは役所はもとより、有力民間企業からもこういう国際機関に 対して積極的に出向させるというようなことを考えていく必要があると思うのです。その とき、日本の場合はやはり給料の格差が非常に大きいので、みんな行きたがらないのだと いうことを指摘される方もおられますが、それは非常に次元の低いことであって、給料の 問題等は補填する方法というのは合法的にあると思います。やはり日本の有力な中堅の幹 部が喜んでそういう国際機関に行けるというふうにもっていかないと、今後とも日本の地 位というものは常任理事国になってもまだまだ強くなっていかないという感じがいたしま すので、経済審議会のこれに合うかどうかわかりませんけれども、そういう国際機関にお ける発言力の強化、それと並んで、それに耐え得る教育を若いうちからするということを やっていく必要があると思います。語学の問題等があって、どうしても消極的になりがち ですが、やはり、国際的な発言力を強くしていかないと、日本というのは構造改革その他、 いい国になれないし、また、情報の入手が非常に遅れているというような感じがいたしま すので、その点をご考慮いただければと思います。

〔 C委員 〕 ただいま2つご発言をいただきまして、21世紀世界経済委員会の審議 にも参加させていただきましたので、そのときの感想も含めまして、若干意見を述べさせ ていただきます。
 「進むグローバリゼーションと21世紀経済の課題」をやらせていただきましたときに できなかったことは、このような方向性を持つということは、かなりここにも要約してい ただいたようなことでできたのですけれども、そこで示したことに、2つここにおまとめ いただいている「制度の標準化」と「政策の相互依存制」はそうなのですけれども、経済 政策それ自体も、ただいま教育のことが出ましたけれども、教育というような、従来です と国内政策一辺倒でなければならなかった政策すらも、今のご発言ですと国際的な視野か らでなければならないということは、2つに分かれておりますけれども、実は非常に国内 的なことももはや国内だけでは動かせないのだというような認識でお話しいただけると一 歩進めていただけるのではないか。
 望ましい経済社会というのは、それぞれ国民の描くべきことであるかもしれませんけれ ども、それに現在のグローバリゼーションというような枠がかかりますと、望ましいこと 自体を実現する政策自体も、今度は国際的な視野から抜本的に見直さなければならないと いうことをぜひ教育というようなことにも長いこと関わらせていただきました立場から知 っていただければ幸いだと思います。

〔 D委員 〕 2つコメントがあるのですけれども、1つは、将来展望の時期をいつ頃 に考えるということであります。私は、将来展望をここでする場合に、21世紀の最初の10 年から15年ぐらいというところを一番中心的な視野に置いて将来展望をするのがいいので はないかというふうに思っております。その理由は、一番確実な構造変化であります人口 構造の変化が、その10年から15年ぐらいの間に一番ドラスティックに起きることが確実だ からです。例えば、若年人口、20代の人口が去年ちょうどピークだったわけですけれども 、これがこれから18年のぐらいの間に、3分の2ぐらいの規模に減るわけであります。そ ういうことが当然明らかに、先ほどの麻生長官のお話ではありませんけれども、人々の働 き方だとか、企業の仕組みというようなものを必ず変えることは確実なわけですから、多 分この期間が一番重要なのだろうというふうに思います。
 もう一つは、なぜその10年から15年ぐらいかと言いますと、そういう期間ですと、比較 的具体的なイメージとか、あるいは政策というものを立てやすいと思います。逆に言いま すと、今言いましたような雇用制度ですとか、あるいは社会のシステムというのは一朝一 夕には変えられませんから、そういう大きなシステムの転換が完了し得る期間としても、 多分10年ぐらいというスパンが必要だと思いますので、これは1つの提案ですけれども、 将来展望は、もちろんそんなに限る必要はありませんけれども、どこに重点を置くかとい うと、21世紀の最初の10年から15年ぐらいの間に起きることということに焦点を当てたら いいのではないかと思います。 2つ目は、将来展望をする際に、現状ですとか、あるいは既存の制度にとらわれない現 実論を展開する必要があるということです。それはどういうことかと言うと、人口の構造 とか、あるいは今、お話にあった国際環境の構造変化というのは、多分定義的に従来の環 境の下での合理性というものがこれからは場合によっては合理的でなくなってくるという ことをも意味していると思います。今日のお話の中にも、例えば、財政とか社会保障の問 題を取り上げるということが出ていたわけでございますけれども、例えば、従来、私ども 経済学者は、年金制度については理論的に言えばいわゆる完全積立方式がいいのだという ふうに言ってきたわけですけれども、年金の専門家とか、あるいは実務家の間ではそうい うのは非現実的だ、アンリアリスティックだということで、付加方式が非常に現実的であ り、積立方式というのは理論的には理想的であっても現実的ではないという認識があった と思いますが、これだけ人口構造がドラスティックに変わって、例えば、出生率というよ うなものが大きく変わってくると、むしろ付加方式を維持しようというする方がアンリア リスティックであって、思い切って完全積立方式に直していくという方が現実的でさえあ るという状況が出てきていると思います。
 そういうことも含めて、現在の状況であるとか、あるいは過去の制度の下での合理性と いうものにとらわれない、構造が変わるときにはその合理性自体が変わってくるのだとい うぐらいの思い切ったものの見方をしていく必要があるのではないかというふうに思いま す。

〔 委員 〕 2点ばかり、この問題につきまして私なりの意見を申し上げたいと思いま す。
 1点目は、私は環境などをやっており、今までの問題はどちらかと言うと従来型の環境 問題であったのに対し、これからは地球環境と言いますか、テリトリーも全地球になって きています。これは何も環境だけではなくて、すべての問題がそういう形になってきてい るのではないかと思っております。
 したがって、将来を展望するときの時間軸とテリトリーの軸、これをはっきりさせて議 論していかなければいけないと思っております。それも単純に、先ほどの委員がおっしゃ ったように、10年~15年後とか2010年~2015年という期間ではなく、世界という意味では 大きな問題というのはずいぶんあるわけですから、やはりセンチュリー単位で粗く問題を考 える必要があるのではないかと思います。
 テリトリーにつきましても、世界との関わり以下の以降は、いわば地域テリトリーが ベースになるわけです。世界との関わりで日本はどうなるかというスタイルですから、こ れもやはり世界がどうなっていくのだというのと、日本というものを粗さを分けてやって いけばいい。当然地域の方が精度高くと言いますか議論の密度が高いですけれども、全体 に乗る土俵がどういうところで動くのかという共通認識がないと、なかなかこれもまとま っていかないのではないかと思っております。
 そのときに、キーワードは、私は環境などをいろいろ議論していると行き詰まってしま うのは、やはり21世紀技術は何かということです。新しい技術の革新というのが、例えば、 核融合などといわれて久しいのですけれども、やはり新エネルギーが何かないと、発展途 上国があれだけの人口を抱えて出てきますと、エネルギーも含めて難しいというか、あっ と言う間になくなってしまうという感じになるわけです。したがって、キーワードとして は技術の21世紀革新というものをどこかの頭で共通項に置いておかないと、何か出てくる だろうという感じではどうもいけない。世界的にもそういうものを推進する体制が必要に なってくるのではないか。そういった面からの提言もいるのではないかというふうに考え ております。
 もう1点は、企業の行動ビヘイビアと申しますか、日本のライフスタイルと絡むのです けれども、企業スタイルというのはどういう形がいいのか、徹底したアメリカ型がいいの か、そうではなくて日本はやはり単一民族と申しますか、ある意味では恵まれている民族 ですから、それをうまく使った形で新しいスタイルというのはないのか。そのあたりが非 常に関心があるところだと思っております。

〔 部会長 〕 本日は長官もいらっしゃるし、事務局にも確認しておかなければいけな いのですが、今の時間軸というようなことで絡むことがあるのですが、基本的にはこの 「6つの改革」という一応のメニューがあって進められています。中身の濃さ、質は別で すが、実は今度の展望部会が何をやるかというより、どうやるかということに絡むのです が、もともとはいろいろな経済計画が進む中で、冒頭でこういう問題というのはやってお くべきではなかったかと。それがやられていなかったから主としてやろうと。それは何の ためにやるかというと、今の改革のプログラムをそれによって正当化したり、さらに国民 の皆様の理解を深めて、現在の改革そのものの正当性を高める、またそれに対するサポー トを増やす。
 仮にそうだとすると、今のE委員のお話になるのです。例えばの話ですが、今の改革は 、私の理解からすると、あまり先のことまで展望してもわからないと。国民の多くの方の 理解を得るという、そういう種類の話ではなくて実はもうせいぜい10年ぐらいまでのとこ ろについてのことが最も大事なのだというふうに考えるか。それはそれとしてあまりそれ にこだわらないで、過去のいろいろなことにもこだわらないでもう少し先まで展望して、場 合によっては今はもう既に進んでいる改革路線のメニューも一部は否定するとか書き換え るとかいうところまで我々の展望部会のミッションがあるのかどうかということが非常に 重要なところで、この前の経済審議会の見地から言うと、どちらかと言うと前者なのでは ないかという感じを持っているのですが、やはりそこに限定してしまうと、やはり展望部 会そのものの効果が著しく減殺されるということであれば、これは皆さんのご意見も伺っ て、後半の方にもやや足を踏み入れなければいけない。この辺はどのような感じなのでし ょう。

〔 事務局 〕 今、委員の方々からご意見があって、部会長からもお話がありました展 望の期間の問題でありますけれども、これはもちろん委員の方々のご意見にもよるのです けれども、私どもが考えておりますのは、小林部会長がおっしゃったように、今進められ ている改革というのが21世紀の初頭、2003年とか2005年とかそういうところをとりあえず の区切りとして進められているわけでありまして、そういう改革が進んだ後の姿がどうな るかということですから、非常に長期の展望というよりも、当面私どもが考えております のは、10年とかそういう先がどういう姿になるかということをご議論いただくというのが よろしいのではないかというふうに考えております。そういう意味では、今の部会長の整 理で言えば前者の方ではないかというふうに考えております。 ただ、検討項目によって、そこは当然違いが出てくる問題でありまして、例えば、地球 環境、温暖化というような問題を考えますと、必然的にもう少し長いタームのものという のを、不確実性があるにしても視野に入れて議論をしないと議論が完結しない。おそらく 年金の問題でもそういうことになるだろうと思います。したがって、審議の項目によって は長い先を念頭に置いてご議論いただくということになろうかと思いますが、当面、例え ば、国民生活の姿というものを描くといたしますと、それは10年とか15年とか、もう少し 長期展望というよりは手前のところというのが、私どもの感じということでございます。 なお、もう一つ、発言の機会をいただきましたついでに申し上げますと、今、E委員が おっしゃいました日本の企業のスタイルといいますか、企業経営の在り方、これも非常に 重要な問題だと思いますけれども、2つの部会ということでこの展望部会と経済主体役割 部会、もう一つの部会は31日にスタートする予定でありますけれども、この経済主体役割 部会の中で、そういうコーポレート・ガヴァナンスと言いますか、そういう問題が1つの 大きなテーマになるだろうと考えておりまして、何らかの形で両部会の間の意見交換とい うものも必要だと思っておりますけれども、主として扱う分野はむしろそちらの部会にな るのかというふうに我々は考えております。

〔 F委員 〕 今の議論ともちょっと関連することなのですが、2つのことを申し上げ たいと思います。もう各委員からも話が出ているのですが、私なりに整理をして2点だけ 申し上げたいと思います。
 先ほど長官から国民生活に対してどういうふうになるのかというような、「6つの改 革」という話が出たのですが、私は同時に「6つの改革」によって、それを総合して見た ときにどういうふうになるのだろうかという、「6つの改革」がすべて行われたとしても たらされるもの、それは国民生活もさることながら、例えば、最初の第一のテーマである 資源とかエネルギーとかそういう点で考えてみますと、やはり1つの大きなポイントとい うのは、私どもがここでやると言っております経済構造改革が進めてられていって、規制 緩和その他によって経済成長が促進される、あるいは再生が行われる、それからまた28ペ ージのところにあるように、例えばエネルギー、内外価格差是正、高コスト構造是正とい うような形で、安いエネルギーが供給されるというようなこと、あるいは電力事業につい て見ますと、今の電力事業に参入自由化して独立電気事業者を参入させようというような こと等々、そういうものが例えば地球環境とか、1つの当面の問題になっておりますCO 2 の排出に対してどういう影響をもたらすのかというようなことを考えてみたときに、こ れは普通に経済的に考えれば、安くなるし、経済が活性化する、そうすると、当然エネル ギー消費は増えてCO2 というか、地球環境目標に対してはマイナスになるというような トレード・オフの関係に立つというようなことが考えられるわけでありまして、ですから そういう面でいうと、これらの「6つの改革」ができたときに、こういう具体的なここで 挙げられているような課題に対してどういうことになるのだろうかと。そういう場合に、 相互作用とか相互関連性があり、ある面の目標に対してはマイナス要素とか、あるいはそ れをトレード・オフの関係でうまくいかないとか、そうしたらどうしたらいいのだろうか というような意味での総合性みたいな議論というのはやはりある必要性がどうしても感じ られてならないわけです。
 そういう場合に、誤解されると困るのでもう一度明確化しておきたいのですが、高コス ト構造是正とか内外価格差是正がいらないと言っているわけではなくて、そうなったとき にマイナス効果があるとしたら、何らかの省エネとか有効利用とかを促進するための政策 とか、いろいろなことを考える。今のところタブー視されているわけですが、例えば、C O2 排出税とか炭素税とか環境税というような問題が、もし1つのオプションとしてある とすると、これはまた財政構造改革の中にもまた関連してくるというようなことなので、 できれば国民生活と同時に、それぞれここで取り上げられている主要目標に対してどうい う影響をもたらすのかというような意味で総合的に考えてみて、その結果を描いて、それ に対する対応策というのを考えてみたらいいのではないかというのが第1点です。
 それから第2点は、D委員、E委員から既に出ているのですが、時間の軸という話はわ かったのですが、もう一つ非常に重要なことは、今の我々の取組みというのは時間的優先 順位を持っていて時間的選択をして、当面、経済の活性化ということをやる。それで、もち ろん迫られてはいるのですが、例えばCO2 の排出抑制とか地球環境というのは、そうい うことをやりながら非常に長いタイムフレームでやっていこうという考え方があろうかと 思うのですが、どうも問題の所在が時間的な延期選択とかいうことができる問題なのか、 それとも不可逆性であって延期選択をすればするほど対応が困難になるし、コストがもの すごくかかるというような、そういう点であるとすると、長期的な要素とかいうものを取 り込まないと、実はこういう経済計画を総合的にコスト・ベネフィットとか、あるいは、 長いタイムフレームで考えてみたときに、現在の計画の基本計画というかそういう問題に ついて長期的な面からみたときに問題が起こる可能性があるのではないか。
 ですから、時間的要素、しかも今言ったような延期選択だとか優先順位を置いて取り組 めないで遅くすればするほど、非常にコストがかかるとか不可逆性が増大してきて大変な 事態になる。そういった問題があるのではないかと思われてならないです。そういう要素 を、時間軸も大切なのですが、時間的な意味で延期選択とか、それを優先順位の後に残し たときにどうなるか、そういうことを是非ご検討いただきたいということです。

〔 G委員 〕 なかなか難しい問題でございますけれども、実際にはこれから規制緩和 を始めようとか、これから構造改革政策に手をつけようという段階ではないわけでありま すので、この先実現されるべき経済社会のイメージを白紙で絵を描くという段階はもう過 ぎているのではないか。実際に政府において6つの大改革を進められており、規制緩和に ついても国民的な支持を得て進められている段階でありますので、おそらく望ましい実現 すべき経済社会の構造の姿というのは、一応共通認識として既に持たれているのではない かと私は思っているわけであります。それにもかかわらず、長官が冒頭に指摘されました とおり、閉塞感があって人々が動きにくい、規制緩和が進んでいるのにどこに行っていい かわからない、ここがやはりポイントなのではないか。閉塞感のゆえんはイメージがない からではなくて、まだどういうものに動いていいかというきっかけを掴みかねている。別な 言い方をすると、いままではあるリズムでみんなが動いてきたわけですけれども、そのリ ズムが狂った、あるいはパタッと止まって、新しいリズムで動いていくリズム感を企業も 国民一人一人もまだ持っていないので自信を持って進めない。グローバリゼーションとか いろいろなことについて対応を迫られていて、時間的なあせりがあるが故に一層そこのと ころに矛盾に満ちた気持ちを持っている状況が現状ではないかと思うわけでございますが 、したがいまして、規制緩和が進められ、あるいは構造改革が進められつつある中での展 望部会の役割というものは、ここで改めてイメージを描くということではなくて、いかに して構造改革あるいは規制緩和の前提になっている将来の経済社会の姿に向かって動くき っかけをさらにどういうふうに与えていくかということではないかと思うわけです。先ほ ど委員がおっしゃいましたとおり、イメージはできている、新しい国民生活の実現という のを前提として、さらにどういうことが必要かということを考えていくことが必要ではな いか。経済企画庁での経済審議会の役割は、マクロ経済というものを新しくどういうリズ ム感を持って動かしていくかということが基本的な役割でありますので、最終的には国民 生活の望ましい姿の実現ということですが、その前に、マクロ経済そのものがきちんと力 強いリズム感を持って動いて初めてそういうことが実現できるわけです。
 非常に古典的な考え方に戻るようですけれども、経済が新しいリズム感をもって動く要 素というのは、企業が新しいイノベーションを求めて自らの企業価値を高める方向にして、 いかにして積極的な投資活動をするか。その方向で、よく 1,200兆円と言われますけれど も、国民貯蓄の中からそういう新しい企業行動に合ったような積極的なリスク・キャピタ ルというものがうまくついていけるような金融の仕組みをいかにしたら実現できるのかと いうことが1つの流れですし、もう一つは、新しい雇用機会がいかにしてどんどん創出さ れるか、そして、新しく創出される雇用に向かっていままで存在していた雇用の構造とか 労働慣行というようなものがいかにして修正されて、労働力のミスマッチなく新しい社会 に適応していけるか。この2つが重要な視点ではないかと思うのです。それが実現して初 めて結果として望ましい国民生活全体のデッサンが決まってくる。こういうふうに考える わけでして、資本と労働力とイノベーション、経済の3原則にもう一度戻って、今の規制 緩和が十分であるか、「6つの構造改革」が十分であるか、なお不十分な点は何か、これ だけやっても人々が動きにくい理由が他にまだあるとしたら、そのものの制度的な制約が 社会に残っていないか。会計制度もそうですし、年金につきましても、企業年金のシステ ムにしても、そういう視点からいろいろ見直しをする点があるのではないかと思います。 構造改革が進む中にあっても企業行動は引き続き横並び、あるいは安全志向の企業行動が 続いていって、積極的にリスクテイクする行動にいかなる機会があれば転換するのかとい うことが、これから最も重要なポイントではないかと思うのです。
 いままで企業が使っている資本にしても、自己資本とか他人資本とか、あるいは株式形 態による資金であるとか、社債による資金であるとか、銀行借入による資金とか、率直に 言ってあまり区別なく使っていっておられるのではないか。したがって日本の企業の中で は、いわゆるエージェンシー問題というようなことを意識されたことは一度もないわけで、 本当は株式という形で投下された資本と、社債で投下された資本では、投下された人の意 識としては本当は利益相反があるはずなのです。株式に投下された資金というのは、その 企業に対してどんどん積極的なリスクテイクをして企業価値を極限まで高めようというの が本来の株式資金ですし、社債に投下した人は、確定利付きはガッチリ守ってほしい、要 するに余計なリスクは侵すなという要素があるわけなのですけれども、そうしたことをあ まりなく企業経営が行われてきたということは、やはりどちらかと言えば極限までのリス クテイクということではなくて、安全志向というのが大前提にあって、したがって、シェ アの確保の方が新しいイノベーション、新しくリスクテイキング・ビジネスよりは望まし いというような行動が続いてきたのですが、今、進めている構造改革とか規制緩和という のはそこから脱皮しようという要素がどうしてもあると思うのです。そこがなぜ脱皮でき ないかというのが非常に重要なポイントではないかと思います。
 労働慣行の方も、新しい雇用の創出がもっと進まなければ本当は変わらないと思います けれども、新しい雇用創出が進めば必ず雇用のミスマッチといいますか、その問題が起こ ってくるので、そこを解決しなければ前に進めないという問題が必ず起こってくると思い ますし、日本の社会の場合にはこれから急速に高齢化社会が進むということであれば、規 制緩和とか構造改革ということと高齢化社会というのは大変なバッティングを起こすと思 うのです。極端な労働力のミスマッチを起こすわけですので、それが非常に真剣な問題に なる。私はポイントはそういうところにあるのではないかという気がいたしております。

〔 部会長 〕 後段のお話は別にしまして、一番最初のところについて、かなり認識が 違う方もあるかもしれないし、これはかなり抜本的にこの部会のミッションにも関わって くることだと思いますし、それから、後段の方は、先ほどF委員がおっしゃったことにも 絡んで、いままでもべつに個々にやってきたとは思いませんけれども、6つの改革を実際 にやってみたらトータルとして狙った社会ができるのかどうかということは必ずしもそう でもなさそうだというようなことにも絡んでくるので、今のG委員のご意見は、後段の方 はどちらかというともう一つの部会の方の問題になる可能性がございます。

〔 H委員 〕 やはりこの部会はマクロ的な視点というのが1つの基本的な論点かと思 うのですが、そこで非常に重要なのは、やはり全要素生産性といいますか、技術進歩ある いは経済組織がどのぐらい効率化するかというような、企業組織とか市場組織とか、それ から技術革新がどのぐらい起こるか、経済学の方では全要素生産性というふうに呼んでい るわけですけれども、それがどうなりそうなのかということがやはり大きな問題ではない かと思うのです。
 今日、

〔参考資料〕で規制緩和をやるとマクロには合わせて 0.9%あるいは1%ぐらい、 全要素生産性が5年間で高まるという試算を提供されているのですが、そのうち 0.4%は 情報通信によるものだというようなご紹介があるわけですが、これが本当にどのぐらいの 大きさなのかということについて非常に不確定性といいますか、例えばアメリカの今の経 済を見てみますと、おそらくややバブル的な要素も入っているかと思いますが、非常に拡 大が長期に進んでいて、しかも同時にインフレ率がなかなか思ったように上がってこない、 と言うとおかしいですけれども、いつか上がるのではないかと待っていたらちっとも上が ってこないで、言ってみますと、フィリップス・カーブの下方シフトがずっと90年代、も うそろそろ上がり始めると思ったらフィリップス・カーブが左の下の方にシフトしてしま う。その度でグリーン・スパンもそういうことで、どのぐらいアメリカの経済で技術進歩 が起こっているのか、通常の所得統計ではとらえられないものがあるのではないかという ようなことをおっしゃてっいるようですけれども、現実にそういうことが、ともかく従来 のデータで調べるとうまくとらえきれないようなある種の大変革といいますか、グローバ ルな意味でのイノベーションというようなものが情報通信産業で起こっていることは間違 いないと思うのです。 アメリカではそれだけ起こっていて、日本の場合には、果たしてここにあるように 0.4 %程度なのかどうかという大きさで考えていいのかどうかというようなことが論点として はあるのではないかと思います。 全要素生産性の伸びがどのぐらい大きいかということで、実はD委員からお話がありま した社会保障、年金制度とも非常に関わりがありまして、つまり、経済実質成長率が資本 の実質収益率と比べてどういう関係にあるのかということが実は制度がうまく機能するか どうかという重要な点でありまして、今はやや異常でありまして、不良債権問題なんかが あって収益率が非常に低くなっているわけです。そういうことで、つまり、企業年金、公 的年金両方含めて短期的な要因でシステムがうまく回らなくなっている。収益率が非常に 低い、異常な低金利政策をとっているということでシステムが動かないというのと、長期 的には清家委員がおっしゃったような人口構成が非常にドラスティックに変わるという、 それが両方合わさって年金改革の問題が大きな問題として今起こっていると思いますけれ ども、それもやはり資本の実質収益率と成長率といいますか、例えば全要素生産性がどの ぐらい伸びていくのかというような、そこの相互関係のところが非常に重要なところだろ うと思います。仮に実質収益率の方がかなり高いというような状況が起こるとすれば、あ る意味では賦課方式でもあまり悪くないという、この辺、ややテクニカルな問題になるか と思いますが、そういう問題があるのではないかと思います。 ということで、全要素生産性の伸びをどのぐらいなのかということが、ある意味では非 常に重要な要素だろう。特に情報通信のところを考えますと、単に全要素生産性というだ けでありませんで、国民生活自体がかなり変わってくる。例えば在宅勤務をするとか、生 活の様式なんかが相当変わる可能性もあるのではないかと思います。 それから、この問題は同時にビッグバンといいますか、金融の方とも非常に関係があっ て、情報技術をどのぐらい金融の方にうまく取り込めるかということで、ある意味では日 本の金融サービス業がどのぐらいうまく生き残れるかということとも関係があるのではな いかと思うのです。ということで、全要素生産性の伸びというものをどういうふうに把握 したらいいのか。果たしてうまくとらえきれるのかということが論点としてあると思いま す。
 それと同時に、逆に、そういう成長率ということではなくて、生活自体の快適さですと か、あるいは便利さですとか、つまり、ここで言うと例えば環境問題、環境がよくなった ことでどのぐらい快適になるのかというような、つまり、通常のGNPとか何かで測られ るものとは違った意味での豊かさといいますか、それをどのように考えたらいいのか、何 らかややマクロ的な指標的なことで表すことができるのかというような、全要素生産性と いうのは基本的にはある数値で何かうまくとらえることが、表現が可能なところもあるか と思うのですが、逆に、とらえられない生活の快適さとか便利さとか、そういったものを この部会としてどういうとらえ方をしたらいいのかというような問題があろうかと思いま す。

〔 I委員 〕 1年ぐらいの間に何かまとめていこうということになりますと、あれも これもというのではわからなくなってしまうので、私は、経済構造改革を中心に据えて、 それとの関連において他の構想改革がどういう関わりをもってくるかというのが基本的ス タンスではないかと思うのです。その基本的スタンスの中にはいろいろな委員がおっしゃ った時間の軸の問題もあるし、空間的な軸の問題も入ってくると思うのですけれども、や はりそこが基本だろう。
 「構造改革のための経済社会計画」にはっきり書いてあるように、構造改革をして、規 制緩和をしてやっていかないと日本の経済が停滞してしまうということですから、それを 進めていく上で他の構想改革との関わりがどうなっていくかというのが1つの見方だと思 うのです。
 そのときにちょっと気になるのが、6つの構造改革といいますけれども教育の改革がは っきり言ってよくわからないのです。一番目に見えてないのが教育改革で、教育改革の中 に案外今から15年20年先までを考えた場合に、非常に大きな意味を持ったものが何か含ま れているような気がしてしようがない。そこを果たしてこの1年間の間に、この部会で触 れることができるのかどうかというのが私の関心事なのですけれども、1つは、経済社会 計画にも書いてあるように、教育改革等をしてもっと個性を育てないと日本の経済という のは発展していかないだろうという問題意識が1つあるのですけれども、それとは全く別 に、教育とか文化とかいうものを基本に据えて、もう少ししっかりやっていかないと、何 といっても今日本は停滞していようが、経済から見れば世界の一等国なのですけれども、 これからどんどん国際化、グローバル化が進んでいった場合に、経済の力だけはあるけれ ども、あの国は何か少しおかしいねという目で他の国から見られるような国に発展してほ しくないという、我々だんだん消えていく人間にとってはそれが非常に大きな問題意識と してございまして、そういったことで大事なことを、若いうちからどういうふうにとらえ ていくかというのが教育改革の1つの問題意識の中にあるのではないかという気がしてい るものですから、私は、あくまで経済改革を中心にそれに他の改革がどういうふうに関わ り合うかということを進めながら、全然別のところで教育改革の問題というのもどこかで 時々触れながら将来の在り方を求めていくということが大事なのではないかという感じが いたしました。

〔 J委員 〕 1点だけコメントさせていただきたいと思います。
 私の意見は、先程の委員の意見とほとんど近いのですけれど、私は住宅とか土地とか都 市計画とか、わりと身近な物の問題をやっているものですから、その点から私なりに補足 させていただきますと、例えば、経済改革で言われている中の住宅とか土地市場について の改革みたいなことが実際に行われるということがあるとすると、もちろん一部ここに書 いてあることが実現する上で、逆に例えば空間的な立場から言うと、かなり環境面で問題 が出てくるような場合も少なくない。ということは、結局、何かというと、1つは消費者 といいますか、住宅なり土地なりを消費する消費者にとってどういう選択肢がその前に出 されているか。例えば経済的なメリットを選ぶのか、あるいは岩田委員もおっしゃいまし たけれども環境的なメリットを選ぶのか。もっと簡単に言うとお金を選ぶのか陽当たりを 選ぶのかというような、そういういろいろなオプションが結局消費者の前に示されている と思うのです。
 もう一つ別な例ですと、国際的な分業だとか、国際的な規制緩和が進むと、基本的には 地方都市というのはかなり苦境に立たされることになります。地方都市にいろいろな製造 業が立地しているわけですが、当然、アジアの国の方に製造業が出て行く。空洞化の問題 です。それから、大規模な商業資本というのは大体地方都市の郊外部に大きな店を出しま すので、中心市街地とはほぼ壊滅的にやられてしまう。ということは、こういうことが進 められると地方都市というのは、例えば従来考えている都市とは違うタイプのもの、生活 形態の中で生活していくということに多分なるのだろうと思うのです。
 そういう生活形態の選択とかオプションそのものがかなり、こういう規制緩和だとか経 済構造改革で増えていくということ自体、私は非常にいいことだと思うのですが、どうい うオプションがどれだけ増えてきて、これを選ぶとこちらは落とさなければいけないとい う関係がよく見えないというのが、多分、問題なのではないかと思うのです。そういう意 味で、人々にとってオプションを、テーブルの上に何があるのだという話をきっちりして、 こちらを取ったらこちらはある程度我慢しなければいけませんよというトレード・オフの 構造をきっちり示してあげることが、この審議会はどこに情報を発信しようかとしている かにもよりますけれども、私は大事なのではないかと考えております。

〔 K委員 〕 私が一番実感として思うのは、今、国民というか生活者の人たちが「こ うありたい、10年後は今より良くなっているのではないか」とか、「今より豊かになって いる」とか、快適さでもいいのですけれども、10年後をイメージしたときに、今より良く なっているというイメージを持っていないような気がします。 私は長年働いていて、生活者の研究をしたり、自分自身も家庭の主婦、母をやりながら という生活をしている中で、子どもの中学校とかに行く場面も増えているのですけれども、 今の子どもたちはみんな、自分はやればできる、やればできるけれどもやらない。なぜか というと、結果がそんなによくなると思っていないからと言うのです。部活の競技系のも のを見ましても、昔のような意欲が感じられません。それで、自分はだめだと思うかとい うと全然そうではなくて、みんな自分に自信を持っている。
 先ほどG委員がおっしゃいましたが、動きの動機づけ、きっかけがなくて、国は国で望 ましい姿といっているけれども、それば自分達にとっていい姿とは思っていないというよ うなところがあるので、一緒になって動こうとはしていないような気がします。あるべき 姿とありたい姿というのは以前は多分一致していたと思うのですが、今はその辺がずれて いるような気がします。

〔 L委員 〕 先が見えないという話、あるいは閉塞感の話が盛んに出ていますが、一 部の国を除いてほとんどの国、今、世界中が先が見えないと言っているのです。2月にド イツに行きましたら、「閉塞状況」がキャッチフレーズです。日本の改革の方がうまくい っている、うらやましいという議論があったくらいで、ヨーロッパはみんなそうなのです 、先が見えないのです。一部先が見えていると思っている国があるのでしょうけれども、こ れはただ有頂天になっているだけかもしれない。そういう実態があって、日本だけが閉塞 感とか先がみえないという状況ではない。それだけ大きな変化が内外でいろいろ起こって いるということだと思うのです。
 ただ、変化を抱えている国々の問題で共通な問題があります。しかし、問題全体として は共通でも、起こっている問題の流れ、方向や性格に違いがあるというところがあると思 うのです。例えば高齢化、ヨーロッパも先に進んで、アメリカも同じ方向です。世界中あ る時期に同じ方向に行くわけですが、そういう問題は共通ですが日本ではスピードが全然 違う。グローバリゼーションといっていますが、言葉ではみんな一致しているのですが、 とらえ方と現象面が非常に違うことがある。例えば投資1つとっても、日本で言うグロー バリゼーションというのは日本の企業が外に出てしまうことがグローバル化なのですが、 多くの国にとってはどんどん入っている、相互交流なのです。それから、人の交流も、日 本の労働力というと外人労働力、ブルーカラーを想定しますが、例えばアメリカは頭脳労 働力、これが入超で、それがアメリカを支えている。一言てグローバル化とか投資の流れ といいますが、その流れの方向や性格そういうものが違っている。そういうものを少し整 理してみないと、それを未整理で議論しているから、各国みんな先が見えないと言うわけ です。
 公平の問題でも、ある国は参入機会を自由にし機会の公平を言っている。日本はどちら かというと結果の公平を言っている。これでは全然方向が違う。その結果、リスクテイカ ーが生まれないとかいう問題があると思いますし、同じ言葉で議論しているものの実態と 認識が国によって非常に大きく違っていることによって出てきている問題、日本独自の問 題というのがあると思いますが、その辺を整理していただければと思います。

〔 M委員 〕 展望部会というのは名前は非常に高級なのですけれども、何をやってい いかよくわからないというのが最初から持っていた印象で、やっかむようですけれども、 役割部会の方がよほどはっきりしているなという印象を持ちます(笑)。
 ただ、今日のお話をいろいろ聞いていると、いくつかのビュー・ポイントと取り上げる 問題がかなりはっきりしたのではないかと思いますから、この夏休みの間にもう一度事務 局で、例えばフローチャートにするとか、問題をマトリックスにしてみるとか、そういう 形で整理していただければ次に進めるのではないか。あるいは何を専門委員会に任すかと いうことです。そういったことの整理をすれば次に進めるのではないでしょうか。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。
 予定の時間を大幅に超過しましてご迷惑をかけておりますが、今、M委員に言っていた だいたように、非常に率直にご意見をお出しいただいて、夏休みというか次回までに事務 局で、今日、出していただいたご意見を整理していただきまして、改めて次の段階でご検 討いただきたいと思います。
 今後のスケジュールについて、簡単に事務局からご案内をしていただきます。

〔 事務局 〕 次回は9月というように一応決めておりますけれども、具体的な日にち についてはもう少し検討させていただいて、早くご案内をさせていただきたいと思います。

〔 部会長 〕 それでは、第1回の経済社会展望部会をこれをもちまして終了させてい ただきます。ありがとうございました。


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