コラム2 失業率の地域差

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(コラム2 失業率の地域差)

地域別の完全失業率について、時間を追ってみていくと、全体としては景気の共変動が存在することが示唆される(第4-1-13図)。同時に、その水準については、幾つかのグループに分かれている様子が認められ、地域固有の構造的特徴が存在していると考えられる。

そこで、1995年から2015年の月次の完全失業率が地域毎にどのような分布特性を持っているかという点を分析すると、地域ごとに、平均やその分布幅に違いがみられる(第4-1-14図)。例えば、北海道では95年から2015年の間で最大の失業率は7%、最小は3.1%、期間平均は4.96%という特性があり、南関東や東海等と比べると、動きの大きさや平均値において違いがある。そこで、各地域の分布を比較するために、平均値±1標準偏差の幅で平均失業率の水準が地域間で同じといえるか否かを評価・検定すると、沖縄の下限を超える上限の地域は存在せず、平均に有意な違いがあり、また、近畿と北陸・東海の間にも平均に有意な違いが存在していることがうかがえる。

こうしたことから、完全失業率の改善・悪化の方向感については、完全失業率の前期及び前年同期差により全国横断的な判断が可能であるが、水準評価については、全国一律の基準と地域固有の基準の何れがあるべき状態かどうかを示した上で、固定効果を勘案することも必要になってくる。

なお、失業率水準に応じた5地域を取り出して、消費者物価指数と完全失業率の関係を示すと、物価へのデフレ圧力がなくなる意味での均衡失業率水準は大きく異なっている。沖縄では7%程度、近畿では5%程度、北海道では4%台半ば、関東は4%程度、北陸では3%台半ばの失業率に達すると、物価への上昇圧力が生じると示唆される(第4-1-15図)。

国内はモノも人も移動は自由だが、人の移動には色々とコストがかかることもあり容易でないことから、こうした地域間の違いが生じると考えられる。

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