第3章 第2節

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3-2.公共投資の動き

(公共投資は多くの地域で減少)

地域別の公共工事請負金額の推移をみると、2014年度は、地域によってばらつきがみられた。例えば、沖縄では、那覇空港の整備等の投資増により大幅な増加となったが、北陸では、新幹線関連工事のはく落により減少した。2015年度に入ると、4-6月期は、関東は都心部の再開発事業等、近畿は高速道路関連工事等により増加したものの、その他の地域は減少、7-9月期でも、関東を除く全ての地域で減少している。また、10-12月期には、沖縄、中国、東海で増加したものの、その他の地域では減少しており、公共投資は総じて減少している(第3-2-1図)。

年別に地域別公共投資の推移をみると、関東、四国、沖縄を除く全ての地域で前年に比べ低下している。東北においては震災復興のためのインフラ整備、沖縄においては那覇空港の整備等の投資がなされていることから、他の地域よりも公共投資は高い水準を保っている。関東は、都市部の再開発事業等により、2015年に増加した。東北は、震災からの復旧・復興のためのインフラ整備に一服感がみられるほか、その他の多くの地域においても、前年をピークに、水準が低下している(第3-2-2図)。

なお、「景気ウォッチャー調査」では、住宅投資、公共投資ともに、地域によっては、労賃の高騰や人材不足、さらには足元の工事発注量の減少についてのコメントが寄せられている。最近の例を示すと、「職人不足や技術者不足がここにきて顕著であり、安定した工期の確保、平均化した日程を組むことができなくなり、業績面に与える影響は必至で懸念材料になっている。(北陸・2015年12月調査)」、「契約した工事案件も、都内の工事現場に職人が吸い上げられる状態になりつつある。人手不足のため、労賃が上昇傾向である。また、それに見合う受注単価が得られない。材料の値上がりは大分落ち着いてきたものの、工事を受注しても利益が出ない状態が、この先も続きそうである(南関東・2016年1月調査)」、「大都市以外では工事発注量の減少が続くと思われ、今後は受注高確保を目的とする価格競争が、一段と厳しさを増すと見込まれる(北陸・2016年1月調査)」といった声が寄せられている。

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