第1章 第1節

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1-1.販売側統計からみる2015年の地域別消費

最近の消費動向を概観すると、消費の回復は大都市部に比べ、地方で持ち直しの動きにばらつきがみられる。百貨店・スーパー販売額(消費税込、全店)をみると、2014年7-9月以降、東京都、愛知県、大阪府は全国平均に先行して回復した。消費税率引上げの影響が一巡した2015年4月以降においても、消費の回復は、3都府県で、引き続き全国に先行している1第1-1-1図)。

(百貨店消費の回復は大都市部で先行)

百貨店売上高(消費税抜、既存店)によって、2015年10月以降の消費の動向をみると、インバウンド需要等もあり、東京、大阪を始めとする大都市部を中心とした回復がみられる。大都市以外の地域についても、10月には、多くの地域の売上高が増加に転じており、回復にばらつきがあるものの、持ち直しの動きがみられる。なお、11、12月については、暖冬による冬物商材販売の伸び悩み等により、1月は正月休暇が1日少なかったことに加え月前半の暖冬、月後半の大雪の影響等から全国的に売上高が減少した(第1-1-2図)。

(小売店の消費回復では地域差は軽微)

また、地域ごとのスーパーの売上高(消費税込、既存店)をみると、原材料の値上げや円安の影響等により商品単価は上昇したが、飲食料品等が堅調に推移した。百貨店とは異なり、大都市圏のみならず、地方でも堅調に推移している。11、12 月については、百貨店同様、暖冬に伴う影響により冬物商材の動きが鈍り、全国的に売上高が減少したが、1月は、中旬以降の気温の低下により飲食料品等が堅調に推移したことから、増加した(第1-1-3図)。

(家電販売は多くの地域で減少)

家電販売金額の推移からみると、2014年は4月の消費税率引上げ前の駆込み需要と反動減の双方を勘案しても大幅に増加した。2015年は前年の大幅増の影響もあり、東日本を中心に低迷した。2012年を基準とした2014年と2015年の2年分の動きを評価すると、関東・甲信越は、1.1%の伸びになる一方、東海・北陸は、2.7%、近畿は1.9%、中国・四国・九州は4%と地域差が生じている(第1-1-4図)。

(乗用車販売は多くの地域で減少)

家計支出の一定割合を占める2自動車関連支出について、乗用車新規登録・届出台数の推移からみると、普通車は総じて持ち直しているが、軽自動車については、2015年4月以降、軽自動車税の引上げ等の影響もあり、販売が落ち込んでいる。こうしたことから、前年との比較では沖縄で持ち直しの動きがみられるものの、多くの地域では水準の低い状態で横ばいとなっている(第1-1-5図)。


脚注1 第1-1-1図は前年同期比をとっているため、2015年1-3月期及び4-6月期は、前年4月に行われた消費税率引上げの影響により、それぞれ、増加、減少している点に留意。
脚注2 総務省「家計調査」によると、2人以上世帯の1か月当たりの自動車関連支出の割合は、消費支出総額の約8%を占める(2015年平均)。
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