第2章 <コラム> 寒波・豪雪が地域経済に与えた影響

[目次]  [戻る]  [次へ]

05年12月からの記録的な寒波・大雪が、各地域に与えた影響について、プラス・マイナスの両側面から検証してみる。

まずプラスの側面として、大型小売店販売額は、前年比のマイナス幅が全地域で縮小した(図1)。景気ウォッチャーからは「防寒物を中心に服飾、雑貨の動きが好調(東海=百貨店)」(表4)などのコメントが寄せられていることなどから、冬物商品の活発な動きが、消費を活性化させたことがうかがえる。

一方、マイナスの側面としては、全地域で灯油価格が大幅に上昇したことから、暖房費の家計への負担が増加したことが挙げられる(図2)。また、除雪費の増加が地方自治体の財政負担の増加につながっており、道路除雪事業費をみると、前年度比1.8倍(全国)の支出となった(図3)。景気ウォッチャーからは「大雪による航空や鉄道の運行中止や、そのことを理由とする客からのキャンセルなどで、減収となっている(南関東=旅行代理店)」(表4)などのコメントが寄せられた。

図1 大型小売店販売額(前年同月比) 図2 灯油価格(06年1-3月期)
図1 図2
図3 道路除雪事業費 表4 豪雪・寒波に関する代表的コメント
図3
全国
04年度 05年度 05/04
287億円 523億円 1.8倍
(○=やや良、□=不変、▲=やや悪)
東海 1月 百貨店 防寒物を中心に服飾、雑貨の動きが好調。
東北 1月 百貨店 降雪による客足への影響と、寒いなか防寒物への需要はあるもののコートの生産不足による売り逃がしが多い。
南関東 1月 旅行代理店 大雪による航空や鉄道の運行中止や、そのことを理由とする客からのキャンセルなどで、減収となっている。
東海 2月 ゴルフ場 2月の初めごろは寒さが厳しく来場者数は低迷していたが、ここにきて従来並に戻ってきている。前年と比べての目標売上に近くなってきている。
北陸 2月 スーパー 豪雪により、1月は冬物商材の販売量が増えたが、その反動のためか、2月に入ってから冬物は落ち着いた状況で推移している。
東北 3月 百貨店 天候要因が大きい。3か月前は大雪のため来客数が減少したが、今月は暖かく、客足は前年よりも良い。
(備考) 図1: 経済産業省「商業販売統計」より作成。
図2: (財)石油情報センター「給油所石油製品市況調査」より作成。店頭価格。
図3: 国土交通省報道発表資料「平成16年度豪雪に伴う幹線市町村道除雪費補助の臨時特例措置等について」(H17.3.15発表)及び「今冬の道路の除雪費補助(追加措置)について」(H18.3.22発表)より作成。 道府県管理道路(国費2/3)及び市町村道(国費1/2)除雪補助事業費の合計であり、各道府県内所在の補助対象政令市及び市町村を対象とする補助事業費も含む。04年度の事業費10億円以上の県。
表4: 内閣府「景気ウォッチャー調査」より作成。

[目次]  [戻る]  [次へ]