第2部 第1章 第5節 公共投資削減の影響 1.

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1.減少の続く公共事業関係費

90年代を通じて、景気後退局面において公共投資を中心とする経済対策が積極的に発動された。

この方針がはっきりと転換されたのが、2001年6月に閣議決定された「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」(いわゆる「骨太の方針第一弾」)である。骨太の方針第一弾では、公共投資の投資規模や中身について見直しすることとされた。

これを受けて策定された「平成14年度予算編成の基本方針」(2001年12月4日閣議決定)では、「重点分野の公共投資を伸ばす一方、緊急性の低い公共投資を大幅に削減することにより、公共投資関係費を前年度当初予算に相当する額から10%削減する」ことが盛り込まれた。その後も、「平成15年度予算編成の基本方針」(2002年11月29日閣議決定)では「公共投資関係費の水準については、前年度当初予算から3%以上削減する」こと、「平成16年度予算編成の基本方針」(2003年12月5日閣議決定)では「公共投資関係費については、その総額を前年度予算額から3%減算した額の範囲内に抑制する」ことが決定された。

こうした方針のもとに、公共事業関係費も年々減少している。当初予算ベースの公共事業関係費をみると、2002年度は前年度比10.7%減、2003年度は同3.9%減、2004年度は同3.5%減と年を追って減少している。

一方、地方の状況はどうであろうか。

地方の普通建設事業費(補助事業+地方単独事業)の推移をみると、99年度前年度比7.7%減、2000年度8.5%減、2001年度5.7%減、2002年度7.6%減となっており、やはり年を追って減少している。注目すべきことは、国の公共事業関係費の大幅な削減は2001年の小泉内閣の発足以降に始まっているのに対し、地方は99年度から減少が始まっていることである。これは、地方財政計画において99年度以降、10兆円を超える財源不足が発生していることをみても分かるとおり、地方財政の極めて厳しい状態が続いているためである。

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