第2部 第1章 第3節 総じて改善の進む地域の雇用 1.

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1.雇用指標にみる地域の雇用動向

まず、雇用情勢を示す最も代表的な指標である完全失業率をみる。

2003年7-9月期と2004年7-9月期を比較すると(10)、全国では5.1%から4.7%とマイナス0.4%ポイント改善している。地域別にみると(第2-1-3(1)図)、中国が横ばいとなっているほかは、全地域で改善しており、中でも東海と北陸は3%台にまで低下してきている。近畿は失業率の水準で見ると2003年も2004年も全国で最も高いことに変わりはないが、改善幅を見ると全国並みに改善している。一方で北海道の失業率は5.3%と近畿、九州・沖縄に次いで高い水準になっている上に、改善幅も0.3%ポイントと全国よりも小さいところでとどまっている。

次に景気の一致指数と考えられている有効求人倍率をみる。その水準をみると、2004年9月現在で、全国では0.84倍となっている。地域別にみると、東海が一番高く、1.23倍となっており、沖縄は最も低く0.40倍となっている。

直近1年程度の比較をするため、2003年4月から2004年9月にかけての変化をみると(第2-1-3(2)図)、全国では0.24ポイント改善している。地域別にみても、全地域で改善している。しかし、その改善幅をみると、沖縄は0.05ポイントと全国平均を大きく下回っており、北海道、東北、中国、四国、九州でも全国平均を下回っている。一方で東海は0.39ポイントと突出して改善している。

最後に、地域別の労働力率(11)はどうなっているのだろうか。

2003年の全国値は60.8%となっている。地域別にみると、関東から中部にかけての地域は高い一方で、北日本、西日本は低い傾向となっており、やはり地域ごとのばらつきがみられるものとなっている。

労働力率と失業率の関係をみるとどうか。第2-1-3(3)図は地域別の労働力率の全国値の差をX軸に、地域別の失業率の全国値の差をY軸にとったものである。これによると、労働力率が高い地域では、失業率が低いという傾向がみてとれる。これは、労働力率と失業率の定義から、自明の理にも見える。失業率を低下させるには、労働力人口を増加させる、つまりより多くの人が労働市場に参入することが必要となっている。

ここ1年間の地域の雇用情勢をみると、完全失業率が5%を超える地域がなお4地域あるなど、依然として厳しさは残るものの、総じて改善方向にあると言える。ただし、改善の度合いには地域によって差がみられるところである。

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