第1部 第1章 地域経済の現状 1.

[目次]  [戻る]  [次へ]

1.人口からみる地域の現状

(1) 人口の増減率からみる地域の現状

地域経済の現状を分析するに当たり、まず人口の増減の動向からみることにする。

94年から2003年にかけての10年間の人口の増減率をみると(第1-1-1図)、三大都市圏では増加しているものの、地方圏では横ばい圏内ないし減少しているという傾向がみてとれる。このうち、南関東は4.9%増と突出して増加しており、東海が3.0%増と続いている。全国平均の1.9%を上回っているのは南関東と東海の2地域だけであり、北海道、東北、中国、四国では人口が減少している。四国は1.3%減と最も減少幅が大きくなっている。

(2) 依然として緩やかに進む都心回帰

「大都市の景気は良いが、地方は厳しい、地方から人がどんどん大都市に行ってしまうからだ」という声をよく聞く。地域間の人口移動についてみるとどうなっているのだろうか。

やや長めの期間をとって、三大都市圏と地方圏の人口移動の状況をみる(第1-1-2図)。

総務省「住民基本台帳人口移動報告」によると、三大都市圏への人口流入は87年にピークに達してから徐々に逓減し、94年、95年は人口流出超となった。96年以降は再び流入超に転じ、都心回帰の動きがみられる。2001年以降は流入超が続いているものの、増加は一服している。なお、80年代の人口流入局面と異なって、96年以降は特に南関東への人口流入が続いており、97年以降は南関東4県すべてが流入超となっている。近畿圏は流出超幅の差異はあるが、80年代を含めて一貫して人口流出が続いている。県別にみると、大阪は過去20年余りの間で95年を除いて流出超、一方で滋賀は流入超が続いている(付図1-1)。

地方圏の状況をみると、三大都市圏と反対に87年を底として流出超幅が徐々に縮小し、94年、95年には流入超に転じた。その後、再び流出超に転じ、2001年からは流出超幅がほぼ一定となっている。地域別では、すべての地方圏が流出超となっており、特に東北の流出超幅が大きくなっている。県別にここ5年ほどをみると、北海道から四国まで、ほぼ全県で流出超となっている。九州は県によって異なり、福岡や沖縄は流入超となっている。

以上より、地方圏から三大都市圏、特に南関東に人口が流出していることがデータから確認された。

(3) 全地域で進む高齢化

高齢化は地域単位でどう進んでいるのだろうか。65歳以上人口比率をみると(第1-1-3図)、各地域とも一様に上昇している。その進展の度合いをみると、三大都市圏では北関東を除いて全国平均を下回っており、地方圏では沖縄を除いて全国平均を上回っている。傾向的に高齢化率の最も高い四国と最も低い南関東の差をとると、5~7%程度であり、ここ20年ほどの間に特に差が開いたというわけではない。

[目次]  [戻る]  [次へ]