『地域の経済2004』の公表にあたって

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<地域経済とグローバル化>

『地域の経済2004』は、地域経済の総合的な把握と問題点の指摘を目的として1987年から毎年刊行されてきた『地域経済レポート』を引き継ぐものです。

2004年における景況を地域別にみると、おおむね緩やかな回復が進んでいますが、回復が遅れている地域もみられます。例えば、完全失業率が多くの地域で低下するなど雇用情勢の改善は進んでいますが、いまだに失業率が5%を超える地域があるなど改善の度合いに地域差がみられます。このような地域差は、地域の産業構成と輸出競争力の違いが現われていると考えられます。一方で、2004年には、鳥インフルエンザの発生や相次ぐ台風の上陸、歴史に残る地震の被害など、自然災害が地域の景況に与える影響も懸念されました。災害に遭われた方に心からお見舞いを申し上げるとともに、政府の適切な対応の前提となるべく、今後も地域の経済動向をきめ細かく、注意深く分析してまいりたいと思います。

この『地域の経済2004』では、「地域経済とグローバル化」をテーマに、製造業、農業、小売業、観光の4つの分野におけるグローバル化への取組を中心に分析しています。今回の景気回復局面が輸出の増加から始まったように、輸出競争力のある企業はリーディング企業として、地域経済を先導するものと考えられます。グローバル化に対応して成功を収めるには、どのような条件が必要なのか、その効果はどのように現れているのか。地域や企業がグローバル化へ取り組む中で、行政は何をすべきなのか。このような疑問に対する回答を、各地域の豊富な事例とデータに基づいて明らかにしています。

また、行政はどれくらい柔軟な体制で企業や住民のニーズに応えられているのかについても調査しました。このためには、地方自治体においても行政改革を進め、自由度をもって様々な課題に取り組む必要性があります。

地域が直接世界に対峙する時代にあって、地域経済活性化のためには、グローバル化の取組が不可欠です。

そのために、本報告書が一助となれば幸いです。

2004年11月17日


内閣府政策統括官(経済財政分析担当)
大田 弘子

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