第1章 第1節 産業集積メリットの活用に向けた動き 3.

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3. 進行する産業クラスター形成の試み

経済産業省による「産業クラスター計画」(地域再生・産業集積計画)は、各地域における経済産業局自らが結節点となって、世界市場を目指す地域の企業や大学などからなる産学官の広域的なネットワークを形成するとともに、経済産業省の地域関連施策を含む各種支援策を総合的・効果的に投入することにより地域経済を支え、世界に通用する新事業が次々と展開される産業集積の形成を目指している。

このプロジェクトにおいて、「産業クラスター」とは、「大学等の公的研究機関と周辺企業の間の技術革新に加え、より広域的に大学等と企業との間や企業同士の連携が図られ、イノベーションと新事業・新産業の創出が連鎖的に生じるシステム」を意味している。

地方自治体の協力も得て、2001年度から全国19のプロジェクトにおいて、世界市場を目指す地域の中堅・中小企業約5,000社、200を超える大学を含む産学官の広域的な人的ネットワークを形成し、産学官で流通する情報の質・量を格段に高め、技術・経営情報・販路等の経営資源を補完するとともに、地域の特性を生かした技術開発の支援、起業家育成施設(ビジネス・インキュベータ)や事業環境の整備を推進している(第1-1-3図)。

具体的な施策の内容としては、1)データベース及びホームページなどを活用して、企業、大学、公的研究機関の有する優れた技術等に関する情報の提供・交換を促進、産官学の交流・連携の場を設定、研究・新商品開発、市場調査等のための連携を支援、2)産官学共同の実用化技術開発支援、企業の実用化技術開発支援、地域企業の情報化支援、3)関連ベンチャーに対し起業家育成施設(ビジネス・インキュベータ)を整備、インキュベータで起業ノウハウの提供等のソフト支援を行うインキュベーション・マネジャー(IM)の養成などがある。

このような取組によって、いくつかの地域においては、以下にあげるような産業集積の活性化と新事業の展開が進み始めている。

  • 1)北海道IT・バイオクラスター形成プロジェクト(北海道スーパー・クラスター振興戦略に含まれる。):大学発ベンチャーが32社誕生した。
  • 2)TAMA クラスター形成プロジェクト(首都圏西部地域産業活性化プロジェクト):次世代DVD 表面加工装置の開発に成功し、売上が増加した。
  • 3)近畿バイオクラスター形成プロジェクト(近畿バイオ関連産業プロジェクト):大学発バイオベンチャーが株式を公開した。

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