第2部 第1章 第2節 IT関連生産による地域間の景況格差

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1.全地域で終了した在庫調整

今回の在庫調整は、生産の減少幅が大きかった分だけ進展が著しかったことが特徴となっている。在庫調整の循環グラフをみると、全国的には2001年1-3月期に在庫調整局面(在庫の増減率が出荷のそれを上回る局面)に入り、5四半期後の2002年4-6月期には回復局面(出荷の増減率が在庫のそれを上回る局面)に入ったことが確認され、これから判断すると、同年1-3月期が生産の底であったことになる。

このような在庫循環について、地域別にはどのような状況になっているのだろうか。鉱工業生産の在庫循環図を地域別にみたものが第2-1-6図である(データの制約により全国を8地域に分割してある)。

在庫調整局面に入った時期では、中国、四国の2地域が2000年7-9月期で最も早く、次いで九州が同年10-12月期、北海道、東北、関東、近畿の4地域が2001年1-3月期となっている。最後に中部が2001年4-6月期に調整局面入りした。一方、2002年4-6月期には全8地域で回復局面に入っているが、その時期をみると中国と北海道が最も早く2002年1-3月期に入った。他の6地域は同年4-6月期となっている。

このように、地域別でみても、2001年1-3月期までにおおむね在庫調整局面に入り、2002年4-6月期までにすべての地域において在庫調整が終了したことがわかる。調整期間は、四国が最も長く7四半期、中国、九州が6四半期、関東、東北、近畿が5四半期、中部と北海道が4四半期であった。

図の円の大きさは在庫調整の程度を表している。今回の調整をみると、東北、九州、関東、中国は円に近く、北海道、四国、中部、近畿はつぶれた形をしている。近畿は在庫が増えないまま過ぎている。また、東北、九州、関東をみると、前回の調整の円弧よりも今回の円の方がおおむね外側にあり、調整が深かったことがみてとれる。一方、中部では今回の円が前回の内側を通っている。このような違いは、この他の地域についてははっきりとしていない。

中部を除く7地域では出荷の減少率のピークは今回の方が大きかったのに対し、在庫の増加率のピークが前回を上回ったのが東北だけとなっている。このように、東北、九州と中部で傾向が異なるのが今回の特徴といえるが、この理由としてあげられるのがIT関連需要への依存度の違いである。

2.在庫調整の深さを分けたIT依存度

鉱工業生産の業種構成は、地域によって違いがあるが、電気機械生産についてみたものが第2-1-7表にある。これをみると、東北が34.8%で最も高く、次いで関東、九州となっており、全国平均を上回っているのは東北と関東だけである。小さい方では、北海道、中国、東海の順になっているが、輸送用機械の割合が大きい東海で比較的小さいことがわかる。

この電気機械の中でも、半導体、コンピュータ、通信機器ななどのIT関連品目の割合をみると、また地域ごとに違いがみられる。各地域の電気機械生産にIT関連品目の占める割合を横軸に、電気機械生産の減少率を縦軸にとって関係をみたものが、第2-1-8図になる。IT関連品目の比率は、九州、四国、北陸で高く、東海、近畿で低くなっているが、この比率が電気機械生産の下落率に関係していることがわかる。

電気機械の比率の高い東北、関東、九州の3地域と、低い東海について鉱工業生産の増減率をみたものが第2-1-9図になる。これをみると、電気機械の寄与度の大きい東北、九州、関東では生産の減少が大きく、在庫調整が深くなっている。輸送用機械に下支えられた東海では、この3地域よりも生産の減少幅が小さい。このように、地域間で在庫調整の深さを分けたのは、電気機械、とりわけIT関連品目の比率であったことが確認できる。

3.広がりがみられる地域別の景況格差

内閣府では、景気に敏感な複数の経済指標を地域別に合成して「地域景況インデックス」を作成している。「地域景況インデックス」は内閣府「景気動向指数」のCI(コンポジット・インデックス)と同様の手法により採用指標の変化率を合成して求められる。採用系列は鉱工業生産指数、大型小売店販売額、乗用車新規登録・届出台数、建築着工総床面積、有効求人数、電力使用量の6系列であるが、沖縄については観光入域客数を加えて7系列となっている(2)。

今回の景気の悪化と持ち直しの過程では、地域別の景況格差はどうなっていたのかを、この「地域景況インデックス」により確認してみよう。第2-1-10図は、地域景況インデックスの地域別CIを景気の山である2000年10月を100として比較したものである。これによると、2000年10月から2002年央までの期間について、相対的に景況感が上になっているのは、沖縄、中国、北海道であり、下になっているのは東北、北陸である。沖縄は、観光入域客数が回復していることからCIの水準は高くなっている。この沖縄を別として、地域別CIの最大値と最小値の差をみると、2001年12月に最大(北海道)と最小(東北)の差は大きくなり、2002年に入るとやや縮まったが、年央にかけて最大(中国)と最小(東北)の差は再び大きくなっている。

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