第1回経済審議会行動計画委員会議事概要

  1. 日時 平成8年7月12日(金)14:00~16:00
  2. 場所 経済企画庁特別会議室(1230号室)(中央合同庁舎第4号館12階)
  3. 出席者
    (委員会)水口弘一委員長、
    得本輝人、豊島格、山口光秀、秋山喜久、荒木襄、石川武、大塚英作、
    兼重一郎、國島正彦、佐藤治正、生源寺真一、杉山雅洋、高尾義一、
    巽和夫、中条潮、グレン・S・フクシマ、前田又兵衛、三島万里、
    吉田和男 の各委員
    (事務局)田中大臣、清水政務次官、糠谷事務次官、竹島官房長、
    水谷日本銀行政策委員、鹿島企画課長、坂本総合計画局長、
    小峰審議官、五十嵐審議官、志賀計画課長、田中計画官
  4. 議題
    1. 行動計画委員会の公開について
    2. 行動計画委員会の主要論点について
  5. 審議内容
    1. 本委員会の公開について、次のとおり決定された。
      1. 原則として議事録を1ヶ月以内に公開する。ただし、発言者名は公開しない。また、原則として議事要旨を2日以内に公開する。
      2. 配付資料は、原則として議事録と併せ公開する。
      3. 開催日程は、事前に周知を図る。
    2. 委員会の冒頭で、田中大臣より挨拶があり、当日の閣僚懇談会において、高度情報通信、物流、金融、土地・住宅、雇用、医療・福祉の6分野の規制緩和策について、田中大臣がより具体的なペーパーを提出したことを受けて、総理からこれらを経済審議会、行政改革委員会及び各省庁の審議会で前向きの成果を出すべく審議するよう、指示があった旨報告があった。これを受けて行動計画委員会では、各分野について専門家からなるワーキンググループを設置し、高コスト構造是正・活性化のための行動計画(以下行動計画)のフォローアップの一貫として、既存の10分野に加えて、これらの分野を審議することが決定された。
    3. 主な意見は次のとおり。
      • 各審議会ごとに公開の方法が異なり、横断性がないので、調整すべき。
      • 大臣が提示された6分野には、エネルギーが含まれていないが、共通コストである等の観点から、加えるべきではないか。
      • 高コスト構造是正の効果を測ることが重要であり、そのためのデータをできるだけ多く揃えたほうがよい。外国との比較は、ほとんど米国との2国間比較になっている。欧州の国等を加え、3国間比較の資料を用意すべき。
      • 大臣が提示された6分野には、最も競争力の弱い農業が入っていない。行動計画の農業生産の対応策も不十分だが、こういう分野はもはや経済効果が見込めないということか。
      • 委員会の進め方に関して、従来と切り口を変えた観点からの検討、例えば官民分担の問題等を包括的に扱うのはどうか。
      • 行動計画はかなり網羅的であるが、焦点を絞って重点的にやる方がいいのではないか。
      • 行動計画の対応策を具体的にどう実行するかが重要。現行計画を後退させないとの方針の下、データに基づいた厳密なフォローアップを行い、現在盛り込まれている対応策だけで不十分である場合は、足りない施策を追加することを考えていくというやり方が効果的だ。
      • 行動計画では競争政策の視点が薄い。各分野において、独禁法とのからみで検討の余地があるのではないか。
      • 公共事業、住宅については、海外から資材を輸入すればコスト削減できるとの主張があるが、予算の単年度主義等日本国内の制度上の問題を変革しないと本当の高コスト是正はできない。
      • 規制緩和推進計画については、「検討することが決まった」というようなものが多く、実際実行されているわけではない。行動計画についても、実際に動いているものは少ないのではないか。各省庁の推進状況について審議すべき。また、対応策の追加についても検討すべき。
      • 競争政策については、新聞や書籍の再販制に踏み込むべき。
      • 土地・住宅については、規制緩和が必要である一方、逆に規制の強化が必要な部分も出てくる。日本の住宅は、阪神・淡路大震災で明らかになったように、規制すべき点が多い。また、街並みも、主要先進国と比較して都市計画の規制が緩すぎ、乱雑である。いい街づくりのためには、適切な規制が必要である。
      • コスト構造是正のために数値目標を設定しているが、規制緩和によりそれらが達成されたとして、世の中はどのような方向に向かうのかというところまで踏み込むべき。規制緩和後にどのようなシステムになるのかを示すべき。
      • 規制緩和は失業などの痛みを伴うが、それを乗り越えなければならないと言われると労働者は規制緩和に慎重になってしまう。規制緩和に先立って、新規産業の創出、雇用の吸収の方策を検討すべき。
      • 個別の分野について議論するときは、公取委を始め、担当官庁から、担当者を呼んで、意見聴取すべき。また、今年に限らず、5年間しっかりフォローアップすべき。
      • 我が国経済はこのままでいいのか、という認識の下に行動計画を策定した。ゴールが延びたり、向きが変わったりすると走りきれないので、行動計画のフォローアップに当たっては、今までの流れを前提にすべき。
      • 業界団体の慣行等目に見えない規制についても拾っていくべき。
      • 行動計画には実現可能性が高いものと低いものが混在しており、なかなか実現しないもののために国民に不信感を持たれることから、施策をすぐ実施するもの、中期的に進めるもの等、時間軸で整理すべき。
      • インフラ整備を通じた高コスト構造是正は結構だが、増税という形で国民の負担になり、別の意味で高コストになりうることに留意すべき。
      • 規制緩和には大賛成だが、分野によっては、新たなルールが必要な部分もある。その際、ルール作りの過程、ルールの運用が不透明であるとの意見をよく耳にする。
      • (資料3の)「行動計画委員会の主要論点について」に掲げられている、高コスト構造是正・活性化の推進状況の点検、行動計画における新たな対応策や目標の追加等の検討、といった主要論点を共通の問題意識として進めていくのがよい。大臣の提案も併せて進めていくべきである。
以上
(速報のため、事後修正の可能性有り。)