経済審議会第1回経済社会展望部会議事概要

1.日時

平成9年7月25日(金)10:00~11:40

2.場所

合同庁舎第4号館特別会議室1230号室

3.出席者

小林陽太郎部会長、岩田一政、角道謙一、香西泰、小島明、小林佳子、佐々波楊子、清家篤、中井検裕、長岡實、奈良久彌、深海博明、福井俊彦、吉井毅、鷲尾悦也の各委員。

麻生経済企画庁長官、糠谷事務次官、林官房長、藤島日本銀行政策委員、高橋企画課長、中名生総合計画局長、高橋審議官、貞広審議官、大西計画課長、大森計画官、田坂計画官、涌野計画官、染川計画官、赤井計画官、荒井計画官、塚原計画官、渡辺電源開発官、道上計画企画官

4.議題

  1. 経済社会展望部会の審議の公開について
  2. 経済社会展望部会の進め方について
  3. 日本経済をとりまく環境の変化、構造改革の状況について

5.審議内容

  1. 冒頭、麻生経済企画庁長官より挨拶
  2. 経済社会展望部会の審議の公開について
     大西計画課長より、資料2「経済社会展望部会の審議の公開について(案)」について説明。
     委員からの意見は特になく、本案は了承された。
  3. 経済社会展望部会の進め方及び日本経済をとりまく環境の変化、構造改革の状況について
     中名生総合計画局長より、資料3「経済社会展望部会の進め方について(案)」について説明、続いて道上計画企画官より、資料4に沿って世界との関わり、財政構造、社会保障構造、金融システム、経済構造改革について現況を説明、その後討議。
     委員からの主な意見は以下のとおり。
    • これまで経済審議会においても、日本の経済構造改革に関する議論はなされているが、こうした改革によりどういう社会になるのか国民にイメージされていないのは問題ではないか。展望部会ということから、展望を最初に示した上で、何をすべきか議論していくことが適当ではないか。
    • 日本経済と世界経済の相互依存やグローバル化が進むにつれ、今後世界との関わりが重要になってくる。こうした中、有力民間企業などから国際機関へ人材を派遣するなどして、日本の国際機関における発言力の強化、また、それに耐えうる人材の育成を図るべきではないか。
    • 将来展望を行う期間は、人口構造の変化がドラスティックかつ確実に起きる21世紀の最初の10~15年とするのが適当ではないか。また、これくらいの期間だと具体的イメージや政策を立てやすいのではないか。
    • 展望するに当たり、現状や過去の制度に捕らわれない現実論を展開していく必要があるのではないか。構造が変われば、従来合理的であったものが、合理的でなくなることもある。
    • 今後望ましい経済社会のイメージは既に国民の共通認識となっているのではないか。それにも関わらず社会に閉塞感が漂っているのは、個人ないし企業が新しい経済社会に向けてどのように行動したらいいのかきっかけを掴みかねているからではないか。当部会としては、将来に向かって動くきっかけをどのように与えていけばいいのかを議論することが求められているのではないか。また、規制緩和や6つの改革に関し、資本・労働力・イノベーションといった経済成長の三要素に立ち返って現在の改革で十分か、なお不十分な点があるとすればそれはどこか等再度検討する必要がある。
    • 6つの改革がすべて進められたらどのような社会になるのか、それぞれの改革の相互作用又は相互関連性を議論する必要があるのではないか。例えば、高コスト構造の是正やエネルギーの内外価格差の是正により、安いエネルギー供給が可能になるが、これが二酸化炭素排出量等の地球環境問題に対しては、マイナス効果をもたらすというトレードオフの関係に立つことも考えられる。こうしたマイナス効果への対応策も含め6つの改革を相互に関連付けて議論すべきではないか。
    • 現在の改革テーマは当面の経済の活性化を狙ったものであり、長期的な問題への取組は後回しになっているのではないか。例えば、こうした問題が不可逆性をもつ場合は、それを延期していくとコストが高くなることになる。長期的にみると今の改革で十分かについて考える必要がある。
    • 当部会はマクロ的な視点が一つの基本的論点であると考えられる。議論すべき重要な問題は、技術がどれくらい進歩するか、経済組織がどれくらい効率化するか、あるいは技術革新がどれくらい起こるかをまとめた全要素生産性がどのような動きをしているか、またそれをどのように把握したらいいのかということである。 他方、こうした成長率とは別に生活自体の快適さ、便利さをどのように考えたらいいのか、マクロ的指標で表せるのかということも問題として考えられる。
    • 審議期間が1年間であることを考慮すると、経済構造改革を中心に据えて、それとの関わりにおいて他の改革を審議するのが適当ではないか。 教育・文化の改革について審議していくことも重要。
    • 本日の議論を踏まえ、再度事務局で問題点及び主要論点をフローチャートやマトリックスにする等して整理していただきたい。
  4. 今後のスケジュール
     次回は9月を予定。具体的日時等は未定のため、追って連絡することになった。

(以上)