第2回 経済審議会 21世紀世界経済委員会議事概要

  1. 日時 平成8年7月5日(金)14:00~16:00
  2. 場所 経済企画庁 特別会議室(1230号室) (第4合同庁舎12階)
  3. 出席者
    (委員会) 佐々波委員長、公文委員長代理、
    浦田秀次郎、金井務、河合正弘、四野宮睦雄、田中明彦、張富士夫、
    西和彦、林紘一郎、藤原作弥、星野昌子、村上英亮、村田良平、
    最上敏樹、山影進 、若杉敬明、若杉隆平 の各委員
    (事務局) 糠谷事務次官、金子経済研究所長、新保審議官、坂本総合計画局長、
    小峰審議官、五十嵐審議官、志賀計画課長、道上計画企画官、
    服部計画官、太田計画官、大前計画官、安井計画官
  4. 議題
    • 製造業のグローバリゼーションの進展状況と今後の展望
  5. 審議内容
    本委員会における主な意見は次のとおり。
    • 日本、欧米のアジア戦略は、大きな違いがある。日本は、迂回輸出という形でア ジア、中国を利用しているが、欧米は、輸出よりは内需に目を向けた進出だと思 われる。
    • これまでのグローバル化によってもたらされた経済的効果について考える必要が あるのではないか。
    • ネットワークについては、国家間の体制、マーケットの体制の次の段階としてN GOのようなネットワークという社会システムが大きな役割を果たす時代が来る という見方もある。つまり、国際政治・経済という別の領域の活動が21世紀の世 界において大きな柱になる。
    • インドネシア等における自己資本の企業育成の動きと国際的枠組み(APEC、 WTO)との関連は、どのように考えるのか。自国で自国企業を育成しようとす るのは非常に難しくなると考えていいのか。
    • APECでは、発展途上国と先進国との対応を差別せざるを得ないということが 背景にある。先進国と途上国とで異なる時間をきって自由化のスケジュールを決 めていくことは1つのアイデアなのではないか。
    • 中国が突出した経済を持つようになるというような潜在的脅威はあるとしても、 当面は中国が経済的な不振に陥らないようにすることが重要である。
    • 東アジアにおける国際分業体制は、分野によって異なる。全般的には、日本のプ レゼンスが少し下がって、欧米のプレゼンスが増えると考えられる。
    • 企業進出は、文化を持ち出すことでもあるため、日本のプレゼンスが下がってい かないようにするためには、日本の文化が、欧米の文化とアジアの文化との間を とるような形で補っていけるかが重要である。
    • ネットワークというのは、市場ベースでの取引関係・企業間の取引ネットワーク であると理解しているが、企業間提携というネットワークもあり得るのではない か。
    • ASEAN各国が、国内の産業を振興していこうとする政治的な圧力を高めてい くことについて、考えておいたほうがよいのではないか。
    • インド向けの直接投資が92年から急速に立ち上がってきているが、インドを中心 とするネットワークの形成についても議論してはよいのではないか。中国と同じ くらいにインドを扱って21世紀の議論を行ってもよいのではないか。
    • 今回のテーマには、製造業がそれ自体どのようなネットワークを形成しているの かということと、活動していく上で他のネットワークをどう使っているのかとい うことの両面が含められていると考えるが、後者について十分検討するべきでは ないか。
    • サービス業のグローバル化の進展や、グローバル化していない状況の問題点につ いても議論すべきではないのか。
    • 経済のグローバリゼーションのマイナス面に対しては、かつての保護主義に戻っ ていくのではなく、システムの中にNGO等の動き・発想を絡ませていく必要が ある。
    • グローバリゼーションが一層進むかどうかを考えるとき、供給側の要因(人材、 企業)が必ずしも十分ではないという議論もある。そのことを踏まえて、今後グ ローバル化が可能な状況にあるのかという観点からの議論も必要ではないか。

(以上)