地域振興券の消費喚起効果等について

平成11年8月6日

経済企画庁

  経済企画庁は、地域振興券の消費喚起効果の分析のため、本年6月下旬~7月上旬に、全国約9,000の交付対象世帯に対して、地域振興券の利用実態等のアンケート調査を行った。調査結果の概要は以下のとおりである。

1.使用状況

  6月15日現在で、交付のあった世帯のうち約76%が地域振興券の利用を完了しており、金額でみると、交付額の9割近くが使用ずみである。これからみて、振興券の利用は、順調に進んでいるとみられる

  使用時期をみると、3~5月に使用が集中していた。

2.利用内容

  利用費目をみると、振興券の使用金額の割合は、衣類・履物(32%)、食料品(29%)、家具・家事用品(13%)、教養・娯楽(12%)の順に高い。細かくみると、食品・惣菜(24%)、子供服(16%)、履物(5%)、その他家電(4%)、自転車(4%)、家具・寝具(4%)、ゲーム機・ソフト(3%)が利用上位品目である。

  このうち、児童が交付対象の世帯においては、子供服、食品・惣菜、履物、自転車、ゲーム機・ソフトの順に高く、老齢福祉年金受給者世帯においては、食品・惣菜が圧倒的に高く(38%)、その他の品目は、5%内外で、コート・スーツ・スカート等、その他家電、家具・寝具、市販医薬の順となっている。

  利用店舗形態では、総合スーパー(27%)、中小小売店(27%)、食品スーパー(12%)、百貨店(9%)の順に高い。また、店舗では、主にいつも利用している店で振興券を使った世帯が全体の81%と高かったが、いつも利用していない店で買った(16%)、振興券が割り増し利用できる店で使った(10%)と回答した世帯もあった。

3.消費の喚起効果

  振興券を使った買い物のうち、振興券がなければ購入しなかったと回答した買い物の総額は、振興券使用額の18%程度あった。また、より高価な買い物や多数の買い物、ないし、振興券がきっかけとなって行った買い物によって、支出が増加したとみられる金額は、振興券使用額の14%程度あった。これらを合計して、振興券によって喚起された消費の純増分は、地域振興券使用額の32%程度であったとみられる。

  結果として、地域振興券は、調査世帯については、本年3月~6月の消費を直接的に、振興券既使用金額の32%程度分、新たに喚起したとみられる。これを、交付済額約6,194億円のベースに単純に換算して、年ベースのマクロの消費効果をみると、消費の押し上げ額は、2,025億円程度(GDPの個人消費の0.1%程度)と推定される

4.利用者の感想等

  交付対象世帯の感想として、「振興券は普段以上の買い物をしたり、ほしかったものを購入する効果がある」に対し「そう思う」(58%)、「減税に比べてもらったという実感がある」に対し「そう思う」(56%)、「振興券を受け取る手続きがわずらわしい」に対し「そう思わない」(65%)が過半を占める回答である。