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第6回動向把握早期化委員会議事概要

1.日時:

平成11年3月25日(木)18:30~20:30

2.場所:

経済企画庁特別会議室(401会議室)

3.出席者:

(委員)

竹内啓座長、小邦宏二、宅森昭吉、野村信廣、早崎博、堀江正弘、村山昇作、森住昌弘、美添泰人

(事務局)

新保調査局長、

大守内国調査第一課長、

土肥原国民経済計算部長、淺見景気統計調査課長、中藤物価調査課長、

川上内国調査第一課調査官、他

4.主要議題:

一次統計の早期化(第4回の討議の継続)、新しい観点からの調査統計、消費に関する座長メモについての意見交換、報告書のまとめ方

5.議事内容:

第4回動向把握早期化委員会の議題である「一次統計の拡充」につき、事務局より討議事項案(別紙1)を再説明。

〇自由討議

(統計自体の変更・早期化自体の是非について)

  • 統計の早期化のためには他省庁の協力が不可欠であるが、他省庁が行う統計の目的は景気動向の把握であるとは限らない。だから、「家計調査」で勤労者世帯についてだけ早期公表を始めたように、可能なことから協力を得る姿勢が重要である。
  • 今は閣議決定で指定統計は60日以内の公表が義務付けられているが、実際は1ヶ月以内に公表しているものが殆どである。
  • サンプル数を減らしてでも速さを求めるという点について、サンプル数の減少は統計の安定性を失わせることとなるが、景気が上向きか、下向きか程度の把握にはさほど問題にはならないと思われる。
  • 景気判断に用いるのはひとつの指標だけではない。数多くの指標のなかから取捨選択し判断するわけだから、多少信頼性に疑問のある速報でも公表し、ユーザー側の判断にゆだねるべきである。統計を見る側の選択肢・自由度を広げるという観点からも、速報は意義がある。
  • 速報と確報の乖離によるマーケットの混乱に関して、公表されたデータを自由に分析できるようなインフラがあれば無用な混乱は避けられるだろう。要は民の方で各種統計の取捨選択、自由な分析・解釈ができる体制が望ましいということだ。
  • 速報性と精度がトレードオフになるという考え方は認めるべきではない。例えば統計全体に大きな影響を与えるような大企業のデータを精査する必要があるとしても、そのような大企業の数は多くはないはず。またエラーチェックのプログラムをきちんと整備する等、方法はいくらでも考えられる。
  • 公表の早期化にとって最も大きな問題は、不可欠である大企業からの回答の遅れであろう。実際には何度も督促するということになるのだろうが、報告者負担の問題もあってなかなか解決できていない。
  • 大企業の回答待ちのために集計が遅れるという問題は確かにあるが、統計作成側と報告者側の交流を深め、報告者側に統計の重要性を理解してもらうことで解決できると考えられる。
  • 経団連の会員企業にアンケートをとってみても、やはり正確性よりも速報性の方を期待している企業が殆どである。速報と確報の乖離への許容度については、速報と確報は明くまで別物であるという点も含めて国民の理解がすすめば、乖離への許容度は広がるだろう。

(集計手法の変更について)

  • オンラインによる集計は特に地方公共団体の抵抗が大きいだろう。これは実現すれば確実に早期化を図れるものであるので、県庁主導で是非とも推進してもらいたい。
  • ウィルスを恐れる企業があってオンライン集計の障害になっているとのことであったが、現在通産省では月次の大規模な統計の準備をしているところである。こういうものをやるには当然ウィルス等の問題もクリアしているはずだから、この問題の解決が不可能というわけではないだろう。
  • オンライン集計は全ての対象企業ではなく、当面協力が得られるところから始めるようである。
  • FDにデータを写してオンラインにつながっていないコンピューターで集計作業を行うという手段も十分可能なはずだ。問題は中小企業にPCを使えない人が多いのではないかということで、学校教育の場等でPCについての啓蒙活動をするほうが重要だろう。
  • アメリカでは調査員が直接入力しているらしいが、日本でもモバイルを活用すれば同じようなことはできるはずだ。モバイルの予算の問題もあろうが、情報武装によって調査員の数を減らせばその問題も解決できるだろう。

(その他)

  • 公表スケジュールについて、マーケットに求められているのは公表そのものの早期化よりも公表スケジュールの早期確定・公表だと思う。大きく変動する可能性のある材料がいつ頃出てくるかわからないと、取引ができない。
  • 速報と確報はあくまで別物として扱い、速報は速報と比較すべきではないか。速報と確報を一緒にして考えると不連続になることも多い。例えば大企業のデータのみで速報を出すのであれば、「大企業指数」とするなど工夫の余地がある。
  • 但しきちんとしたデータは後になってからの分析にも必要なので、少々遅くなっても信頼性の高い確報は必要である。
  • 社会現象に関するアンケート調査を他の統計と分け、動向把握早期化の指標として扱うのは可能であると思う。
  • 指標の公表が月末に集中するという問題も是非解決すべき。せっかく重要な情報が多く出ていても同時に出てしまえば新聞での扱いも小さくなる等、国民の関心も呼びにくい。

「新しい観点からの調査統計」について事務局より説明。概要は別紙2のとおり。

○自由討議

(金融取引の把握について)

  • 「資金循環表」は、そもそも構造的な判断に用いる統計であり、早期の景気動向把握に合うものだとは考えていない。貸し渋りを把握する統計がないということだが、貸し渋りについては、貸出し態度DI、マネーサプライ、金利等で総合的に判断するしかないと思われる。
  • 日銀では決済統計を作成し、インターネットで公表している。資金動向の把握についてはこうした統計をもっと利用してほしい。
  • 「資金循環表」の作成には多くの機関が関係している。金融機関のデータ提供は早いが、一部機関はデータの提出に時間がかかっている。「資金循環表」は全てのデータがそろわないと作成できないため、月次化は困難。
  • マネタリーベースの統計は総じて早期化されており、信用乗数等の算出もずいぶん早くできるようになった。こうした情報を組み合わせれば、貸し渋り等もある程度推測できると考えられる。
  • 日銀のマネタリーベースの統計については、4月から更に一週間程度早く公表する予定である。また、統計スケジュールの公表が重要との指摘を踏まえ、日銀でも3月月内にスケジュールを公表することとしている。

(価格面の把握について)

  • 投入と産出にタイムラグがあるというのは重要な視点。タイムラグを考慮すれば、受注側からの統計を充実すべきという結論になるだろう。
  • CPIについていくつか問題があると考えている。(1)調査地域が商店街を中心とした狭い地域であるということ。(2)県毎に集計を行っていること。マイカーがあれば県間の移動が容易であり、こうした集計には疑問。(3)調査日が偏っていること。土曜日のバーゲン等の扱いが十分でない。(4)一銘柄・一価格になっていること。携帯電話などの売れ筋の商品が出てきたときに、その代替効果を正確に把握できるか疑問。全体として言えることは、最近の消費者行動の変化を考慮した調査へ移行すべきということだ。
  • ご指摘は誤解が多い。(1)調査地域については、商店街以外の一般地区でも調査を実施している。(2)県庁所在地別等で集計・公表しており問題もあると思うが、利用者の方々にメリットにはなっていると考えている。(3)調査日に週末は入っていないが、日本の場合は曜日で消費パターンが大きく異なるというデータは出ておらず、大きな問題はないと認識している。短期のバーゲンについては、イレギュラーな動きの要因になりかねないので除外している。(4)一銘柄・一価格は、バイアスを避けるための方針で実用的だと考えている。携帯電話は消費に占めるウエイトが小さい。
  • 物価指数の品質調整について、ヘドニックアプローチはひとつの方法にすぎない。諸外国も部分的にしかこのアプローチを採用していないのがその証拠。
  • 携帯電話のウエイトが小さいと言うが、「家計調査」が若者の消費動向や個計化傾向をきちんと反映していないのが問題。

(その他)

  • 統計審査は、かなりの程度柔軟に行っていると考えている。必要なら徹夜してでも審査をするが、機動性が必要だからといって審査基準をゆるめることはできない。
  • 「家計調査」については日次集計が可能である。新政策の実施に合わせてこうした既存統計をベースに特別調査を行えば、精度の高い政策効果分析が可能である考えられる。
  • 報告者負担の軽減や重複防止については、チェック機能がきちんと働くような仕組みを考える必要がある。
  • ヒヤリングと調査・統計は、報告者にとって大差ない。ヒヤリングといっても、例えば数字の中味の問い合わせが事後的にあるなど、調査・統計と同様の負担が報告者に生じている。
  • 報告者の視点に立った努力や新手法の導入が必要。新規の調査については、その必要性を報告者側に理解してもらう、DI方式の調査を中心にする、調査項目を簡素化しサンプル数を大きくする、といった創意工夫が重要だろう。
  • 以前に議論したテレビを用いた消費調査のような、これまでにない手法を用いた新調査を試験的にでも実施していくべき。

○最近の消費需要の動向等について、竹内座長からの説明は概要以下のとおり。

  • いささか大胆な判断をすれば、現在の日本の家計消費の動向については次のようなことが言えると思う。(1)消費性向には余り変化がなく、消費財の価格の全般的低下によって、家計の実質消費は減少していない。あるいは増加しているのではないか。(2)住宅購入などの投資的支出については、減少している。(3)小売業の売上高が減っているのは、価格低下や企業の交際費の削減等によるところが大きいのではないか。
  • 現在の景気判断は微妙な条件に依存している。GDPの成長率がプラス2%ならば、「景気は回復した」と宣言されるであろうし、マイナス1%ならば「かなり悪い」と判断されるであろう。しかし、全体の差で3%の幅というのは、多くの統計にとって誤差の範囲である。
  • 標本の大きさを増して、「力づく」で精度を上げることは現実的でなく景気判断については、いろいろな形の部分的情報を上手く組み合わせ、適切な推理を働かすことによって行う以外方法はない。

○自由討議

  • 景気動向の早期把握という趣旨からすると、消費以上に設備投資を中心とした企業動向に着目すべき。
  • サービス関連の消費支出の把握が十分でない。特に、選択的消費の動向をもっと把握できるようにすべきである。

○報告書のまとめ方について、事務局より説明(略)。

(速報のため事後修正の可能性あり)

問い合わせ先

経済企画庁調査局

内国調査第一課  指標班

直通  03-3581-9527


(別紙1)

第4回動向把握早期化委員会

討議事項(案)

  • 統計公表の早期化のために取られるべき方法
  • 統計自体の変更
  • サンプル数を縮小した速報の公表、実数調査のデータがそろう前に何らかの推計を施したものによる速報等の公表の是非。
  • その他、統計自体の変更による早期化の方策。

〇集計手段の変更

  • 調査員調査から郵送、電話調査等に変更することの是非。どのような性格の統計なら、このようなことも可能か。
  • オンラインによる調査表の配布、回収、集計にかかる問題点。
  • その他、集計方法による早期化の方策。

〇早期化自体の是非等

  • 早期化による統計の精度悪化の許容範囲。
  • 公表日時の義務化、指針等の有効性

〇統計の早期化以外の方法で政府が景気を早期把握するために行うべきと考えられること

  • 景気の早期把握を行なうには、一次統計が出る前の段階で、その後の経済の動きを捉えていくことが必要なのか。それとも一次統計が出てきてからでも、迅速に判断を行ないかつ判断を間違わなければ十分といっていいのか。
  • 社会現象、厳密な意味での統計以外(ヒアリング調査、モニター調査、マインド調査の充実等)の積極的利用の可否。
  • その際、因果関係をどの程度厳密に求めるか。マインド調査等に厳密な因果関係を求める意味がどの程度あるのか。

〇統計の利用者側が景気統計の公表等について望むこと

  • 金融市場等を意識した統計にすべきとの考えについて。
  • その他の希望事項。

(別紙2)

新しい観点からの調査・統計に関する討議事項(案)

平成11年3月25日

経済企画庁

1.いくつかの新しい視点

(1)金融取引に関するもの

総合的な体系である資金循環表は、特定時点でのストックの保有額や、2時点間のネットの保有増減額を表示している。しかし、どういう主体が、いつごろ(どういう局面で)、どういう相手に、何と何とを取り引きしたか、という情報は引き出せない。このため「金融面で何が起きているか」については、市場情報などの断片的情報によって推察せざるを得ない。金融取引の増加や自由化(規制緩和)に伴って、こうした推察はますます困難になる一方、不規則な市場情報への需要が高まりこれが市場の混乱を招く可能性もある。

  1. こうした情報を把握することの意義は景気動向の把握にとってどの程度重要か?
  2. プライバシーを保護しつつ、こうした情報をシステマチックに把握することはどの程度可能か?
  3. 貨幣の流通速度についても、流通速度=取引量*物価/貨幣量という関係から算出しているが、右辺(特に取引量)の推計も容易ではないので、流通速度を直接に把握することはできないか?

(2)価格面に関するもの

  1. 商品やサービスの質の差を勘案した価格動向を把握すること
  2. 銘柄指定でなく、売れ筋商品の価格を把握すること
  3. 投入と産出の間のタイムラグを勘案して交易条件を把握することなどの重要性や現実性をどのように考えるか?

(3)その他

  • その他、景気動向早期把握の観点から必要性が高く、把握可能性も高いような情報の分野は何か?

2.報告者負担軽減・重複防止と機動性の確保について

既存の調査・統計の最大限の活用が必要で、むやみに調査・統計を新設すべきではないことはこれまでの本委員会の議論でも強調されてきており、総務庁統計局による慎重な審査が行われている。

(1)しかし、一方で、報告者負担の重さや統計の重複感についての指摘もなされている。

(2)他方、景気動向早期把握の観点からは、

  1. 景気状況の変化(例えば「貸し渋り」の増加)
  2. 新政策の実施(例えば税制改革、地域振興券の実施)
  3. 調査方式上の革新(例えば第1回の定点観測、第2回の「テレビを使った調査」第3回で提案があった「地域モニター調査」(仮称)、上述(今回)の各種調査など)
  4. 突発的事態の発生などにともなって新しい調査・統計や、一時的・緊急的な調査・統計の必要が生じることがある(平成11年度新設の調整費の使用目的の一つ)。

そこで、

  1. 重複や過度の膨張防止と、機動性の確保を両立させるためにはどうしたら良いか?
  2. ヒヤリング(時々の状況に応じた情報収集が可能)と「調査・統計」の境界線をどこで引くべきか?
  3. 試行や臨時的なものについてはどの程度弾力的に考えるべきか?
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