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第3回動向把握早期化委員会議事概要

1.日 時:

平成11年1月29日(金) 18:30~20:30

2.場 所:

経済企画庁特別会議室(401会議室)

3.出席者:

竹内啓座長、小邦宏二、宅森昭吉、早崎博、平野正宜、金子裕子(堀江正弘委員代理)、村山昇作、森住昌弘、美添泰人の各委員

水谷東海総合研究所代表取締役会長、佐藤同研究所取締役調査研究部長、内田同研究所調査研究部エコノミスト、荒川大和銀総合研究所取締役、濱田北海道大学経済学部教授

堺屋経済企画庁長官、

新保調査局長、池田調査局審議官、

大守内国調査第一課長、掛林内国調査第二課長、

土肥原国民経済計算部長、淺見景気統計調査課長、中藤物価調査課長、

広瀬国際経済第一課長、川上内国調査第一課調査官、

佐々木内国調査第二課主任研究官 他

4.主要議題:

地域経済動向把握の拡充強化

5.議事内容:

○会議冒頭時、最近の消費動向について、竹内座長からの発言の概要は、以下の通り。

  • いささか大胆な判断をすれば、現在の日本の家計消費の動向については次のようなことが言えると思う。(1)消費性向には余り変化がなく、消費財の価格の全般的低下によって、家計の実質消費は減少していない。あるいは増加しているのではないか。(2)住宅購入などの投資的支出については、減少していると思われるが、これは家計調査で説明するのは無理であろう。(3)小売業の売上高が減っているのは、価格低下や企業の交際費の削減等によるところが大きいのではないか。
  • 現在の景気判断は微妙な条件に依存している。GDPの成長率がプラス2%ならば、「景気は回復した」と宣言されるであろうし、マイナス1%ならば「かなり悪い」と判断されるであろう。しかし、全体の差で3%の幅というのは、多くの統計数次にとって誤差の範囲である。
  • 標本の大きさを増して、「力づく」で精度を上げることは無理であり、景気判断については、いろいろな形の部分的情報を上手く組み合わせ、適切な推理を働かすことによって行う以外方法はない。

○堺屋経済企画庁長官挨拶の概要は以下の通り。

  • 昨秋、各地域を訪問し、地方シンクタンクの方々に地域から見た全国の姿についての情報がほしいとお願いした。現在は、東京から見た全国の姿の情報しかなく、多面的な情報がほしい。ふるさと創生一億円のように、東京では不評な政策でも地方ではいい政策だと言われることがあり、できるだけ各地域からの情報がほしい。
  • 23年前に書いた著書の内容は、かなり当たったが、少子化だけは予想外だった。20歳人口のピークは1995年であり、それ以降、若者の消費が落ち込んでいるという。今後は住宅も親の家に住めばよく、余り建たなくなるだろう。これと同じことが既に西ドイツでは起きており、オイルショック以降地価が上昇していない。今後は、地域動向、人口動向、産業就業構造の変化を踏まえた、新しい社会の構築が必要である。
  • 就任依頼、経済の状況については、より早く、正しく、わかりやすく平易な言葉で伝えるよう、努力してきた。現下の景気情勢では、これらの両立は難しいが、今後もわかりやすく伝える努力をしていきたい。

(1)地域経済動向把握の状況について

○県民経済計算の現状について、事務局からの説明の概要は以下の通り。

  • 経済企画庁の国民経済計算に習って、現在全県において県民経済計算が作成されており、   市町村でも全数の約4分の3で市町村民所得の推計が行われている。各自治体が採用している方式は国民経済計算の体系をほぼ踏襲しており、年に何回かの会議で徹底している。
  • 県民経済計算の積み上げと、国民経済計算とで差異はあるが、GDPに関してはわずかである。しかし、内訳項目によってはかなり大きな差異が出ている(金融は10%超)。差異の要因としては国民経済計算がモノの流れを一貫した方法でとらえる方式であるのに対し、県民経済計算は各種統計を利用し、言葉は悪いがツギハギの方法で計算しているためである。
  • 県民経済計算の確報値の公表は、現実経済の2年後となっており、早期化が望まれている。東京都などは(当該年度の)1年後だが、遅い県では22か月も遅れて出すところがある。経済企画庁においても、速報値の推計システムを開発し、県に提示するなど、早期公表に向け、積極的に取り組んでいる。
  • 県間のバラツキについては、今後とも標準方式の普及・徹底による精度の向上に努めてまいりたい。

○地域経済動向把握の状況について、事務局からの説明の概要は以下の通り。

  • 地域経済動向の把握に当たっては、統計データの動向分析のみならず、各地域の主要な関係者からのヒアリングを実施している。
  • 地域経済に関する情報の留意点としては、地域別に比較可能なデータは限定的であることや、ヒアリングについてはヒアリング先のバイアスがあることもある。

(2)地方シンクタンクとの連携などについて

○日銀における地域の景況の把握について、村山委員(日銀調査統計局長)の説明の概要は以下の通り。

  • 地域の景況を集成して、日本経済全体の景況を探るというアプローチは取っていないが、マクロの日本経済を把握する上で重要な参考情報である。
  • 産業別にみると、立地にはかなりばらつきがあるため、産業別の調査を行っていくと、結果的に各地域の景況を調査することになる場合が多い。
  • 各地の支店では、各地域の景況を全国と比較しながら、地元にフィードバックしている。
  • 地域の景況を把握する手段は、全国短期経済観測調査、全国33支店によるヒアリング調査である。
  • 支店長会議(年4回)、LANシステムの活用などで、本支店間の連携を取っている。
  • 留意すべき点は、経済ウェイトを抜きに地域の景況を横並びで見ると全体をミスリードすることや、企業がグローバルな視点から事業活動をダイナミックに再編しているような時代において、我が国内の地域別に細分化された情報を個々に解釈することは、次第に困難になっていることなどがある。

○統計のとらえ方について、水谷東海総合研究所会長の意見の概要は以下の通り。

  • 統計は多少誤差があっても、早い方がよい。正確さを求めるとコストも時間もかかる。早く出して、暫定値を修正すればよい。粗いものを総合的にいかに見るかということも重要である。プラス、マイナス1%ぐらいの誤差はしょうがない。
  • 東海総研では、東海地域と関東地域で景況調査を年4回、20年間実施している。20年間やればそれなりのものができる。

○東海総研における景況調査の概要について、佐藤東海総合研究所取締役調査研究部長の説明の概要は以下の通り。

  • 調査内容については、東海地域
  • 関東地域の企業各5,000 社を対象に、四半期ごと年4回、郵送法によるアンケート調査を実施している。有効回答率は東海地域30%程度、関東地域13%程度となっている。日銀短観よりも早い段階で発表するので、先行指標として意義があると思っている。
  • 調査のポイントとしては、東海地域は自動車中心の産業構造であるが、昨今、自動車関連産業として、環境や情報分野も伸びてきており、従来とは違った観点で見ていかないと、判断を誤る危険性がある。
  • 調査項目は、業況判断や設備投資計画などの「景況調査」と「借入金動向調査」があり、後者は東海銀行の内部資料として使われている。「景況調査」の調査票にはフリーアンサーの項目を設定しており、生の意見が多数寄せられており、数字を読む段階で非常に重要となる。
  • アウトプットの活用方法としては、東海銀行の融資判断資料として活用される他、東海地域の官庁、自治体などに広く活用されている。

○地域の景況把握における意識調査の重要性について、荒川大和銀総合研究所取締役の説明の概要は以下の通り。

  • 「地域から見た日本あるいは世界」を適時適切に把握するためには信頼できるデータの完備が必要。しかし、あまり定量的な数字にかかわっていると時期的に遅れてしまう。予兆や胎動は事前に数字に現われてこない。統計指標の他に「傾向」(定性分析)を把握することも必要である。
  • ドイツのIFO研究所は、3ヶ月ごとに、同じ質問で同じ人に簡単なアンケートを行っている。経済企画庁でも、従来の統計・アンケート調査を整理の上、定期的にこの種の傾向把握のためのアンケート調査をしてはどうかと思う。
  • アンケート調査実施に当たってのポイントは、調査票がシンプルで要点を得ていること、および人選である。人選については、地域および及び産・官・学、性別、年齢層などを考慮して、バランスよく、どちらかというと属人的に選定する方がよい。こうしたアンケート調査により、変化の胎動を摘み上げ、政策に結びつけていくことが必要である。民間レベルでは回収率はかなり厳しく、経済企画庁で行う方が効果的である。

○北海道経済の現状と早期化システムについて、濱田北海道大学経済学部教授の説明の概要は以下の通り。

  • 景気動向早期把握を歓迎したい。
  • 北海道の状況把握は手遅れが目立った。特に拓銀の状況については3年以上見てみぬふりであり、拓銀の破綻後、経済状況がどうなるかは予測可能だったのではないか。
  • 拓銀の株の4分の1以上を道民が所有しており、つまり拓銀はPeople’sBankの色が強かったため、同行の破綻は道民の資産所得を大きく傷つける結果となった。その影響により、道民は大型財を買わなくなった。住宅着工戸数の動きが全国を下回っているのがそのいい例である。一方、大型小売販売額は全国とほぼパラレルの動きを示した。
  • 動向把握の早期化の方法は、やや非公式なものでよいと思う。それは、「より早く」ということを重視するからである。
  • 具体的には、全国をいくつかの地域に分けて、様々な業種から同じ地位、同種の人々から状況を通報してもらい、それらを瞬時に加工・ビジュアル化する方法が考えられる。イメージ的には、庶民レベルのネットワークを「地震計を埋める」ような形でつくるという感じ。
  • 状況把握の現状は、国が地方の通産局、財務局に聞く、つまり「役所が役所に聞く」というのが主であろう。それは重要な事であり否定はしないが、「民間の長官が民に聞く」ことも必要なことである。

○地方シンクタンクの状況と連携の可能性について、平野委員(総合研究開発機構理事)の説明の概要は、以下の通り。

  • NIRAの調査では、主要シンクタンク230機関の7割が研究者19人以下、45%を占める財団形態では基金平均も6億円強と小さく、低金利下で厳しい経営状況にある。
  • 所在地で見ると、首都圏に4割が集中しており、その外でも近畿、中部など大都市圏に多い。
  • 首都圏以外の地方のシンクタンクでは、研究者9人以下が6割を占めている。研究内容では8割が受託研究(多くは自治体等からの政策提言などの受託)となっており、景気動向に関する調査は非常に限られている。自主研究も資金面で困難なため非常に少ない。NIRAでは地方自治体からも基金拠出を受けていることから、地方シンクタンクの活動支援を積極的に行っているが、研究経費の一部助成などでは助成金額、件数に限りがある。
  • 以上の現状から、景気動向の早期把握や地方の視点からの問題提起、政策提言について、地方シンクタンクに期待をするのは、一部の有力機関を除いて極めて困難である。これは、地方の景気動向調査は、シンクタンクの経営上は採算に乗らないことに要因がある。
  • 地方銀行を母体とする地方シンクタンクの中には、景気動向調査をすでに行っているところもあり、これらの機関を増やしていくことについては可能性がある。その際には(1)経済企画庁の指導と、(2)調査結果が企画庁の分析に利用されることが不可欠。

○本日の議事事項について、事務局からの説明の概要は以下の通り。

  • 地域経済動向の把握の拡充強化については、情報ソースの多様化が必要であり、現在の枠組みをなんらかの形で補強するような仕組みを構築出来ないか。
  • 地方シンクタンクの活用を通じて地方での知的インフラの蓄積を図っていきたいが、これに向けた連携のあり方とはどのような方法が考えられるのか。

(3)自由討議

(地域経済動向の把握の拡充強化について)

  • 地域についての情報収集を行う場合は、組織単位だと担当者によって内容が変わるので、属人的に情報収集を行ったほうがよいと思われる。
  • 地方シンクタンクを活用して、地域の景況について定量情報ではない情報を集める際には、どんな情報がほしいのか等について最低限の基準はあったほうがいい。
  • 地方シンクタンクで情報収集を行う場合は、経済企画庁でマニュアルや調査方式などを作成して渡すことについては疑問がある。各地方シンクタンクがそれぞれの地域の特性に合わせて調査を行い、その結果を経済企画庁が属人的に聞くほうがいいのではないか。
  • 地方シンクタンクに地域差がある現状では、地方シンクタンクが中央官庁の調査の代替を行うのは無理であり、補完的役割を担えばいいのではないか。各機関が行えるのは、地域の特性を考慮した調査であろう。
  • 地方シンクタンクの業務は、委託調査がほとんどであり、調査を行ってもまず委託先に報告するので、情報の交流が遅くなる。調査は経済企画庁で直接行い、その手伝いを地方シンクタンクが行うという形が良い。
  • 経済圏が行政単位を越えたものになっているので、民間研究機関の調査については、行政単位にとらわれない調査を行ってほしい。たとえば、海外との結びつきの強い地域では、海外経済との相互関連という視点が重要。
  • いろいろな人からの声を聞いたほうがいい。以前、生活の質を計るために、新聞発表されたデータを集めたが、月ごとのいいデータはなかなかなかった。また、業界団体が持っているデータを公表するようにしていってほしい。
  • 既存の統計については、重複があり、報告者負担が生じている。スクラップアンドビルドや既存統計の見なおしを行ってほしい。
  • 情報収集については、LAN等を使い電子化を図るべきである。

(中長期的視点に立った方策の検討について)

  • 地方シンクタンクで独自のモデルを作るノウハウを確保するためには、地域の大学の研究機関と連携し、地域の知的インフラを構築する必要がある。
  • 経済企画庁に地方経済観測課のようなものをつくり、大学の先生などで適当な人を置き、適宜地域の経済について報告させるようにすればいいのではないか。

(その他)

  • 経済企画庁の地域経済動向については、変化の胎動ということをいち早く公式文書として出した資料として評価している。昨年10月に、沖縄については「明るさがみられる」としており、このことから、全国の景気が厳しくとも、地域ごとにブレイクダウンすれば、明るい要素もあることがわかる。できれば毎月公表してほしい。
  • 銀行系シンクタンクの数はかなりあるが、親元が危なく、調査の予算が切られる可能性が出てきた。統計調査は継続が大切であるから、継続できるような体制を経済企画庁として考えてほしい。
  • 短観は公共財だと思っている。したがって、要望があれば、できるだけそれに応える形にしたい。消費者の動向調査については、経済企画庁が4半期ごとにやっており、それを毎月行うなど拡充していってほしい。

(速報のため事後修正の可能性あり)

問い合わせ先

経済企画庁調査局

内国調査第一課 指標班

直通 03-3581-9527

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