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経済審議会企画部会(第15回)議事録

時:平成11年7月2日

所:経済企画庁特別会議室 (436号室)

経済企画庁


経済審議会企画部会(第15回)議事次第

日時 平成11年7月2日(金) 14:00~15:30

場所 経済企画庁特別会議室(436号室)

  1. 開会
  2. 「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」の答申案について
  3. 閉会

(配布資料)

資料1   企画部会委員名簿

資料2   「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」(案)


経済審議会企画部会委員名簿

部会長   小林 陽太郎   富士ゼロックス(株)代表取締役会長

部会長代理 香西  泰   (社)日本経済研究センター会長

委員    跡田 直澄   大阪大学大学院国際公共政策研究科教授

      荒木  襄   日本損害保険協会専務理事

      伊藤 進一郎   住友電気工業(株)代表取締役専務

      角道 謙一   農林中央金庫理事長

      小島  明   (株)日本経済新聞社論説主幹

      小長 啓一   アラビア石油(株)取締役社長

      佐々波 楊子   明海大学経済学部教授

      ポール・シェアード ベアリング投信(株)ストテラテジスト

      嶌  信彦   ジャーナリスト

      高橋  進   (財)建設経済研究所理事長

      長岡  實   東京証券取引所正会員協会顧問,日本たばこ産業(株)顧問

      中西 真彦   ベンカン(株)会長

      那須  翔   東京電力(株)相談役

      樋口 美雄   慶応義塾大学商学部教授

      星野 進保   総合研究開発機構理事長

      堀  紘一   ボストン・コンサルティング・グループ社長

      松井 孝典   東京大学大学院新領域創成科学研究科教授

      水口 弘一   (株)野村総合研究所顧問

      村田 良平   (株)三和銀行特別顧問、外務省顧問

      八代 尚宏   上智大学国際関係研究所教授

      吉井  毅   新日本製鐡(株)代表取締役副社長

      吉川  洋   東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授

      鷲尾 悦也   日本労働組合総連合会会長

特別委員  岩城 秀裕   (株)野村総合研究所経済構造研究室長

      大野 直志   日本開発銀行国際部副長

      大前 孝太郎   経済戦略会議事務局主幹

      金光 隆志   ボストン・コンサルティング・グループ プロジェクトマネジャー


出席者

( 部会)  小林陽太郎部会長、小長啓一、ポール・シェアード、嶌信彦、高橋進、長岡實、那須翔、松井孝典、水口弘一、村田良平の各委員、岩城秀裕、大野直志、大前孝太郎の各特別委員

( 事務局)  堺屋大臣、今井政務次官、塩谷事務次官、林官房長、中名生総合計画局長、高橋審議官、牛嶋審議官、梅村企画課長、大西計画課長、荒井計画官、西脇電源開発官、岩瀬計画企画官、福島経済構造調整推進室長、林部計画官、青木計画官、税所計画官、佐々木計画官、佐久間計画官、涌野計画企画官 他


〔 部会長 〕 それでは、時間になりましたので、第15回の企画部会を開催させていただきます。

本日は、委員の皆様にはお忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございます。

早速ですが、本日の議題に入らせていただきます。本日は、「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」答申案について、ご審議いただきたいと思います。

それでは、「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」の答申案について、事務局より説明をお願いいたします。

〔 事務局 〕 お手元の資料2の「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針(案)」、目次を付けてございますが、全部で本体が54ページ、それに(参考)として13ページのものが付いてございます。

これまでの経緯を改めて申し上げますと、1月の総理の諮問から、5つの部会と基本理念委員会、そして計量委員会も含めまして、1月18日の総会を入れまして全部で52回開催をしております。それから、4月に「考えるにあたって」という中間報告をしまして、5月から6月にかけて全国9カ所で公開シンポジウムを開催し、参加人員が約2,000人ということで、審議を進めてまいりました。

本日の政策方針案でございますが、前回ご覧いただいたところとの大きな違いを中心に簡単にご覧いただくということでお願いしたいと思います。

まず、目次をご覧いただきますと、最初に「序章 知恵の時代へ」がございます。1枚めくっていただきまして、第1部が「『経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針』策定の意義」。第2部が「経済社会のあるべき姿」。次のページの下の方ですが、第3部が「経済新生の政策方針」ということで、それぞれ「多様な知恵の社会」「少子・高齢化」「環境との調和」「世界との関係」「政府の役割」というような大きな切り口になっております。

本体の1ページをご覧いただきますと、「序章 知恵の時代へ」とございまして、第1節として「最適工業社会の達成と新時代への転換」という表題を付けております。ここは前回ご覧いただいた序章相当部分を文章として書き込んでいるものでございます。

3ページから、第2節「『あるべき姿』の条件(未来への対応性)」ということで、知恵の社会とか少子高齢化への対応を中心に「未来変化への対応性」というくだりを書いております。

4ページからは、第3節「『あるべき姿』の目標:最大自由と最少不満」ということで、1.で、「個」を基盤とした自由ということの強調と、4ページの一番下のパラグラフですが、自由を追求できるためには、相互の了解としての「公」の概念が重要であるということで、「公」の概念というものが不可欠であるということを強調しております。

5ページでは、2.「人権と尊厳が守られる経済社会」は、最大自由と最少不満というところの「国民全体の不満が最少になる均衡点」ということを書いているパラグラフでございます。

3.「成長を維持する経済」、すなわち総体としての経済の規模の縮小ということは様々な問題が起こるということで、「総体としての国民経済も成長を維持すべきである」ということが強調されています。

6ページの第4節「『あるべき姿』の概念(コンセプト)〔多様性と創造的変革〕」は、〔多様性と創造的変革〕ということで変革を強くうたっていますのと、2.にありますような「複属社会」、3.にありますような、「官」の役割がこれから純化していくということで、これまでとこれからの社会で書き分けて強調しているのが7ページでございます。

8ページ、5.「多様な補充源のある経済社会」ですが、総体としての経済成長を保つために機能と要素の補充が欠かせない。外国からの機能などの補充も必要となるということで、人間も含めて多様な補充源ということが、9ページにかけて書かれています。

9ページの第5節は、これまでの正義として考えられていた効率、平等、安全に加えて、自由というものも正義に加えるべきだということで、効率、平等、安全も引き続き重要ですので、「新しい効率」と書いていますのもそういう意味ですが、そういった重要な正義とともに「自由」というものを強調すべきであるということが書かれていまして、11ページまで、その点が強調されています。これが価値観ということでございます。

12ページから、第1部「『経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針』策定の意義」、ここは前回ご覧いただいたところと大きくは変わっておりませんので、とばさせていただきます。

15ページに、第2節「政策方針の実行」がございます。ここを少しご説明いたしますと、「『あるべき姿』を実現していくためには、特に、本政策方針の中で大きな方向性を提示するにとどまっているものについては」、「その結果を分かり易いプログラムとして示す」ことを、ここで求めております。その後に、フォロー・アップについて書かれていまして、これも含めて「実施状況と具体化の検討状況を点検」していこうということで整理しているのをご覧いただきたいと思います。

16ページから、第2部「経済社会のあるべき姿」でございます。ここの構成も、基本的に以前からご覧いただいていますのと変わっておりませんので、とばさせていただきますが、1点。18ページ、第3節「性別にとらわれない社会」となっております。以前は、年齢・性別にとらわれないということで、年齢と性別を一緒くたにしておりましたが、考えてみますと、少子化・高齢化ということと性別にとらわれないということは分けて考えるべきものですので、これは「多様な」と入れてございます。それで18ページ~19ページを整理しております。

ご覧いただきたいのですが、20ページの第7節「人材の育成」は、人材の育成ということを総論として強調している部分ですが、下から3行目から「社会人の学習機会は大幅に拡充されるとともに、職業能力開発や職業能力評価の充実を通じて、技術や技能と知恵の融合を図り、知恵の時代を担う人材」をと、ここで少し書き込んで強調させていただいております。

第2章は「少子・高齢社会、人口減少社会へ備え」でございます。このあたりも大きくは変わっていないと思います。先ほどの序章にあったものの繰り返しになりますが、第1節「経済成長の重要性」で(成長を続ける日本)という副題を付けて重要性を説いております。第2節「長期的な人口の動向」、極めて長期的なものでありますが、人口の動向ということを重く受け止めるべきだということが書かれています。第3節「年齢にとらわれない社会」ということで、このあたりは以前ご覧いただいたものと同じですので、とばさせていただきます。

24ページから、第4章「世界における位置づけ」でございます。第1節「世界の主要プレーヤーであり続ける日本」、ここでは「主要プレーヤー」という言葉を前回から使わせていただいていまして、これを維持させていただきたいと思っております。

25ページの第2節「日本発の未来文化」、ここは日本が「敬愛される国」となるため、ルール作りに加えて知恵の発信もしなければいけないということを言っているのですが、下の方で、ゲームソフトやアニメというのを少し書いておりましたけれども、さらに、こうした環境の中から、ロボットやコンピュータ頭脳等の先進的な技術、情報知識など、世界を先導する未来文化が数多く世界に発信され」ていくということで、この辺を少し書き込ませていただいております。

26ページ、第5章「政府の役割と新しい『公』の概念」は、特に大きく変わっておりません。序章でも書かれていますように、政府の役割を「市場ルールの整備」以下に純化するということを強調しているくだりでございます。

27ページ、第3部「経済新生の政策方針」でございます。繰り返すまでもなく、ここに書かれていますものは、重要な政策方針を中心に示すということでございます。

ア)で、以前は「物流、情報通信の分野について」ということで「包括的な改革」と言っておりましたところを、「物流、情報通信の分野について」「効率的で魅力的な事業環境を整備するための包括的な改革方策について早急に検討を行い」ということで整理をさせていただいております。

28ページ、2.「魅力ある事業環境の整備」、このあたりは前回、少し整理したいと申し上げていまして、整理をし直したものが付いてございます。

29ページ、第2節「多様な人材の育成と科学技術の振興」では、1.「教育の充実」で、学校選択機会の拡大という問題がございまして、29ページ下の2行ですが、ア) 「学校の設置や通学区域制度の弾力的運用の促進など、学校選択機会の拡大に向けた総合的な施策について、検討し、推進する」ということで整理させていただいております。それから30ページでは、教育の関係につきまして、特に、実用的外国語教育と情報教育を充実すべきだというのが、2.のすぐ上にございます。特に英語教育が重要であるということで、「なかんずく国際語となりつつある英語教育や」と入れております。

それから、外国人労働力の受入れにつきましてはたくさんご議論いただきまして、2.「外国人労働力の受入れによる多様性と活力の確保」の上から6行目、「このため、次の点を基本方向として、専門的・技術的分野の外国人労働力受入れを積極的に進めるための具体的方策等を検討し、推進する。」という整理をしております。

31ページ、3.「科学技術の振興」で、少しワーディングを直したりもしていますが、1点ご覧いただきたいのは、32ページの「ものづくり」の方でございます。32ページの1行目から書いてございますように、「その重要性を改めて認識すべきである。これまで蓄積されてきた技術、ノウハウを継承・発展させていくために、ものづくり基盤技術振興基本計画を策定し、ものづくり基盤技術に関する施策を総合的かつ計画的に推進する。」という整理をさせていただいています。

第3節「多様な知恵の社会における地域経済と社会資本」、このあたりは前回ご覧いただいたのと特に大きくは変わっていないと思います。

中山間地域が33ページにございます。3.「中山間地域・離島等の活性化」は、中山間地域等ということで書き込ませていただいている部分がございますが、基本的にこのような整理をさせていただいています。

社会資本の方は、4.「多様な知恵の社会を支える社会資本整備」で、これも前回からご覧いただいているものを整理をさせていただいたということであります。

その後に首都機能移転が付いてございまして、34ページ、第4節「首都機能移転の検討」ですが、以前ご覧いただいたものでは「対面慣習」という言葉を使ってご説明を申し上げていたのですが、少し長いこともありまして、下から4行目あたりに少しコンパクトに整理をさせていただいています。

35ページ、第2章「少子・高齢社会、人口減少社会への備え」ということで、1.「公的年金」、2.「高齢者医療と介護」という点に絞りまして、このあたりもコンパクトに整理をさせていただいています。

36ページ、第2節「年齢にとらわれない経済社会」、これも大きなテーマでございますが、ここのところは高齢者の雇用の促進という観点から、全体として定年制の見直し、あるいは年齢差別禁止という考え方について検討していくということで、第3節のすぐ上ですが、「その検討をも踏まえ、高齢者雇用対策を推進する。」という整理をしております。

37ページ、第4節「少子・高齢社会における街づくり」、1.「歩いて暮らせる街づくり」、2.「少子・高齢社会にふさわしい社会資本」、この辺もワーディングなどを整理させていただいております。

38ページ、第5節「少子化への対応」ということで、ここは表題を「少子化への対応」と改めさせていただき、この対策につきましてもア) ~エ) に整理させていただき、ア) のすぐ上に「少子化に対応するための基本的な方針を策定する。」とございますように、ここでも方針策定を求めております。

第3章「環境との調和」は、39ページから1.「リサイクルのための行動基盤の形成」ということで、前回見ていただいたものをワーディングなど整理しております。前回は、ア) で、リサイクルするという基本原則を法律に明定と書いてあったと思いますが、「基本原則を徹底し、法制度等の整備、充実を図る」ということで、ワーディングを整理していることなどがリサイクルのところでございます。

リサイクルにつきましては、40ページのエ)のすぐ下ですが、「循環型経済社会の実現のため」、「プログラムを具体化し推進する。」という表現を使わせていただいております。

第2節「地球温暖化問題をはじめとする地球環境問題への対応」、地球温暖化の方につきましては、1.「国際的枠組み作り~」以下に検討事項を見やすく整理させていただいていまして、前回ご覧いただいたものを整理したということでございます。

先を急ぎまして、42ページ、第4章「世界秩序への取り組み」のところは、特に細かくご説明すべき事柄はないと思いますが、第1節「世界経済のルール作りへの取り組み」で1.「WTO交渉における働きかけ」、2.「国際金融資本市場におけるルール作り」、第2節「アジア地域の中での役割」など、44ページ~45ページとグローバリゼーション部会の報告をコンパクトにまとめて整理をしておりますが、1点申し上げたいのは、45ページの第3節「世界への情報発信」の上から3行目、「以下の施策の必要性などの検討を踏まえた上で、包括的なプログラムの策定などに取り組む」と、ここで「包括的プログラム」ということで作ろうという問いかけをしております。

46ページ、第5章「政府の役割」ということで、第1節「行政の簡素化と財政再建」の1.「行政の簡素化と事業効率の向上」が47ページに書いてございますが、47ページでPFIについて言及をしているくだりが、エ) にございますように、少しこの辺を補強させていただき、丁寧に書かせていただいています。

2.「生産性向上のための組織編成、人事管理」につきましては、「以下のような国家公務員制度改革を積極的に推進する」ということで、47ページ~48ページにかけまして、特に48ページのア) ~ウ) で少し具体的に書き込んでみました。

3.「財政の健全性確保」、4.「財政再建方策」は、特に大きく変わっていないと思いますが、49ページの5.「行政の透明性確保」のすぐ上のところで、財政再建の具体的プログラム作りということがご覧いただけるかと思います。

地方の自立が、50ページの第2節「地方の自立」にございまして、1.「地方分権の推進と地方の自己決定能力の向上」の地方分権の推進と、51ページの2.「行政の広域化の推進」という2つに分かれておりますが、「行政の広域化の推進」の方は市町村の合併あるいは広域連合の話があり、都道府県の持つべき機能とその機能にふさわしい規模という話を検討し、道州制の意義について検討を行うということで、全体として「行政の広域化を推進する」という整理をさせていただいています。

51ページから、第6章「回復軌道へ向けての政策課題と新しい成長の姿」で足元からの話が整理されていまして、少し編集などを工夫はしておりますが、ここも前回ご覧いただいたものと特に大きく変わっていないと思います。1.「日本経済の現局面」、2.「回復軌道に向けての政策課題」に政策課題とリスクが一緒に書かれていますが、基本的には変わっていないということでございます。

以上でございます。

その後に(参考)が付いております。あわせてご覧いただきたいと思います。

(参考)の2ページに「2010年の経済社会」ということで、経済社会の展望がございます。ここに、前回は口頭で申し上げましたが、数字を入れさせていただいております。ご覧いただければと思います。上から3行目、「『成長会計』で表現すれば、1%程度の資本の寄与、若干のマイナスの労働の寄与、1%強の技術進歩の寄与の合計で、年2%程度の成長率になるもの」と見込んでおります。それから、名目の方は「年3%台半ばと見込まれる」とございます。次に、物価でございますが、下から2行目、「年2%程度の消費者物価上昇率になると見込まれる」とございます。失業率は、1ページめくっていただきまして、上から3行目、「3%台後半~4%台前半と見込まれる」ということで、このような数字を入れさせていただいています。

なお、第2章は「国民生活の姿」ということで、定性的、それからできるだけ定量的にということで書き込ませていただいたものを若干の整理をさせていただいていますが、ここは説明を省略させていただきます。

以上で説明を終わります。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。

それでは、今ご説明をしました資料について、ご意見、ご質問がございましたらお願いいたします。

〔 A委員 〕 内容は全く、それから(参考)もよくまとめられているし、わかりやすくなったと思うのですけれども、この前もちょっと申し上げましたが、2ページの第1節「経済成長率」、ここは「『成長会計』で表現すれば」ということで非常に明確になってきたと思うのですが、ただ、「2010年頃まで」というのは、スタートはいつから、いつまでを取るとこのぐらいかという、その辺はどういうことでしょうか。

〔 事務局 〕 これは以前もご説明申し上げたと思いますが、回復軌道に向けてのいわば発射台を飛んで巡航速度になったときからの、2010年ぐらいまでの平均的な数字という意味でございまして、回復軌道に乗る時点がいつかということは、必ずしも明確にとらえ難いだろうということで、一定のイメージはございますけれども、具体的には示さないという手法をとっております。

ただ、その意味では、回復軌道に乗った後のかなり長い期間、それは8年とか、もっと長いのかもしれませんが、そういう期間を考えて平均を取っているということでございます。

〔 部会長 〕 「中期的」というと、4、5年という感じですか。

まず、10年までの中期的というと、2001年か2002年でしょうか。感じから言うと今までの「中期」という言葉の使い方では4、5年という感じですか。もっと長いのですか。

〔 事務局 〕 経済が回復軌道に乗って、恐らく、2000年に入ってしばらくすれば回復軌道に乗ると思われますので、もう少し、7、8年とか、そのくらい長期のイメージで考えております。

〔 部会長 〕 中期というのは、今までそんなので使っていたのですか、長い期間。

〔 事務局 〕 中期という言葉づかいは、もう少し幅をもって考えて。

〔 B委員 〕 ちょっと長い間欠席をしておりまして、誠に申しわけございません。

ただいまのご説明を聞いておりまして、全体として大変平易で読みやすくて、論旨も明快でございますし、いくつかのキーワードも散りばめられているという、例えば、「多様な知恵の時代」、「知恵の社会」、「最大自由と最少不満」、「新しい『公』の概念」、「複属社会」、「日本発の未来文化」、「小さな大都市」等々かなり魅力的なキーワードが散りばめられている感じで、立派な答申ができ上がったのではないかと評価をさせていただきたいと思います。

そういうことを前提とした上で1、2の問題を指摘させていただきたいと思うわけでございますが、その第1点は、市場原理をより導入して、消費者の自由な選択を可能とするとともに効率化を図るという大原則には全く賛成でございますが、市場原理には効用と限界があるということでございまして、これは恐らく相当議論されたのではないかと思うわけですけれども、アメリカのように貧富の差が拡大して社会が不安定になっていくというようなことは、理想的なモデルではないわけでございます。特に、我が国の場合、社会の安定的な役割を果たしてきましたいわゆる中産階級というのが、市場原理の効用を続けていく中で没落をしたり、あるいはその役割が小さくなっていくということは好ましい方向ではないと考えるわけでございまして、そういう意味では、難しい問題ではございますけれども、効率性と公平性のバランスをどう取っていくのか。市場原理の効用と限界について、さらに議論を深めていっていただくことができればということでございます。

第2点は、さっきのご説明で、少し修文をされたと聞いたわけでございますけれども、いわゆる英語教育の充実ということについて、もう少し力点を置いて考える必要はないのか。つまり、初等中等教育の段階から実用的な外国語教育、なかんずく国際語となりつつある英語教育の充実を図るという表現が入ってはいるのですけれども、いわゆる大学の入学試験に、従来の試験のやり方に加えてリスニングの方式を導入するとか、あるいは高校生等に夏休みを利用した外国におけるホームスティを制度的に積極的に奨励をするというようなことを通じまして、もっと本格的に英語教育に取り組んでいく必要があるのではないか。そうしなければ、まさにインターネット等の情報文明に乗り遅れてしまうのではないかという懸念を持つわけでございます。問題意識は、もうお互いに共有できているのだろうと思いますけれども、そういう方向への格段の施策をぜひお願いしたい。

この2点を強調させていただきたいと思います。

〔 C委員 〕 今、B委員がご指摘になりましたので、それの繰り返しのようになりますけれども、30ページの英語の問題であります。私も、個人的な認識としては、国際語となりつつあるということではなくて、既になっているという認識です。あえてこれを書き直していただきたいと主張しているわけではないですが、我々の頭として、そういうふうに考えるべきであるということ。

それから、「初等中等教育」と1つに括ってあるのですけれども、私は、日本の将来を考えますと、初等教育から英語を学ばなければいけないという認識であるということを、付け加えさせていただきます。

〔 部会長 〕 今の英語のことは、ここに書いてあるのは別にして、この前の教育課程審議会で提言を受けて、英語は初等教育からということは基本的に決まっているわけですね。具体的な実施は、少しばらばらかもしれないけれども。

D委員、いかがですか。

〔 D委員 〕 僕は、ジャーナリズムの立場なので、そういう面から言うと、経済審議会としては新聞とかテレビにどういう見出しを一番最初に求められているのかということを聞きたいです。

下手をすると、今までの議論であったような、2010年の成長率は2%とか、失業率は何%とか、そういうものが中心の見出しに来るようだとすると、恐らく、ここで議論したことの意味が、僕は半減してしまうのではないかという気がするのです。一体何をこの中心の見出しになるのか。例えば、一面のトップとか何かに出るとすると、2本か3本の見出しが付く訳ですけれども、何をその見出しの中心にとってもらいたいと考えているのか。それは、これからレクチャーしたりプレゼンテーションするときにも、非常に大きなポイントになると思いますの、その辺をどう考えているかということが1点です。

それから、15ページには、今後のやり方についてプロセスを示していくということが書いてありますけれども、「政府内で早急に具体化の検討に着手し、その結果を分かり易いプログラムとして」と。「プログラム」という言い方でいいのかもしれないですけれども、要するに、今の日本の政治に求められているのは、いろいろな問題はわかっている、その問題を一体どういう手順で、いつまでにやるのか。その手順や何かがはっきりしなくて、いつもスローガン倒れに終わってしまうというところが問題だろうと思うのです。どういう規制だとか、どういう利害団体とか、何が邪魔をしていて、それをどういう手順で壊していき、それをいつまでにやるのかということをはっきりしないと、「チェック機構があるから」とか「点検機構があるから」というだけでは、一般の国民にはリアリティを持たないのではないのかという感じがする。それが2点目です。

序章の第5節「経済選択の基準としての価値観」、これでいいと思うのですけれども、僕は、もう一つ今大きく求められているのは情報の公開というのですか、不良債権の問題にしても何にしても。これは「経済選択基準の価値観」というところに入れるのがいいのかどうかわからないけれども、やはり、情報の公開というようなことが、これからの経済を正常に運営していく、あるいは企業経営というものを正常に運営していく上では、かなり重要な価値として考えるべき基準かなという感じがします。いろいろなところに、情報を公開すべきだということは書いてあるのかもしれませんけれども、それを1つの大きな軸として持っていくということも、僕は大事かなと思いました。

あと一点、感想で言うと、今日、ショッキングな数字で新聞に自殺が3万人と出ていたわけです。交通事故で死ぬ人が1万人ぐらい。さらに、警察関係者の人だったか誰だったかは忘れましたが、聞くと、自殺した人は3万人だけれども、ためらい傷の(つまり自殺ができなかった)人を入れると、それの3倍になる、10万人だというわけです。そして、自殺を考えたことがあるという人も入れると、さらに10倍になって100万人だ。これは大変な数だという感じがするわけです。それは、「生活苦」というふうに書いてあるけれども、僕は、いわゆる生活苦というよりも、何か精神的な苦労だとか、ストレスだとか、将来に対する不安だとか、物理的な生活苦というよりもそういうことが多いのではないかと。そういう意味で言うと、そういうものに対して展望を与えるというか、夢を与えるというか、そういうこともプレゼンテーションをするときには強調していただきたいという感じがいたしました。

〔 E委員 〕 先ほど、B委員がおっしゃられた、公平と効率のバランスですけれども、それについては序章の9ページのところに、新しい価値観といいますか、「効率、平等、安全、自由」ということで書き込んであると私は受け止めております。

ただし、B委員は、公平という言葉を使われたのですが、公平と平等と公正という3つの言葉がかなり混乱して使われているのが日本で、そのために、ここを「結果の平等」と「機会の平等」と分けて定義している。ですから、ここのところが非常に大事ではないかと思っております。中の方、序章以降は「公正」という言葉をわりと使っておりまして、前半のところは平等とかいう言葉が使われているのですが、この点、書き手によって言葉のパーセプションが違いますので、まざっていると思いますけれども、その辺をはっきりと分けたという点は評価できるのではないかと思います。

〔 部会長 〕 今お話のあった、「新しい効率」の新しいところはどこかというと、9ページの一番下の「社会全体の効率」という意味で、むしろバランスがとれているということになる。「最大の自由と最少の不満」も、今までは特定の分子の不満をいっていましたけれども、いろいろな分野の不満を考えているから、そういう中で今のようなバランスがとれている、そういう考え方なのでしょうね。

F委員、いかがですか。

〔 F委員 〕 僕は、今ばっと見て、全文をちゃんと読んでいないので、特別に個別のところについて意見はないですが、科学技術振興のところだけを今中心に見ていたものですから、それでいくと最後に1行、要するに、現在我々が到達している科学技術的ないろいろな問題を一般の国民にどう還元していくか、そういうところが重要であるというのが書いてある。実は、これはすごく重要なことです、教育というものとはまた別な意味で。教育というのは初等中等教育的な意味ではなくて、時々刻々と変化していくいろいろな情報を社会に出てからもどう共有していくかというので、非常にこれから重要な問題になるところです。特に、科学とか技術という分野は、10年というスケールで見たら大きく変化するところです。この辺のことが、一応入っていることは入っているのだけれども、どこまで認識されているかということを、ちょっと今考えました。

〔 部会長 〕 G委員、どうぞ。

〔 G委員 〕 私のコメントは、「回復軌道に向けての政策課題」というとこに関するものですが、この審議会は、長期的な話、これから10年間どういうような経済社会になっていくのか、あるいはすべきなのかということを中心に議論してきたのですが、短期的なあるいはやや中期的な問題としては、どういうふうに危機的な経済状況から脱出できるのかという問題があります。その問題は、日頃からいろいろなところで議論されているところで、この10年間のスパンで物事を考えた場合に、そういう問題を中心にあまり議論するとかえって逆効果でしょうけれども、やはり、ここからどうやって経済回復軌道に乗れるようなところまで行けるのかという問題も1つの問題としてあります。

この報告書を読んで感じたことは、あと1、2年間が私は勝負だと思いますけれども、経済戦略会議の報告書では非常に明確に、とにかくバブルの後始末をここ1、2年間でやりましょうよという強い意思表示があったので、これが正しい方向だと思いますが、この報告書ではその辺の意気込みみたいなものがもう一つ感じられない次第でございます。

ちょっと心配なのは、バブルの後始末、これを完全に清算しきれないと、次のステップまで、つまりこの報告書で書かれているような将来におけるいいこと、それがなかなか実現できないという危険性があって、非常に痛みが伴うプロセスですけれども、思い切ってそういうバブルの清算をやってから将来に向かう。

そのときには、報告書の中にも触れられていますけれども、なるべく、その過程を将来の新しい経済システムの実現につなげていくような形でやるのが重要です。それも書かれていますが、もう少し分けて、とにかく短中期的な最後のバブルの清算の過程、これを終わらせることと、それから始まる新しい時代、これをもう少し分けて考えた方がいいという気がいたします。

その1つ、例えば、この中では政府の役割が議論されていますが、いわゆる過渡期における政府の行動と、将来我々が望んでいる、あるいは想定している政府の行動と違うはずで、区別しなかったから、その辺のことも曖昧になってくるのではないかという気がします。

以上、従来から強調している点ですけれども、そういうことを中心に感じました。

〔 部会長 〕 G委員のおっしゃっていることは、具体的には、51ページ~53ページに書いてあるところでは、経済戦略会議での具体的な施策は別にして、バブルについてきちんと後始末をするということが書かれていないのではないか、そういうことをおっしゃっているわけですか。当面の問題というのは、ここに尽きるわけですから。

〔 G委員 〕 そうですね。

ですから、1つ具体的な話をすると、金融システム問題です。報告書の中では、この問題に関してはかなり柔らかく、一応安定化計画ができた、再生政策ができたので、もう問題が一段落したという認識だと思うのですが、市場に身を置いている者として感じているのは、市場との認識のギャップがそこで大きいということです。

〔 部会長 〕 「市場参加者の自己責任原則が追求されなければならない」というのでは、なまやさしいと。

〔 G委員 〕 そうですね。

例えば、金融安定5カ年計画がまだ生きてるわけです、あと1年9カ月。ですから、非常に具体的に言いますと、政府が金融システムの負債に100%の保護を与えている期間中における市場参加者の責任の取り方と、ペイオフ実施の新時代の市場参加者の責任の取り方と大分違ってきますね。ですから、ビッグバン実施前と実施してから、こういうふうに分けて考えた方がいいかなという気がいたします。恐らく、その辺の市場参加者のメンタリティも、そこでずいぶん変わってくるのではないかと。

〔 部会長 〕 この文章、閣議決定了解になるには、この3行プラス1字の「整備された法律等の適切な運用」と、「金融は市場機能による効率的な資金配分がなされる」と、「市場参加者の自己責任原則の追求」と、これだけで、G委員が言いたいことは全部実際には書いてあるということだと思います。

ですから、民間流に書くと、そういうことを全部ずっと書いていくことになると思うのだけれども、たぶん、この中に万感を込めて書いてある。

〔 G委員 〕 それから、細かいことで、書き直してほしいとかは言わないですけれども、全くこの議論に参加していない人たちが、経済戦略会議のときの報告書を読んで、次にこれを読むと、そのつなぎは何なのかと。本当にあと2年で全部後始末がやれるのかどうかということが、ちょっと不明になってくる可能性があることを感じました。

〔 H委員 〕 先ほどD委員が言われた、新しくこれが出たときのキャッチフレーズというのは一体どんなものかという点ですけれども、これをずっと読ませていただくと、最初の「序章 知恵の時代へ」というのが、私はキャッチフレーズになると思うのです。

それで、大臣がおいでの前で恐縮なのですが、私、「知恵」という言葉が与える一般的な印象というのは、必ずしも非常にいいものばかりではないという気がしてしょうがない。だけど、それを言い出すとどうにもならないので、「序章 知恵の時代へ」の第2パラグラフをアンダーラインしたらどうでしょうか。

「目下、進行中の世界文明の変化は、通常の『進歩』や『高度化』ではなく、新たな歴史的発展段階を創るものであろう。つまり、近代工業社会を超越して、新しい多様な知恵の社会に至る転換である。」、知恵というものを考えたときに、これが出発点なのだというか、起点なのだということをわかってもらうのが大事ではないかという印象を持ちました。

〔 部会長 〕 D委員、ジャナーリストとしてどうですか。

〔 D委員 〕 知恵という言葉ではないですけれども、似たような意味では、僕はいつも、これからは構想力と志だということをずっと言い続けている。僕は、そういう意味で、この「知恵」という言葉をずっと見ていました。僕流に言うと、構想力、それを生かす志、そういうことがこれから大事になってくるかと思います。

〔 部会長 〕 知恵というと、どちらかというと、今の構想とか志を実現する手段の方に強く聞こえるということですか。

〔 D委員 〕 僕は、H委員のおっしゃったような、知恵という言葉についてそう深く考えてなかったから、知恵という言葉がいいか悪いかというふうには僕はあまり考えてなかったのですが、自分はいつも、そういう置き替えでものを考えていたと、そういう意味です。

〔 部会長 〕 I委員、ご意見いかがですか。

〔 I委員 〕 いろいろ意見を言わせていただいて、大体取り入れられて、また、全体が非常によくまとめられたと思います。そういう意味で評価したいと思います。

感想といいますか、今まであったのかどうか知りませんが、よく読んでなかったかもしれませんが、「『個』を基盤とした自由と『公』の概念」は非常に大事なところで、こういう項目立てをされたのは非常にいいことではないか。

私も、ほかの場面で言いましたけれども、街づくりなり、社会資本整備でも、個々人の自由はもちろん大事なのだけれども、全体の立場からのものの考え方が大事なので、そこは大事かなと思います。

それから、最初に2人の方がおっしゃった英語教育の点、これは全く同感でございます。

〔 部会長 〕 J委員、最後になりましたが、どうぞ。

〔 J委員 〕 一言だけ。今のI委員のご意見に賛成であります。

ずっと読んできまして、ちょっとひっかかったのは、新しく入れられました31ページからの3.「科学技術の振興」の32ページで「一方」と言って「ものづくり」とあるのが、何か難しい。

「ものづくり」というのは、もっと大事な意味で使っていいのではないかと思う。ここで言うのなら、技術と技能という言葉が昔からあります、「腕一本」「腕でこい」というやつ、「頭でこい」に対して。それを「ものづくり」と言っているのなら、それはそれでいいのだけれども。

「ものづくり」というのはもっと大事なのと、それから、逆に今度は、誤解を生むのではないかというのは、製造業とすぐにポンと頭へ来る人が読んだときに何と感ずるかというのと、その読み分けをもう少し区別をしてお書きになった方がいいのではないか。頭で考えるのなら、「頭でこい」に対して「腕にこい」というのを大事にしろよ、というのなら賛成です。しかし、ここを「製造業中心社会にすることも大事だよ」と言ったわけでは全くないので。

「知恵の時代」という言葉がいいか悪いかは別にして、私はそう気にならなかったのだけれども、H委員に言われてみると、そうかなという気もしたけれども。そうではなくて、これからの時代は、情報のネットワークの時代が来るのだ、そういったもので行くということも、ものづくりの中には、ものの中には、社会的な価値づくりだというような意味合いを含めて、単に製造業というのではないのだ、新しい価値をつくっていくことだというようなニュアンスが、ここに入れないで、どこかで入れた方が生きてくるのかなという気もするのだけれども、妙案が出てこないのです。

ちょっと、そんなところが気になっています。

〔 部会長 〕 今、J委員のおっしゃったことを、「技術士制度を、技術の変化に柔軟に対応し、より広範な」と言っているのですが、今の技術士の技術というのは、どちらかというとものづくりに近い技術の範囲なのでしょうね。ですから、それを拡げていけば、今、J委員のおっしゃったように、ものづくりというのはマニュファクチャリングだけではありませんよというところへ、もうちょっと具体的なものとしてこれは受け取られますね。これが本当に広がっていけば。

これは、そういうことで書いたのでしょうね。

〔 J委員 〕 せっかく大事なことを書いたから、何か書く場所があってもよかったかなということです。

ただし、全体としては、わかりやすい言葉でものすごくよくなったと思います。

〔 部会長 〕 今のところは、説明などで補うとか、そういうことをいたしましょう。

追加コメントがございましたら、どうぞ。

〔 F委員 〕 今、H委員からの「目下」云々のところで、僕もよくよく読んでみて、この文章はよくわからないなと思ったのは、「通常の『進歩』や『高度化』ではなく、新たな歴史的発展段階を創る」と書いてあるのだけれども、「通常の『進歩』や『高度化』ではなく、新たな歴史的発展」ということと、この後の方で最後に出てくるやつは、それでもなおかつ今までと同じように経済成長していかないとその仕組みが維持できないと言っていることとは、何となく矛盾するように思うのです。「通常の『進歩』や『高度化』」の延長上で考えていくということのように思うのです、この実際の施策とかを書いてあることは。

「知恵の時代へ」のパラグラフというは、よくよく読むと、本当にそんなふうに考えちゃっていいのかなと、今ふっとH委員の発言を聞きながら感じました。

〔 H委員 〕 私は、そこは素直に読んで、今、ことに日本経済がそうなのかもしれませんけれども、全体に経済の一種の体質変化というかそういうものが起きつつある。したがって、ずいぶん前からこの審議会でも議論しているけれども、今までの成長軌道に乗ることが将来の日本を救うというか、助ける道ではあり得ない。新しい成長軌道を求めないと、これはいつまでたっても浮かばれないよと。2%の成長であっても、「通常の『進歩』や『高度化』」だけではだめなのだ、というふうに受け取って、そういう意味では、ここはわりあいにすらりと読めたのですけれども。

〔 部会長 〕 ここは、後ほど大臣からお話もあると思いますけれども、かなり大きなスケールでお話をされているので、2010年という時点もこういう大きな転換のプロセスのほんの一部にしかすぎないので、たぶん、その時点ではまだ従来流の成長率を測る尺度に代わる何かいいものというのは、今いろいろ出ているのだけれども、これだというところにはまだ行かない。まだingの、過程なのだという、大きくはそういうことではないかという感じを私は受けました。

だけど、ここは1つの認識として重要な基本的なポイントですね。

〔 C委員 〕 先般のケルンサミットでも、生涯学習ということが非常に重要なテーマとして議論されたわけですが、「あるべき姿」の方で22ページにちゃんとそのことは書いてあるのですけれども、しからば、その施策の方をどうするかというのは、たぶん29ページの辺になると思うのですが、私の読み方が足らないのかもしれませんけれども、生涯学習に参加したいという人の方のことは書いてあるけれども、受け入れる方の大学とかその他の施設のことは全く書いてないような印象を受けますので、それだけをコメントしておきます。

〔 事務局 〕 今ご指摘の点については、36ページで「リカレント型のライフコース」ということで一応受け皿の、十分ではないかもしれませんが、記述がございます。

〔 部会長 〕 皆さんから大変貴重なご意見をいただいてありがとうございました。

基本的には、「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」答申案について、概ね委員の方々のご了承を得られたものと思われますので、この答申案を経済審議会に報告をしたいと思いますが、よろしゅうございますか。

(「異議なし」の声あり)

〔 部会長 〕 ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきます。

今日は、堺屋経済企画庁長官にご出席いただいておりますので、最後に、長官から一言ご挨拶をお願いしたいと思います。

〔 大臣 〕 1月以来、「あるべき姿」について熱心にご討議いただきましてありがとうございました。

本審議会は、本年1月に総理大臣の諮問を受けてから、この企画部会、基本理念委員会をはじめといたしまして、たくさんの委員会を延べ52回開催いたしました。そのほか、インターネット、ファックスで意見を募集し、モニター調査を行い、またシンクタンクとの共同調査、地方公開シンポジウムを全国で9回開催いたしまして、非常に熱心な議論をしてまいりました。

本日取りまとめいただきましたものは、5日の総会に答申して、閣議決定したいと考えております。

この答申の大きなポイントは、従来13回ございました経済審議会の答申がいずれも、所得倍増計画というような、計画と呼ばれていたものが、今回は、理念の転換を説くということで「あるべき姿」という形になりました。

今議論がございましたように、これまでの計画はすべて1つの時代の中での「進歩」「高度化」という考え方でありました。それが、序章で書いておりますように、つまり、近代工業社会というものを完成していくのだ、明治以来、日本が努めてまいりました近代工業社会の完成、殖産興業を徹底させていくのだ。その中で、社会を高度化し、産業構造を進歩させるというのが目的でございました。

ところが、今や、その近代工業社会を超越して、新しい多様な知恵の時代に至る。全く社会の仕組みといいますか、バラダイムが変わるのだということを前提にして考えております。

この前の答申は、1995年、4年前に出されたものでございます。村山内閣で、そのときは景気がよくなったという感じがしたときに作られたものでございましたが、そこまでは、なお日本の工業社会に対する回復といいますか、その進歩の中で、高度化の中で考えようという思想がありました。今度は、それを大きく超えた概念をつくり出し、まずそのために、どんな条件を満たさなければならないかという、これからの10年間に我々がつくるべき新しい社会の「あるべき姿」の条件を設定いたしました。それが、ここにございますような、「知恵の時代」に対応する、つまり「ものづくり」規格大量生産だけではない、規格大量生産の社会ではない、情報化社会であり、創造力の社会である、というのが第1であります。

2番目は、この計画の後半になりますと、人口がかなり大幅に減少する。人口減少社会が一体どんなものであるか、我々、現在に生きる人間には想像ができません。そういう未曾有の社会に我々は入っていく。その中で、なお私たちが高い経済活力と優れた文化を持ち続けるためにはどうすべきか、どうなければならないか。

3番目には、「グローバル」という言葉も使っておりますけれども、従来の国際化というのは、国というものがあって門戸が開かれている状態だけれども、グローバル化というのは、国そのものの国境は薄れてくるという概念でございます。そういった新しい時代にどう対応するか。

4番目には、環境という、従来、無料で無限と思われていた資源が制約されてくることに対応できる、こういう条件をまず設定いたしました。それに耐えられる世の中をどうつくるべきかということであります。

ここに出てきました結論は、その目標として、「最大自由と最少不満」と書いておりますように、かなり個人の自由を重視した、これを倫理の1つに取り入れたという社会を描いております。

したがいまして、具体的な政策の中でも、多くは規制を緩和し、政府の役割を限定していくというような形になってまいります。また、それぞれの経済主体の中でも、そこに存在する個人の流動性は高いものになっていくだろう。そういった個人の自由な行動が合計として社会の不満を最少にするようなルールの中で動いていかなければならない、こういう概念であります。

そして、官というもの、ガバメントというもののほかに、自立した個人の合意によって生まれる「公」の概念、パブリックの概念を提示しております。

それから、安全ネットとそのコストのバランス。あらゆる人々が人権を守られ尊重されねばならないけれども、利権を守るようなことになってはならない。人権を擁護することが高過ぎるために、それが利権化してもいけない。そして、その人権擁護のための安全ネットを維持するコストが高過ぎて、負担する側の不満が大きくなってもいけない。そういうバランスの上に安全ネットは存在する。この自由な社会と安全ネットのバランスをそういう具合に定義づけております。

これは福祉社会の中で多くの国々が試行錯誤してきたことでございますが、ここではそういうような定義をしております。そして、それを守るために、人口が減少する状態になっても、やはり全体としての経済の活動は拡大していかなければならないということであります。

この点、先ほどからご意見もございましたけれども、人口が減少して経済の総量が衰退したところで、目ざましい文化あるいは好ましい社会秩序が描かれた例がほとんどございません。そういうことを意識して、経済を成長するために、多様で多源な供給源を考えるべきだという、誠にこの点は大胆な提案をしております。

その「あるべき姿」の概念といたしまして、多様性と創造的変革ということが書かれておりますが、個人が横に繋がる多様性、多様な個人が横に繋がることを基盤にして、それぞれの個人が、家族にも、職場にも、趣味の会にも、宗教団体その他いろいろなものに複属する人が多くなる。そして、官はそのルール作りと事後処理に徹底する。事業が繁栄するためには、無限の創造力・常なる創造力と変革が必要だ、そういった非常に流動的な社会を想定しているわけであります。

その中では、効率、平等、安全というものと並んで自由が正義の1つになるであろう。こういったことを1つの姿として描きまして、それに向かって政策方針を書いたわけでございます。

したがいまして、現在の政策との継続性というのが非常に問題になりまして、各省折衝では、かなり苦労をした点がございますけれども、本日ただいま、ようやく各省あるいは各党ともご了解をいただけたわけです。

先ほど、経済戦略会議との話がございましたけれども、経済戦略会議は閣議報告でございますが、これは閣議決定でございますから、ここまで大胆な提案が閣議決定できるということは大変に日本も変わった、また変わろうとする意思を持っているのだと、私は考えております。

まだまだ不十分なところはたくさんあると思いますけれども、そういう意味で、今回の「あるべき姿」というのは、経済企画庁が務めてまいりました長年の長期計画作りの中でも一線を画するものではないか。これも皆様方のご審議の賜物と心から感謝しております。

誠にありがとうございました。

〔 部会長 〕 長官、ありがとうございました。

改めて伺って、長官及び事務方の皆さんのご苦心のほどを改めて感じております。

先ほどお話をしましたように、7月5日に総会がございます。今日ご了承いただいた「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」答申案を報告しまして、総会で審議をしていただいて、ご了承が得られれば、豊田会長から総理に答申いただくことになります。

先ほど長官もお話しになりましたけれども、大変お忙しいところを、1月の諮問以来、委員の皆さんには部会の審議に大変精力的にご協力いただいて、また大変に活発ないいご意見をたくさんいただきました。先ほどの皆さんのご意見を伺うと、細かいところは別にして、大筋、皆さんのご意見も入れていただいたと感じておりますので、部会長としても改めてお礼を申し上げたいと思います。

それではこれで企画部会を閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

-以上-

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