第8回経済審議会地域経済・社会資本部会議事概要

1 日時:

平成11年6月23日(水) 15:00~17:00

2 場所:

経済企画庁共用特別第一会議室(407)(第4合同庁舎4F)

3 出席者

(部会)

森地茂部会長

安土敏、井上繁、北村浩子、坂本多旦、生源寺眞一、戸所隆、中邨秀雄、溝口薫平の各委員

(事務局)

堺屋長官、今井政務次官、中名生総合計画局長、高橋審議官、牛嶋審議官、林部計画官、安井計画官、涌野計画官

4 議題

  • 地域経済・社会資本部会報告書(案)について

5議事内容

(1)経済審議会 地域社会・社会資本部会報告書(案)及び「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針(素案)(第一部以降)」に関する主な意見は以下のとおり。

  • 報告書案には、農林業の土地利用や自由度の高いビジネスについても言及されているなど、多様な意見が吸収されている。特に、中山間地域等以外の農業等についての記述は、全体的な農政改革にエールを送る意味でも適切である。
  • この報告書案は、大都市、地方都市及び中山間地域等に切り分けて、各々が有する資源、特色及び問題点を個々に議論を深めたことにセールスポイントがある。
  • 日本は西日本と東日本では、中央政府の出す経済政策をどのように受け入れるか、というところに文化的な差異がある。これらの文化的な違いをどのように認識し、それに対応した政策をどのように立てることができるのかが今後の課題である。
  • この報告書案は特に地方の人に読んでもらいたい提言内容が盛り込んであるが、どのようにすれば、全国の地方公共団体に報告書案が行き渡らせることができるかについても考えるべきである。
  • 報告書に打出してある提言の実現に向けて、町村レベルに主体的に取り組ませるためにはどのようにすればよいのか。町村長の地域づくりに対する温度差もあり、提言を実際の政策にいかさせるための支援手法についても考える必要がある。
  • 地方シンポジウムで、「地方への公共工事のばら撒きに対する批判は分かるが、公共投資に頼らざるを得ない過疎地域の実情に鑑みれば、この批判はあくまで人口等が集中している東京の立場から見たものである。」との話があった。報告書案が社会資本整備の新たな方向性として「利用者の視点に立った社会資本整備」や「社会資本のソフト化」といったを揚げているが、これらは過疎化が進行している地方には通用しない議論である。過疎問題を解決するには、日本全土の人口を適正に再配分するしか策がなく、このため、人口のバランスを再度仕切り直すための社会資本整備、という視点が報告書案にあってもよいのではないか。
  • 人口の適正配分の問題には、優秀な人材の分布に偏りがあることも忘れてはならない。
  • 中山間は国づくりの負担になるのか、夢を持てるものとなるのか、重要な時期にある。「都市の里山」の概念は、21世紀のくにづくりのなかで、都市と農村の橋渡しの役割を担うものである。農林業生産活動を基礎にした中山間地域等は多面的機能を有しており、その発揮を通じて中山間地域等は都市と農村の両方に有益な役割を有している。
  • 関西では「関西の未来」というテーマのシンポジウムが開催され、地域の活性化について議論されることだが、この報告書案がこの地域づくりの議論に貢献されることを願う。
  • 地域の活性化や過疎問題は、報告書案の中で議論している広域化や地域密着型産業の振興などにより、解決が図れる問題でもある。

(2)「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針(素案)序章」に関する主な意見は以下のとおり。

  • 日本と合衆国では歴史的な国家の成り立ちが異なるため、「5 多源的補充性のある経済社会」においては、「外国からの機能や要素の補充が必要」と言ってはいるが、それには日本ならではの制限があってもよいのではないか。
  • 「5 多源的補充性のある経済社会」においては、外国人労働者を日本に入れる方向性の議論をしているのか。「秩序ある外国人の流入」といっているからには何らかの限定を付そうとしているのか。意図するところは何であるのか。
  • 「4 創造的に変革する企業経営」の趣旨は賛成である。ただし、「組織に部品としてはめ込まれた」人間(個人)というのは、具体的にどのように社会と繋がっていくのか、具体的なイメージが涌きにくい。
  • 第5節の1(効率)及び4(自由)は自己責任の趣旨であり、2(平等)及び3(安全)は自己責任を補完する一種の公共財としての位置付けであるため、これらの価値観を達成するための政策は各々異なるのではないか。
  • 政策の時間的視野、というものを考慮するべきであり、例えば、土地利用問題は本来長期的な展望に基づいた施策が必要であったにもかかわらず、バブル期に短期的な視点での施策を繰り返した結果失敗してしまった、ということを踏まえ、各々の政策の時間的視野を本来あるべき長さに再調整し直す、ということが今後必要になるのではないか。
  • サービスの供給者としての地方公共団体同士が競争するような仕組みが必要である。
  • 政府の役割が重要となる分野としては、長期的展望が必要であり広域的な調整を要するもの、という限定が大切で、市場の失敗がある分野とするのはよくない。
  • 国際化には、外国人が日本に入ってくることのみならず、日本から人が出て行くことや発展途上国へのODAも含まれる。ODAを通じて、日本が戦後復興以降経験してきた一極集中や公害などの都市問題の経験を発展途上国の開発においていかせるのではないか。

 なお、本議事概要は速報のため事後修正される可能性があります。

(本議事概要に関する問い合わせ先)

経済企画庁総合計画局地域経済班

TEL:03―3581―0511