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経済審議会国民生活文化部会(第9回)議事録

時: 平成11年6月18日

所: 経済企画庁特別会議室(436号室)

経済企画庁

経済審議会国民生活文化部会(第9回)議事次第

日時 平成11年6月18日(金) 10:00~12:00

場所 経済企画庁特別会議室 (436号室)

  1. 開会
  2. 国民生活文化部会報告について
  3. 閉会

(配付資料)

経済審議会国民生活文化部会委員名簿

資料1 国民生活文化部会報告(案)

資料2 「経済社会のあるべき姿と政策方針」(素案)

資料3 「経済社会のあるべき姿と政策方針」に関する意見募集等の結果について

経済審議会国民生活文化部会委員名簿

部会長

清家

慶応義塾大学商学部教授

部会長代理

大田 弘子
政策研究大学院大学助教授

井堀 利宏
東京大学大学院経済学研究科教授

川勝 平太
国際日本文化研究センター教授

黒木 武弘
社会福祉・医療事業団理事長

鈴木 勝利
日本労働組合総連合会副会長

ピーター・タスカ
ドレスナー・クライン・オートベンソン・証券会社ストラテジスト

永井 多惠子
世田谷文化生活情報センター館長
日本放送協会解説委員

西垣 通
東京大学社会科学研究所教授

浜田 輝男
エアドゥー北海道国際航空(株)代表取締役副社長

原 早苗
消費科学連合会事務局次長

福武 總一郎
ベネッセコーポレーション代表取締役社長

森 綾子
宝塚NPOセンター事務局長

湯浅利夫
自治総合センター理事長


〔部会長〕

 まだお2人の委員がお着きになっておりませんけれども、追っつけお見えになるかと思います。定刻になりましたので、ただいまから、第9回の国民生活文化部会を開催させていただきます。

 本日は、ご多用中のところ、また雨の中をご出席いただきましてありがとうございました。

 本日は、1つは、前回の国民生活文化部会報告(案)についてのご議論等を踏まえまして、事務局の方で修文をいたしました部会報告(案)について、もう一つは、経済審議会の企画部会で議論をしております「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」素案の序章について、これは堺屋長官が自ら筆を取られたと承っておりますが、議論をしたいと思いますので、それぞれ前半と後半に分けて事務局から説明の後、ご議論いただきたいと思います。11時ぐらいまで前半の議論をし、その後、後半の議論に移りたいと思っております。また、前半の部会報告(案)の説明の際に、企画部会において議論しております「経済社会のあるべき姿と政策方針」の素案と「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」に関する意見募集等の結果についても併せて紹介させていただきたいと思います。

 なお、本日お諮りする資料につきましても、前回ご同意いただきましたように、最終的な報告書の公表と同時に公開する、それまでは非公開とさせていただきたいと思います。

 それでは、事務局より国民生活文化部会報告(案)についての説明をお願いいたします。

〔福島推進室長〕

 それでは、資料1ということで「国民生活文化部会報告(案)」をお配りしておりますので、それについてまずご説明いたします。

 この報告(案)につきましては、前回のこの部会での議論と他省庁との調整等によりまして、前回の部会報告(案)から修正となりましたところにつきまして下線を引いてございます。それから、まだ調整未了の部分で、主要なところにつきましては、中に出てまいりますけれども、ペンディングという意味でPと付けたところがございます。そのような表現で示してございますので、よろしくお願いいたします。

 最初、おめくりいただきまして、下線のところを中心にご説明いたしますと、3ページの第1章の総論のところ、ここは言葉を適切にしたということですが、最近の中高年層の雇用過剰感の中に、「景気の低迷を背景に」しているということを加えております。「終身雇用や年功序列型の組織・処遇を見直す企業も見られるところである」、ここは前回は、これまでと同じ形で維持していくことが困難という表現にしておりましたが、より明確に、それを見直す企業も出てきているという表現に直しております。

 4ページ、上のところは、言葉をちょっと直したということで、「情報」の後に「通信」という言葉を入れさせていただいています。

 下のところで、「子供を持つ女性が『個』として能力を発揮していくためには」という後に、「男女の固定的な役割分担意識の是正を図るとともに」という言葉を入れて明確にしているものでございます。

 5ページ、上のところに下線を引いたものがいくつかございますが、このあたりは言葉を適切にしたという表現ぶりでございます。

 下のところで、「ひとり暮らし高齢者に対する訪問・相談活動の推進」とございまして、こういった働きも重要ではないかということで追加させていただいております。

 6ページ、「自由と責任のバランス」は、自由と秩序ということで前回もご議論いただいたところですが、表現を直しております。

 7ページは、第2章の各論に入りまして、最初の下線は、総論のところで出てきたものの表現ぶりに、ここも合わせて直しているということ。その下、「企業外で働く可能性」というところに、「在宅での就労」を入れて明確化したものでございます。

 8ページ、(4)「雇用形態の多様化に対応した制度を確立するための具体策」のところで、ペンディングという意味のPを付けさせていただいています。ここにつきましては、1)「長期継続雇用等、特定の雇用形態を有利なものとしたり、自らの希望による労働移動に抑制的に働く制度を中立的なものとする」という観点からという表現ですけれども、もう少し幅広く見てはどうかと。例えば、労使の関係を考慮するといったようなことも考えてはどうかという意見もございまして、ここはまだ調整中でございます。

 その下の2)で下線を引いていますのは、「個人の能力開発に対する支援の実施」ということで、前回はここに1つだけ、企業内部における従業員の評価システム、それから、その評価結果を従業員に開示するということを書くにとどまっていたのですけれども、もう少し詳しく、教育訓練給付制度とか、その休暇制度というものを付け加えさせていただいています。

 9ページ、家族のところで、(1)「家族の果たす機能の変化」ですが、「対外的信用が得られる社会的側面」という機能が低下していくのではないかというところに、「女性個人の経済力の高まりにより」という言葉を入れて明確化させていただいています。

 11ページをおめくりいただきますと、(6)「家族構成員の個別化の進展に対応した施策」、基本的に世帯単位から個人単位へと、家計を取り巻く制度を変えていくことが求められるというところ、もう少し慎重に検討した方がいいのではないか。部会の方でもそういうご意見があったかと思いますけれども、こういう制度に変えていくにはもう少し幅広い観点の検討が必要ではないかという意見もございまして現在、調整中でございます。

 その下のコラムで下線を引いたところ、これもこの部会でご意見のあったところかと思いますけれども、真ん中あたりで、「本人も自らのキャリア形成等のために転勤とそれに伴う単身赴任を望む場合もあると考えられるため、一概にこれを問題視するわけにはいかない」という表現にしております。

 その下、「本人や家族が希望する場合には、」避け得るようなということで、この辺も明確化したところでございます。

 いちばん下のところは、「今後、従業員の会社への帰属意識が薄らいでいく企業側が、従来のような発想・手法で従業員に転勤を命じることは困難になる」ということで、前回も同じような意味のことを書いてございましたけれども、若干文章を修正して、読みやすくしたものでございます。

 その下の第3節「個人と新たなコミュニティとのかかわり」で、「同じ好みや趣味・志」をいう言葉を付け加えさせていただいています。

 12ページ、(1)「新たなコミュニティ構築への動き」、1「集団主義の社会から信頼の社会へ」で最後のところ、前回は、人間一般に対する相互の信頼関係を容易に構築できるという書き方にしておりましたが、このように修正した方がわかりやすいだろうというものでございます。

 3「男性のコミュニティ活動への参加」ですけれども、サマータイム制度のところについて、前回は項を立てて書いておりましたが、サマータイム制度については賛否両論いろいろあるということですので、ここでは「国民的議論の展開も重要である」という表現にさせていただいています。

 その下はNPOですが、「新たな雇用機会の創出につながる」ということで、前回は、雇用機会を創出すると書いていたわけですけれども、NPOの目的は、第1にそれぞれの目的があって、その次に雇用機会が出てくるということですので、若干表現を適正化させていただいています。

 13ページ、1「NPOのマネジメント」、ここは「本当の意味での組織活動は低調であった」ということで、前回は、本当の意味での組織は存在してこなかったという書き方をしていたのですが、やや書き過ぎということで、そのような表現にさせていただいています。

 2「高齢者に活躍の場を提供するNPO」、ここは、定年退職後の人が利潤追求という企業の精神とNPOのボランタリーな精神をうまく調整させなければいけないということで、書いてある意味は同じですが、やや文章をわかりやすくさせていただいたものです。

 3「働く場としてのNPO」も、「適正な対価」という表現、それから「収益」という表現、それぞれ前回はこの書く順番が引っ繰り返って書いていたのですけれども、適正化したものでございます。

 14ページ、4「NPOの活動を推進するための具体策」、いちばん上のペンディングになっています「税の優遇措置の導入」、ここについては「寄付した際の税の優遇措置の導入」と書いておりますけれども、国会でNPO法ができたときの附帯決議のような表現の方がいいのではないかという意見もありまして、調整中でございます。

 その下の下線部は、前回の部会で意見がございましたことで、「活動内容や会計の透明性」ということで中身を明確化したものでございます。

 第2章、1のところは終わります。

〔塚原計画官〕

 2の教育に関しましては、具体的なイメージが入るところは入れたという点、あとは、特に18ページですけれども、今ペンディングになっているところをご説明しますと、「特に、公立小・中学校の就学する学校の指定」というところについて、「子供や保護者が学校を選択できる仕組みを導入する」となっておりますけれども、学校の指定に関しましては各教育委員会がやることになっていまして、地域の実情等を踏まえてやるべきであって、国が一律こういった導入を求めるというスタンスはよくないのではないかということで、あくまで通学区域制度の弾力化を図るというところにとどめるべきだということで今、文部省との間で調整を図っているところでございます。

〔佐々木計画官〕

 その後19ページ以降でございますが、20ページ~21ページにかけてアンダーラインの入っている部分は、表現を補っている部分でございます。

 21ページのc)「長期の制度維持のための取組み」にペンディングのマークが付いておりますが、その上にありますa)とb)を行う必要があるだろうという改正のほかに、残された課題についての検討が必要だろうということで項目を書いておりますが、現在、諸々の審議会での審議を経まして国会審議に向けて、与党で年金の改革法というのを調整中でございますが、これの中では、今後10年間だけではなく、将来にわたる保険料負担というものも抑制しつつ、将来世代の負担を過重なものとしないという形で、21世紀にわたっての長期的な安定ができる、そういう制度を作ることができるのではないかということで、「長期的な制度維持のための取組み」という項は必ずしも必要でないのではないか、こういうご意見がございまして、この点が現在調整中となっております。

 22ページ~23ページの初めあたりは、表現を補っているところですが、23ページの⑤「住宅等の資産の活用」で、これまではリバースモーゲージだけを書いておりましたが、実際の資産としての住宅の活用ということがあるだろうということで、言葉を書き足しております。

〔塚原計画官〕

 第6節「高齢者や女性の意欲と能力を発揮する社会の構築」につきましては1点だけ、24ページ、2) 「具体策」で、今までも「継続雇用制度の普及促進」という言葉は書いてあったわけですけれども、人の解釈によりまして、継続雇用制度という中に定年制というものが入るという解釈と、入らないという解釈と両方あるということで、定年制についても明記して、「『65歳定年制』又は」という1点を付け加えてございます。

〔佐々木計画官〕

 引き続きまして、26ページ~27ページにかけてでございますが、これは今まで「保育施設の整備」ということで整理しておりましたが、もう少し広くとらえて「保育サービスの整備」という形で表現を改めております。

 特に27ページのところで、現実に幼稚園が果たしている機能というものも踏まえて1項目追加をしております。

 第7節「高齢者医療と介護」では、29ページ以降ですが、29ページで、療養型病床群という制度についての表現を正確を期するということで改めております。

 大きなポイントとしましては、30ページ、4「医療サービスの課題」で、医療への民間企業等の参入につきまして、「規制緩和推進計画に基づいて早急に検討・導入を図るべきである」と書いておりますが、この規制緩和計画におきましては、医療保険制度あるいは医療提供体制の抜本的見直しの状況を踏まえて検討を進めるという内容にとどまっておりまして、これは11年度に検討されるということで、まだ結論が出ておりません。このために、まだ検討中のものについて、「検討・導入」というところまで方向が決められないのではないかという意見がございまして、その点を現在、調整中でございます。

 31ページ、それから最後の別表につきましては、表現の足りないところについての書き足しをしているところでございます。

〔福島推進室長〕

 引き続きまして、資料2「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」、これは企画部会を中心にご検討いただいているものでございますが、その素案ということで、簡単に内容を説明させていただきたいと思います。

 目次のところにありますように、3部構成になっておりまして、第一部が「『経済社会のあるべき姿と政策方針』策定の意義」、第二部が「経済社会のあるべき姿」、おめくりいただいて、第三部で「経済新生の政策方針」ということで、「あるべき姿」に向かってどのような政策が必要かという書き方で作られております。

 1ページ、第一部、第1章「戦後の経済発展と歴史的大転換」ということで、まず、第1節「戦後の日本の市場システム」で、戦後の日本の市場システムの総括をしておりまして、キャッチアップ型の経済成長の終焉、戦後形成されてきた日本経済のシステムが時代の変化に適応できなくなったということを書いております。

 いちばん下に、第2節「歴史的転換の内容」とありますが、2ページから、1「多様な知恵の時代への移行」、2「少子高齢化の進展と減少に転ずる人口」、3「グローバル化」、4「環境、資源・エネルギー問題による制約の高まり」、4つを指摘させていただいています。

 第2章「『あるべき姿』を選択する必要性」ですが、「歴史的な大転換期にあり、これまで有効に機能してきた経済社会システムがもはや機能しなくなっている」ということで、その「システムを抜本的に変革することが不可欠である」。真ん中あたりにございますように、「いずれの方向へ進むかについて、国民の選択がまず必要であり、その大きな方向性について解答を出すことが求められている。」ということで、「経済社会の『あるべき姿』として第二部で示す姿は、今後21世紀に向けての我々が選択すべき方向性と、その結果として実現されるであろう経済社会の姿を描いたものである。また、第三部においては、それを達成するための政策方針を示している。」ということでございます。

 以下、5ページから第二部「経済社会のあるべき姿」で、国民生活文化部会の関係するところだけを簡単に説明させていただきますと、7ページの第3節「多様な個人の帰属先」とございまして、ここでは、「会社中心主義の典型である職場単属主義が是正され、多種多様な帰属先が存在するようになる。」、「人的ネットワークが複合的に形成されることで、多様な価値観の共存と個々人の自己実現が達成される。」と書いております。

 9ページにまいりまして、第6節「人材の育成」を書いております。ここでは、「自由な個人の発想を育むような教育システムを構築できるかどうかが発展の鍵」であるということで、「地域社会の連携」とか、「特色のある学校が存在することによって、教育についての選択の幅が拡がる。また、社会人の学習機会は大幅に拡充」ということを書いております。

 10ページにまいりまして、第3節「年齢・性別に関するフリーな発想」。1「年齢にとらわれない社会」ということで、「就学、勤労、職業生活から引退などの時期は年齢にとらわれず、個々の意欲、能力等に応じて選択することが可能になる」姿が重要だと書いております。また、下から2行目で、「高齢期においても希望に応じて職業生活を継続することができる一方、会社を早期に退職して、地域やNPO等の活動に従事することもできる。」と書いております。

 11ページ、2「性別にとらわれない社会」ということで、「『男は外、女は内』といった固定的な考え方にとらわれず、個人の意欲、能力等に応じたものとなる。」と書いております。

 3「安心でき効率的な社会保障制度」ということで、「国民がそれぞれの『夢』を追求しつつ、経済活動、社会活動に積極的に参画できるためには、安心でき効率的な年金・医療・介護等の社会保障制度が必要である。」と、ア~エまで、それぞれについての条件を書いております。

 16ページからの第三部「経済新生の政策方針」は、「第二部で示した『経済社会のあるべき姿』に向けて日本の経済社会を新生していくために、今後実施していくべき重要な政策方針を示す。」ということで記述しております。

 17ページの下のところに、(個人が挑戦できる環境の整備)ということで、ク) 「長期継続雇用等特定の雇用システムを有利とする制度や、自らの希望による労働移動に抑制的な制度を、中立的なものに見直す。」ということ、ケ)「個人の職業能力を開発・向上させるため」の様々な制度が必要だということを書いております。

 18ページの第2節「人材育成と科学技術の振興」では、1「人材育成」で、「知育偏重の人材育成のあり方から、創造性や豊かな感性を育む人材育成のあり方に移行する。」ということで、ア)学校選択の拡大に向けた具体的プログラムのを策定する。イ)教員への社会人の登用を促進する。ウ)学校に関する情報公開を進める、ということを書いております。

 23ページにまいりますと、第2章「少子・高齢社会、人口減少社会への備え」ですが、第1節「安心でき、かつ効率的な社会保障」、1「公的年金」ということで、「負担について世代間の公平を図る観点から、給付水準の引下げと保険料率の引上げを、いかにバランスをとりつつ行うかが求められている。さらに、人口や経済の構造変化を踏まえて公的年金制度を長期的に維持可能なものとする観点から」、様々な点について検討をする必要があるということであります。

 2「高齢者医療と介護」ということで、「医療と介護との適切な連携」、「高齢者のニーズに対して、より的確に応えた効率的なサービス供給」、それから「医療・介護については、公的部門が運営に責任をもって取り組む一方、サービスの供給については、自由な事業展開が可能となるよう、参入の要件を安全面等で必要最低限のものに規制緩和」すると書いております。

 第2節「年齢・性別にとらわれない経済社会の形成」ですが、24ページの1「年齢にとらわれない経済社会」ということで、60歳の定年という問題について、65歳まで働けるようにしてはどうか。やや長期的には、定年制の廃止ということも検討する必要があるのではないかということを書いております。

 2「性別にとらわれない経済社会(仕事と育児を両立できる社会の実現)」ということで、男女共同参画社会基本法あるいは男女雇用機会均等法の遵守状況のモニタリングとか、育児休業などの、育児期間中の母親の就業の円滑化ということを書いております。

 資料2の方は以上でございます。

 引き続き、資料3ですが、「経済社会のあるべき姿と政策方針」に関していくつかの形で意見を募集したということで、意見募集のやり方につきましては、何回目かの部会でご説明したかと思いますけれども、それの結果をまとめさせていただいています。

 資料3ー1、資料3ー2、資料3ー3とございますけれども、資料3ー1に大体まとめてございますので、こちらを見ていただきますと5つの方法、そこにありますように、「インターネット、FAX」「各国有識者からのヒアリング」「地方シンポジウム」、「経済企画庁の物価モニター制度を活用したアンケート調査」「シンクタンクへの短期集中委託調査」。こういうものを合わせまして、延べ5,000件ぐらいの意見をいただいております。

 2ページには、1「インターネット、FAX等による意見募集」ということで、(1)「意見募集の方法」では、最初の方にこの部会でもご議論いただいたような、大きな分岐点となりそうな7つの論点とか、5つの部会における論点について意見募集を行いまして、300件ぐらいの意見があったということでございます。

 (2)「意見の内容」では、1「あるべき姿における我が国の国家像」については、世界の中での日本の位置づけとか、東京一極集中の是正、少子高齢化への対応についての積極的な意見が多かった。「『経済社会のあるべき姿』を考えるにあたって」については、特に、移住労働者の受け入れ等については、慎重に検討すべきとの意見もみられたということでございます。

 3ページに、2「各国有識者からのヒアリング、意見募集等」ということで、海外有識者、海外シンクタンク、在日の外国業界団体への意見収集ということでございます。

 21世紀初頭の世界や社会の状況としては、グローバリゼーションが進展すること、技術・知識・情報等の重要性が大きくなること、人口問題や環境問題、地域間の摩擦が世界的課題となることが指摘されております。それから、日本の役割については、概ね今後重要になるという見方がありますけれども、今後の日本のあり方について、「機会の平等」に重点を置くべきという意見が多いものの、同時にセーフティネットの重要性や「結果の不平等」に対する懸念も指摘されております。

 4ページは、3「地方シンポジウム等での意見収集」ということで、全国主要都市9カ所で行いまして、この部会の委員の先生にもご出席いただいたところでございますけれども、そのシンポジウム・意見交換会でいただいた意見の内容でございます。

 (2)「意見の内容」にありますような意見があったということで、国のものは国へ、市場のものは市場へと明確に分割していく必要がある。NPOの活動が活発になれば雇用の場がもっと創出される。移住労働者の受け入れは時期尚早ではないか、等々以下にあるようなご意見がございました。

 4「モニターを活用した『新たなる時代の姿と政策方針』のための調査」、モニターのアンケート調査で、5ページの方に載っておりますが、3,600人を対象にしたということであります。

 サンプルが専業主婦の方に偏っているというところはございますけれども、多くが治安の良い国での安全な暮らしや社会保障の充実した国を望んでいる。約6割が大きな所得格差は事後的に縮小されることを望んでいる。専業主婦の税制等の優遇措置の是正に約6割が理解を示している、という意見がございました。

 5「シンクタンクへの短期集中委託調査」、こちらについては2にあります「会社人間からの脱却と新しい生き方に関する調査」は、この部会でも報告させていただきましたけれども、それ以外に、「国際的な労働移動に関する調査」で、専門的・技術的労働者の受け入れを積極的に進めることが必要と提言しております。それから、「長期的な生活空間の拡大方策に関する調査」で、人々が望む新しい生活スタイルの実現という観点から長期的な街づくりが必要ということ。「創業・起業に対する日本的風土の改革に関する調査」で、自らの責任によりリスクに果敢に挑む創業者・起業家が正当に評価され、また尊敬されるという社会的風土が必要ではないか、という提言をしております。

 資料は以上でございます。

〔部会長〕

 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいま事務局からご説明いただきました国民生活文化部会の報告(案)についてご議論いただきたいと思います。特に、いくつか前回から修正された部分、あるいは議論としてペンディングになった部分等がございますので、もちろんそれ以外のところもご自由に議論していただきたいと思いますが、そういった点を中心にご意見を承れればと思います。

〔A委員〕

 前回、欠席した関係で、前に私が見たのと比べてどのくらい修正が起きたのかに関しては完全にはフォローできないのですけれども、今日のPの点は各省庁で調整中ということですが、部会長の責任で最終的にこのところは書き加えうるということなのでしょうか。要するに、会議自体はこれでおしまいだと理解しているのですけれども、その後のPの取扱いに関しては、どのような形でこれから処理されるのか、最初にお伺いしたいのです。

〔部会長〕

 私の理解では、最終的には、事務局と部会長に一任していただくということになるかと思いますが、Pのところについて、委員の先生から、このところはこういう形で強く主張すべきだというような総意が得られましたら、そのような形で私も事務局も努力すべきだと思っておりますので、そのための委員会ですから、ぜひ積極的なご提言をお願いしたいと思います。

〔A委員〕

 それでは、Pに関して一つ言いますと、年金の21ページ、c)「長期の制度維持のための取組み」は、先ほどの話ですと、ここのところ自体をとるかどうかに関して調整されているというお話だったようにお伺いしたのですが、どういうことなのでしょうか、そこの意味がよくわからないのです。

〔部会長〕

 事務局の方から、事情を説明していただきたいと思います。

〔佐々木計画官〕

 現在調整中ということでご説明いたしましたが、この点につきまして、今回の改正が出ていけば、これによって制度の安定を図ることができる。その面からは、「長期的な制度の維持のための取組み」というのは今回の改正で十分ではないか、というような観点からのご意見が出ているということでございます。

 私どもの方からは、別途こういういろいろな論点が出ておりますので、そういった論点はまだ国民的議論が必要ではないかということでお話しをしておりますが、今出ている意見というのはそのようなことでございます。

〔A委員〕

 今回の改正というのは、まだ国会には出ていないわけですね。わかりました。

 その点、どこまでやるのかは非常に難しいところだとは思うのですが、基本的な国民生活文化部会のスタンスというのは、個が中心となる社会ということですので、それに合わせて、いろいろなところで公的年金に関しては抜本的な見直しが必要であるという話が結構トーンとしては出てきているのではないかと思うのです。そうした観点から考えますと、今回の改正案では抜本的な改正というよりは、要するに5年に1度の段階的な修正にとどまっていると思いますので、世代間の問題にしても、世代内のいろいろな問題にしても、今回の改正案だけで抜本的な改革が終わりそうにはとても思えませんので、そのあたりを考えますと、ここの長期の制度設計に関してはぜひ書き加えていただきたいと思います。

 ついでに質問させていただきますけれども、別紙が付いているのですが、これは事務局の方で用意されたのですか。それとも、別なところで、こういう議論、別紙と同じようなものが資料として付いている、そういうことでしょうか。

〔佐々木計画官〕

 別紙について説明させていただきますと、前回の段階で、追加的な議論を行うということで何項目かございまして、その中の1つに年金についての問題がございました。年金の問題につきましては、過去の部会でもいろいろと意見が分かれるということが各委員からのご発言でもございましたが、それにつきまして、このそれぞれの論点についてどう意見が分かれているのか、その対立の状況というものを整理しております。

 これは、国民的な議論を行うべきだという際に、議論がどのように分かれているのかということを対比するために、世上いろいろと言われています点を事務局なりに整理したものでございます。その面では、既にあちこちで言われているものの整理ということで、わかりやすさを見せるために付けたものでございます。

〔A委員〕

 こういった論点整理というのは非常に有益だと思うのですが、少し気になりますのは、別紙が報告書で年金のところだけに付いているのですが、なぜ年金のところだけ両論併記の形の別紙があって、例えば、先ほど多少触れられました学校の入学に関しての小学校の学区制の見直しに関しても、当然に両論併記がありうるところだと思うのです。いろいろなところでイシューになっているところは、結局は付いていないところもあると思うのですけれども、年金のところだけを両論併記で別紙を付けるということに何か特定の意図があるのかどうか、ひとつ気になるところもあるのですけれども、どうなのでしょうか。

〔部会長〕

 これは、私もよくわからないところなのですが、私の理解では、これはA委員にもご報告いただいていますし、少なくとも、この部会で出てきた意見の大勢はこの両論併記ではなくて、去年の秋に出された5年おきの見直しでは到底長期的に制度がもつとは考えられないというのが、この部会としての見解になるべきだと思っております。確かに、こういうふうに書きますと、両論併記で、どっちも同じぐらいに正しい意見のように議論されたと誤解されるおそれがありますので、ここのポイントは、私は、長期の制度維持のためには以下のような点について早急に詰めなければいけないということであって、今、両方どっちもどっちなので……という話でとりまとめるのであると、せっかく議論した意味がなくなってしまいますので、その辺は、私の方としても、事務局に強くお願いしておこうと思います。

〔高橋審議官〕

 もう少し説明をいたしますと、ここを別紙にいたしましたのは、別に深い意味があるわけではなくて、両論意見があるところについては、できる限り本文の中でそれを明らかにするということを原則としております。ただし、ここのところを文章化するとよくわからない、かえって見づらいのではないかということで、ここは、これを読む人にその点がよくわかるようにということであります。

 それから、本部会でも、A委員の方からそのような問題提起があり、かつそれに対する支持意見もありましたが、一方で、これはB委員だったと思いますが、今の改革案が長期的にもサスティナブルではないかというところで、ここは全面的にどんなものであるかという意見があったのも事実であります。ただし、今、部会長のお話がありましたように、この部会の大勢としましては、この点については積極的に考えていくべきではないかという意見があったわけでありますが、同時に、政府の中でもこの点については双方の意見があることも事実であります。そういったところを勘案して、この部会での議論の内容をできる限り活かすために最大限どのようにしたらいいかということで、我々としては、その間をいかにうまくやれるかということで最大限工夫をして、今の形になっているものであります。その点、ご理解いただければありがたいと思う次第です。

〔部会長〕

 この点は重要だと思いますので、ほかの委員の先生からもご意見をいただきたいと思います。

〔C委員〕

 今の年金のところとか、かなり新聞は注目するところだと思いますので、私の意見を言わせていただきます。

 21ページで、今回の改革で十分ではないかというのは、事実とも違うと思うのです。ここにa~dありますけれども、まずbに関しては、完全な先送りということが明記されているわけです。それから、cに関しても先送りということが明記されているわけです、今回の改革案では。それから、長期の制度維持が今の状態でできるという確約はどこにも盛り込まれていませんで、保険料率が今の1.5倍になるということが持続可能であるという判断は、恐らくなされていないです。今回の改革案は、世代間の不公平を是正するという観点からはあまり役に立っていないのです。ですから、後世代に重い負担を押し付けてもいいというのが、この「経済社会のあり方」として認められるのならばともかく、単に数字合わせで、世代間の公平というところはきちんと議論されていないように思うのです。

 ですから、今回の改革で十分であるということをこの会としてもし出すとすれば、相当批判は受けると思いますし、私は反対いたします。

 それから、同じペンディングのところ、14ページの「NPOの活動を推進するための具体策」で、「税の優遇措置の導入」とあるのですが、既に寄付金税制はあることはあって、この寄付金税制に問題があるわけです。例えば、企業の方は優遇されているとか、個人には仕切りがあるとか、政治献金をどう扱うのだといったような問題がありますので、ここは「税の優遇措置の導入」ではなくて、税制上の措置の改革ということの方がいいのではないかと思います。

 あと一点、教育のところ、18ページのペンディングのところで、学校を選択できるようにする、そのとき市町村教育委員会が判断して進めていく。これは前回も出た意見ですが、私も、教育委員会というのは全然信頼していないのです。ですから、「教育委員会が」という主語をあえて入れるのには、私は反対です。

 あと、ちょっと早く失礼しなければいけないので、素案の方の意見を申し上げてもよろしいでしょうか。

〔部会長〕

 ご発言がありましたら、よろしくお願いいたします。

〔C委員〕

 素案の方、全体的に賛成です。賛成なのですが、10ページで効率とか平等とか書いたところがありまして、わりとここは重要だと思うのですが、効率というところが、要は人と資源を最大限に活かすというのが効率なわけです。それが今までの仕組みではもう既に活かされなくなって、人と資源が、日本が持っている資源というのが十分に活かされなくなったということを押さえる必要があると思うのです。ですから、これから効率がますます重要だ。効率的に生産できないものは輸入とか入れるのだ、ということの記述に加えて、人と資源を最大限に活かすためにこそ経済社会の改革をするのだということを盛り込んだ方がいいのではないかと思います。

 それから、次の平等というところ、この平等をどう考えるかというところがわりと中心的なところだと思うのですけれども、ここで、格差を容認するということを明記してもいいのではないかと思うのです。格差を容認した上で、政府の役割としてナショナルミニマムを確保するのだ、と。ナショナルミニマムはしっかり確保する社会をつくった上で、格差を容認していくのだというようなところまで書いた方がいいのではないかと思いました。

 あと一点だけ、小さいところですが、素案の2ページ、ア~カといろいろ国民の合意があったというところで、オ「社会構造は地縁や血縁を排し」とあるのですが、地縁は排したと思うのですが、血縁を排したかなと疑問で――血縁を排していないから介護は家族に委ねるとか、大学まで完全に親が面倒をみるというようなことが続いているわけで――、血縁を含めるのは妥当でないのではないかと思います。

〔D委員〕

 ぺンディングになっているところを中心にしてご意見を申し上げたいと思います。

 8ページ~14ページのペンディングは主として税制に関連する問題ではないかと思います。所得税制なり、そういう税制の中での論理と、それから社会・経済の動きに応じた改善というものとがうまくすり合っていないというところが、このペンディングなっているの理由ではないかと思うのです。こういう方向で社会が動いていくということになりますと、見直しという言葉がいいかどうかはわからないですが、方向性を示すとあまり具合が悪いということであれば、もうちょっと別の言葉を使って……。

 それにしても、福利厚生に対する優遇税制とか退職所得とかいうようなものは、こういう社会・経済情勢に変わってくれば検討しなければならない問題であることは間違いないと思います。それから、家族をどう考えるかは別にして、配偶者控除などの問題についても、それぞれの男女が経済的に自立するということになれば、配偶者控除というものは意味をなさなくなってくるという問題もあるのでしょうから、こういうところは「見直し」というのは、やめろということを言うという趣旨で反対しているのかどうかよくわからないですが、こういうことを検討することは必要ではないかという感じが私はしております。

 それから、21ページの年金問題でございますが、今、いろいろなところでいろいろな論議が行われていまして、私自身も、例えば、厚生年金の積立方式に移行したらいいではないかとか、あるいは民営化に移行したらいいではないかというふうに、今すぐ結論を出すのにはちょっと時期が早過ぎるのではないかという気がしますので、ここの段階で方向性を、こういう方向でやるべきだということを議論するのはちょっとどうかなという疑問が最初からしていたわけですが、問題点の提起としてこういうものがあるということであれば、その問題点をここで列挙することは、これは当然のことではないかという感じがするわけでございます。文章表現等の問題でいろいろ問題があるなら、それはそれといたしまして、こういうことが現実に問題になっていることは事実ですから、これに対して全く目をつぶってしまうというのはやはりおかしいのではないかという気がするわけであります。

〔E委員〕

 14ページの税の優遇措置のことですけれども、C委員がおっしゃったとおり、「優遇措置の導入」だけでは、今でも税の優遇措置があっても寄付があまりないわけですからあまり変わらないのではないか。これは、なぜ優遇措置とか、そういう税が必要なのかというと、NPOの活動には資金がいるわけです。その資金を公からだけでなく、国民からも、企業からもいただく。そして、収益も上げるというのがNPOの目的なので、それで税の優遇措置が必要だということだと思うのです。

 ボランティア活動とか、寄付の文化というのが日本の国にはあまりない。そのときに、単なる税の優遇措置をしたからといって、今のままの税の優遇措置の、例えば、企業の損金扱いとか、個人でしたら税の控除とかがあるのですが、それだけではどうも寄付の文化は育たないだろうなと思いますので、この辺の大きな改革みたいなのが必要ではないか。アメリカのような、企業が直接NPOに寄付したら、その分だけ税はもう払わなくていいというような大きな改革があれば、日本の国の中でNPOを支援するとか、自分のお金が何か活かされているということを実感できるのではないかと思いました。ぜひ、税の優遇措置の改革というふうにと思いました。

〔部会長〕

 今、何点かぺンディングのところについて、8ページ、11ページ、18ページ、21ページとかありました。これは確認なのですが、ペンディングというのは、この内容が変わる可能性があるということですか。もう一つは、もしその可能性があるとしたら、例えば、8ページに書かれているようなことは、既にいろいろなところで主張されているところだと思いますが、どのような理由でペンディングになっているのか、それぞれの箇所について、差し支えない範囲で簡単に説明していただいた方がいいかと思います。

〔福島推進室長〕

 8ページのところでございますが、先ほどちょっと申し上げましたように、1)のところでは、前文を少し書いておりますけれども、雇用が短期化する場合でも不利にならないような制度、中立的な制度を、という観点から見直しましょうというところです。ここの文章につきましては、そうはいっても長期に雇用していく人たちもまだかなりいるだろうということとか、あるいは現在もうかなり長く働いている方の既得権といいますか、こういう改革をしたときに損失をこうむる人が出てくるのをどのように考えるのかといった点で、幅広くみていく必要がある。

 あるいは、いちばん上の○の「福利厚生の実施」という場合については、これは税制の話ですので政府の方で決めるような話かもしれませんけれども、そこには、企業の労使の関係とか、そこでの合意のようなものも当然必要ではないかというような意見が出ております。

 それから、次の○の「退職所得控除」につきましては、現在20年のところで年間の控除が40万から70万に増えるということですが、20年前に退職した人の場合は、退職金が低いものですから平均的には課税されないということがあるので、これ自体が雇用の流動化を妨げているものとはなっていないのではないかという話です。

 次の○の「ポータビリティを持たせる企業年金」につきましては、現在議論されている企業年金制度の導入というのは、老後といいますか、高齢になってからの所得保障というのが第1の目的であって、ポータビリティというのが主目的で導入するものではないという意見がございます。

 そこは、以上のようなことでございます。

 11ページのところは、これも先ほど申し上げたことの繰り返しになるかと思いますけれども、家族構成員のところで、例えば、専業主婦という方が現在1,200万人いらっしゃる。そういう人たちがそれだけ大きい数いるということも考える必要があるのではないか。すぐに、そういう制度を変えてしまうというのはどうかということで、もう少しいろいろ幅広い観点からこういう制度を考えてみてはどうか、そういう文章を少し考える必要があるのではないかという意見がございます。

 NPOのところにつきましても、ここは「寄付」と明示しておりますけれども、もう少し幅広い、NPOに対する税の見直しという形の方がいいのではないかという意見が出ております。

 その辺は変わるのかどうかというのは、そういう意見に対して、我々の方でも対応する必要があるものは対応して、修文ということもあり得ると考えております。

〔塚原計画官〕

 18ページの学校選択につきましては、前回にもご説明いたしましたように、全国一律に学校選択制というものを導入した場合に、一定の学校に希望が集中する場合、その学校施設の使用限界ということから、場合によっては排除される子供が出てくるということで、近隣の学校を希望したにもかかわらず、わざわざ遠い学校へ行かざるを得なくなるという可能性もあるということでございます。

 したがいまして、そういった地域地域の実情を踏まえて、あくまで通学区域につきましては弾力化にとどめるべきではないかということでございます。

〔佐々木計画官〕

 21ページの年金の点につきましては、先ほど来の各委員のお話もございましたが、改革を今後考えるべき大きな論点としてあることは事実でございますので、このような形で掲げているところでございます。

 この点につきましては、先ほど事務局からご説明申し上げた段階で、長期の制度維持の話だけを申し上げましたが、このほかにも、経済戦略会議のフォローアップ等において、例えばこの中のb、cというあたりについては、いろいろと課題があるということを政府として決めている点もフォローアップに対しての報告としてございまして、そういうところで論点として整理するのが必要ではないだろうかという形でございます。

〔部会長〕

 ありがとうございました。

〔F委員〕

 1つ伺いたいのは、教育のことに関してです。資料2「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針(素案)」の中には、選べる学校というようなことがきちっと書いてあるわけですけれども、このペーパーとの矛盾というのがずいぶんあるような気がするのですが、このペーパーと私たちがやっている国民生活文化部会の位置づけというのは、全く別個に考えられるべきものなのですか。

〔部会長〕

 事務局の方からお答えいただきます。

〔福島推進室長〕

 それぞれの部会が5つありまして、企画部会で「あるべき姿」の方を検討しておりますが、基本的には、各部会で検討した中身をなるべくそこに反映させて集約化するというような形の関係、というふうに理解していただければと思います。

〔F委員〕

 私どものペーパーというのは、「私どもの」というか事務局の方でお書きになったペーパーだと、まさに現状どおりのことで、あまり前向きの改革という書き方にはなっておりませんですね。実際には、これだけ「個」を主張しながら、そうすると学校自体も非常に多様な教育内容を持った学校というのが出現するというイメージがないから、こういう書き方になってくるのではないかなと1つ思います。

 ですから、あまりにも現状のことを考えつつこういうふうに書くのでしたら、あまりこの会議の意味はないかなと思いますね。

 実際には、いろいろ学校選択を自由にしても、近隣の学校で何とか収まるというのが諸外国の実例だと思います。

 教育委員会の機能に関しては、私は、もう少し見直し、もっといい方向に役割が変わるべきではないかという意見です。さっきどなたかがおっしゃいましたが、「教育委員会が」というと、非常に遠慮した書き方になっているというような気がいたします。

〔部会長〕

 具体的には、例えば、18ページの「その際には」から「保護者や」の前あたりを削除したらどうかとか、そういうご意見ですか。それでよろしいですか。

〔F委員〕

 はい。

 もう一つ、これも私が出席できないのでペーパーで申し上げたのですが、資料2の方で、未来型の、日本発の未来文化とか、独自の産業文化をもつ地域づくりなどというのが非常に簡潔に項目別に書かれているわけです。16ページの「体験機会の必要性」の中に、文化芸術活動について書いてあるわけですけれども、これをタイトルとしてもう少しきちっと出していったらどうか。

 これは芸術文化活動というよりは、個人ですから、表現活動というような意味合いで捉えて、表現するそういう活動というのが、自己表現力というような観点で項目にならないかなと思います。

 国家というのは経済も大事ですけれども、もう一つの重要な顔として文化があるわけで、その文化を押し出していくためには、こういう人材の養成というのは非常に大事だと思います。

 もう一つ、自己表現が大事だということは、最近よく道徳教育ということをおっしゃるわけですけれども、道徳教育というのは、人の心の中に手を突っ込んで「どうかしろ、こう思え」という教育というのは、私はもう時代錯誤だと思うのです。そうではなくて、自己表現の問題として、つまり、社会の中の自分の1つの表現の問題として、どういうふうに美しく、それからフェアな感じをもって表現できるかというような観点で、子供たちに話を進めていった方が合理性があると思うのです。子供たちは、そうやって納得しなければやらないと思うのです。ですから、道徳教育というのではなくて、自己表現教育、社会の中の社会人としての自己表現教育という形で書いていけば、1項目になるのではないかと感じます。

〔部会長〕

 ほかにいかがでしょうか。G委員、H委員、何かご意見がありましたら。

〔H委員〕

 まず、印象として、大体方向性がよく出ていると思います。例えば、労働市場で男女の機会均等化、あるいは年齢差別の廃止、そういうことが非常に大事だと思いますけれども、こういうものに対して法的な整備が必要です。自然的に出てくると思いません。ですから、もう少し強く労働市場での差別に対しての法的整備の必要性を明確に書いた方がいいのではないかと思いました。

 最後に、小さな話に戻っていきますけれども、単身赴任です。11ページで、単身赴任に対してのポイントは、「命じる」という単語そのものだと思います。ある人が家族と全く違うところで仕事をやりたいと思っていたら、それを誰も問題視するわけにはいかないですけれども、会社はそれを命じる権利がある、個人は自分の仕事を選ぶ権利がないと、前回に配った資料にありましたが、日本の裁判はそういう決断を下しました。その決断こそが問題だと私は思っています、その心理的な背景が。ですから、個の時代、選択の時代であれば、命じる権利はないです。そして、その命令が拒否されたら、その後の企業からのいじめと差別も訴訟の対象になってもいいと思っております。

 もちろんすべて単身赴任が問題があるということではないし、場合によっては、それを喜んでやっていることも当然にある。ただ、企業が人に命じる権利があり、人が仕事の権利を全く持っていないということこそが問題だと私は認識しています。

 ですから、これはその前の男女の問題と年齢の差別のように、自然的に直るような問題ではないと思っています。

〔部会長〕

 私も、性差別については、ある程度法律的な進展がありますけれども、年齢差別については、日本の場合には法制度的な進展がありませんので、できるだけ早く制定される方がいいし、検討の必要は、私自身は個人的な意見として持っています。

 最近の失業者も、就業できない中高年の最大の理由は、企業が求めている年齢と自分の年齢が合わないということが労働力調査の特別調査でもわかっています。そうすると、どんなに賃金を下げても、あるいは能力を身に付けても、年齢がいっていたら雇ってもらえないことになりますので、この辺はぜひ法律的にも進めるべきではないかと思っています。

 11ページのところですけれども、H委員の今のご意見を受けますと、例えば、このコラムの中で2つ目のパラグラフの、「しかし一方で」の次の、「企業は」から「命じ、また」ぐらいまでは消した方がいい、そういうご意見でよろしいですか、例えば。

〔H委員〕

 当然、個人の選択であればそれはいいのですけれども、個人は仕事の選択、拒否する権利があるはずということです。

〔部会長〕

 ですから、「個人の選択」の前のところまでを取ればよろしいでしょうか。

 例えば、どこへでも転勤して行くという姿である。その後、もちろん「本人も自らのキャリア形成のために転勤とそれに伴う」……というようなことでどうですか、というご意見として承りましたが。

〔H委員〕

 そうですね。ですから、「企業、人材の適材適所の配置や従業員のキャリア形成等を考慮して転勤を命じ、又」まで……。

〔部会長〕

 まで消せばいいということですね。

〔H委員〕

 そうですね。

〔部会長〕

 わかりました。

〔G委員〕

 私、とりわけ企業と個人の関わりの問題は、大筋で異論はないわけでありますが、ただ、全体を流れている考え方がそれぞれ現行ある様々な制度を直していかなければいけない、こういうところに問題があるという、そういう問題意識は全く同じで異論はないのですが、実は、こういう改革をしていくときの前提条件があるのではないだろうかと。

 ですから、あくまでもこういうことをやれば、こういう見直しをすれば、それぞれ働きたいときは、ある程度雇用といいますか、働く場所が確保された前提で、今まである制度はこういうふうに直していくべきだということであれば全く異論がないのですが、これだと、ともかく現状をこう直せ、問題があるということだけでなっていきますから、どこか基本的なところで、サラリーマンの雇用機会をどうやってつくっていくかという、まず保障、働く場所としてセーフティネットがあり、あるいは失業なら失業といった場合の保険や職業訓練を含めたセーフティネットかあって、その上に様々な従来型の長い慣行で培ってきた制度上の問題を改革していくべきだ。こういう流れでまとめていただけると、大変私どもとしてはありがたいと思っています。

 それから、今、H委員といろいろご議論いただいた単身赴任の問題ですが、これは職業人として仕事にやり甲斐を持っていくという部分でとらえた単身赴任はいい。しかし、通常の会社業務の、例えば業務命令の系統とか、それから、本人は仮にいくら自由な選択だといったって、やはり言われた以上は……という部分があって、表面だけはあたかも本人も同意したという格好にならざるを得ないのだろうと思うのです、会社の中では。ですから、ここのところは、個人のそういう意思を会社の仕組みの中では必ずしも活かせないという環境条件はきちっと前文で触れておいた上で、しかし、これからは一人一人の個人が単身赴任を含めて、仕事との関係でどのように自主的に決めていくのか、あるいは企業の側は、後段にあるように、ただ単なる業務命令だけで従業員を動かすことはできないよという流れの方が、私はいいのかなという気がしています。

 もう一つ、10ページの「これからの家族の機能」、特に3「経済的側面の機能」の夫婦共働きの問題と、「労働条件についての男女間の平等」の問題ですが、これは非常に厄介な問題です。今、私どももいろいろな会議の場所で議論しているのですが、以前申し上げたとは思いますけれども、今の私たちが、通常このくらいの賃金といっている水準自体は、実は、1人の収入で扶養家族3名、つまり家族4人の生計費という概念になっているわけです、大体一人前の賃金というのは。そうすると、共稼ぎをした場合には、男女平等にすると、それを前提にすれば8人分の収入を共稼ぎの場合は得られる。そういうことが実体の経済環境の中でできるかというと、それは恐らく無理だろう。そうすると、北欧みたいに、現行の男性の賃金を7割ぐらいにまず下げて、そして、男女平等を実現して、足せば従来の2人分プラス・アルファぐらいになる、というような考え方をこれから取っていかないと無理なのではないか。そのいい悪いは別にしまして、議論の過程としてはそういう議論になっていくわけです。

 この文章だけでいくと、今の賃金の様々な労働条件にある格差、つまり女性が低く処遇されているから高くしろという意味での平等というとらえ方にどうしてもなるのです。ですから、男女の労働条件の平等化の問題というのは実はそういう側面があるというのも記述しておいた方が誤解がないのではないだろうか、僕はそんな気がしています。

〔部会長〕

 最後の点は、要するに生活給というのを考えるときに、家族単位の生活給か、個人単位の生活給かということですね。もし個人単位の社会でいくのであれば、個人単位の生活給を前提とした男女平等というのが、理屈の上からは整合性が取れるのではないか、そのようなご意見と伺ってよろしいですか。

〔G委員〕

 それで結構です。そういうふうに、私自身は思っています。

〔部会長〕

 わかりました。

 大分議論を進めてきたわけですが、最後に確認をしておきたいのです。先ほどA委員あるいはF委員、あるいはC委員からもお話がありましたけれども、ペンディングの中で、年金の問題の21ページ、学校の選択の話の18ページ、ここのところは少なくとも、これが全部なくなってしまうとか、著しく後退するということでは困るということが、委員の皆様方の総意であるというふうに確認させていただいてよろしいでしょうか。

 A委員にちょっと確認したいのです。例えば、21ページを修文する可能性があるとしたらどのようなものがいいか、何かご意見がございますか。先ほどのA委員のご意見ですと、別紙に改めて対応表を付ける必要はないのではないか、というような具体的なご示唆があったかと思いますが、それはそのように受けとめてよろしいでしょうか。

〔A委員〕

 21ページのペンディングのところを、また書き出すとこれはこれで非常に大変なところだと思いますので、課題があるという形で残しておくぐらいしか、限られたスペースではしょうがないのではないかと思いますけれども、ただ、別紙の書き方が、先ほど部会長も指摘されましたように、完全な両論併記ですので、その意味で非常に中立的と言えば中立的なのですが、そうだとするとあまりにも客観的すぎるなという感じがします。

 どういう形で書くのかというのはわかりませんが、あえてこういうのを残しておくというのは、ちょっと問題があるかなという気はします。

〔部会長〕

 わかりました。

 それから、F委員のご意見は、少なくとも、あるべき姿の方の話と教育については、あるべき姿のラインぐらいまではちゃんと戻すべきではないかということですね。

〔F委員〕

 そうです。

〔部会長〕

 具体的には、先ほどのような、特に教育委員会についての記述を削除してはいかがかと。

〔F委員〕

 「個」とある以上は、ある意味では、資格社会化といいますか、資格試験化するという道が……、ある程度そうでなければならないのだろうと思うのです。その辺もちょっと抜け落ちているなと、この辺は私の怠慢だということなのでしょうけれども。

〔部会長〕

 わかりました。

 最後にI委員、まだご発言がございませんので、何かご意見をいただきたいと思います。

〔I委員〕

 配偶者控除の問題ですけれども、先ほど、専業主婦が1,200万人おられるという現実から考えますと、この問題については、早急に結論を出すのがまだ早いかなと思います。

 それから、18ページの教育の問題ですが、ある意味で、教育の世界も少し新しいチャレンジといいますか、競争が出てくる。どこを選ぶかということは、当然そこに、どういう教育をするかという競争が出てくるわけで、そういった部分がレベルを上げていくということにまたつながっていくのかなと。経済みんなそうで、みんな同じことをやっていますから全然変化がない。何か新しいことを誰かが始めないと変わっていかない。そんな意味では、ここに書いています学校を選択できる、これはいろいろな意味で教育が変わっていくスタートになるかなという気がします。

 それから、政策(素案)の14ページに「新しい政府の役割」ということで、「官から民へ諸機能が移管され、企業活動や産業に対する政府の関与は極力縮小される。」「可能な限り国から地方へと権限が委譲され、地方分権が進む。」ということで言い切っておりますが、本当にこういうふうになるのかなと思っています。

 部会報告の6ページに、「創造的な社会を維持していくためには、新しいものが生まれやすく、また生み出しやすい気風や環境を我が国社会に醸成していくことが重要であり、異質なもの」を認めようということが書いてあります。まさにこの「異質のもの」をなかなか認めないというのが今の行政でありまして、そんなことは聞いたことはない、あるいは、そんなことはいまだかつてあったことがない。そのような入り口の論議でなかなか前へ進まないということでありまして、全体的に今盛んに言われています規制緩和、21世紀、次の世代というのはどういう活力をもった社会にしていこうかという議論をずっとしてきたわけですけれども、重要な部分というのは、私は規制緩和が非常に大事なことかと。大変に言葉では言われておりますけれども、現実の問題としては、要するに提出する書類だとか、その手順だとか、手続というもの、その実際の各論の部分はほとんど進んでいない、そんな感じが私自身はしているわけであります。

 何か、今日本人全体が守りに入っているといいますか、今の生活レベルを落としたくないといいますか、そんな時代かと思いますけれども、21世紀というのは、もうちょっと前向きにみんながいろいろなチャレンジができるような、そんな社会にしていかなければいけないなと思いますと、むしろ行政改革も規制緩和もその各論の部分がもうちょっと進んでこないと……。言葉ではわかるのですが、実際にはそんな形であらわれてきていないというところに大きな問題があるかなという気がします。

〔部会長〕

 どうもありがとうございました。

 まだいろいろご意見もあろうかと思いますが、次の議題もございますので、委員の皆様におかれましては、後ほどお気づきになった点、追加意見等がございましたら、ぜひ事務局までご連絡いただきたいと思います。

 事務局には、本日の議論を踏まえて、特にペンディングの部分については、この部会報告書の修正をしっかりとお願いしたいと思います。特に、これは委員会の報告ですから、委員会の意見と各省庁の意見が両論併記みたいになっては意味がないわけで、その点は、私も少し事務局の方に強くお願いして、最終的な報告をまとめたいと思っております。

 それでは、部会報告のとりまとめと公表並びに、経済審議会としての答申の予定について事務局から説明をお願いいたします。

〔福島推進室長〕

 部会報告書につきましては、今、部会長の方からお話がありましたように、本日の議論を踏まえ事務局で修正した上、部会長にご相談しましてとりまとめていただき、6月末頃に当庁において記者会見を行い、公表させていただくことを考えております。

 また、経済審議会としての答申につきましては、来週、基本理念委員会という各部会の部会長・部会長代理の方にお集まりいただく委員会を開催いたしますけれども、そうしたところで各部会の調整を図った上、企画部会で答申案を固めまして、7月上旬にも経済審議会の総会にお諮りし、総理に答申する予定でございます。

〔部会長〕

 それでは、ただいまの事務局の説明のとおり、本日のご議論を踏まえました部会報告の修正並びに公表につきましては事務局と相談の上、私の方で責任をもって行わせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

〔部会長〕

 ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきたいと思います。

 引き続きまして、企画部会において議論しております「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」素案の序章につきまして、今、堺屋長官もお見えになりましたけれども、事務局から説明していただいた後に、ご議論いただきたいと思います。

 それでは、まず事務局より資料について説明をお願いしたいと思います。

〔福島推進室長〕

 お手元に「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針(序章)」と書いたものがございますので、手短にご説明いたします。

 まず、序章の集約、知化経済の構造と倫理ということでございます。まず、日本経済が現在の不況から立ち直った後の「あるべき姿」とそれに至る政策を提示していくことが必要ということで、「目下、進行中の世界文明の変化は」、「近代工業社会を超越して、新しい多様な知恵の社会に至る転換である」というふうにとらえております。

 そういう中で、この「経済社会のあるべき姿」においても、「経済構造や経済活動だけではなく、新しい経済社会の根底をなす条件、目標、概念について明確にしておかねばならない」としております。

 第1節「最適工業社会の繁栄と行き詰まり」ということで、特に第二次世界大戦後の日本というのは、すべての資源と能力を経済の発展、とりわけ近代工業化に振り向けてきた。そこでは、そういう日本社会の中での国民的合意としまして、1ページ~2ページにあるような、

  • 国際的位置付けでは西側自由主義陣営に属して専ら経済発展を目指す。
  • 産業経済においては、産官の協調による、規格大量生産型産業を育成する。
  • 情報と地域構造では、首都東京に集中し、全国を均一の市場とする。
  • 教育では、辛抱強さと協調性と共通の知識や技能を持つ人材を育てる。
  • 社会構造は、職場にのみ帰属意識を持つ「会社人間」。
  • 企業経営では、閉鎖的雇用慣行や集団主義構造を備えた「日本式経営」。

というものがあったのではないかということであります。

 また、こうした合意の背景には、効率と平等と安全を3つの正義とする価値観があったということで、この結果として、非常な高度成長を続けてきたということでございます。

 2ページの真ん中あたりにありますように、1980年代末になりますと、日本でも規格大量生産型産業の拡大は限界に達し、投資対象の減少から資金過剰状況が生まれた。そこからバブルの発生、あるいはその崩壊ということで、「現在(99年夏) に至るまで、本格的には立ち直っていない」ということでございます。

 3ページ目にいきまして、「戦後の成長を支えてきた近代工業社会の規範が、人類の文明的な流れにそぐわなくなったという、極めて根本的な問題がある」という認識で、「本答申においては、まず最初に、「集約」として2010年を目途とした経済社会の『あるべき姿』の概念(コンセプト)を明確に示すことにした」としております。

 第2節「『あるべき姿』の条件」ということで、2010年頃までに到達する日本の経済社会は、次のような諸条件が必要ではないかということであります。

 1「知恵の社会化対応」ということで、「これからの多様な知恵の社会においては、絶えざる新しい知恵の創造による経済と文化の活性化が行われることになる。」としております。

 2「少子高齢化対応」ということで、「2005年頃から進む労働力人口の減少に耐え得るシステムと慣習」、「多様多源な供給の源泉を持つべきである」ということでございます。

 4ページ目、3「グローバル化対応」ということで、「21世紀はそれぞれの地域で国家集団が成立し、各国がその中でも外に対しても経済と文化の影響力を競い合う時代になる」。日本の「あるべき姿」として、「モノ、カネ、情報知識が自由に出入りするだけでなく、世界の流動の『集散』の場となるべきである。」としております。

 4「環境制約対応」ということで、「規格大量生産型の供給体制は」、「環境保全との関係でも、その転換は不可避である。」「製品を資源に戻す逆製造業の新しい概念を持つべきである。」としております。

 第3節「『あるべき姿』の目標」ということで、「最大自由と最少不満」という言葉を書いております。

 1「『個』を基盤とした自由と『公』の概念」では、政治や行政というものは、客観的幸福の最大値を達成すべく、これまでいろいろ規格的なことをやってきたということですが、「多様な知恵の社会においては、商品サービスはもちろん、雇用や勤務の形態や人々の帰属対象までもが多様化する」ということで、「各個人がそれぞれの好みによって、人生の目的とその達成手段とを選び得る個人の自由が、社会全体として最大にすることが重要である。」としております。こうした個の自由の追求のためには、相互の了解としての「個人」の概念が形成される必要があるということであります。

 2「人権と尊厳が守られる経済社会」ということで、「こうした競争社会では失敗者や社会的弱者も少なからず存在する。また、高齢者や保護者を欠く幼児も増えるだろう。『あるべき姿』の経済社会では、これらの人々の人権が完全に守られ、成功への挑戦の機会と人間としての尊厳が守られなければならない。ただし、守るべきは個人の人権であって、経済的利権や行政的権限であってはならない」ということを指摘しております。

 3「成長拡大傾向を維持する経済」ということで、国民1人当たりの成長のみならず、総体としての国民経済も成長拡大傾向を維持する必要がある。総体としての経済規模の縮小ということになりますと、そこに並べてありますような、設備と負債の恒常的過剰化、投資対象の減少、利権重視、等という問題が出てくるのではないかということでございます。

 第4節「『あるべき姿』の概念」ということで、「以下のような経済社会の構造と気質が浮かび上がってくる。」としております。

 1「自立した『個』を基盤とした経済社会」ということで、人類文明が多様な知恵の時代に向かう中では、今後は、日本式の企業経営あるいは「会社人間」というものも維持できなくなる。経済社会のすべての基盤は自立した個人にある。個人相互も企業も政府も、「縦」の関係ではなく、「横」の関係となり、社会の営みは相互行為になるということであります。

 2「多様多角的な繋がりのある複属社会」ということで、「個」を基本とした社会を維持し、良化していくいためには、最良のコミュニケーション関係を創り上げなければならない。そのためには、すべての人々が自ら考え表現する発想と慣習と技能を持つことから始まるということであります。7ページにまいりまして、また、各個人が自らの好みによって帰属意識の対象を選ぶことになる。家族や職場以外に、多くの人々はこれらに加えて好みの縁で繋がった集団に帰属する「複属者」となるとしております。

 3「経済社会における『官』の役割」ということで、「政府(官)の役目は、自立した個人が自らの好みに基づく自由なる選択を行い、個性と独創性を発揮し得る社会的条件を整え、それを維持するためのルールを明確にし、適切に運営することに純化する。」としております。

 8ページにまいりまして、そうした中で、「あるべき姿」の経済社会として、新規参入の自由と消費者主権が確立されていることが必要ですし、さらには「供給者の情報公開義務」、消費者にとっては、消費生活を秘匿する権利としての「プライバシーの保護」が必要であるということであります。

 4「創造的に変革する企業経営」では、「社会の単位である個人の活動を組織化した経済活動の主体となるのは、民間の企業や団体である。」ということで、下の方にまいりまして、「多様な知恵の時代では、組織は人間によって構成される」。知恵の値打ちの創造が経済成長と企業利益の主要な源泉となり、最大の生産手段は「知恵」と「経験」と「感覚」となっていくとしております。

 9ページ、5「多源的補充性のある経済社会」として、「少子高齢化が深化する中で、総体としての経済成長を保ち、グローバル化する世界」での経済社会を築くためには、「強い刺激と必要機能の補充が欠かせない」ということで、「年齢性別を超えた人材の活用はもちろん、外国からの才能や機能の補充も必要となる。」としております。

 第5節「経済選択の基準としての価値観」では、「『あるべき姿』の経済社会が実現し、維持され、適切に運営される根底には、常に世の中の動く方向を選ぶ基準としての価値観が必要」ということで、近代工業社会では、効率、平等、安全を「正義」としておりましたが、これらに加わって、4番目に自由が出てくるのではないかということであります。

 10ページ、1「効率」、近代工業社会で最も重要な正義であるということで、21世紀においても効率性をより重視しなければならないだろうということであります。

 2「平等」、戦後の社会においては、世界的にも非常に重視されてきたわけですが、「機会の平等」と「結果の平等」につきましては、結果の平等を重視するというので今まで失敗してきたということで、「あるべき姿」においても、「平等」は極めて重要ではあるけれども、「機会の平等と事後の調整」の組合せとなるのではないかということであります。

 3「安全」、安全の第1は平和と治安。安全の第2は無事故・無災害。安全の第3は財産の保全。安全の第4は健康。それらに加えまして、全地球的規模に「安全」という概念を拡げて、「地球環境の美化と保護とを正義の一部に加えるべきである。」としております。

 4「自由」、「これまでの日本では、自由が社会正義とは認識されていなかった。」ということで、その最終行で、「自由」が正義として認識されていないために、自由と、その他の3つの正義である効率、平等、安全とが抵触した場合には、政治的議論として調整される前に、行政の判断で自由が抑えられてしまう状況にあったということで、自由というものなくしては、「『個』を基盤とした『横』に繋がる社会の形成も、激しい競争による生産性の向上や経済成長の維持も、不可能である。」「『あるべき姿』の経済社会が個の自立と競争による繁栄と楽しさを追求する経済の仕組みと心掛けを持つためには、『自由』が社会正義と認識されなければならない」ということであります。

 以上でございます。

〔部会長〕

 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの事務局からご説明のありました、「委員限り」資料の「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」の序章の素案につきましてご議論いただきたいと思います。

〔堺屋経済企画庁長官〕

 皆様方にいろいろとお世話になりまして、各部会報告が整ってまいりました。それを1本にまとめて総会の報告書にしようということでまとめたのですが、非常に膨大な項目がございます。80ページぐらいのものですが、かなり網羅的に書かれているわけです。

 この「あるべき姿……」の「あるべき姿」というのがもう一つピンとこない。

 先日、経済戦略会議にも出たのですけれども、235項目にわたって改革が示唆されたのですが、それでできる日本の世の中、10年後あるいはその後に日本が完成しようとしている世の中がもう一つ見えないという批判が非常に強くありました。

 今、日本人がいちばん求めているのは、そういった未来不安を除く、できるだけわかりやすくて明確な日本国の姿ではないか、というような意見が非常に強まってまいりました。それに応えるものとして何か全体を集約したものを出さなければいけない。こういうふうに考えて、私自身が書いた文章でございます。これを報告書の最初に出したらどうかと考えております。

 そういう観点でちょっとご覧いただいたらいいと思うのですけれども、かなり従来と違ったことを書いています。

 何で、過去13回やったうちで今回だけこれを書いたかというのが、1ページ~2ページの説明でございます。戦後は、1つの国民的合意があった。これは「俺は合意していない」と言う人もいるかもしれませんが、明らかに西側陣営に属してきた。官主導と業界協調もそのとおりであった。地域構造、情報の問題もそうであった。そういった合意の中で、職場中心の「会社人間」、いわゆる職縁社会をつくっている。これが今変わらなければいけないということをまず書きました。

 その次でございますが、なかなか一言に書くのは難しい、また誤解も呼びやすいものですから、まず、この社会はこういう条件を満たした社会でなければいけないというので、知恵の社会化に対応すること、少子高齢化に対応すること、グローバル化に対応すること、環境制約に対応すること。

 それで、この社会が目指すべき目標というのは、国民の総体としての自由と、総体としての不満の最少であるということを述べております。

 そのためには、自由な競争とともに人権が守られなければいけない。これが利権になってはいけない。そして、それを守るための負担が大きくなって不満が生じることがあってはならない。だから、不満最少の原則というのも挙げております。

 それから、経済成長を維持しなければいけない。5ページのところですが、これは非常に明確なことを書いておりまして、人口は減るから経済成長は維持できない、もしくはしなくていいだろうという意見もあるのですが、世界中たくさんの例を調べてみましたけれども、人口が減って産業と文化が発展した例はほとんど見当たりません。だから、あらゆるところで人口が減りだすと悲惨な現実が生まれておりますので、これは必要ではないかという認識を示しております。

 最後に、コンセプトでございます。条件と目標を設定して、次にコンセプトを書いて、その後には当然、シナリオを書いて、シンボルを書くのでございますが、そこまではちょっと至っておりませんけれども、コンセプトを書いております。

 その1番目は、自立した「個」を基盤とした経済社会である。人類は、地縁社会、血縁社会を経て職縁社会になった。それが今崩れようとしているので、それぞれが「個」を基盤とした「横」の繋がりで、ハーバマスの相互行為という概念を持ち出しておりますが、そういうものであるべきではないかということであります。

 2番目は、多様多角な繋がり。会社だけに属するのではなしに、複属する人間が絡み合うような社会になってくるのではないかということであります。

 3番目は、経済社会における「官」の役割。これを非常に限定的に書くと同時に、官とは別に、「公」の概念が生じるだろうということを申し上げております。

 4番目は、創造的に変革する企業経営は、日本式経営の逆でございまして、非常に流動性の高い、能力外の世界になるだろうということを書いております。

 5番目の「多源的補充」、これも問題のあるところでございますが、高齢者や育児期間の人々も働きやすくして、経済的要素の1つである労働力を確保しなければいけないとともに、2007年頃からは、少子化・都市集中社会を想定すれば、文化的刺激や教育経営から、生活支援サービスや介護まで広範な分野で多源的補充がなければ満足な社会運営ができないと書いております。これは暗に労働移民を含めたものです。

 世の中には3種類の意見がございまして、まず、労働移民は絶対いやという人がおられます。その次には、技能者あるいは経営者だけ入れてもいいけれども、一般労働者はやめた方がいい。それから、一般労働者も含めてかなりの数を入れてもいいのではないか、と3つに分かれているわけです。

 1番目の選択肢は、猛烈な勢いで縮小いたしますから、日本経済が保てない。最初に書いてあるような悲惨な事態が起こるのではないかという気がいたします。これはいろいろな人が、いろいろな時期に、いろいろな方法を考えて一度も成功したことがないので、日本も難しいだろうと思います。

 2番目の、能力・技能・知識のある人だけを入れたらいいという案でありますが、これもなかなか難しくて、会社の上部は全部外国人で、ダーティワークだけを日本人がやるという社会に我々は本当に耐えられるのかどうか。アメリカの場合は、いろいろな地域にいろいろな人がおりますから、最近、コンピュータ関係でチャイナインディアというのが流行っているようでありますが、それでも耐えられますけれども、会社へ行くと上の方は全部外国人で下の方は日本人で本当にいいのかと言われると、これまた難しい問題があります。

 そうすると、秩序ある適切なる多源補充しか残らないのではないかという感じを持っております。

 第5節「経済選択の基準としての価値観」の中で、新しい効率、新しい平等、新しい安全、及び自由の4つが正義でなければならない。ここは、経済倫理というのが根底になければあり得ない。いちばん最後にその点を強調しているのでございますけれども、この点がいちばん今の議論の欠けているところで、子供の個性を重視すべきだと言いながら、茶髪はいかんとか、化粧はしてはいかんとか、各論ではものすごい統制なのです。今のような、個性重視と言いながら事実上は毎年毎年統制が強化されてきている。そういうことのないように、「あるべき姿」の経済社会が個の自立と競争による繁栄と楽しさを追求する経済の仕組みと心掛けを持つためには、「自由」が社会の正義と認識されなければならない。この点を曖昧にしたのでは、日本は世界経済の主要なブレーヤーにとどまることはできないだろう。自由は第4の正義として確立されるべきである、と強調しているわけでございます。

 これは好き嫌いの点があろうかと思いますので、十分議論していただきたいと思います。

〔部会長〕

 それでは、皆様、ご忌憚のないご意見をよろしくお願いいたします。

〔A委員〕

 非常に格調の高い文章だと思いますけれども、基本的に日本経済がこれまでは、個々の個人のレベルで考えますと、ほかの人と同じことをやると、結果としてみんながうまく行ってきたという社会から、これからは、あるいは既にそうなっていると思いますけれども、ほかの人と違ったことをやらないと、その人にとっても日本経済全体にとってもうまく行かなくなってきている。その意味で、他人と違うことをやるということは、その人の独自性ですから、そこで知恵というのが効いてくるのだろう。それが自由ということにもなるのだろうと思うのです。

 そのときに重要な点というのは、ほかの人と違ったことをやったことの成果がきちんとその個人に持続するという、要するにインセンティブの問題だと思うのです。自由にしても、自助努力をしてもその成果があまりにもその人に帰属しないのでは、結果としてそういったインセンティブはなかなか生まれてこないわけですので、そのあたり、ほかの人と違ったことをすると、それが結果としてその人にいちばんメリットが大きくなってきて、それが社会全体にも波及する。

 それから、それぞれの人がいろいろなことをして、失敗しても、長い目で見れば、あるときに失敗した人が別の時間がたてば成功することもある。長期的には、失敗する人と成功する人とが大体均等になる、そういうことだろうと思います。

 その意味では、基本的な考え方は賛成ですけれども、例えば、10ページの「平等」のところの考え方とか「効率」とか「自由」のところを、全部が同じ形で置くよりは、「自由」なり「効率」の方を強調して、「平等」に関しては、今までは平等は――みんなと同じであればいいという形の結果の平等ですけれども――かなり重視されてきたと思うのですけれども、それとは違った形で、みんなと違ったことをやることが本人にとっても、日本全体にとってもいいのだという形に変えるとすれば、それに見合った形での公平とか平等の考え方自体も変わってくるのだということがもう少しはっきりすれば、なおいいのではないかと思います。

〔G委員〕

 最後の自由のところの問題ですが、これを読んでいますと、結局、ミーイズムみたいになっていくような気がするのです。ですから、先ほど議論した6ページ、この部会としての「自由」の部分は、責任が伴うものだ・責任のある自由という部分を部会としては強調したので、この序章でも、ここで言う自由のところは、その結果における責任が逆に言えばそれによって付いてくるというところを、どこか1行ぐらい、きちっとした上での自由を4番目の正義として認めていくという流れの方がいいかなと私は感じます。

〔E委員〕

 9ページの5番、「例えば家事や育児のアウトソーシングのできる」というところで、下には介護は出てくるのですが、ここに介護が入らなかったのはなぜかと思ったりします。高齢者とか育児期間の人も働きやすい条件と言えば、介護もそういう中に入らないかなと思いました。

〔H委員〕

 11ページの真ん中、「この結果、個人の自由な選択を狭めただけではなく、社会的な巨額の損失と産業技術の停滞を招いた」ということは、政府の責任を認めるということですか、不良債権運用の問題とか。どういうニュアンスがあるのでしょうか。12行目ぐらい、「安全の第三は財産の保全である」という……。

〔堺屋経済企画庁長官〕

 これは、そうです。他の部分でも、バブル以後の処理の悪さというのは入っております。

〔F委員〕

 合意が得られるかどうかわかりませんが、かつての1つの考え方で復権した方がいいような考え方もあると思います。それは、美意識の涵養です。

〔部会長〕

 美意識の涵養、それはどのあたりのところに。

〔F委員〕

 4つ挙げられました。その後、1つ。

〔部会長〕

 新しい価値基準の……。

〔F委員〕

 はい。その中に責任とかいう問題も入ってくるのではないかと思うのです。表現の問題として。

〔堺屋経済企画庁長官〕

 価値観は倫理と美意識からなるのです。だから、倫理を書いたら美意識を書かないのは片手落ちだという議論が出てくるのですけれども。小渕内閣といたしましては、もう一つ21世紀懇談会というのを走らせておりまして、そこで「富国有徳」というテーマをやっています。全部をここで書いてしまうと、向こうの書くことがないのではないか、という説もあるのですけれども、確かにお説のとおりだと思います。

〔部会長〕

 D委員、I委員、何かご意見がございますか。

〔D委員〕

 私がこういうことを言うのもナニでございますけれども、素案の中で、裏に潜っている話ではないかと思うのですが、情報化という問題が非常なテンポで進んでいるわけで、情報の氾濫といいますか、個人個人で「これが正しいか正しくないか」という判断を、自分の責任でやっていくことがこの氾濫した情報の中でなかなか難しい問題があるのではないかという気がするわけです。

 それで、11ページの真ん中辺にございますが、経済に関する安全、財産の保全は、正確にして十分な情報の供給と、失敗者などに対する安全ネットの存在に限り、個人が自らの判断によってリスクを取ることを」と。この「正確にして十分な情報の供給」というものが、今まではどちらかというと官がそれをやっていたのではないかと思いますけれども、官はもうそれをやらないということになりますと、一体これはどういう形で判断できるのか。専門家の場合には問題ないわけですが、一般の人たちが財産を保全するという1つの例を取った場合に、果たして正しい情報というものをどういう形で確保できるのかというような問題があるような気がいたします。

 情報の氾濫している中でどういう形で情報を選択していくか、こういうことが1つの課題ではないかという感じがするわけでございます。

〔I委員〕

 一定のルールの中で自由にやるということが、私はいちばんいいことなのかなと思います。

〔部会長〕

 どうもありがとうございました。

 まだいろいろご意見があるかと思いますが、時間の関係もございますので、委員の皆様におかれましては、後ほどお気づきになった点、追加意見等がございましたら、事務局の方にご連絡いただきたいと思います。

 それでは、本日をもちまして、部会報告書の議論を終了いたしまして、先ほど皆様方からご了承いただきましたような形で公表へ向けた作業を進めてまいりたいと思っております。

 ここで、せっかくの機会でございますから、先ほども既に意見開陳をいただきましたけれども、堺屋長官よりご挨拶をいただきたいと思います。

〔堺屋経済企画庁長官〕

 皆さん、今年の1月以来、長時間大変熱心にご議論をいただきましてありがとうございました。

 今回の我々の作業は、過去13回続きました経済計画の後を受け継ぎまして、もはや計画を政府が作る時代ではないというので、このような「あるべき姿」と、それに至る政策という形でお願いをいたしました。

 したがって、報告書の形は、大幅に変わると思います。それに伴いまして、何を閣議決定するのかというのが、また問題になっているわけです。

 前回の閣議決定を見ますと、ご答申いただきましたものが別冊になっておりまして、別冊のようなものを指針として今後の経済運営をする。それを決めているのでございまして、別冊の中身を一言一句決めているわけではなさそうでございます。

 いちばん問題は、今ご審議いただきました最初に書いてありますように、従来と考え方が変わってきていると皆さんがおっしゃるわけです。世界も変わり、日本も変わり、技術も変わり、人も会社も変わっている。こういうわけなので、新しい世の中の概念を示していただかなければ心配だ。その新しい世の中というときに、年金がどうなるのか、予算がどうなるのか、税金がどうなるのかというような極めて具体公準的な問題から、どういう生き方をするのか、少子化、グローバル化が進む中で我々はどんな生き方をすべきなのか、あるいは我々の地域はどうなるのか、我々の業種はどうなるのかというような不安が非常にあります。

 それでいろいろなところが答申を出しますけれども、その全体像としての描き方がなされていないということで、ここに素案を付けさせていただきました。

 これでいろいろな方々に見ていただきまして、まだまだ不十分だ、これではまだわかりにくいという人もおられるでしょうけれども、ある程度の妥協を加えて、この線ぐらいまでに収まればと考えております。

 本当にこれから10年後、そして10年後からその先使われるような日本の仕組み、そして、その日本の仕組みをつくるためには、先ほどF委員からご指摘がありましたように、倫理感と美意識がないといけないです。

 これが今いちばん問題で、例えば、大学を出て新しい企業を起こすよりも、大企業や役所に勤める方がいい。あるいは、変わった服装をするとすぐ中学校の先生に怒られる。怒る先生がいいのだ。茶髪をしている、ピアスをしているとたちまち不良だというような、一方で個性をよくしようと言いながら、他方ではそうはなっていない。これに一石を投じるには、かなり極端な議論が必要だろうと思うのです。

 それは各省との間で、これから折衝するのに大変苦労されるところだと思っておりまして、どれだけ、どのような形で直ってくるかというのも、ある意味では楽しみ、ある意味では心配であります。

 ここで、日本が明治以来、終戦直後に勝るとも劣らぬ変化の時と言っているわけですから、これは大胆にやっていかないといけないなという気がしておりますので、皆様方の方でも、ぜひご支援、ご支持、また修正のご意見がございましたら、まだ時間もございますので、ご連絡いただいたらありがたいと思っております。

 大体の考え方としてこんなものでよろしいでしょうか。忌憚ないご意見を伺いたいと思います。

〔部会長〕

 よろしゅうございますでしょうか。

 それでは、堺屋長官の自らお書きになった非常に格調の高い素案、あるいは「あるべき姿」の素案、相当変えなければいけない、これから変わっていくということが大胆に書き込まれているわけでございまして、それがこの部会報告のレベルであまり変わらないというふうに押し戻されてはあまり意味がございませんから、そういう面でも事務局の方にはぜひ頑張っていただきたいと思っております。

 いずれにしても、何回にもわたりまして、また長時間本当にありがとうございました。改めて私からもお礼を申し上げたいと思います。

 それでは、本日の部会、それからこの部会のすべての審議はこれで閉会にさせていただきたいと思います。委員の皆様におかれましては、本当にありがとうございました。

以上

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