第9回 経済審議会・国民生活文化部会議事概要

1 日時

 平成11年6月18日(金) 10:00~12:00

2 場所

 経済企画庁特別会議室 (第四合同庁舎4階436号室)

3 出席者

 (部会) 清家篤部会長、井堀利宏、大田弘子、鈴木勝利、ピーター・タスカ、永井多惠子、浜田輝男、森綾子、湯浅利夫の各委員

 (事務局) 堺屋長官、中名生総合計画局長、高橋審議官、大西計画課長、佐々木計画官、塚原計画官、福島推進室長

4 議題

  • 国民生活文化部会報告について

5 議事内容

 事務局より、資料1「国民生活文化部会報告(案)」、資料2「「経済社会のあるべき姿と政策方針」(素案)」、資料3「「経済社会のあるべき姿と政策方針」に関する意見募集等の結果」について説明した後、まず、「国民生活文化部会報告(案)」について討議。各委員からの主な意見は以下のとおり。

(各委員の主な意見)

  • ○個が中心となる社会を迎えるという観点からは、今回の年金改正案が抜本的であるとは言えないので、公的年金の「長期の制度維持のための取組み」については必要である。
  • ○別紙について、年金についてのみ表にまとめていることや、支持と不支持の両論併記されていることの意図は何か。中立的すぎるので残すには問題があると思う。
  • ○公的年金の「長期の制度維持のための取組み」について、「長期的に維持可能」とするのは事実とも違うのではないか。現在の改正案ではb,cは先送りとされており、長期的に制度が維持可能とは確約できていない。世代間の不公平という観点からは、今回の改正案はあまり意味がないので、部会として今回の改正案で十分という結論を出すことには反対である。
  • ○「NPOに寄付した際の税の優遇措置の導入」について、税の優遇措置はすでになされているので、「導入」ではなく「改革」とした方が良いのではないか。
  • ○「教育委員会の取組みの促進」について、「市町村教育委員会が」学校選択を進めるとあるが、教育委員会を主語とするのはいかがなものか。
  • ○「雇用形態の多様化に対応した制度を確立するための具体策」、「家族構成員の個別化の進展に対応した施策」、「NPOの活動を推進するための具体策」のペンディング部分は全て税金についてである。いずれは検討しなくてはならない問題だと思うので、方向性を示すことが悪いというのであれば、別の表現にしてはどうか。
  • ○公的年金の「長期の制度維持のための取組み」について、厚生年金の「積立方式への移行」や「民営化」という方向性を打出すのはまだ時期が早すぎると思うが、問題点として示すのは良いことだと思う。
  • ○NPOの寄付税制について、NPOの資金は公だけでなく企業や個人からの寄付も重要である。日本に寄付の文化はあまりなく、優遇措置の導入だけではその文化は育たない。例えば、NPOに寄付した企業は税を免除するといったような大改革が必要である。従って、税の優遇措置の「導入」ではなく「改革」という表現の方が良い。
  • ○この部会報告(案)には、現状のことしか書かれておらず、前向きのものとなっていない。
  • ○教育委員会の役割を見直し、もっと良い役割を担うような方向へ変えていくべき。
  • ○「学校選択機会の拡大」について、「教育委員会が」という記述をはずすべき。
  • ○「体験機会の充実」の「芸術文化活動」について、「社会人として自己表現力を育成する」という観点から書き込んでほしい。
  • ○方向性がよく出ていると思う。
  • ○労働市場における差別の禁止についての法律上の整備の必要性を書いた方が良いのではないか。
  • ○「単身赴任」について、ポイントは「命じる」という慣行であると思う。この書き方では、単身赴任が問題であるという意識が感じられず、喜んで行っているという印象すらある。「命令」であって、「選択がない」ということをはっきりと出した方が良い。
  • ○報告書全体の企業と個人とのかかわりについては異論はないが、こういった改革を行う際には前提条件があるのではないか。働き場所が確保されていて、その上で改革すべきである。
  • ○単身赴任について、職業人として誇りを持って行く人は良いが、どうしても会社の命令に従わなければならない人がいることも考慮してほしい。
  • ○男女の労働条件の平等化について、これまでの家族単位の生活給をどうするかという問題点がある。
  • ○「配偶者控除」について、専業主婦が1,200万人もいることを考えると、時期尚早であると思う。
  • ○教育について、「競争」が全体のレベルを上げる、誰かが新しいことを始めるという意味で、学校選択制は重要。
  •  ここで、部会報告のとりまとめ公表並びに、経済審議会としての答申の予定について事務局から説明の後、部会長より、部会報告の修正並びに公表については事務局と相談の上、部会長が責任を持って行うことを説明、各委員からの了解を得た。
  •  次に、「「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」(素案)」について討議。各委員からの主な意見は以下のとおり。
  • (各委員の主な意見)
  • ○全体的にはほぼ賛成であるが、「効率」については、人と資源を最大限活かしていくのが「効率」であり、今の仕組みではそれが活用できなくなったということではないか。「人と資源を活かすためにこそ経済社会の改革が必要」と書くべき。また、「平等」については、「格差を容認した上でナショナル・ミニマムを確保」と書くべきである。
  • ○「最適工業社会の繁栄と行き詰まり」の部分について、「血縁」まで排しているとは言えないのではないか。
  • ○今後、日本が他人と同じことをする社会から他人と違うことをする社会へと変化することに伴い、知恵、自由が生まれる。そのためには、他人と違うことをした成果が本人に帰属するということと、他人と違うことをした結果、失敗しても再チャレンジできることが必要。
  • ○「自由」と「効率」を強調すれば、「平等」の意味も変化することを明記すべき。
  • ○部会報告(案)にあるように、「自由」には「責任」が伴うということを明記すべき。
  • ○「多源的補充性のある経済社会」の部分に、「介護」を入れるべき。
  • ○「美意識の涵養」について書いてほしい。
  • ○情報化が進み情報が氾濫する中で、官のコントロールなしに自分の責任で正しい情報を選んでいくのは困難ではないか。
  • ○「公から民へ」となっているが、実現するかは疑問。21世紀を活力ある社会にするためには、規制緩和が重要。実際には、各論の部分はほとんど進んでいない。守りに入らず各論から変えていく必要がある。
  • ○一定のルールの下での自由が重要。

 以上の討議までで定刻となり、閉会。

以上

 なお、本議事概要は速報のため、事後修正の可能性があります。

(本議事概要に関する問い合わせ先)

 経済企画庁総合計画局計画課

 経済構造調整推進室

 小林、徳永(内線:5577)